経済学の大いなる矛盾-自由貿易論あるいはグローバリズムの重大問題
今日の自由貿易体制を今なお支えている基本理論は、デヴィッド・リカードが唱えた比較生産費説(比較優位説)とされています。リカードは、18世紀末にロンドンにて生を受けたユダヤ系イギリス人であり、経済学者ではありながら、ケンブリッジ大学中退後にロンドン証券取引所の仲買人となり、その後、庶民院の代議士として活躍した異色の経歴をもつ人物です。比較生産費説とは、下院議員時代に自らが主張していた自由貿易論に理論的な根拠を与えるために編み出された理論とも言えましょう。しかしながら、考えてもみますと、19世紀初頭、すなわち、大英帝国を中心とする自由貿易体制がその頂点を迎えた時期に主張された理論が、現代にあっても国際経済体制の基本理論とされているのは奇異なことでもあります。時代で言えば江戸時代の理論を、そのまま維持しているよ...経済学の大いなる矛盾-自由貿易論あるいはグローバリズムの重大問題
2024/03/22 12:29