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体制という言葉の語感には、良しにつけ悪しきにつけ、どこか安定性をイメージさせるものがあります。NPT体制につきましても、IAEAによる査察制度を伴う形で締約国に核兵器の不拡散を法的に義務付けているのですから、人々が、非人道的な兵器である核の脅威を取り除き、国際社会の安定に貢献していると信じ込むのも無理からぬことです。しかしながら、‘核なき世界’の理想を目指して発足したNPT体制は、現実にあって国際社会に安定と平和をもたらしているのでしょうか。平和的解決手段、即ち、合意や法的解決のための制度は別として、国際社会において、力による安定を求めるならば、大きくは(1)支配型と(2)従属型(3)均衡型の三者に分けることが出来ます(‘司法型’は警察組織とセットですので、ここでは扱わない・・・)。支配型は、力に勝る国が...NPT体制の不安定な構造-計画された不安定性?
NPTの逆効果問題-‘事情の根本的変化’による条約終了は可能
近年の核兵器保有国の動向は、NPT条約が存在していなかった方が、余程国際社会はより平和で安全ではなかったか、という問いをもたらしています。戦争であれ、‘特別軍事作戦’という名の軍事介入であれ、攻撃を仕掛けた側は、決まって核兵器保有国であるからです。この歴然たる事実は、NPTの存在意義に対して根底から疑問を投げかけていると言えましょう。例えば、ここ数日、ロシア・ウクラナ戦争を背景として、攻撃兵器としての核兵器の有用性を積極的にアピールするロシアのプーチン大統領の姿が報じられています。6月21日は訪問先のベトナムにおける記者会見にあって先制攻撃の必要性は否定しながらも、「ロシアの戦略核兵器は完全な戦闘準備態勢にある」と述べています。次いで昨日23日には、軍士官学校の卒業生らを前にして、大陸間弾道ミサイル、戦略...NPTの逆効果問題-‘事情の根本的変化’による条約終了は可能
力とは、それが及ぶ対象に対して何らかの変化をもたらすものとして理解されています。たとえ外見的には変化が現れなくとも、圧力や温度が上がるなど、内部では力の作用によって何らかの目には見えない変化が起きているものなのです。このため、政治の世界でも、しばしば政治力学という言葉も使われています。もっとも、政治力学という言葉が登場する時は、政治家同士の力関係が重要な決定要因となったり、有力政治家や団体等の発言が物を言うような場面が多数を占めます。例えば、法案の作成に際して、党内の有力幹部が自らの思惑や利害のために若手の意見をねじ伏せたり、ある業界において利権を有する政治家が口を挟むような場合、‘政治力学が働いたから仕方がない’といったような使われ方をします。また、政治家が関わらない純粋に民間の企業等にあっても、隠然た...政治力学とは何か-政治構造力学の薦め