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「BSシネマ」『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』
『博士の異常な愛情または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』(63)(1982.11.5.自由ヶ丘武蔵野推理劇場)東西冷戦下、アメリカの将軍が正気を失い、ソ連への核攻撃を命令。大統領や政府高官は事態を収拾しようとするが、核兵器を搭載した爆撃機は目標に向かって進んでいく。この映画は、先日見たシドニー・ルメット監督の『未知への飛行』(64)とほぼ同時期に作られている。『未知への飛行』が徹底的にシリアスなドラマとして作られているのに対し、この映画はブラックコメディとして風刺を効かせた作りになっている。そこにルメットとキューブリックの違いが感じられて面白い。実際のところ、キューブリックにこれほどまでのユーモアのセンスがあるとは思ってもみなかったし、もしチャップリンが原水爆や核戦争を皮肉った...「BSシネマ」『博士の異常な愛情または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』
『スリーパーズ』(96)(1997.4.29.渋東シネタワー1)贔屓監督の一人であるバリー・レビンソンは、どうも『バグジー』(91)あたりからおかしくなってきたところがあるが、この映画も骨子は目には目を式の復讐劇でありながら、どうもすっきりしない。別にモラル云々を問うつもりはないが、たとえそれが憎むべき相手ではあっても、人を殺して、うそをつき、最後はだましが成功して万歳では、あまり後味がよくない。そうした感慨を抱かせるのは、この映画がロビンソンお得意のノスタルジックな青春群像劇とも、少年刑務所の看守の腐敗を暴露した告発劇ともつかない、中途半端な作りになったことも影響しているだろう。例えば、マーティン・スコセッシのように情味を消してこの題材を描けば、良くも悪くももっと陰惨な方向でまとまっただろうし、シドニー...バリー・レビンソンの映画4『スリーパーズ』
『プリンス・オブ・シティ』(81)(1983.4.19.名画座ミラノ)賄賂で腐敗したニューヨーク市警の麻薬捜査官とそれを摘発しようとする潜入捜査官の対決を描く。先日、『評決』(82)を見たばかりのシドニー・ルメット監督作。この映画でもルメットは、警察組織=権力の腐敗ぶりを丹念に描いている。麻薬捜査官のダニエル(トリート・ウィリアムズ)が、自分と数人の仲間が汚職という窮地から脱するために、上層部の人間に利用されてボロボロになっていくという何ともすさまじい話が展開する。麻薬捜査官といえば、おとり捜査やたれ込み屋との関係などは必要不可欠であり、そこから麻薬ルートにのめり込んでしまう者も中にはいるだろう。もともと警察官は命を張った職業だが、中でも麻薬捜査はぎりぎりの線で行われている。そこに多少の心の隙ができたから...トリート・ウィリアムズの出演映画『プリンス・オブ・シティ』
『グロリア』(99)このリメークはあまり意味がなかった気がするhttps://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/ce00b8e86a1ad95fef85c884687b8cf6「午後のロードショー」『グロリア』
『タップス』(81)(1982.11.1.)小森のおばちゃまが、やけに褒めているのを耳にし、これはまた甘い青春ドラマなのかなと思っていたら、どうしてどうして、実にシリアスな一級の映画だった。おばちゃまごめんなさい。学校の閉鎖に反対する生徒たちが、武器を手に立ち上がったというだけでは、ちょっと過激な学園紛争ドラマで終わってしまうが、この映画の場合、舞台が仕官養成学校、つまり軍隊一歩手前の教育現場であり、そこで軍隊式の教育を受け、外部との接触もほとんど持たずに、閉鎖的な生活を送る若者たちが主人公となれば、話は込み入ってくる。彼らにとっては、校長でもある将軍(ジョージ・C・スコット)の言葉は神格化され、知らず知らずのうちにその言葉に縛られ、正常な判断を見失っていく。分別のある大人ならともかく、彼らはまだ若く、中...「蒲田パレス座」9『タップス』『未知への飛行』『天国の門』
映像が凄い映画って多おますな。昔ならでけんような撮り方がジンバルにドローンにCGやら特殊メイク、色んな技術で簡単にやれるご時世ですわ。編集かてデジタルで自由自在、結構なことダ。 そやけど監督がモニターと睨めっこしっぱなしみたいなシャシン(映画)よりも、芝居のしっかりしたもん観とうなることがある。力量のある役者で脇まで固めて芝居で引っ張るシャシン。 『狼たちの午後』 原題 DOG DAY AFTERNOON ...
『オリエント急行殺人事件』(74)(1976.4.26.自由が丘武蔵野推理劇場.併映は『明日に向って撃て!』)(1987.5.15.)こういう本格推理ものは、一度見て、犯人や犯罪の経緯を知ってしまえば、なかなか2度見る気はしないものだが、この映画は、珍しく再見に値する一本と言えるだろう。その理由は、多彩な出演者による演技合戦の見事さもさることながら、やはりシドニー・ルメットの演出力に寄るところが大きいと思う。そしてルメットは、一見、アガサ・クリスティの世界を描きながら、実は自作『十二人の怒れる男』(57)の裏返し版を撮ったとも考えられる。ルメット自身「あの原作のラストには驚いた。なにしろ12人の乗客が全員…なんだから。だからこれはオールスターでなければ撮れないと確信したんだ」と語っている。三谷幸喜脚本「オリエン...「BSシネマ」『オリエント急行殺人事件』