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「幻の門ここすぎて叡智の丘に我等立つ」(堀口大學作詞・山田耕筰作曲『幻の門』)と歌われたのは、慶応義塾大学三田キャンパス東館奥にあるこの門。 旧島原藩中屋敷跡地に建つ慶応義塾大学三田キャンパスは、大正2年に中屋敷時代からあった木造の門を改造して、左右に花崗岩の門柱を4本据え、鉄の門扉を付けてこの門を正門としていました。 昭和34年の南校舎竣工と同時に南門ができると、正門の名を南に譲り、この門は東門として使われていくことに。 「幻の門」といわれるようになったいわれは、「門標が掲げられていなかったから」などといわれることもあるようですが、やはり冒頭にあげた応援歌の『幻の門』によるというのが一般的な…
ひどい翻訳の見本――ボードレール『悪の華』堀口大學訳「信天翁(あほうどり)」全文解説
シャルル・ボードレール生誕200周年を機に『悪の華(1861年版)』の韻文訳に取りかかり、前回「アホウドリ」の新訳のために改めて「L’ALBATROS」の原文を読み直した。この詩は初版の1857年版には収録されていないため、しっかりとすみずみまで読んだのは今回がはじめてである。 悪の華 (新潮文庫)作者:ボードレール新潮社Amazon 新訳にあたっては、参考にするため既存の邦訳も精読することになる。すると、どうしても過去の翻訳にある間違いや欠陥が目についてしまう。私自身の旧訳でもそうなのだ。以前にも書いたことだが、誤訳はどんな翻訳にもある。だから、以前に書いた記事でも、たんなるミスを執拗に非難…