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社会契約説の論理は、社会にあって個々人の安全を護るためには、個々人を超える強力な統治権力を要することをも説明しています。確かに、自らよりも物理的な力に優る他者から侵害や攻撃を受けた場合、被害を受けた人は、より弱い力しか持たない故に、正当防衛権を行使して闘ったり、全力で抵抗したとしても、結局は無駄な努力に終わります。個人では抗えない不当な侵害に対処するためには、如何なる侵害者よりも強力なる公権力、並びに、それに付随する‘正義の力’の行使を要するのです。ここでは‘正義の力’と表現しましたが、力は、暴力を押さえ込み、不正な侵害行為を排除し、悪しき侵害者を罰してこそ、正義の力となり得ます。そして、力の行使に際して正義を‘担保’するものこそ、社会の構成員である人々の安全保障の合意としての社会契約なのです(論理的には...社会契約説から見る国連の危険性
自らの安全が保障されないにも拘わらず、自己の正当防衛権までをも放棄することは明らかに理性に反しており、非合理的な自滅的な行為です。この自発的な権利放棄がもたらすリスクは、今日のNPT体制において顕在化しています。‘遵法精神は持っても核を持たない諸国’は、‘核は持っても順法精神を持たない国’に対して絶対的な劣位に置かれ、侵略を未然に防止する最大の抑止手段まで失われた状態にあるからです。この非合理性は、NPT体制のみに見出されるものではありません。現行の日本国憲法が制定される際にも、同様の問題が垣間見えるのです。今日の日本国憲法の成立過程は、現代史の一ページでありながら、実のところ、全経緯が把握されているわけではありません。常々議論されてきた第9条についても、マッカーサー草案に始まることまでは分かってはいるも...社会契約説と日本国憲法第9条
トランプ前大統領が、‘アメリカン・ファースト’のスローガンを掲げて2016年の大統領選挙戦に打って出たとき、リベラル派を筆頭に批判の嵐が吹き荒れることとなりました。リベラル派の博愛精神からしますと、利己的で差別的、と言うことであったのでしょう。もっとも、同大統領が当選したことにより、同スローガンは各国の選挙戦で模倣され、流行り言葉ともなりました。その一方で、先日も、‘政治は日本人だけのものではない’とする旨の発言が日本国の政治家の口から飛び出し、物議を醸しています。かつて鳩山由起夫元首相も.「日本列島は日本人だけのものではない」と述べて衝撃を与えましたが、国家とは、一体、誰のものなのでしょうか。仮に持ち主がいれば、その人、あるいは、その人たちが‘ファースト’であっても、何らの不思議はありません。むしろ、当...自国民ファーストこそ民主主義に適っているのでは
【速修・過去問/創作問題】①政治と法・人権保障と法の支配(2)
21 自然法は実定法の一種である。 ✕ 法はまず、「自然法」と「実定法」に大きく分けることができる。自然法は生まれながらの普遍的な法、実定法は人が作った法で、特定の社会で効力をもつもの 22 慣習法は不文法の一種である。 ○ 実定法は、「不文法」と「成文法」に大きく分けることができる。慣習法(customary law)とは、社会の成員の間に存在する一定の慣行のうち、その慣行が成員によって法的拘束力があるものと意識されているもので、判例とともに「不文法」の一種である。国際慣習法には、「拷問等禁止」規範等があるが、「公海の自由」は国連海洋法条約に明記されているので不文法ではないものの、本来的には…