大英帝国の天国と地獄-自由貿易体制の悲劇
19世紀中葉、イギリスは自国を中心とした自由貿易体制の絶頂期を迎えます。セポイの反乱後の1858年に東インド会社が解散され、最終的にインドがヴィクトリア女王に献上されたのは、同社の残務整理が完了した1877年のことです。かくしてイギリスはその版図を全世界に広げ、1931年にウェイストミンスター憲章の下でイギリス・コモンウェルスに衣替えするまで、大英帝国は栄華の時代を歩み続けてゆくのです。大英帝国の最盛期は、同帝国に君臨したヴィクトリア女王の名に因んでヴィクトリア時代とも称されています。同時代に培われた文化は、今日までイギリスに典雅で優美なイメージを与えてきました。ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』を読みますと、誰もがヴィクトリア朝の生活様式のエッセンスに触れることができます(もっとも、同作品は、キャ...大英帝国の天国と地獄-自由貿易体制の悲劇
2025/03/18 11:46