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現代文学では、都市が描かれることが多くなる。フランスのアポリネールの詩集「アルコール」(1913)巻頭の「地帯」と題された詩では、自由な詩法で現代都市パリの活気に富む生活が、 オフィスでタイプライターを叩く女性たちも含めて歌いあげられている。アポリネールは開放的なパリだけでなく、パリを取り囲む大きな世界までも縦横無尽に闊歩してゆく。 地帯 とうとう君は古ぼけたこの世界に飽いた羊飼娘よ おお エッフェル塔 橋々の群羊が今朝は泣きごとを並べたてる君はもうギリシャやローマの古風な生活に飽きはてた(・・・)Embed from Getty Imageswindow.gie=window.gie fu…
ひどい翻訳の見本――ボードレール『悪の華』堀口大學訳「信天翁(あほうどり)」全文解説
シャルル・ボードレール生誕200周年を機に『悪の華(1861年版)』の韻文訳に取りかかり、前回「アホウドリ」の新訳のために改めて「L’ALBATROS」の原文を読み直した。この詩は初版の1857年版には収録されていないため、しっかりとすみずみまで読んだのは今回がはじめてである。 悪の華 (新潮文庫)作者:ボードレール新潮社Amazon 新訳にあたっては、参考にするため既存の邦訳も精読することになる。すると、どうしても過去の翻訳にある間違いや欠陥が目についてしまう。私自身の旧訳でもそうなのだ。以前にも書いたことだが、誤訳はどんな翻訳にもある。だから、以前に書いた記事でも、たんなるミスを執拗に非難…