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中学生の頃、国語の課題として、読んだ本のタイトルと一行感想を付けた読書ノートを作らされた。教師に提出する事を踏まえて選んだわけではないが、やはりどこかお行儀のよい読書になりがちで、今で言えば「夏の文庫フェア」に入るような作品をよく読んでいた。高校になってからも本のタイトルを読書ノートに控える習慣は続けていたようだが、中学のお行儀の良さの反動で、太宰治や島崎藤村、芥川龍之介といった一部の小説家の…
続・ファイロ・ヴァンスの活躍した4年間とは一体いつのことか?
さて、またしてもヴァン・ダインが生んだ名探偵ファイロ・ヴァンスに関する話題である。しかも最初にとりあげた「ヴァンスの活躍した4年間はいつのことか」を蒸す返す事になる。前回の結論を以下にまとめてみた。 ・ファイロ・ヴァンスが活躍したのは、友人の地方検事マーカムの在任期間(4年間)に限られる。 ・長編全12作に事件発生の日付と曜日は書かれているが、西暦は書かれていない(少なくとも最初の4作に…
ベンスンが撃たれたのは額か、こめかみか?(「ベンスン殺人事件」)
ゆえあって、再びファイロ・ヴァンスの物語に関する話題の続きとなる。(犯人名は明かさないが、犯人を特定するための情報を引用しているので、未読の方は読まないでください。) 前回は「ファイロ・ヴァンスの活躍する4年間は西暦何年か」というトピックだったが、次なるトピックは「ベンスン殺人事件」での被害者ベンスンは「拳銃で額を撃ち抜かれたのか、こめかみを撃たれたのか」…
ファイロ・ヴァンスとは、ミステリー作家S.S.ヴァン・ダインが生み出した探偵である。かつてはエラリー・クイーンや同時期のアメリカのミステリー作家たちに多大な影響を与えた作家であり、その探偵であったが、今では諸々の理由から顧みられる事が少なくなってきた。諸々の理由とは、近年の伝記により数十年前までは信じられてきた神話の大半がデタラメだったと暴露された事と、読もうにも全12作の長編のほとんどが書店では…