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先日、国際戦略研究所(IISS)の主催の下、シンガポールにて各国の首相や国防相が顔を揃える中で開催されたシャングリア・ダイアローグは、今日の国際社会が抱えている構造的な問題を浮き上がらせた点で、極めて‘意義’のある会合であったと言えましょう。平和や信頼醸成の構築という文脈での‘意義’ではなく、危険性、あるいは、建前に隠れた本音の認識という意味での‘意義’です。そして、この構造的問題とは、自由貿易主義がもたらす安全保障と経済との関係に出現する‘悪循環’というものなのでしょう。デヴィッド・リカードがその比較優位説のモデルにおいて完全に無視し、最適な国際分業への自然到達という‘ユートピア’を描いたためか、今日でも、現実に生じる貿易不均衡の問題については軽視される傾向があります。しかしながら、ブレトン・ウッズ体制...自由貿易主義と戦争ビジネス
IISSは、毎年、シンガポールにてシャングリア・ダイアローグ(IISSアジア安全保障サミット)を開催しています。今年も5月30日から6月1日にかけての日程で、各国の国防相等が集う形で第22回会合が開かれました。同会合の主たる目的は、地域的な安全保障の強化、即ち、国家間の信頼醸成による平和の実現なのですが、同会議の様子を見る限り、この目的も疑わしくなります。今年は、フランスのマクロン大統領が初めて同会合に出席し、基調講演を行なったことで注目されることとにもなりました。同演説にあっては、アジア諸国に対してアメリカか中国かの二者択一ではなく、第三の選択肢としてヨーロッパとの連携が訴えられたのですが、今般の会合にあって、米中対立の先鋭化という‘舞台背景’があったことは疑いようもありません。何れの出席者の発言を見ま...シャングリア・ダイアローグは戦争ビジネスのための舞台?
米価高騰の原因究明の作業は、小泉農水相のウィキペディアのページから消されたイギリスのタビストック人間関係研究所の謎から始まり、イギリスに本部を置く国際戦略研究所の存在にも行き着くことにもなったのですが、同研究所は、極めて謎に満ちた存在でもあります。イギリスの国際戦略研究所(TheInternationalInstituteforStrategicStudies;IISS)の前身が設立されたのは1958年のことです。同研究所は、軍事史家のマイケル・ハワード卿の提唱によるものであり、当初は核兵器に関する情報を収集及び提供等を主たる目的としていました。因みに、ハワード卿の母親は、ドイツからイギリスに移り住んだユダヤ人の娘であったとのことです。超党派の組織として発足し、初代議長は、クレメント・アトリー前首相が務め...国際戦略研究所はグローバリストの拠点?