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竹島問題については、紛争発生以来、アメリカ政府の勧めもあって、日本国政府はICJ(国際司法裁判所)による解決の道を模索してきました。しかしながら、日本国側から解決付託を提案する度に韓国側が拒絶してきたため、同案は実現することなく今日に至っております。ICJの規程並びに規則によれば、紛争当事国の合意がなければ訴訟は原則として受理されないからです。このため、単独提訴も検討されていますが、どうしたことか、日本国政府は、その一歩を踏み出せないでいたのです。こうした中、フィリピンの単独提訴を常設仲裁裁判所が受理し、実際に判決も下されるという事例が、単独提訴の先鞭を付けることとなりました。日本国政府にも、国連海洋法条約を活用するという選択肢が現実味を帯びてきたのです。領土問題に直接に踏み込まないまでも、竹島問題を司法...竹島問題はサンフランシスコ講和条約に基づいても解決できる
尖閣諸島問題については、サンフランシスコ講和条約、日中共同声明、並びに、日中平和友好条約等の国際法に基づいて平和裏に司法解決する道があります。台湾有事と連動する形で中国との間で戦争が起きる可能性がある以上、日本国政府は、戦争を未然に防ぐためにあらゆる司法的手段をも尽くすべき時とも言えましょう。そして、上記の諸条約の他にもう一つ、日本国政府が単独でも利用できる条約があるとすれば、それは、国連海洋法条約です。国連海洋法条約と言えば、2016年にフィリピンが中国を相手取って常設仲裁裁判所への単独提訴に踏み切った南シナ海問題が思い浮かびます。1982年4月30日に採択された同条約には、「海の憲法」とも称されるように169カ国が参加する一般国際法であり、日本国はもちろんのこと中国も締約国の一国です。双方共に同条約の...尖閣諸島問題-国連海洋法条約も活用できる
ICJ(国際司法裁判所)は、他の条約において解釈や適用をめぐって争いが生じた場合の解決方法として、同裁判所への付託を明記している場合、事件として受理しています。この手続きを用いれば、日本国は、領域をめぐる問題についてサンフランシスコ講和条約の第22条に基づいてICJに訴える訴訟資格があります。サンフランシスコ講和条約では、日本国の領域並びに戦後の信託統治を定める条文があるからです。しかしながら、この手続き、難点がないわけではありません。先ずもって予測される反論は、中華人民共和国(以下中国)が、サンフランシスコ講和条約の締約国ではない点となりましょう。今般、ウクライナ紛争並びにイスラエル・ハマス紛争では、ジェノサイド条約が法源とされましたが、被告国となったロシアもイスラエルも同条約の締約国です。これらの事例...尖閣諸島問題のICJ解決の難題の克服方法とは?
昨今、国際紛争が起きる度に、ICJ(国際司法裁判所)が姿を現わすようになりました。ウクライナ紛争にあっては、紛争当事国のウクライナが単独でロシアを提訴し、イスラエル・ハマス戦争に至っては、紛争の非当事国であった南アフリカも単独でICJに対してイスラエルによるジェノサイドを止めるように訴えています。これまでのところ、ICJが発した暫定措置命令に対してロシア並びにイスラエルが誠実に従う様子は窺えないのですが、これらの政府の一連の行動により、国際社会におけるICJの存在感が高まると同時に、同機関に寄せられる期待も高まったと言えましょう。今般のICJへの訴えにより凡そ確立した手続き上の慣行は、(1)単独提訴、並びに、(2)非紛争当事国の訴訟資格です。このことは、各国政府にとって、ICJを含む国際司法機関による解決...尖閣諸島問題もICJで解決を
パレスチナの地では、今やイスラエルがパレスチナ人の息の根を止めようとしているように見えます。イスラエルのネタニヤフ首相は、今般の戦争を自らが描く‘大イスラエル主義’の総仕上げに位置づけているのでしょう。如何なる反対をも振り切って蛮行を強行しようとするその姿は、冷静かつ客観的な視点からはもはや狂信者としか見えないのですが、当事国が全世界にネットワークを張り巡らしているユダヤ人の国家であるだけに、全ての諸国、あるいは、人類は、傍観者の立場ではいられなくなります。停戦の見込みさえ薄い中、戦後のヴィジョンを語るのは、時期尚早あるいは的外れとの批判もありましょう。しかしながら、たとえイスラエルがパレスチナを武力で制圧したとしても、根本的な解決には至らず、将来的には同様の事態が繰り返されるリスクがあります。そこで、昨...イスラエルの最も望ましいマネー・パワーの使い方
日本国は、第二次世界大戦の末期にあって原子爆弾が投下された、唯一の被爆国として知られています。広島並びに長崎における原爆による惨状は筆舌に尽くしがたく、壮絶な被爆の経験は、日本国にあって激しい反核運動や核廃絶運動の原点ともなってきました。その多くは、‘民間人をも大量に殺戮する非人道的な兵器である原子爆弾が、二度と炸裂することがあってはならない’とする一途な願いから発しているのでしょう。かくして、原子爆弾という存在そのものが‘絶対悪’とされ、日本国の核武装の選択肢もはじめから‘存在してはならないもの’としてタブー視されてきたのです。しかしながら、現下のウクライナ紛争のみならず台湾有事も現実味を帯び、第三次世界大戦への拡大さえ懸念される今日、核武装を‘絶対悪’と見なす論調は、むしろ、核兵器国の軍事行動をサポー...核武装は‘絶対悪’なのか?-日本国の選択肢
今般の広島で開催されたG7サミットは、紛争当事国であるウクライナのゼレンスキー大統領が出席したことで、内外のメディアの注目を集めることとなりました。今月5月にも予定されていたウクライナ側の反転攻勢作戦を目前とした、同国への支援、陣営の結束強化、並びに、復興支援などが狙いともされていますが、同大統領をはじめ、メディアの多くは、同大統領が平和を訴えるためにはるばる広島まで足を運んだかのような報道をしております。確かに、ゼレンスキー大統領は、仲介役を買って出ているインドのモディ首相に自らの和平案への協力を求めたり、被爆地で戦争の悲惨さを訴えることで、平和の実現に向けた力強いメッセージを発信しています。しかしながら、同大統領の和平案の骨子は、ロシア軍の撤退並びにクリミア半島を含めた紛争以前の国境の回復ですので、あ...広島サミットは成功したのか
国際司法における権利確認訴訟の意義-日本国の抱える紛争も解決
戦争を未然に防止し、国家間の紛争を平和裏に解決するためには、先ずもって平和解決の仕組みを整備する必要がありましょう。解決手段から‘力(武力)’という選択肢を排除しなければ、戦争はなくならないからです。この点、国連憲章では、加盟国に対して紛争の平和的解決を義務化付けながらも、制度的関心が安全保障理事会を中心機関とした安全保障に置かれているため(しかも、本質的な欠陥のために実際には機能しない・・・)、平和的解決のための制度については関心が低いという弱点があります。第二次世界大戦の最中に構想されたため、制度設計の杜撰さは致し方ない面もありますが、この弱点を克服しない限り、人類に平和は訪れないのですから、今後、未来に向けて努力すべきは、紛争の平和的解決の制度整備ということになりましょう。また、今般、日本国政府が決...国際司法における権利確認訴訟の意義-日本国の抱える紛争も解決
台湾問題を複雑にした原因の一つに、第二次世界大戦最中の1943年11月27日に、中華民国の蒋介石総統がアメリカのルーズベルト大統領、並びに、イギリスのチャーチル首相と合意した「カイロ宣言」があります。同宣言では、「・・・並びに満州、台湾及び澎湖島のような日本国が清国人から盗取したすべての地域を中華民国に返還することにある。」となるからです。カイロ宣言については、対日降伏勧告とも言えるポツダム宣言にあって、「カイロ宣言の条項は履行されるべく・・・」とありますので、中国並びに台湾の一部は、それぞれ立論の仕方に違いこそあれ、これらの宣言を根拠として、「一つの中国」を主張しているのです。仮に、「カイロ宣言」がなければ、台湾は、国共内戦に敗れた蒋介石総統が、連合国の占領地に中華民国の亡命政府を移し、対日講和条約の発...台湾問題の元凶は「カイロ宣言」?
中国が主張する「一つの中国」論は、今日、台湾に対する武力攻撃の可能性を高めると共に、第三次世界大戦に発展しかねないリスクがあります。この問題を平和的に解決するためには、先手を打って国際法における台湾の法的地位を確立するに越したことはありません。中国では、強権的なゼロコロナ対策を機に習近平独裁体制に対する国民の抗議が続いており、体制引き締め政策として台湾への武力侵攻の挙に出る怖れもあり、何れの国や国際機関であれ、同問題について国際司法機関への提訴を急ぐべきと言えましょう。中国が軍事行動を起こしてからでは遅いのです。平和的解決に向けた最初の一歩は、国際社会に対する台湾自身によるアピールとなりましょう。国際司法機関によって法的地位に関する確認を得ることで、同問題を平和的に解決する準備があることを広く内外に向けて...台湾の法的地位の確立に向けて
アメリカを筆頭とする自由主義国は、ロシアによるウクライナに対する軍事介入を‘侵略’と見なすことで凡そ一致しています。日本国政府も例外ではなく、NATO諸国に同調する形で対ロ政策に踏み切り、旗色を鮮明にしています。しかしながら、ウクライナ東・南部の歴史的経緯からしますと、同地域には、当事国双方のみならず国際社会が認めるいわゆる‘政治問題’があります。ここで言う政治問題とは、純粋に国際法上の違法性が問われる法律問題ではなく、双方の権利主張が対立する問題領域として理解されましょう(国内法の区別からすれば、犯罪に関する刑法ではなく、権利の所在に関する民法上の問題・・・)。ところで、日中間に横たわる尖閣諸島問題については、しばしば‘領土問題’という言葉が使われています。同問題に対して、日本国政府は、‘同島の領有権を...ウクライナ紛争の平和的解決には国際社会の中立化が必要では?