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5台並んだベルリネットを見て松本さんが言った。「いいヤレ方ですね。ピカピカじゃないのがいい。」なぜか5台とも同じように妙に磨き込んだりピカピカのレストア済みというわけでなく多少の埃や油汚れもホイールダストに至るまでそのままで、その佇まいは現役感が半端なく凄みさえ感じた。エンジンルームも妙に磨き込まれておらず、いい塩梅の適度な油汚れや剥げ具合、しかしホース類やクリップ類、ワイヤー類やボルトナットに至るまでまったく劣化や錆びなく常に手が入っているのがよくわかる。嫌味なほどにピカピカに磨き込むよりこの現役感のままの方がよっぽど通で好ましく感じる。勿論純粋なラリーカーだから似合うのかもしれないけれど。
友人が10年前に中古で買ったマンションは今売却したらローンを完済しても相当おつりが来るらしい。今はマンションは買い時ではないようである。 この友人のマンションではないけれど、このマンションはボクの地元と比べたらゼロが二桁違う。価格は目眩がするような天文学的数字である。 この価格であれば松濤か大山にもっと広い豪邸が建てられる。このマンションは知っているけれど、何故こんなに高いのだろうと調べてみたら不動産業者がケタをひとつ間違えたようだった。もし、あちら国の資産家が間違えて買ったとしたら、つられて周りの価格もさらに上がるかもしれないと想像してみる。恐ろしや。
銀行の担当者は何度目かの来社だった。ねずみ色のスーツにくたびれたビジネス鞄、頭の後方から無理矢理髪の毛を集めて前に持ってきた不思議な髪型は、天辺はどうなっているんだろうと気になってしまいつい目が行ってしまう。ねずみ色のスーツの生地感や、靴を見てもどうも野暮ったかった。とはいえそれなりに稼いでいるだろうし、靴はオールデンかせめてサントーニくらい履いていてもいい年齢である。彼が入行した頃は勝ち組花形職業だったはずだろうけれど、一体彼に何があったのだろうか。一緒に来た上職はあきらかに年下だった。
ある不動産契約をしようとしていた。ボクの担当者は女性だった。二十代後半だろうか端正な顔立ちだけれど髪は長く妙に茶色で、それが原因なのだろうか都会的には見えずどうにもあかぬけない雰囲気だった。彼女は現場立ち会いでも書類でも、説明される中でボクが一瞬繰り出すくだらない冗談や世間話にもまったく切り返しがなく、終始能面のような顔のままだった。先方にしてみれば貴方のようなおっさんとは無駄口をききたくないという態度は分からないでもないけれど、この先何度か顔を付き合わさねばならないのだから少しは和んでもよいのではないかと思ったりするのは中年男の我が儘なのだろうか。中年だって人間だもの。この日、彼女とは二度目…
昨年末から某大手放送社と頻繁にやり取りをしている中、その指示メールの署名は◯◯チームとなっており担当者名が一切書かれていない。電話番号すら書かれていない。日に何度もやり取りをしているのだけれど、それはまるで見えない敵と戦っているようでどうにも違和感がある。ひょっとして私はAIを相手にしているのだろうか、まあ、この先そんな時代も来るであろう。ただ、もしそうだとしても、そのAIにせめて名前をつけてほしいと思う今日この頃。
首都高4号線が止まるとこんなに静かなのかと、昨夜は実によく眠れた。雪景色の写真というのは馴染みの場所でも一瞬どこなのかわからなくなる。モノクロ写真と同じような感覚である。毎日コレだと困るけれどたまにはいい。
高速道路のパーキングエリアに駐車しようとしたら、一区画の駐車マスにポツンと脚立が立ててあった。何だろうと思いながらボクはその隣のマスに車を停め、周りの様子を見てみれば、持ち主らしき人は居らず、どうやら脚立は置いてきぼりになっているようだった。危ないので片付けようと思ったけれど、片付ける前にその脚立に登ってみた。そこからは雪を纏った富士山がキレイに見えた。
所用で南長崎まで行った。帰りに近くにある有名なカブ屋さんに寄ってみた。そこには達人たちが集っていて、色々有益な話を聞くことができた。その中でボクは60km/hを超えるとエンジンが悲鳴を上げているからFスプロケを1丁上げようと思っていると言ったら、やめた方がいいと言われた。そして彼は「私も十数年の間、散々スプロケ組み合わせたけれど、結局今は純正に戻した。貴方のカブはやっとナラシが終わったところだからこれから思いっきり回しなさい。絶対壊れないから大丈夫。スプロケを変えるより回るエンジンに育てた方がいい。それくらい純正のギア比は完璧なのです。」と言った。今は2速で40km/hまで引っ張っている。そう…
例年のこの時期はゆったり業務なはずだけれど今年は何やらかにやら詰まりまくって頭から煙が出ている。自分だけでは何ともならない外注頼みばかりで工程調整で胃が痛い。これがあと一ヶ月続くので、たぶん終わる頃には眉間には深い皺が刻み込まれているに違いない。毎日苛々しながらタバコを咥えてゐる。
市ヶ谷のBRGさんへミジェットのオイルフィルターの買い出し。ついでにダメ元で漏れ始めたヒーターバルブのストックを聞くもやはり欠品。社外品ですら無い。ミジェット1500だけEGブロックにヒーター孔の無いトライアンフエンジンゆえにBMC系の汎用品が無い。ここでも結構な仲間はずれ感である。仕方ないのでヒーターバルブをOHするために一旦水路をバイパスする策を練る。 さて一方、年末から懸念していた案件。3速に子猫を挟んだような音が出ていたカニ太郎だけれど、なんとミッションオイルがかなり少なかったらしい。ミッションオイル不足だとそのような音が出るという話を思い出した。そうだった、まずそこを確かめるべきだっ…
結局ほとんど寝られなかった。帰宅後からどうにも胃が重く感じ、寝る頃には時折唸るような痛さになった。吐くこともできず下すわけでもなく、どうにもできずタケキャブだけ飲んでソファーに座って朝を迎えた。それでも何とか仕度し、半ゾンビ状態で出社すると同僚がミーティングテーブルのお菓子類を片づけていた。見れば賞味期限切れの食い物をポイポイとゴミ袋に入れている。しかしその中に昨夜帰り際に喰った生どら焼きがあった。これはいつ期限だったのかと尋ねると1月6日で切れてましたと答えた。喰った時点で10日過ぎていた。冬とは言えさすがに生菓子はヤバいかなと、昨夜の胃痛の原因がわかったような気がした。
12月29日。朝起きて渋滞情報を確認すると東名下りは意外にも混んでいなかった。そうなると明日明後日が恐ろしい。さて、この日は半休もらって帰省準備。まずはミジェットに乗り切らない帰省荷物を黒猫運送に持ち込む。 その後は昨日の続き。ミジェットのスターターソレノイドの交換。ミジェット1500はヒーターをずらさないと作業できない位置に付いているので意外に面倒。ヒーターを動かすということはバッテリーも一旦撤去が必要なのでギックリに注意しながらへっぴり腰作業。たったこんな部品を替えるだけで結構時間を費やしてしまう。取替後は実に快適で、まるでモーター本体を替えたかのように一瞬でエンジンがかかるようになった。…
まる一ヶ月ほったらかしだったミジェットが機嫌を損ねたのかセルが時折回らない。以前よりたまに発生していた事象だけれど、おそらくスターターソレノイドだろと推測し、帰省もあるので急いで部品調達。一点限り在庫ありの年内営業終了の閉店間際のS谷メカの元へ飛び込む。夕方の都内は渋滞が激しいのでカブで出撃。さすがに寒かった往復60キロ。ソレノイドの交換はこれから作業開始。
一昨日、年内すべての業務完了と思ったら昨日になってあれやこれやと舞い込んできた。案の定か、まあ想定内ではあるけれどここまで年の瀬も押し迫るとやっぱり慌ただしい。とはいえ30日までは稼働日なので焦ることはないのだけれど、家の片付けや車とオートバイの年内整備をやりたいので1日は休みが欲しい。幼き頃、大晦日は家の畳を干して大掃除をして倉庫から杵と臼を出して餅つきをし、お袋はお節と煮物を作り、夕方には親父の洗車を手伝い、フロントグリルに正月飾りを付けて、大急ぎで風呂に入って紅白を観ながら晩飯を食うという、ザ・昭和な、今考えて見れば相当慌ただしい大晦日であった。
あと2日足りないとか毎年言いながらも何とか今年も帳尻を合わすことができた。窮地を脱して腑抜けのようになっている。とはいえ30日までは業務は続くので片付けでもしながら年末まで腑抜けダメ人間を続ける。そうだ、年賀状を書こう。
さて、カニ太郎は長期入院となるのでミジェット入れ替えるべく横浜まで汽車で向かった。行きの新宿駅では湘南新宿ラインが事故のため大幅な遅延となり寒風吹きさらしのホームで30分ほど凍えながら待つ。さらに帰路では魔の山手トンネルが事故渋滞。事前に渋滞情報はチェックしていたけれど起きたばかりの事故は避けようがない。五反田手前から初台まで今度は1時間近くもトンネルの中に閉じ込められる。水温計はぐんぐん上がり、電ファンとヒーターで今度は暑くてのぼせ倒れる寸前であった。行き帰りで通常1時間半のところ倍以上の時間を費やしてしまった。年末は交通が読めない。昔からそうだけれど年末の電車は人身事故が多くなってよろしく…
ベトナムから帰ってきたボスからコーヒーのお土産をいただいた。ジャコウネコの糞コーヒーである。うんこコーヒーだけれど超高級品らしい。恐る恐る飲んでみたらフルーティーで実に美味であった。最初にこれを作って飲んだ人はなんと勇気のあることかと考えながら、年末の慌ただしさの中で優雅な一杯をゆっくりといただく時間もまあ佳きかな。
結構頑張ってスケジューリングしたつもりでもやっぱり年内が2日足りない。印刷屋さんも年末早じまいで年始はいつも1月5日からやってくれてたけれど今年は9日からということで、入稿は25日必着となる。これは動画の入稿も同じで、長編150分の一本は年明けに回したけれど60分ものを一人で必死に編集している。しかし25日に入稿できさえすればあとは左団扇でゆっくりと片付けと大掃除ができる。何とかそこをイメージしながら自分に鞭を入れる。年末のドタバタは毎年同じ繰り返しだけれど今回のトンネルの出口はまだちょっと見えない。
12月12日。カブの吹けが悪くエンストを繰り返しガス欠の症状が出たのでタンクをリザーブに切り替えた。ギリギリまで給油しなかったのはどこまでメインタンクで走れるかの実験をしていたからである。さて、燃料コックをリザーブに切り替えた途端にコック根本からドバドバと燃料が漏れ出てきた。いや困った、これではリザーブで走れない。幸い少し先にガソリンスタンドがあったのでメインタンクのままエンジンをかけボコボコ言いながらスタンドに辿り着いた。 新車みたいなカブだけれどゴム類は17年の経年劣化が出るのは致し方ない。パッキンだけ変えれば治るのは間違いないんだけれど燃料コックはバラせないのでASSYで取り寄せた。ホン…
何年か前にこのサイトで書かれていた「D76は存在意義の失われた現像液だ」という写真家の方のコラムについて、まあ確かに理解はできるけれど、当時からその意見はすべて飲み込めないと思った。アンセルアダムスの写真は美しいとは思うけれど銀塩モノクロ写真を撮る人が全員そこを目指しているわけではなく、ボク自身もファインプリントが最終着地点だとは考えていなかったからである。 あくまで個人の考え方だけれど、銀塩でデジタル写真を否定するような美しい写真を作ろうなどとは10年前から考えていない。その昔から写真は美しさだけが本質ではないはずである。写真は物質の二次元への完全再現が最終目的ではなく、そこにある事物を撮り…
ほぼ毎日通る商店街だけれど思い出せない。お店は勿論、建物もどんどん入れ替わる。ほんの二年前は、以前そこは何屋さんだったかすら思い出せない。朝日を浴びながらそこに立ち止まって目を瞑ってみたけれど出てこない。老化なのか都市の変貌速度が速すぎるのか、まあどちらもあるだろうけれど思い出せないのは気持ち悪いから一生懸命考えてみる。そんな都市を記録するのが写真なのだろうけれど、ボクは都市の記録のために撮っているわけじゃないと言い張ってみる。じゃあ何のために撮っているんだと聞かれれば自分を探しているという曖昧な返事くらいしか答えられない。
皆さんもご存じの通り、高等小学校卒業であります。皆さんは全国から集まった天下の秀才で、金融、財政の専門家ばかりだ。かく申す小生は素人ではありますが、トゲの多い門松をたくさんくぐってきており、いささか仕事のコツは知っているつもりであります。これから一緒に国家のために仕事をしていくことになりますが、お互いが信頼し合うことが大切だと思います。従って、今日ただ今から、大臣室の扉はいつでも開けておく。我と思わん者は、今年入省した若手諸君も遠慮なく大臣室に来てください。そして、何でも言ってほしい。上司の許可を取る必要はありません。できることはやる。できないことはやらない。しかし、すべての責任はこの田中角栄…
カニ太郎はなんとか箱根に辿り着き、帰路は暖かな日差しを受けながら気持ちよく箱根を下ってきたのだけれど、東京インターを降りた途端に今度はギアに異変が発生。三速だけ妙に唸り出した。その異音と振動は徐々に大きくなり、山手通りまで戻って来た頃にはまるで子猫を挟んじゃったかのように大きな音で鳴き出した。なるべく三速を使わずなんとか車庫に納めたものの、これはエンジン降ろしてとミッションを割る必要があるなと重修理を覚悟する。3速へのシフト自体はスムーズなのだけれど、負荷をかけた途端に鳴き出すのでおそらくサードギアの歯欠けだろうか。残念ながらまたしばらくミジェットと交代となる。
箱根にむかうべく東名高速の一番左車線を気持ちよく爆走していたカニ太郎ではありましたが、箱根の山を上り始めた頃から妙な違和感が右足に。 23時、乙女峠を超えたまではよかったのですが、目的地まであと10キロというところでアクセルワイヤーが切れました。これだけなら致命的な状況ではないので落ち着いて状況判断。ワイヤーはアクセルロッドのつなぎ目で切断しておりました。プリングの予備は持っているけれどワイヤーは持っていなかったのが無念。しかしスロットルワイヤーはキャブ側で20cmほど長めにセットしてあるのでキャブ側よりたぐり寄せてなんとかアクセルロッドに繋ぐべくひとり作戦会議を練ります。 さすがにこの太さの…
週末の箱根での仕事にカニ目で行くことになった。カブの箱根越えもありだけれど今回は撮影モデルとしてのカニ目の重要な役目もある。メイン機材は別隊に託して自分の荷物はカニ目に積み込む。果たしてオースチン・ヒーレー・スプライトに冬の二泊三日の荷物が積めるだろうか。 オースチンヒーレースプライトのトランク内部。トランクフードはないので座席の後ろに潜り込ませるように入れる。所謂洞窟探検である。SPEEDWELLのステッカーがカニ目によく似合うこのトランクの向こう側にはパソコンを入れたカバンを入れてある。このサイズのトランクを入れても上に15センチほど隙間ができるのでここへトノカバーを突っ込む。右の三脚の上…
長い行列がまったく前に進まない。コンビニのお昼時にレジが一人だけというのもどうなのか、レジを見ると大量購入の年賀はがきを抱えた店員が一生懸命数を数えている。あ、そうかそんな季節か、毎年年賀状でしか生存確認が取れない知人も居るし勿論自分の生存確認も含めて必ず出すようにしている。よし、年賀状を買いに行こう、ボクは手に持ったパンを棚に戻して店を出た。いつもは年賀状の事など考える余裕もないくらい追い込まれる12月だけれど、今年は早め早めにうまく業務を回すことができている。
横浜からの帰路。直流発電のカニ目で来たので陽があるうちに帰ろうと思っていたけれど、カブ談義でつい長居してしまいすっかり日が暮れてしまった。一桁気温の中で震えながら走る東名高速はサイドスクリーンを立てていてもさすがに寒い。申し訳程度しか効かないヒーターはブローバイガスを拾ってしまい臭くて使いたくない。走行中はミッションカバー部に手を当てて戦前車と同じように暖を取る。ミジェットも同じだけれどとにかく後ろから巻き込む風、後頭部と首筋が一番寒い。 横浜の工房では以前も借りたことがあるS氏のスーパーカブをあらためて試乗させてもらう。自分のカブと比べてみると同じ純正85ccエンジンでも4速化とスプロケのハ…
先月から「あまちゃん」を何回目かのリピート再生中。家に帰ると流しっぱなし。実に癒やされる。一昨夜はそんなあまちゃんのお母さんと仕事でご一緒したのだけれど、ボクだけは事務所に居てひたすらデスクに向かっていたという残念な繁忙期。