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あとで困らないように代理権目録には、必要最大限の範囲で代理権を定めておきます。もちろん不必要不適正なものはダメですが、ご本人が訴訟を起こさないといけないような場合の代理や現在は未婚でお子さんもいないが、配偶者や子、養子などが将来存在することも見据えて代理権目録に加えておく事務というものもあります。 任意後見契約の代理権目録は裁判所の用意した雛形も有りますので、それに追加する形で委任者の生活をいかに保護していくかということを考えていきます。
契約段階で受任者としては、理解しているとはいえ発効段階では時間もたっていますので、この任意後見登記事項証明書の内容はしっかり確認しましょう。 任意後見人の権限は、任意後見契約書の中で定められた各条項並びに代理権の範囲内に限られます。 代理権目録に記載していない業務を行うには、別途個別に委任をしてもらう必要があります。しかし実際にはご本人の意思決定が難しい状況に陥ってしまった場合、法定後見に移行するということも検討しなければなりません。
任意後見監督人が選任され、任意後見人として事務を開始していくためには「任意後見登記事項証明書」を取得する必要があります。この登記事項証明書に記載している代理権目録に従って事務を行います。 また第三者に対しては、この目録をもって自己の権限について証明していきます。この登記事項証明書は、監督人選任後2週間程度で取得することが出来ます。
任意後見契約の魅力は、後見人になってもらう人を自由に選べる事です。なので後見される人にとって信頼のおける身内を選ぶことが可能です。 法定後見の場合も希望として後見人を申し出ることはできますが、必ずしも望んだ人がなるとは限りません。現状は弁護士、司法書士、社会福祉士などがなることが多いです。 なので身内の方が、任意後見受任者になるという前提で就任後の動きを見ていきたいと思います。
任意後見監督人選任申立てには、いろいろ費用が掛かります。主な申立て費用は 収入印紙 2200円(申立手数料800円、登記手数料1400円) 郵便切手 4000円弱 鑑定費用(必要な場合のみ)10万~20万 あとは各種書類の取得費用ですね。申立人の負担となりますので、受任者が申立てをする場合は、契約書のほうに最初からその費用負担も盛り込んでおいた方が良いです。
家庭裁判所のいろいろな審理手続きをへて いよいよ任意後見監督人の選任です。現在任意後見監督人のほとんどは、弁護士、司法書士、社会福祉士等の専門職であるといわれています。 任意後見監督人には、配偶者や親族などがなることが出来ません。申出書にたとえそのような方を記入していたとしても欠格事由にあたり、選ばれません。 監督人は、財産管理など重要な権利と義務を持つ受任者を管理する必要があるため、第三者視点が必要という事ですね。また家庭裁判所の代行でもあるので高度な信用度が必要という事です。
⑥申立て取立ての制限というのは何かといいますと、任意後見監督人選任の申しては、審判される前であっても勝手に取り下げは出来ません。家庭裁判所の許可が必要になるという事です。 たとえ①~⑤までの調査で受任者にとって不都合な内容のことが出てきたとしても、家庭裁判所が取り下げ許可を出さないかぎりは、無理だという事になります。
③受任者への意見聴取は必ず行われます。聞かれる内容としては、委任者との関係性、任意後見契約締結にあたっての経緯、受任者の現在の状況、今後の任意後見人としての業務に関してなどです。 ④鑑定は、原則医師の診断書があれば実施されませんが、委任者の状況次第では行う場合も有ります。 ⑤親族への意向照会は、家庭裁判所が必要と認めたときに書面で行われます。
①委任者との面談については、メインは本人が任意後見契約発効に際してその同意を行っているのかどうかです。実際の家庭裁判所の担当者が直接確認します。もし病院に入院しているような場合でもそこへ赴きます。 ②任意後見監督人となる人への意見聴取は、申立書に監督人の希望を記載した時に行われるものです。
審理手続きの流れですが、家庭裁判所は家事事件手続法にのっとって審理手続きを行います。 ①委任者(本人)との面談 ②任意後見監督人となる人への意見聴取 ③受任者への意見聴取 ④鑑定 ⑤親族への意向照会 ⑥申立て取立ての制限 などです。以下のその内容を見ていきます。
申立てにあたっての書類ですが、これが結構あります。詳しくは家庭裁判所で確認いただきたいのですが 任意後見監督人選任の申立書 親族関係図 財産目録 診断書 本人情報シート 委任者関係書類(戸籍、住民票、同意書・・・) 受任者関係書類(戸籍、住民票) 任意後見契約書類(登記事項証明書、任意後見契約書・・・) などなど いろいろ大変です。
任意後見監督人選任を申立てできるのは以下のとおりです。 任意後見委任者(本人) 委任者の配偶者 委任者の四親等内の親族 任意後見受任者となります。身内のいない方の場合は、受任者だけが申立て権者です。法定後見開始申し立ては、検察官や市区町村長などが出来ますが、そこに違いがあります。ケアマネージャーといった第三者には出来ないという事ですね。
申立ての時期について周りの人間がおかしいぞと気づき、医師の判断により委任者の事理弁識能力が不十分であることが確認されたときにはできるだけ早く申立てをすることが必要です。 委任者が元気であれば、接見などもしやすく新たに選任される監督人とも意思疎通がしやすいといえます。 また任意後見制度は、委任者の意思を尊重を重視していますので、出来る限り委任者本人の同意をもって開始するというのが望ましいということだと思います。
ここまでは、後見制度を利用するために 事前に任意後見契約を作成するというお話でした。 ここからは実際に任意後見制度は発効するにあたってというお話を見ていきたいと思います。任意後見契約を開始するにあたっては、家庭裁判所に申出をして任意後見監督人をまず選任しないといけません。 必要な任意後見監督人選任申出の要件としては 〇任意後見契約の登記がされていること 〇精神上の障害により委任者の事理弁識能力が不十分な状況にあること 〇委任者による申立てであること、又は委任者の同意があること。(ただし委任者がすでにその意思表示が出来ない状況にある時は不要です。)
任意後見登記事項証明書に記載されるものは以下のものです。 〇作成に関わった公証人の氏名 所属 証書番号 作成日 〇委任者の氏名 生年月日、住所、本籍 〇任意後見受任者の氏名、住所 〇任意後見受任者の代理人の範囲 などです。 この登記事項証明書 取得は誰もができるわけではなく、委任者、受任者以外では、配偶者、四親等以内の親族、本人の相続人などです。 交付の請求は、全国の法務局、地方法務局の本局の戸課ですが、郵送による交付は東京法務局のみです。手数料は1通ごとに550円の収入印紙が必要です。
任意後見契約が公証役場で作成されると、公証人から法務局に対し任意後見登記の嘱託がなされます。登記された登記情報については、契約の当事者や親族等関係者は、後見登記の登記事項証明書の交付を請求することができます。 この任意後見登記事項証明書は、委任者本人と受任者が任意後見契約書を作成したこと そしてその代理権の内容を証明するものとなります。
6で述べたものが必要になりますが、事前に公証役場へ確認を入れておいた方が良いです。 公証人によりますが、印鑑登録証書の代わりに写真付きの公的身分証明書と認印で可能な場合もあります。 また受任者が法人の場合は、法人の印鑑証明書、実印、代表者の身分を示す書類(登記事項証明書)、委任状など 個人で受任でする場合とはいろいろ違うところもあるのでご注意ください。
契約日に必要なもの。公証役場で契約をする日には、必要な書類や作成費用などすべてが揃わないと公正証書を作成することが出来ません。事前にメールなどで送っているもの全てではないですが、原本を持参しないといけないものも有ります。忘れものが無いように注意しましょう。 一般的なものとしては 〇委任者の戸籍全部事項証明書 〇委任者の印鑑登録証明書(発行から3カ月以内のもの)と実印 実印は結構忘れがち、もしくは違う印鑑だったりして困る場合も有ります。 〇委任者及び受任者の住民票(本籍地入りで個人番号不記載のもの) 〇受任者の印鑑登録証明書(発行から3カ月以内のもの)と実印 〇公証役場に支払う費用
ただし委任する内容(管理対象財産や契約内容)、公証人の先生により以下の書類を求められる場合も有ります。 金融機関の通帳 保有株式の明細書 生命保険 火災保険の保険証書 不動産の登記情報 固定資産評価証明書 車両車検証 など。 契約内容を裏付けるためにも必要という事ですね。
準備書類について任意後見契約書案の提出時 公証役場から求められる書類は以下になります。 委任者の戸籍全部事項証明書 委任者の印鑑登録証明書(発行から3カ月以内のもの) 委任者及び受任者の住民票(本籍地入りで個人番号不記載のもの)このあたりが一般的にもとめられるものになります。
どこの公証役場にするかが決まりましたら、公証役場に電話するかメールをしてどういった契約書を作りたくて、どんな書類が必要なのか確認しましょう。折り返し公証人事務係から返答があります。複数人公証人さんがいる場合はこのタイミングで今後誰宛に依頼すればいいのか教えてくれます。 メールアドレスは各公証役場ホームページに代表アドレスがありますのでそこで良いと思います。案文や必要書類などはいきなり送り付けないようにご注意ください。
ご自身で公正証書を作っていくぞということで、完成までの流れを見ていきたいと思います。 1 公証役場との打合せ公証役場は、お住まいの地域に複数あるとはいえ結構点在しています。都心部などでは、法人ニーズをふまえて近隣に複数あったり、一交渉役場に複数人の公証人がいることもあります。しかし地方だと数が少なかったり、公証人一人なんていうことも良くあります。 契約書の内容に関する相談は無料ですが、できるだけ要領よく質問等は行いましょう。基本予約が必要です。
任意後見契約書は、法務省令で定められた様式に従った公正証書で作成しなければなりません。ただその他の「見守り契約」「財産管理委任契約」「死後事務委任契約」「遺言書」などは公正証書で作らなければならないという法律はありません。 しかしこれらの契約で重要なことは、委任者・受任者の合意を明確にすることですので、公証人立ち合いのもと公正証書で作っておくというのが適切かもしれません。費用の問題がありますが・・・。
実際に任意後見の運用が始まってからの報酬費用についてですが、後見人を親族の誰かにする場合はかかりません。親に対して子どもなどです。 第三者の士業(弁護士、司法書士、社会福祉士)などに依頼する場合は、2万円~5万円程度毎月かかります。頼む相手、内容などによって変わってきます。 また任意後見監督人は必ず家庭裁判所に選任してもらわないといけないためその費用も掛かります。1万円~2万円ぐらいだと思いますが、この金額は家庭裁判所が決定します。
公正証書作成にあたっては、公証役場の公証人に支払う費用があります。現状私がお手伝いさせていただいて場合、登記費用、郵送用レターパック、収入印紙などを含めて2万5千円ぐらいです。 士業の専門家に文案の作成、公証人との打合せなどをお願いするとまた別費用が掛かります。これは士業の先生ごとに違いますので、見積もりを取る等しましょう。 契約書に雛形は存在しますが、ご自身の意向をくみ取った代理権目録の作り込みや任意後見制度に関することなどを相談・質問することなどを考えると任意後見に詳しい専門家に入ってもらった方が良いかと思います。
先に述べたように任意後見契約は、公正証書で作成しなければいけませんので、その作成には費用が掛かります。そして任意後見制度運用にあたっては、親族が後見を行う場合は報酬は基本発生しませんが、、第三者に依頼した場合は月単位で費用が発生します。また任意後見監督人に支払う費用は必ず掛かりますのでお忘れないように。 まず作成費用から見ていきたいと思います。
任意後見契約の解除にあたっては、解約申出者の真意を確認するため公証人の関与が必要とされています。 なお任意後見監督人が選任された後では、当事者の意思確認、権利保護の要請から家庭裁判所の許可が必要とされています。 また任意後見契約の内容の変更について、法律には規定がありませんが通達により公正証書の作成によらなければならないとされています。勝手に変更はダメという事ですね。
任意後見契約は、一般的にはなじみの薄い表現や難しい法律用語などが使われることが多く、契約当事者によってはその知識の差などが非常に大きい場合があります。 そこで任意後見契約書を公正証書で作成することを義務化することで、公証人による契約内容のチェックや契約当事者の判断能力、意思確認を行うことで 契約内容の適切性と内容の合意があることが確認されることになっています。
任意後見契約の締結に当たっては、法律で定められている事項というものがあります。その点を以下述べていきます。 いろいろな契約書は必ずしも公正証書で作らなければいけないというわけではありませんが、任意後見契約については公正証書でつくることと定められています。これは当事者のみで契約を進めてしまうと、委任者が理解できない内容で契約が締結されてしまい、いざその効力が発動した時には委任者は契約内容に理解の無いまま拘束されてしまうからです。
任意後見契約 発動後の準備として、事前指示書というものを作っておくことをお勧めします。これは将来の判断能力の低下または喪失時に備えて付与する代理権をどのような形で行使してもらいたいのか、代理権行使の対象、目的、範囲等を明確にするために事前の指示を記載した書面になります。 より具体的なライフプランを明確にするという事ですね。施設に入った場合の対応、入院 治療の希望などなど。任意後見契約は、公正証書で作る必要があるので、この事前指示書も契約書と一緒に綴り込んでもらっておくのもアリです。
どうしても法定後見の場合は、ご本人も準備ができないなか開始されることがあるためこういった印象を持たれるかもしれません。ただ任意後見の場合はあらかじめお元気な時に意見や好み 趣味などをお伺いし、判断能力が衰えてきたときでもどうしたいのか?ということも事前に聞き取りしますので、ご本人の意向は継続されるかと思います。
成年後見人がつくと財産が自由に使えなくなる。こんなイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか? 確かに第三者の監視の目が入りますので、なんでも自由にというわけではありません。ただご本人の生活を維持し守っていくという趣旨のもと運用していく制度ですので、資産凍結というほどではないかと思います。ただしご本人以外の親族からみると今まで自由にできていた部分やもらえていたものが無くなったりと不自由に感じる部分はあるかもしれません。
後見人がつくことによってその人の人格権が失われてしまうのでは?と思われている方もいるかと思います。またご本人の後見人なんてつけてほしくないという思いです。被後見人になることで選挙権を失ったりや会社の重職から外されるそういった懸念が当初はありました。 しかし現在はいろいろな法律改正などがあり、成年被後見人になることだけでいろいろな欠格事由になるという事は少なくなってきています。
たまにニュースなどで士業の後見人がお金を横領したなんて事件が出ることがあります。平成26年には831件56億7000万円の成年後見人の横領があったとの記事がでてビックリしたものです。(これは士業の人間だけというわけではありません。) その後 家庭裁判所によるチェック、監督人の選任などにより減少傾向にはあります。しかし親族が後見人になった場合 善意悪意に関わらず 財産管理の意識が希薄になり表面化していないものもあるようです。また減っているとはいえ士業の事件も無くなっているわけではありません。金銭管理の難しさを感じます。
成年後見制度は2000年からスタートしていますが、制度スタート時は約9000件 2021年には4万件弱となっており 20年ぐらいで約4倍の件数になっています。増えているようにも思いますが、同じような制度を利用している先進国から考えると全人口の1%程度は必要との見解があり、日本ではその6分の1程度しか利用していないといえます。 こういった状況を受け、利用促進法が制定され、今ある問題点の洗い出し、改善を進めています。
この判断能力と意思能力の違いに注目して行う任意後見契約に即効型というものがあります。これは任意後見契約を行ったすぐ後に後見契約をスタートさせるというもので、本来は法定後見では?という少しグレーな感じの運用方法です。法定後見にしてしまうと誰が後見人になるかわからないというデメリットがありますので、任意後見にしておくと望んだ人が後見人になることができます。 任意後見契約が結べる意思能力はあるが、後見制度を利用しないといけないほど判断能力は落ちている、そのような立て付けにはなっています。理論的には成り立ちますが、当事者の権利侵害を受ける可能性を考えると極力使わないようにというのが一般的な見解のようで…
この判断能力に対して 意思能力ですがこれは個別の法律行為親⑦個別の契約をするかしないか、有効か無効かを判断するための基準となる能力です。つまり意思能力は、この簡単な契約は出来るが、別の複雑なものはできないなどという事が起こりうることになります。 常に現状どうなのかというところがポイントの判断能力とはこういったところの違いがあります。
この後見制度の利用にあたって非常に大事な概念として、判断能力という言葉があります。また意思能力という言葉も有ります。ひじょうに似ていますが、異なる部分も存在します。 法律的には事理を弁識する能力といいますが、わかりやすく言い換えると判断能力となります。 では判断能力とは? 知的能力・日常の事柄を理解する能力・社会適応能力の3つをあわせたものとしています。この能力がどれぐらいかけているかで任意後見をスタートさせるかどうかの基準になります。 同じく補助・保佐・成年後見の区別もここが基準です。
法定後見にはその対象者の状態から支援内容も変わるため、補助、保佐、成年後見と3つにわかれています。 法定後見は、申請者から家庭裁判所に選任の申出をして、選任者が決まってからのスタートになります。後見人として希望は提出できますが、必ずしもその人が選任されるとは限りません。今現状は、弁護士、司法書士、社会福祉士等がなることも多いです。最近の家庭裁判所の意向としては、責任ある親族をという流れもあるようですが、実際のところ財産管理が明確に分けて行えないなど問題も残っていますので、あまり進められていないようです。
つぎは法定後見の仕組みについてのお話しに移っていきます。法定後見は、任意後見の準備ができないときに判断能力が低下してしまったり、生まれながら障害をお持ちの方で判断能力が不十分なため、公的な保護をするための制度です。 ここで法定と命名されているのは、法律の定めによって支援者である後見人を選任し、選任された後見人は、法律に定められた事務を行うからです。
任意後見制度をスタートさせるためには、家庭裁判所に任意後見監督人 選任の申立てをする必要があります。この監督人はいうならば任意後見のお目付け役といったところで、任意後見人が不正な行為や著しい不良行為、職務にたいする適性が無いなどの場合は、家庭裁判所に請求して解任をさせることも可能です。 また3か月に1度程度の後見人から監督人への報告義務があり、家庭裁判所の監視も備わっています。 任意後見契約書の作成は、公証役場で公正証書にする必要があります。これは契約内容の確実さを公証人という法律の専門家により担保するためです。
任意後見制度の仕組みですが、判断能力が減退前に自信が信用できると思った人を任意後見受任者として設定します。これは身内親族でもよいですし、弁護士・司法書士・社会福祉士といった第三者でもOKです。(ちなみに行政書士でもされている方もおります) 実際に何を行ってもらうかという事については代理権目録で定めておきその中で職務を行ってもらいます。ただこの契約を結んだからと言ってすぐにスタートする話ではなく、あくまでも判断能力が衰えてしまって生活に支障がでるといった状況になってからです。
成年後見制度については、2種類あります。一つは法定後見制度、もう一つは任意後見制度になります。 まずは任意後見制度から。 任意後見制度は、本人の能力が減退する前に、もしそのような状況になってしまったときに支援してもらう人や支援の内容などを決めておく制度です。つまり自己決定で自由な契約を結ぶことができるという事で本人の意思が反映しやすい制度だとも言えます。
ここのところは依頼する本人や親族、受任する人も勘違いしやすいところです。もっといろいろやってほしいと思う前者がいたり、月に1回電話で近況だけを訪ね、あとは生活費を振り込んで終わりのような後者もいると聞いたことも有ります。 このあたりは双方に誤解を生みやすいところでもありますので、しっかり話し合っておくことが必要です。 法的な支援に付随する事実行為とされるところは、どうしても曖昧になったり、受任者の性格なんかも大きく左右されるところだと思います。
成年後見の職務の中心はこの二つの中でも身上保護事務に重きが置かれます。この身上保護事務をしっかり行うために必要な財産を管理し、有効に活用していくというのが財産管理にあたります。 とはいえここでいう身上保護は法的な身上保護であり、実際に介護をしたり食事をつくってあげたりというものではありません。食事の手配が必要となれば、配食サービス事業者との手続き上の契約を行なったりということをすることです。
成年後見人ってどういうことをしてくれんの? やってほしいことをしてくれない なんてこともよく聞きます。定められた一般的な職務範囲を見ていきたいと思います。 成年後見人の仕組むには大きく分けて二つあります。◎身上保護事務 ◎財産管理事務 です。 身上保護事務というのは、制度の利用者本人の生活と療養看護です。これは生活、医療、介護、福祉等を充実させるための法的な支援事務です。 財産管理事務は、本人の財産を適切に管理活用するための法的な支援を行う事務です。
ノーマライゼーションを前提とし、自己決定権の尊重・身上保護の重視という理念は、民法及び任意後見契約に関する法律に明文化されています。 つまり後見業務の受任者は、本人意思の尊重義務や身上配慮義務を負ったうえでしっかりやりなさいよという事ですね。後見業務についてはどこまでをやらないといけないのかというところがこの義務に絡めてムズカシイところですので、それをこの後見ていきたいと思います。
自己決定権の尊重は、判断能力が劣る状況になったとしても、その人が持つ意思や好みを尊重しましょうという事です。 身上保護の重視は、財産を守るということだけではなく、もっと広く生活・医療・介護・福祉等にも気を配りながら 本人の生活向上に向けて力を尽くしましょうという理念です。 成年後見人として業務を行う場合は、この理念を十分理解したうえで常に頭の中で反芻する必要があるという事です。
成年後見制度は三つの基本理念から作られているといわれています。 ①ノーマライゼーション②自己決定権の尊重③身上保護の重視 です。 基本理念とは、成年後見制度実施にあたり忘れていけない根本的な考え方のことを言います。分かりにくい言葉でノーマライゼーションというのが出てきましたが、これは障害を持つ人であってもそうでない人と共生できる社会にしていきましょうという事です。たとえ判断能力が不十分になったとしても 不自由なく生きてゆくことができるという事です。
契約社会である中で、健常者と弱い立場にある方をと共に暮らし、生きていきために、契約等の法律行為を支援する仕組みが必要となります。この法的な支援するためにできたのが、成年後見制度になります。 現在日本では、65歳以上の人が総人口に占める割合は3割といわれており、今後も上昇傾向にあります。超高齢化社会の日本において後見制度の利用促進の機運は大きく高まっていると言えるでしょう。しかし実際のところの運用はあまり進んでいないというのも現実です。 それはなぜなのかというところが今後考えていかないといけない事柄です。