メインカテゴリーを選択しなおす
契約は、十分な判断を能力を持ち、個々の契約内容をしっかりと理解したうえで意思決定をする必要があります。そうしないと契約者にとって不都合な状況が生じる可能性があるからです。 しかし実際のところ認知症になったりその他精神上の疾患などにより、適切な意思決定ができない場合があります。またそういった契約上の不備を利用する不心得者がいることも事実です。そういった弱い立場にいる人間をいかにして社会として守っていくかということも大切です。
ではそもそもどのような制度なのでしょうか?自分達が普段生活している中で、意識的、また無意識にも多くの契約を交わしています。物を買う時、仕事をするとき、仕事を依頼するとき、それは必ずしも書面でかわすものだけではありません。そして民法でも認められていますが、契約は個人、法人自由にすることができます。もちろん法律上に反しないものという前提はありますが。(殺人契約なんて言うのはもってのほかです。)
今 見直しを図ろうとしている成年後見制度について考えていきたいと思います。見直しという言葉が出ているという事は、現状問題があったり、使い勝手の悪いところがあるという事です。 たまに報道でも不適切な制度が利用が取り出されたり、周りでも後見人を変えたいねんといった相談をうけることもよくあります。 ただこの制度にも困っている人を助けるといういう趣旨から誕生していますので、失くすというよりは改善を繰り返し制度を見直していくというのがあるべき姿なのかなと思います。
③法定後見の開始 本人利益のために法定後見開始が必要となった時は任意後見は終了します。原則としては本人の意思を尊重し、任意後見契約が優先されます。 ④任意後見人(任意後見受任者)の死亡、破産開始手続きの決定等、本人の死亡。 後見事務ができませんので当然に終了します。 任意後見契約が終了したときは、終了登記が必要です。
任意後見契約が終了するパターンが何種類かありますのでここに述べておきたいと思います。①任意後見契約の解除 任意後見監督人選任前であれば、公証人の認証さえ書面で受ければ解除できます。選任後は家庭裁判所の許可が必要です。 ②任意後見人の解任 任意後見人の不正などが発覚した場合は、監督人の請求により家庭裁判所が解任することができます。
任意後見監督人は、文字通り後見人の事務を監督する役割の人の事です。任意後見人が適正に後見事務を行っているか定期的にチェックし、家庭裁判所に報告します。これが基本のルーティーンですが、何か急迫なことがあり任意後見人が機能していない場合などは、監督人が代理して本人のために行動します。本人と後見人の利益が相反している行為についても同じです。 任意後見人に「不正な行為」などがあった場合、任意後見人の解任を視野に入れて家庭裁判所と連携を取ることになります。
なので後見人は監督人の求めに応じて、また定期的に監督人に報告する義務があります。そのためにも後見人は日ごろから領収書や取引に関する書類をきちんと保管し整理しておく必要があります。 ②身上保護に関する法律行為とは何?これは例えば、介護契約、施設入所契約、医療契約の締結・解除などがあげられます。この場合も財産管理と同じく契約書のコピーなどをしっかり取っておく必要があります。
①財産管理に関する法律行為って何? これは例えば、預貯金の管理、払戻し、不動産などの重要な財産の処分、遺産分割、賃貸借契約の締結・解除などがあげられます。 こういった財産管理をするには、まず財産目録の作成が必要になります。事務管理を行う前には何があって、今後本人のために使用することによってどのような変化があるのか?そのベースになります。またこれを監督人と共有することにより客観性、安全性が担保されることになります。
任意後見人と任意後見監督人とは一体どんなお仕事(役割)があるの?というところをこのテーマの最後にしたいと思います。 任意後見人は、本人がどういった保護を求めるのかという意思を尊重し、かつ本人の身体の状況(健康状態など)や生活状況に配慮しながら任意後見契約の内容に従って後見事務を行います。 その代理権の内容については、基本的に個々の事案ごとに代わりますが、大きく分けると「財産管理に関する法律行為」と「身上保護に関する法律行為」があります。
申立てに関して注意いただきたい事柄として3つあります。①書類を提出した後は、審判前であっても家庭裁判所の許可が無ければ申し立てを取り下げることができません。②任意後見監督人は、家庭裁判所の職権で選任されます。客観的な視点を確保するため、弁護士・司法書士・社会福祉士など第三者専門職から選ばれます。 その選考の際には、本人の心身の状態や生活・資産状況。監督人となる者の職業や経歴、あと本人の意見などを参考にされます。③任意後見監督人の報酬は家庭裁判所が決定します。またそれは本人の財産から支払われることとなります。
すべての書類を提出すると審理に移ります。書類に不足や不備があった場合は、追完といって追加の催促があります。それによって選任までの時間が伸びてしまいますのでご注意ください。 審理の中では本人調査というものがあります。これは任意後見制度において本人の意思というものが尊重されており、原則として申し立ての内容を本人が理解し同意しているということが必要になります。 身体的に不自由なだけではなく、精神的な場合も有りますので、必要に応じて任意後見受任者や親族などからも事情を聴取する場合もあります。 全部のケースであるわけではないですが、本人に判断能力がどの程度あるか医学的に判断するため「鑑定」が行われること…
もう一つ本人の状況を判断するものとして、医師の診断書があります。これは主治医にこれまでの状況や現在の状態を加味して作成してもらうものです。 主治医に引き受けてもらえない何らかの事情がある場合は他の医師でも構いません。但しできる限り精神疾患、認知症などに専門性を持った方に作成してもらうことが望ましいです。
この中で福祉関係者(ケアマネジャー,ケースワーカーなど)に記載を依頼するものとして「本人情報シート」があります。 これは日頃から支援している福祉関係者が,ご本人の生活状況等に関する情報を記載するためのシートになります。これは医師が本人の判断能力を診断するための資料としたり、家庭裁判所が本人に対する支援を検討する際の資料になったりします。 作成をする該当する方がいない場合は、社会福祉協議会、地域包括支援センターなどに相談して準備してもらうことも可能です。
役所で集めるものとして □本人の戸籍個人事項証明書(戸籍抄本) □本人の住民票又は戸籍の附票 □任意後見受任者の住民票又は戸籍の附票 法務局で集めるもの □登記事項証明書(任意後見) □本人が成年被後見人等の登記がされていない ことの証明書郵送などでも取りよせることが可能です。その場合は1週間以上かかると思っていたほうが良いと思います。 □任意後見契約公正証書のコピー これも忘れずに!以上が申して時に必要となる書類ですが、けっこうな量があります。漏れが無いように集めていきましょう
あとお医者さんやケアマネージャーなどに作成を依頼するものとして □診断書(成年後見制度用) □診断書付票 ◇いずれも作成後3か月以内のもの □本人情報シート(コピー) このあたりは基本フォーマットがありますが、診断書などについては別途費用が発生するかと思います。 中には書いてくれない医師もいるみたいですが、必ずしも認知症の専門医でなくてもいいようです。ご本人のことをよく認識しており、ある程度経過を理解されているかたのほうがよさそうです。
申立書類として以下のものが必要です。 □任意後見監督人選任申立書 □申立事情説明書(任意後見) □親族関係図 □本人の財産目録及びその資料 □預貯金通帳のコピー □保険証券のコピー □不動産の全部事項証明書 □債権・負債等の資料のコピー □本人の収支予定表及びその資料 □収入に関する資料のコピー (年金通知書のコピー,株式配当金の通知書のコ ピー等) □支出に関する資料のコピー (施設作成の領収書(2か月分)のコピー,住居費 (住宅ローン)の領収書(2か月分)のコピー, 納税通知書のコピー等) □任意後見受任者事情説明書
任意後見監督人選任の申立てができるのは以下の人です。 ◎本人(任意後見契約の本人) ◎配偶者 ◎四親等 内の親族 ◎任意後見受任者 です。ちなみに四親等内の親族とは, (1) 親,祖父母,子,孫,ひ孫 (2) 兄弟姉妹,甥,姪 (3) おじ,おば,いとこ (4) 配偶者の親・子・兄弟姉妹 関わりの深い親族ならだれでもといった感じです。
ちなみに申立て費用は□収入印紙 ①申立手数料 800円分 □②登記手数料 1400円分 ①の内訳例:400円×2枚 ②の内訳例:1000円×1枚,400円×1枚) □郵便切手(送達・送付費用) 合計3270円 です。 このほかに鑑定が必要となった時には別途かかります。 (鑑定費用は10万~20万と少々高額です。)
①申立て準備をする。 ここがほぼすべて大変なところです。手引書が数十ページありますが、わかりやすく書いていますので読みやすいとは思います。書類を主体となるタイプ別に分けますと ◎ご自身で記入する書類 ◎かかりつけ医に書いてもらう診断書 ◎ケアマネージャーなどに書いてもらう本人情報シート ◎役所でとる戸籍関連 ◎法務局でとる書類となります。
流れ的には、①申立て準備をする。 裁判所 ホームページにある手引書をまず熟読。必要な書類を集めたり、申請書類などに記入していきます。②申立て 郵送または窓口 (裁判所としては郵送を推奨しています)③審査 事案に応じて本人調査・受任者調査、精神鑑定等が行われることがあります。④審判 任意後見監督人が選任され、登記されます。⑤任意後見事務の開始 となります。
任意後見契約をスタートさせるためには、任意後見監督人の選任を家庭裁判所に申し立てしなければなりません。 任意後見の受任者は、その親族がなる場合も有りますので、いざその時にどういった手続きが必要なの?となりますよね。 意外と書類もおおく、選任には日数もかかりますので申請はできるだけスムースにすることが必要です。一つ一つの手続きは難しくないですが、滞りなく進めていくのがポイントです。司法書士さんにも頼めますが、ここで数万円はもったいない気がします。次回以降からは裁判所でリリースされている手引書からピックアップしてお伝えします。
監督人が特にチェックするポイントとしては、 ◎任意後見契約の代理権の範囲を逸脱していないか? ◎本人の意思を十分に尊重しているか? ◎本人の心身の状況及び生活の状況に配慮しているか? といったところをしっかり見ていく必要があります。 こういった役割があるため、監督人はしっかりとした業務を行なうため、いつでも任意後見人に対して事務の報告をもとめたり、財産状況の調査を行なったりすることができます。
しかしどんなに本人が信頼したとしても適切に後見事務ができるかどうかというのはわかりません。実際に契約が発効したときには、本人は判断能力が劣ったり失われたりしています。 そのために専門家である後見監督人をつけ、不適切な後見事務をしていないかチェックしていくのです。 本人と後見人、監督人は一つのチームと言ってもいいかもしれません。
繰り返しになりますが、任意後見契約は任意後見監督人が選任されてはじめてその任意後見契約が発効され、受任者が活動できるようになります。 任意後見人は、本人が事理弁識能力がまだ十分である時に、将来の自分の身上保護と財産管理を任せたいという強い意思をもってえらばれた人です。なので家庭裁判所としては本人の意思を尊重し、任意後見受任者を後見人として認識しふさわしい監督人を選任します。
以下が任意後見監督人の役割です。①任意後見監督人の事務を管理すること。②定期的に家庭裁判所に報告すること。③急迫の事情がある場合、任意後見人の代理権の範囲において、必要な処分を行う事。④本人と任意後見人の利益が相反する場合について本人を代理すること。 法定後見の場合は、必要に応じて監督人は選任されますが、任意後見の場合は必須の為、本人、受任者、監督人の連携はより重要になります。
とはいえ任意後見受任者に親族の者がなることもあり、その場合は、ほとんどが初めての経験になります。何をしたらよいのか曖昧なまま、お金や各種手続きをおこなってしまうことになりかねません。 不正な気持ちが無いままに自分のお金と混同してしまったり、本来代理権が無い事務を行ってしまったりすることも有ります。 そうならないように、後見事務に関してアドバイスをしたりして支援していくという役割が 監督人には必要です。
任意後見監督人は家庭裁判所の選任によって定められます。家庭裁判所が関与するという部分では、法定後見とも似ているといえますが、法定後見の場合は、家庭裁判所が主体となって後見人を定めその管理下に置きます。 それに対して任意後見の場合は、依頼者が選んだ受任者が監督人のみ報告を行います。監督人は家庭裁判所への報告義務がありますが、家庭裁判所としては監督人を通しての間接的な管理となります。なので職権として任意後見受任者を解任したりということは出来ません。
任意後見監督人って何?というお話をしていきたいと思います。任意後見契約の制度の中にでてくるのがその監督人です。名前の通り任意後見受任者の業務に対して、不正な行為や任務を誠実におこなっているかどうかをチェックする役割を持つ人となります。 ただ任意後見契約は、法定後見にくらべると依頼者の意思(私的自治による契約)が優先されるものですので、権限や役割が法定後見で必要に応じて付けられる監督人とは違いがあります。
財務管理契約については、判断能力は低下していないが病院に入院したり体が不自由になったりして、金融機関での預金の出し入れが難しくなったり、各種支払いを行ってもらうといった場合に効果を発します。 このような契約は、限定的な期間のみという事になる場合も有りますので、委任者から申出があった時に発動するなど 契約内容もそのようにしておきましょう。
ちなみに見守り契約というのは、判断能力が衰えないうちでもいろいろ相談にのってもらったり、安否を確認してもらいながら、その時が来た時に適切に任意後見実務を行ってもらうためには有用です。 毎月連絡をもらったり、定期的に面談などをおこなっておけばいざ後見人になってもらったときにも意思疎通がしやすいですし信頼感も有ります。
まえのところで遺言書と死後事務委任契約について書きましたが、その他にも見守り契約、財産管理委任契約などもあります。これらの契約はすべての人に必要というわけではなく、親族の有無や経済状況なども加味して選択されるものです。 地域によって社会福祉協議会や地域包括などのサービスが充実している場合はそちらも利用するという手もあります。なんでもかんでも第三者との契約をおこなってというのもお金がかかりますし、逆に不自由になることも有ります。
内容としては、代理権目録に示した内容の補足であったり、自分自身の気持ちなどです。 特に医療系のある程度選択を迫られる場合などに関しては細かく意向などを書き記しておいた方が良いかもしれません。本人の意思が示せなくなっているので、延命措置や苦痛回避に関する思いなど。この辺りはご本人でなければ決定のできない事柄です。 残余財産の行先は遺言書で、死後の葬儀や他手続きなどは死後事務委任契約で行いましょう。
任意後見契約に代理権目録というものが必要ですが、実際のところ任意後見業務をするためには、本人に対する情報(意思や好み)などを共有しておくことが大事です。 将来の判断能力の低下または喪失時に備えて、付与する代理権をどのように使ってほしいのか、代理権行使の対象、目的、範囲を明確にしておくために事前指示書というものを作っておきます。これは公正証書の中に綴じこんでおいてもらということも可能です。
同意権も 取消権も本人が持っている法律行為能力を制限するものとなります。また補助人・保佐人・成年後見人によってもその範囲や内容が変わります。 この法律行為能力を制限するという事については議論が分かれており、海外においても廃止すべき論と成年被後見人の行なった行為は全て無効といったものまであります。 法定後見には同意権・取消権があり、任意後見には制度上ありません。しかし本人が任意後見受任者に対し、あらかじめ一定の行為に対して取消についての代理権を付与しておくこともできます。
任意後見と法定後見の違いについても見てみましょう。先に述べたように事前に準備をするのが任意後見、判断能力が衰えてしまってから利用するのが法定後見であるのは間違いありません。 もう一つ大きな違いがあります。それは同意権・取消権があるかどうかです。 同意権とは、後見人の同意があれば初めから有効な行為となり、同意なく行った行為については、不確定な行為と位置付けられます。 取消権とは、後見人が取消権を行使するとその行為は最初に遡ってなかったことになるという権利です。
任意後見契約を結んでいた場合、法定後見が発動することがあるのでしょうか?結論的にはあり得ます。しかし基本的には、任意後見契約が優先されます。 任意後見を事前準備されている人については、家庭裁判所が本人の利益のために特に必要と認められるときに限り法定後見の審判を開始することができるとされています。逆にいえばそのような状況にない限り法定後見は発動しないという事になります。
この即効型の任意後見契約ですが、理論上は先に述べたように可能です。しかし判断能力の低下の度合いによっては、契約当事者の権利侵害を疑われる可能性も否定できません。なので実務上はしっかり検証し格段の合理性を確認したうえで実施すべきだといえます。 本来任意後見契約は、将来型の契約であり、いつの日か必要になった時に発動するといったものです。なのでこの即効型に関してはあくまでも例外的なものとしてとらえておくほうがよさそうです。
任意後見契約に関していえば、判断能力が不十分であるが意思能力はあるので、契約自体は有効に締結することができます。しかし判断能力が不十分であるので即座に家庭裁判所に監督人の選任を申出すれば 任意後見を開始することができます。 これを即効型の任意後見契約と呼びます。 この即効型を使うことで、法定後見では希望する後見人をつけることが難しい面があるということを回避できることになります。
遺言書をつくりたいが認知症である。短期記憶が失われていたり、幻覚が見えたりしている、でも遺言を作りたいという意思ははっきりしているし、内容も理解している。このような場合 基本的には遺言書を作成することが可能です。たとえ公証人立ち合いの公正証書遺言であったとしてもです。 ただし別問題として 残された相続人達が自分の有利不利をめぐって、その遺言書の有効性を裁判で争うということも有り得ます。
まとめると判断能力は契約などの個々の法律行為と直接関係はなく画一な一般能力であり、意思能力は個々の法律行為を強く結びついた相対的な法的な能力であるといえます。 ただわかりにくいですね。判断能力には、不十分なところがあったとしても本人の意思がはっきりしていれば公正証書作成などの法律行為は行えるということです。
では意思能力というのは何でしょうか? 意思能力というのは、法律上の定義はないですが、個別の法律行為・個別の契約ごとにそれを有効とするか無効とするかという判断基準になっています。つまり「本当にあなたの意思でするのですか?」という事ですね。 なのでその有無が重要なのであり、程度については問題になりません。
判断能力というのは法律でよく使われる「事理を弁識する能力」をわかりやすく言い換えた言葉になります。法律的な解釈によると判断能力というのは、知的能力・日常的な事柄を理解する能力・社会適応能力の3つの概念を統合した広義の能力を意味するらしいです。 この能力が不十分なのか全く欠く常況なのかというのが成年後見制度に関わる尺度になっているようです。
遺言書をつくるにも任意後見契約を結ぶにも 必要になってくるのが意思能力、判断能力になります。自分の財産や命に係わる大事な内容、契約を作るのですから、自分が良く考えて実行する大切さはよくわかります。認知症や精神疾患がある状態で、周りにそそのかされてつくったものが有効になってしまえば困りますよね。 ではそもそもその能力ってなんでしょうか?そのあたりを考えていきたいと思います。
今まで見てきた内容で任意後見契約の準備は終了です。 実際に任意後見契約がスタートするタイミングは、判断能力が不十分になった時に家庭裁判所に任意後見監督人の選任をしてもらったときになります。逆にそういった状態にならない限り発動しないとも言えます。 入院手続きや財産管理といった第三者では、行いづらい代理業務を任意後見契約という登記も行われ家庭裁判所の目も届く仕組みでになっていくというのが任意後見契約の制度になります。
他のお金の事。任意後見人を身内で行う場合報酬設定しない場合が多いですが、第三者(士業含む)に依頼した場合は毎月発生します。これは事前に双方で相談しておき、公正証書に記載します。2万円~3万円ぐらいが多いところかと思います。 また任意後見監督人にも毎月発生します。これは身内はなれませんので必須の費用です。金額がいくらになるかは家庭裁判所の判断にはなりますが、目安としては任意後見人の約半分ぐらいと考えとけばよいかと思います。
任意後見契約書を作成するにあたって公証人の手数料がかかります。登記費用、郵送料などを含めて28000円前後になるかと思います。士業に公証人との対応、文案作成を依頼する場合は別途かかりますが、その事務所ごとに違いがあります。 日程的には、公証人にその文案を渡して約1週間ぐらいすると返信(修正や追加があれば変更されたものが返ってきます)あります。そこから日程を調整し 本人 受任者が公証役場に出向いて署名押印して出来上がりです。
任意後見契約書には、代理権目録として何を代理してもらうかという事柄を過不足なく記載する必要があります。一般的な雛形はありますが、個々人で必要なものそうでないものがありますので、そのカスタマイズは必要です。 詳細な生活状況、資産状況を確認したうえで実際の代理権目録を定める必要があります。この代理権目録から外れるものについての代理権は原則ありませんので、慎重に抜け落ちがないようにに作成します。
中には本人ではなく、その任意後見人の対象となる親族の方だけが来られて相談される場合も有ります。「現在 自分は、本人の財産も預かっており信用されている。周りの兄弟も了承済みです。なので本人の面談は必要ありません。」とおっしゃる方もいます。 しかしその場合も必ずご本に様に十分な説明をし、理解と同意を得たうえですすめていく必要があります。なぜなら成年後見制度自体が「本人の権利擁護」「自己決定の尊重」を重要視しているからです。(実際のところそれほどまでに信用されていない、実は兄弟が不仲だった。といった場合思わぬ紛争に巻き込まれてしまうこともあります。)
また受任者を親族とする場合、その対象となる方と別途お話を伺う必要が出てきます。任意後見人としてどこまで対応できるのか、ご本人の意向に沿うことができるのか。場合によると遠方に住んでいたり、お仕事が忙しかったりと個々によって事情は様々です。 任意後見人には、監督人への報告義務も有りますし、意外と負担に感じられることも多いものです。