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Yahoo!ニュースから 皮膚科では人工皮膚炎、精神科では身体表現性障害や、特定不能の衝動制御の障害と呼ばれていました。専門家の間では『ゴミ箱診断』と俗称される、どこにも行き場のない迷子のような病気だったのです。 2013年に改定された米国精神医学会の公式診断基準DSM-5で初めて『Excoriation(Skin-Picking)Disorder』として命名され、日本語では皮膚むしり症と呼ばれ始めました。グループ分けにおいても強迫…
高校生の時は、国道の路面電車に乗って通学していた。 定期券の期限が切れそうになると、次のを申し込んで購入する。 タイミングが遅れて数日間の間が空くと、乗車するのに現金の小銭が必要になる。 一度、そういう事になった。 母はその金がもったいないと怒ってわめきだした。 食事中だった。 子供の頃から金の事で文句を言われ続けて来て、それが慢性的な日常生活の風景になってしまっていた。 …
子供の頃、両親のケンカが始まると私は何も言えずに固まっていた。 父親の競艇場通いが母に知れ、言い争いが始まる。子供の私にはどうにもできない状況だ。 母の甲高い声、責め立てる声、金切り声に身がすくんだ。 静かになったところで両親が仲良くなるわけではない。 重苦しい険悪な空気だ。 私はそうやって他者のトラブルの渦中で成長した。 それに対処する方法を学ばず大人になった。 …
一昨年から必要だと言われていた、歯の再植手術を7日に受けてきました。 所要時間、一時間30分。 左上の奥歯の治療です。 抜歯はさすがに強烈でしたね。 やや時間がかかりました。 麻酔が効いているので最初はほとんど感覚がありません。 だけど作業が進んでいくにしたがって、歯が器具で揺さぶるように動かされ…
アダルトチルドレンは大人になってから、合理的に効率よく人生を歩んでいけないとテキストに載っていた。 幼少時代から親である大人が、自分たちの勝手な都合で育てたためだ。 保育園に預けると金がかかるから、幼い私を家に置いた母。 自宅で洋裁業をしてる母。 側にいると仕事の邪魔になる。 しゃべってうるさいから口の中に長く残るお菓子を入れていた。 何もかも大人の勝手な解釈で育ててきた。…
布を切り離すとそこから解れるのを防ぐために、裁断と同時に布の解れ止めをするミシンがある。 ロックミシンといって機能はそれだけの専門の機械だ。 普通のミシンとは形状が全く違う。 ロックミシンは業務用だ。 それは普通のミシンより大きな音がする。 仕事の工程によってはロックミシンを延々とかけ続ける時もある。 機会音が響き続ける。 ほんの数分で済めばいいが、作業によっては1時間近く…
小学生の時は同級生がよく家へ遊びに来ていた。 その度にお菓子と飲み物を出していたが、それにお金がかかる事を母は快く思っていなかった。 私は全く気づかなかったのだが、思わぬ所でそれを知らされる。 学校の行事で保護者が集まっていた。 顔を合わせても挨拶ひとつしない、母に突然言われた。 よく家へ遊びに来ていたその子のお母さんの事だ。 『来るたびにあれだけお菓子を出してやってるのに、あり…
ミシンの騒音とアイロンを台に叩く鈍い音、そんな作業場で暮らした。私が生まれた時からの日常だ。 父親はバイク(カブ)で役所へ出勤する。だから日中は家に居ない。家は母の仕事場だった。一日中ミシンを踏むか手縫いの細かい作業をしていた。 私は母の仕事しか知らない。 父親の役所での仕事を具体的に聞いた事はない。 会話が無かったからそういう話題も出なかったように思う。 水道局だったはずだ。知っ…
精神疾患のある人を、無理に結婚させても不幸が広がるだけ。 何もいい事はない。 一緒になった相手にも精神的な不健康がうつっていく。 * * * * * * 叔母(父の妹)のアドバイスをよく聞いていた母。叔母は公務員だった。母よりは学歴があったのだ。知識も教養も上だったに違いない。 母は権威や肩書きに弱かった。 自分より優れていると思う相手の言う事をよく…
母は仕立ての仕事で忙殺される毎日だった。 家に居たが、仕事中は没頭し、私を相手にしなかった。 家にはいたが、会話することも教わることも何もなかった。 静かに黙って邪魔をしないこと。 それが母にとって扱いやすい良い子だった。 私の育った家は母の作業する空間だった。 そこで育ち大きくなった。 幼い頃、母は日の当たらない家の暗い作業場で仕事をしていた。 小…
母の姉妹も、父親の方の兄弟姉妹もそれなりの暮らしをしていた。 子供が大きくなるにつれて車を買い、一戸建てを購入し、より豊かな生活環境を築いていく。 うちだけ車が無かった。 休みの日もどこへも出かけなかった。 母の妹夫婦が見るに見かねて私と母を旅行に誘った。 別の妹夫婦の家族とドライブに行った記憶もある。 母は高速道路の料金所で必ず後部座席から運転する叔父さんへ料金を払おうとする…
私のような歯並びを矯正できると知ったのは、もう少し後の事だ。 雑誌に歯科医院の広告があって写真が載っていた。 矯正前の歯は、かつての自分のように完全に奥側にあった。 噛み合わない奥に生えた歯でも動くのだと知った。 抜歯する必要など全く無かった事を知らされた。 その時の衝撃が一番大きかった。 有ればどうにかなった。 何も知らずにいた。 教えてくれる歯医者に当たらなかった。 …
前の歯で物を噛み切る。 上下で挟んで切るから、きれいに食べられる。 私のは二重になっていた。 みかんの房を前歯で挟んで果肉を引き抜いて食べようとしても、二重になった奥の歯が邪魔して、水分が飛び散り上手く食べられない。 林檎もきれいにかじる事はできなかった。 物を食べるささやかな行為と幸せ。それが不可能な歯。 それは些細な事かもしれない。 些細でない事もある。 舌に当たって常…
両親はその後も歯医者を探そうとはしなかった。 よく言われた。 「あんたは口が小さいから、見えへん見えへん。」 口を閉じてしまえば外からは見えない。 見えないから気にするなと。 結局それで済ませてしまった。 母が探したのはピアノの先生だった。 小学生になってから習い始めたピアノ。 しかし月謝が高いという理由でそこを辞め別の先生に代わった。 「あの先生は月謝を上げて。高…