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原爆投下人類救済論を主張するならば全ての諸国に核保有を認めるべき
日本国に対する非人道的な大量虐殺である原爆の投下は、国際法上の違法行為でありながらも、米ソ超大国が角を突き合わせた冷戦期にあって、核戦争の恐怖が人類を救ったとする‘見せしめ論’によって、違法性の阻却が主張されてきました。結果論としては、同主張にも一理があるようにも聞えるのですが、今日の世界情勢を考慮しますと、今一度、同論について考えてみる必要ありましょう。ここ数日の間、原爆投下の違法阻却事由について記事を書いてきたのも、この問題が極めて今日的であるからです。‘見せしめ’による人類救済論とは、端的に申しますと、刑法の分野で言えば、犯罪抑止効果による正当化、ということになりましょう。リベラル派の人々は、刑罰については常々抑止効果に対して否定的なのですが、何故か、原爆投下となりますと、それが如何に非道であったと...原爆投下人類救済論を主張するならば全ての諸国に核保有を認めるべき
大手マスメディアは、アメリカのオバマ元大統領については常に好意的な記事を書く傾向にあります。先日も、最もIQの高い大統領として持て囃す記事もあったのですが、同大統領に対する異様に高い評価は、ノーベル平和賞の選考と同様に、核廃絶という一つの物差しで測った結果なのかもしれません。核兵器=絶対悪という固定概念あってこその受賞なのですが、核の抑止力が冷戦期にあって第三次世界大戦を防いだとすれば、全く逆の評価もあり得ます(物事の評価には、‘物差し’そのものが間違っているケースも・・・)。一面からの評価は、必ずしも全ての人々を納得させるわけではないのです。オバマ元大統領に対する賞賛を過大評価ではないかと疑うもう一つの理由は、先ずもって‘世界の警察官’を止めたことにありましょう。何故ならば、この‘辞職’は、アメリカ合衆...トランプ前大統領のNATO撤退論を考える
東京都は、北朝鮮によるミサイル発射並びに台湾有事に備えるために、地下シェルターの整備を進めるそうです。ミサイル攻撃に対する防御施設ですので、専守防衛の基本方針からしますと、国民の命を守る地下シェルターの建設に対しては、多くの国民が賛同することでしょう。しかしながら、その一方で、国民の命を守るという政府の基本的な役割を考えますと、作業の順番が違っていると思うのです。先ずもって、地下シェルターの設置は、他国、あるいは、外部勢力からのミサイル攻撃を受忍する政府の基本姿勢を示唆しています。有事になれば、ミサイルが飛んできますが、戦争なので致し方なく、国民の避難場所として地下シェルターを設置することで対処します、という、政府のどこか諦めたような、あるいは、冷めた心根が伝わってくるのです。地下シェルターを造るのだから...地下シェルターより核の抑止力では?
第二次世界大戦に至るまでの経緯、並びに、その展開を注意深く辿りますと、連合国枢軸国を問わずに、‘何故、ここでこの判断をするの!’という場面に何度も遭遇します。日ソ中立条約、真珠湾攻撃、ヒトラーによる対米宣戦布告、そして、二度の原子爆弾の使用など、不可解で非合理的な出来事の連続なのです。この不可解さは、第二次世界大戦の計画性を十分に疑わせるのですが、意図的な世界大戦の危機は、同戦争をもって地球上から消え去ったわけではないようです。今日の世界情勢を見ても、ウクライナ紛争にせよ、イスラエル・ハマス戦争にせよ、不審点に満ちています。戦争回避のチャンスがありながら、何れの政治家も組織も、意図的にチャンスを逃した、あるいは、敢えて開戦に協力したとしか考えられないのです。ウクライナのゼレンスキー大統領についても、‘凶暴...戦争回避兵器の保有・配備を
英語の表現や名称を日本語に訳したものを見たとき、元の英語はどうなっているのだろうと興味を持ったことはありませんか。古くなりますが、たとえば1987年の映画「危険な情事」は、マイケル・ダグラス演じるエリート弁護士が、出来心でした不倫がきっかけで相手がストーカーと化し、遂には家族を巻き込んで破滅するというサスペンス映画です。この映画の原題は”Fatal Attraction”(フェイタル・アトラクション)です。直訳すれば、”Fatal”は「致命的」「破滅的」で、“Attraction”は「(人を)惹きつけること」ですから、「破滅につながるような惹かれ方をしてしまったこと」という意味になります。勿論…
あらゆるテクノロジーと同じく、電磁波の技術もその利用目的次第で‘善’にも‘悪’にもなり得ます。となりますと、人類が平和を希求しているとするならば、先ずもって悪用の道を塞ぐのが筋と言うことになりましょう。平和利用への限定化に反対する国や勢力があるとすれば、それは、自らを凶悪な‘犯罪国家’と認めたに等しくなります。それでは、同テクノロジーについては、どのような規制が必要なのでしょうか。指向性エネルギー兵器を平和目的に限定するための方法の一つは、同技術の開発や保有等を全面的に禁じるのではなく、防衛兵器として同兵器の配備場所を地表上の自国領域内に限定することです。電磁波の距離に反比例して弱まる性質(マクスウェル方程式)並びに電力の大量供給や強力な電磁波を造り出す装置の必要性からすれば、同兵器は防衛兵器に適しており...指向性エネルギー兵器の国際的な規制問題
先日、訪米した日本国の岸田首相とアメリカのバイデン大統領との間で、日米首脳会談が開かれました。両国首脳会談は、水面下で進められてきた各種分野における日米協力のビジュアル化に過ぎず、周到な根回しや調整によって合意内容は事前に決まっていたようです。同会談の合意事項の一つが、中国やロシアが開発において先行しているとされる極超音速ミサイルを迎撃する宇宙空間システムの共同開発です。10年以内、即ち、2033年までの完成を目指しているのですが、同システムの出現によって、人類は重大な局面を迎えるのではないかと思うのです。先ずもって指摘されるのは、同システムによる核兵器の無力化です。報道に依りますと、同共同開発プロジェクトが狙いを定めるターゲットは、音速よりも高速で飛来する極超音速ミサイルです。とは申しますものの、同ミサ...宇宙空間ミサイル迎撃システムによる核の無力化問題
日本国は、第二次世界大戦の末期にあって原子爆弾が投下された、唯一の被爆国として知られています。広島並びに長崎における原爆による惨状は筆舌に尽くしがたく、壮絶な被爆の経験は、日本国にあって激しい反核運動や核廃絶運動の原点ともなってきました。その多くは、‘民間人をも大量に殺戮する非人道的な兵器である原子爆弾が、二度と炸裂することがあってはならない’とする一途な願いから発しているのでしょう。かくして、原子爆弾という存在そのものが‘絶対悪’とされ、日本国の核武装の選択肢もはじめから‘存在してはならないもの’としてタブー視されてきたのです。しかしながら、現下のウクライナ紛争のみならず台湾有事も現実味を帯び、第三次世界大戦への拡大さえ懸念される今日、核武装を‘絶対悪’と見なす論調は、むしろ、核兵器国の軍事行動をサポー...核武装は‘絶対悪’なのか?-日本国の選択肢
今から凡そ60年前の1962年に、人類は、核戦争の危機に直面したとされています。その名はキューバ危機。核戦略において遅れをとっていたソ連邦が、劣勢挽回を機としてアメリカの目と鼻の先にあるキューバに中距離核兵器を配備しようとしたことが発端となって発生した事件です。結局、アメリカ側の海上封鎖によりソ連邦がミサイル配備を断念したため、核戦争へと転じる一歩手前で立ち止まった事件として知られるのですが、このキューバ危機、今日における核戦争の危機を考える上でも、大いに参考になりましょう。ウクライナを強力に支援するバイデン大統領も、ウクライナ危機をキューバ危機に擬えています。キューバ危機は、同危機を平和裏に収束させたとしてジョン・F.ケネディ大統領の名声を高め、その優れた決断力と政治的手腕が後世に語り継がれるきっかけと...キューバ危機は本当に核戦争の危機であったのか?
2013年12月6日にウクライナと中国との間で締結された「中国ウクライナ友好協力条約」は、今般のウクライナ紛争のみならず、国際社会の安全保障体制に関する様々な問題を提起しているように思えます。何故ならば、同条約の内容とNPT体制との間には直接的な繋がりがあるのみならず、同紛争に次ぐ戦争の危機として懸念されている台湾問題も絡んでいるからです。中国が遠方のウクライナとの間に敢えて安全保障条約を締結した主たる理由は、ウクライナの核放棄を確実にするためであったと説明されています。ソ連邦の崩壊後、ウクライナは、ソ連邦が自国に配備していた核兵器を天然ガスの代金としてロシアに‘売却’していましたが、1994年12月5日にアメリカ、イギリス、並びにロシアの三国が「ブダベスト覚書」により同国の安全を保障したため、核兵器の全...「中国ウクライナ友好協力条約」から読み解く戦争要因
警察の主要な任務の一つは、現行犯への対応です。一般社会にありましても、殺傷事件が発生した場合、一〇〇当番による通報により警察がいち早く駆けつけ、一悶着の末に犯人逮捕で終わるのが一連の流れしてイメージされています。皆が事件の無事解決に安堵するのですが、よく考えてみますと、これで一件落着なのか、と申しますと、そうではないように思えます。殺人事件であれば、失われた尊い命は決して戻ってはこないからです。戦争におきましても同様であり、被害の不可逆性は否定のしようもありません。「核兵器使用禁止条約」における執行機能を考えるに際しましても、核兵器の先制使用が取り返しの付かない民間人虐殺をもたらす点には慎重な配慮を要しましょう。競争や競技の開始時点については必ずそれを同一にしなければならないように、勝負事にありましては、...核の先制問題-‘現行犯’への対応の限界
核兵器の抑止力を最大化する一方で、攻撃力を最小化するには、核兵器については全諸国に対して保有を認める一方で、その使用を禁じる必要があります。この方向転換により、諸国間に相互抑止作用が働き、核使用の可能性、即ち核戦争に至る可能性は格段に低下することでしょう。しかしながら、核戦争の予防をより確実にするために、現行のNPTに代わる一般国際法としての新たな条約―核使用禁止条約―を制定し、国際的な核制御システムを導入するとすれば、その基礎となるのは、核兵器の保有禁止ではなく、使用の禁止、しかも、罰則規定付きの条約に基づくシステムということになりましょう。それでは、何故、罰則規定を設ける必要があるのでしょうか。NPTにおいては、「核兵器国」及び「非核兵器国」の何れに対しても、同条約に違反した国に対する罰則はありません...核兵器使用禁止条約の多重抑止体制
考えてもみますと、「非核兵器国」にとりましてNPT体制ほど不条理なものはないかもしれません。何故ならば、大航海時代来、軍事大国が競うように勢力圏を広げる傍ら、金融財閥を中心とした世界権力によるコントロールが浸透した結果こそ、今日の国際社会におけるNPT体制であるからです。核兵器を生み出したのはこれらの勢力であるにも拘わらず、その危険性を理由に中小国が核を保有することを‘国際犯罪化’し、自らはそれを寡占してしまったのです。これは、いわゆる自ら仕掛けて自らを利する‘マッチポンプ’であり、大多数の中小諸国は、核の抑止力を得ることも、核兵器国に対して正当防衛権を発動することも、事実上、封じられてしまいました。しかも、核技術は、原子力発電にも利用されますので、NPTは、「非核兵器国」のエネルギー供給手段をもコントロ...NPT体制の不条理ー核廃絶は不可能では?
NPT体制が内包する構造的欠陥は、今や誰の目にも明らかです。否、‘核なき世界’という理想郷へ誘う幻想が隠してきた実像が、核兵器国による核使用の可能性の高まりと共に、明確に姿を見せてきたと言っても過言ではありません。核戦争を未然に防止することを目的として成立したNPT体制は、制御システムとしてはあまりにも強度も耐性も不足しており、制度設計における決定的な誤りがあります。国内における法制度に照らしますと、先ずもって制度設計に際して必要となるのは、最低でも中立公平な立場が保障されている立法、執行、司法の三つの機能が必要とされます。そして、各々の機能を担う中立・公平な機関、あるいは、仕組みを設けなければ、法の実効性は殆ど期待できないのです。ところが、NPT体制を見ますと、立法段階である条約制定過程を見ますと、核兵...脆弱にして強固というNPT体制のパラドックス
NPT体制の致命的欠陥-何故ロシアの核使用問題が発生したのか
NPT体制とは、人類史上にあって最も破壊的で非人道的兵器とされる核兵器による戦争、即ち、核戦争を未然に防ぐための国際システムとして一般的には理解されています。同目的を実現するために、NPTでは、核兵器の保有のみならず、使用の前段階となるテクノロジーの開発並びに核ミサイルの運搬手段(ミサイル等・・・)をも規制の対象としております。核戦争の回避という目的は正しいのですが、今日の状況は理想からほど遠いばかりか、逆に安全保障上のリスクを高める方向に作用しているかのようです。それでは、同体制の逆機能の原因は、一体、どこにあるのでしょうか。第一に、NPTには、違反国を取り締まる仕組みが設けられていない点を挙げることができます。刑法がそうあるように、法律だけが存在していても、違反者がいなくなるわけではありません。警察と...NPT体制の致命的欠陥-何故ロシアの核使用問題が発生したのか
かつて、国民国家体系は、国家が戦争の行動主体とみなされていたために、人類の未来において消滅すべき、忌まわしき国際秩序として見なされる向きがありました。特にますクス主義の強い影響下にあった左派の人々は、国家の破壊に正義があると信じてきたのです。国民国家体系の克服こそが人類に平和をもたらすと・・・。しかしながら、国家の存在そのものが戦争の主たる要因とは言えないように思えます。特に大規模な国際戦争が頻発した近代以降の戦争は、領土や国境線と言った純粋に国家の地理的支配領域をめぐる争いはそれほどには多くはなく、多くは、別の要因に基づくからです。ヨーロッパでは宗教改革を機として宗教戦争の嵐が吹き荒れた末に陣営対立となった三十年戦争に発展しましたし、ナポレオン戦争は、フランス革命への近隣諸国の武力介入を発端としています...国民国家体系の再構築こそ人類の重要課題
日本国憲法第9条NPTとの間には、国内法と国際法という違いがありながら、双方とも軍事分野における自己抑制の規律を定めているという共通点があります。前者は、文字通りに読めば日本国という一国家に対して軍隊の不保持を定めており、後者は、全世界の諸国に対して核兵器の不拡散を義務づけています。両者とも軍縮並びに軍備管理を目的としているのですが、この他にもう一つ、重大な共通点があるように思えます。それは、致命的な不平等とも形容すべき国家間の軍事力の非対称性です。今般、ウクライナ紛争では、反転攻勢に出たウクライナ勢によってロシアが追い詰められる形で核兵器が使用される可能性が高まっています。プーチン大統領が核兵器の使用を辞さない構えを見せているため、ウクライナを支援する自由主義国も身構えざるを得なくなっているのです。核兵...全世界が直面する憲法第9条問題-ウクライナの核武装
ウクライナ紛争を見ておりますと、当事国であるロシアにせよ、ウクライナにせよ、そしてアメリカをはじめとした他の諸国にせよ、何故、紛争の回避や激化を防ぐ方法がありながらそれを採用しようとしないのか、不思議でならなくなります。‘世界’の為政者達のこの非合理的な行動の連続が世界権力の存在を強く示唆するのですが、今般のクリミア橋爆破事件も、どこかに陰謀の陰が感じられます。クリミア橋爆破の一報で、先ずもって頭に浮かんだのが日中戦争の発端となった1937年7月7日に起きた盧溝橋事件です(日付が‘ぞろ目’である点にも注目を・・・)。同事件では、誰が発砲したのか、あるいは、何者によって仕組くまれたのか、正確な確認作業を欠いたまま、日中両国が本格的な戦争へと向かうこととなりました。このため、今日なおもコミンテルン等を主犯とす...ウクライナの核保有というトロッコ問題の回答