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『オリエント急行殺人事件』(74)(1976.4.26.自由が丘武蔵野推理劇場.併映は『明日に向って撃て!』)(1987.5.15.)こういう本格推理ものは、一度見て、犯人や犯罪の経緯を知ってしまえば、なかなか2度見る気はしないものだが、この映画は、珍しく再見に値する一本と言えるだろう。その理由は、多彩な出演者による演技合戦の見事さもさることながら、やはりシドニー・ルメットの演出力に寄るところが大きいと思う。そしてルメットは、一見、アガサ・クリスティの世界を描きながら、実は自作『十二人の怒れる男』(57)の裏返し版を撮ったとも考えられる。ルメット自身「あの原作のラストには驚いた。なにしろ12人の乗客が全員…なんだから。だからこれはオールスターでなければ撮れないと確信したんだ」と語っている。三谷幸喜脚本「オ...「BSシネマ」『オリエント急行殺人事件』
ジーン・ハックマンの出演映画 1980年代『キングの報酬』『バット★21』
『キングの報酬』(86)(1991.3.16.)何とプロ野球のオープン戦の雨傘番組としての放送であった。自分も劇場で見なかったのだから大きなことは言えないが、去年『Q&A』(90)を見た際にも感じたシドニー・ルメットの限界というか、正義や社会腐敗に対する彼の一貫した映画作りに堅苦しさを感じて付き合うのがつらくなり、見るのを避けてしまうようなところがあるのは否めない。実際、この映画も選挙の裏工作といういかにも彼らしい題材だ。だが、リチャード・ギアが演じた主人公の忙しさを強調するという計算もあったのだろうが、話をあちこちに広げ過ぎて的を絞れなかった気がする。それ故、ラストの救いにもストレートな感動は浮かんでこずに苦さが残る。ただ、これはルメットのせいというよりも、社会全体が正義や不正に対する怒りに対して鈍感に...ジーン・ハックマンの出演映画1980年代『キングの報酬』『バット★21』
旅立ちの時 1988 シドニー・ルメット (主演・リヴァー・フェニックス) Running on Empty
監督 シドニー・ルメット 原作 ナオミ・フォナー 脚本 ナオミ・フォナ 続きを読む…
昨日、午前十時の映画祭で「ネットワーク」を見てきました。全米に系列局を持つ大手テレビ局が、視聴率をめぐる狂躁を過激にエスカレートさせていく様を描いたブラック・ユーモア作品です。物語は、低視聴率を理由に降板を告げられた男性キャスターが、自身の番組で自殺予告をし、更にテレビがいかに偏向し欺瞞に満ちているかと、「ぶっちゃけトーク」を炸裂させるところから始まります。報道部門は大騒ぎとなりますが、企画部門の女性プロデューサーは視聴率を稼ぐ好機と睨み、当該の男性キャスターを「社会の真実を語り、怒りの声を上げる者」に仕立て上げようと画策する・・そんな話です。この映画は脚本がとてもよく練られていて、テレビ局の…
とんでもない話だ。お金に困った兄のアンディが、おバカな弟、ハンクをそそのかして、強盗を企てる。とにかくハンクがバカバカで、あれこれとやらかしてくれて、話はとんでもない方向へ!何度、Oh my God!と私は叫んだことか。その度に、横で一緒に鑑賞している相方が、Yes?(神のオレのことを呼んだ?)というくだらなジョークを言うので、うるさい。「その土曜日、7時58分」の原題は、死んだことを悪魔に知られる前に。生前、...
『スリーパーズ』(96)(1997.4.29.渋東シネタワー1)贔屓監督の一人であるバリー・レビンソンは、どうも『バグジー』(91)あたりからおかしくなってきたところがあるが、この映画も骨子は目には目を式の復讐劇でありながら、どうもすっきりしない。別にモラル云々を問うつもりはないが、たとえそれが憎むべき相手ではあっても、人を殺して、うそをつき、最後はだましが成功して万歳では、あまり後味がよくない。そうした感慨を抱かせるのは、この映画がロビンソンお得意のノスタルジックな青春群像劇とも、少年刑務所の看守の腐敗を暴露した告発劇ともつかない、中途半端な作りになったことも影響しているだろう。例えば、マーティン・スコセッシのように情味を消してこの題材を描けば、良くも悪くももっと陰惨な方向でまとまっただろうし、シドニー...バリー・レビンソンの映画4『スリーパーズ』
『プリンス・オブ・シティ』(81)(1983.4.19.名画座ミラノ)賄賂で腐敗したニューヨーク市警の麻薬捜査官とそれを摘発しようとする潜入捜査官の対決を描く。先日、『評決』(82)を見たばかりのシドニー・ルメット監督作。この映画でもルメットは、警察組織=権力の腐敗ぶりを丹念に描いている。麻薬捜査官のダニエル(トリート・ウィリアムズ)が、自分と数人の仲間が汚職という窮地から脱するために、上層部の人間に利用されてボロボロになっていくという何ともすさまじい話が展開する。麻薬捜査官といえば、おとり捜査やたれ込み屋との関係などは必要不可欠であり、そこから麻薬ルートにのめり込んでしまう者も中にはいるだろう。もともと警察官は命を張った職業だが、中でも麻薬捜査はぎりぎりの線で行われている。そこに多少の心の隙ができたから...トリート・ウィリアムズの出演映画『プリンス・オブ・シティ』
『グロリア』(99)このリメークはあまり意味がなかった気がするhttps://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/ce00b8e86a1ad95fef85c884687b8cf6「午後のロードショー」『グロリア』
『タップス』(81)(1982.11.1.)小森のおばちゃまが、やけに褒めているのを耳にし、これはまた甘い青春ドラマなのかなと思っていたら、どうしてどうして、実にシリアスな一級の映画だった。おばちゃまごめんなさい。学校の閉鎖に反対する生徒たちが、武器を手に立ち上がったというだけでは、ちょっと過激な学園紛争ドラマで終わってしまうが、この映画の場合、舞台が仕官養成学校、つまり軍隊一歩手前の教育現場であり、そこで軍隊式の教育を受け、外部との接触もほとんど持たずに、閉鎖的な生活を送る若者たちが主人公となれば、話は込み入ってくる。彼らにとっては、校長でもある将軍(ジョージ・C・スコット)の言葉は神格化され、知らず知らずのうちにその言葉に縛られ、正常な判断を見失っていく。分別のある大人ならともかく、彼らはまだ若く、中...「蒲田パレス座」9『タップス』『未知への飛行』『天国の門』
映像が凄い映画って多おますな。昔ならでけんような撮り方がジンバルにドローンにCGやら特殊メイク、色んな技術で簡単にやれるご時世ですわ。編集かてデジタルで自由自在、結構なことダ。 そやけど監督がモニターと睨めっこしっぱなしみたいなシャシン(映画)よりも、芝居のしっかりしたもん観とうなることがある。力量のある役者で脇まで固めて芝居で引っ張るシャシン。 『狼たちの午後』 原題 DOG DAY AFTERNOON ...