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マネキン人形殺害事件 S.A.ステーマン(角川文庫) ~番外編~(その2)
番外編その2は、主に著者ステーマンの文章について気になったところを挙げていく。 本作は、夜に「横なぐりの大粒の雨」が降る中を人気のない田舎町の駅に到着した列車から、一人の男が降り立つ場面から始まる。男の名前はマレイズ。この時点では正体不明だ。 マレイズは、かぶっている帽子を、怒ったようにポンと一つたたくと、スーツケースを手にもち、昇降口から鉄道線路の砂利の上に飛びおりた。 …
マネキン人形殺害事件 S.A.ステーマン(角川文庫) ~番外編~(その1)
すでに本書についての書評は書いたけれど、文章について書きそびれた事をまとめておこうと思う。前回の書評で既に書いたとおり、僕は本作を高校生の時に読んでいる。読んだキッカケは文庫の帯に書かれた鮎川哲也氏「ベルギーのエラリー・クイーン」という言葉が目にとまったからだ。そして、「(本作は)本格ミステリー臭が強い初期の作品…
中学生の頃、国語の課題として、読んだ本のタイトルと一行感想を付けた読書ノートを作らされた。教師に提出する事を踏まえて選んだわけではないが、やはりどこかお行儀のよい読書になりがちで、今で言えば「夏の文庫フェア」に入るような作品をよく読んでいた。高校になってからも本のタイトルを読書ノートに控える習慣は続けていたようだが、中学のお行儀の良さの反動で、太宰治や島崎藤村、芥川龍之介といった一部の小説家の…