自由貿易主義という名の‘不自由’
自由という言葉の響きが耳に心地よいために、‘自由’と名の付くものは全て‘素晴らしいもの’に違いないと思いがちです。それが不条理な束縛からの解放であれば、なおさらのことです。しかしながら、自由というものも深く掘り下げて考察しませんと、逆の結果が待っているケースもないわけではありません。その最たる事例が、自由貿易主義やグローバリズムではないかと思うのです。自由が不自由に逆転してしまう場合には、凡そ二つの形態が見られます。その第一は、国家や社会において自由というものが、特定の人、あるいは、一部の人々にのみ許される場合です。例えば、ヨーロッパの近世で多々見られた絶対王制とは、‘絶対(absolute)’のラテン語の語源が‘あらゆる束縛のない状態’、すなわち‘完全なる自由な状態’にありますので、君主一人に無制限な自...自由貿易主義という名の‘不自由’
2025/06/13 11:49