封建時代にありましては、主君に対する家臣の忠誠心は美徳として賞賛されていました。主君は家臣達の領地を保障し、報償や俸禄をも与える存在でしたので、家臣は、自らの命を擲ってでも主君を護るべきとされ、主君に誠心誠意奉仕する忠臣こそが家臣の鏡とされたのです。君主と領主との堅い絆は保護・被保護の関係、あるいは、非対称ながらも相互依存の上に成り立っており、家臣の忠誠心は、運命共同体とも言える同関係を精神面において支えていたこととなりましょう。ヨーロッパの封建制度の場合、両者の封建契約を介しましたので、家臣のモラルという精神面よりも比較的法的義務の側面が強いのですが、こうした関係は、その成立前提としてギブ・アンドテイクの関係を見出すことができます。このことは、武士道や騎士道として現れてきた主君と家臣との間の麗しい主従関...皇族の存在と日本国民の精神性