貿易が国民を犠牲にするケースの存在
今日、見直しの局面にあるとはいえ、誰もが、自由貿易主義やグローバリズムは、相互に利益をもたらすと信じがちです。否、国際競争による劣位産業の淘汰という‘多少の犠牲’を払ってでも、国境を撤廃して完璧なる自由移動を達成することこそ、人類の理想と信じている人も少なくありません。しかしながら、自由貿易が必ずしも全ての国民に利益をもたらすものでないことは、今になって初めて人類が気付いたことではないようです。モンテスキューの『法の精神』は、権力分立を唱えた政治制度論であり、かつ、風土と法文化との関係を論じた比較法学の書でもありますが、経済学の書でもあることはあまり知られてはいません。実のところ、同書では、貿易や外国為替等の問題をも扱っており、経済について極めて示唆に富む見解を示しています。近代とは、デヴィッド・リカード...貿易が国民を犠牲にするケースの存在
2025/04/25 11:49