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万国時事周覧 https://blog.goo.ne.jp/kuranishimasako

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

当時にあってほんの些細なことと思われた出来事が、後から振り返ってみれば、歴史の分水嶺になっていたという事例は枚挙に遑がありません。本ブログでは、日本を含めて世界各地で起きている出来事の歴史的な意味を、公開されているわずかな情報を手がかりとしながらも、探って行きたいと思います。

倉西雅子
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2008/01/26

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  • 岡山大大学残酷物語-研究職は天職では?

    昨日、ある記事に目が留まりました。それは、岡山大学が、研究職の教員を対象として「博士の学位取得後15年以内に准教授へ昇任できなければ、原則として研究職から外れる人事制度を新設」したというものです。この新制度、研究者に対しまして、あまりにも残酷で冷酷なのではないかと思うのです。同制度を新たに導入した理由は、「意欲のある若い人のポジションがないと困る」というものです。若手研究者は、現状にあって、安定したポストを得られずに不安定な生活を強いられていることから、採用条件や研究環境の改善が求められてきました。あたかも世論の要望に応えているようにも聞えるのですが、‘研究職’、あるいは、‘研究’というものを一つの生涯に亘る職であり、未来を開く可能性を秘めていると考えますと、今般の新制度は、以下の理由からマイナス面の方が...岡山大大学残酷物語-研究職は天職では?

  • 韓国米の輸入から生じる疑念

    昨日、日本国内での米価高騰を機に、韓国が日本向けにお米を輸出するとする報道がありました。ネット記事では、‘20万トン’という数字がタイトルにあり、政府備蓄米の放出量に匹敵するために驚いたのですが、内容を読みますと、おそらく22トンの誤表記のようです(3月に2トン、5月に20トンで計20トン)。もっとも、別ルートや今後の輸出予定を合わせますと、将来的には20万トンに達するとする意味かも知れず、真偽のほどは定かではありません。しかしながら、この韓国米輸入の報道から、幾つかの疑いが生じてきます。第一の疑いは、韓国政府による米輸出推進政策です。今般の韓国米の輸入は、韓国メディアによる韓国農協への取材で判明したというものです。韓国での農協の組織がどのようなものであるのかは不明ですが、日本国における政府、あるいは、政...韓国米の輸入から生じる疑念

  • あまりにも杜撰な備蓄米制度

    今般の米価暴騰は、国民にとりましては青天の霹靂であったかも知れません。ここ数年、あまりの価格の低さに農家の方々からの嘆きの声が聞かれるほど、米価は下落傾向にあったからです。国民からの対策要求を受けて、日本国政府も備蓄米の放出に踏み切ったのですが、ここで俄に注目を集めることとなったのが、この備蓄米の存在です。備蓄米については、国民の多くは、有事や地震等の自然災害時に備えた‘非常食’として理解していたのではないでしょうか。こうした国民の備蓄米に対するイメージは、‘備蓄’という名称からして当然のことなのですが、政府がお米を備蓄する目的は、有事や災害時限定ではないことが、今般の一連のお米騒動で明らかとなりました。現行の食糧法(「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」)に従えば、政府には、価格の安定を目的とした...あまりにも杜撰な備蓄米制度

  • 米価暴騰対策は政党・政治家の試金石

    昨年の夏頃から、日本国民の多くは、凡そ2倍ともされる急速な米価高騰に見舞われることとなりました。お米は日本国民の主食ですので、今や‘災害’と言っても過言ではありません。しかも、自然災害というよりも、ますます日本国政府も加担した人災の様相を呈してきているのです。二転三転の後にようやく決断した政府備蓄米の放出も、殆ど価格を下げる効果が見られないのですから。大量に備蓄米を放出したとしても米価が下がらない主たる原因は、先ずもってその放出方法にあります。下落傾向にあるとはいえ、集荷量において凡そ半量を占める農協が、備蓄米の9割以上を落札することとなったからです。最低価格での落札でもなく、公正な入札が行なわれたかも怪しい限りであり(十分な情報公開もなされていない・・・)。政府が、凡そ買取時の安価な価格レベルで卸売業者...米価暴騰対策は政党・政治家の試金石

  • 日米関税交渉については国民的な議論を

    今般、アメリカのドナルド・トランプ大統領が同席の上で、赤沢亮正経済再生担当大臣とベッセント長官との間で日米関税交渉が行なわれました。一体、どのような話し合いがなされたのか、現時点では詳細は分からないのですが、少なくとも、日本国側が自動車等の工業製品分野において関税率の引き下げを求めたことだけは確かなようです。もっとも、日米間で何らかの合意が成立するとすれば、日本国側が何らかの分野で一定の譲歩を約することになりますので、日本国内の産業各界では、戦々恐々の状況にあるものと推察されます。通商政策の分野では、相手国との交渉窓口を一本に絞る必要がありますので、否が応でも交渉自体は政府に任せざるを得ません。とは申しましても、海外の国や地域との通商上の合意がもたらす影響は、国内の凡そ全産業に及びます。しかも、国際競争力...日米関税交渉については国民的な議論を

  • 本当は怖いコスモポリタニズム

    コスモポリタニズム、あるいは、‘世界市民主義’という言葉は、純真な人々を理想郷に誘うような誘引力があります。人種、民族、宗教等の違いがなくなり、地理的にも人々を隔てる国境も消えた彼方に現れる、‘人類が一つに融合された世界’とも言えましょう。しかしながら、コスモポリタニズムは、本当に、全ての人類が共に到達すべき理想郷なのでしょうか。古典的な書物を読みますと、時にして現代人との認識の違いに‘はっとさせられること’があります。本ブログでしばしば紹介してきたモンテスキューの『法の精神』もその一つです。同書は、世界各地の気候条件や地理的条件などによって生じる社会や政治文化等の違いを論じる比較政治学の先駆的な書でもあるのですが、この中に、コスモポリタニズムに関する記述があります。そしてそれは、今日の認識とは些か違いが...本当は怖いコスモポリタニズム

  • 自由な言論空間のためには新たなシステムが必要

    今般、Gooブログをはじめ、NTTグループにあってユーザーによる発信サービスの終了が相次いだことは、インターネットといった情報・通信サービスのプラットフォームが重要な社会インフラであり、かつ、言論の自由を支えていることを、改めて思い知らされることとなりました。全ての事業者のサービスが消滅したわけではありませんので、過剰反応との見方もありましょうが、今般の一連の出来事は、情報・通信事業の在り方を根本的に見直す機会とすべきかもしれません。80年代初頭から顕著となった新自由主義、否、グローバリズムの波は日本国にも及び、先ずもって、1985年に日本電信電話公社が民営化され、今日のNTTが誕生します。サッチャリズムやレーガノミクスの潮流に日本国も流されたのですが、このときは、インフラ事業の民営化に潜む問題性やリスク...自由な言論空間のためには新たなシステムが必要

  • Gooブログ終了が暗示する自由な言論空間の危機

    昨日、突然に、Gooブログのサービスが、2025年11月15日をもって終了するとのお知らせがありました。寝耳に水のことですのでショックを受けたブロガーの方々も多く、Gooブログでは、サービス終了を嘆く記事が散見されます。そして、今般のブログサービス終了は、デジタル社会というものの怖さを暗示しているように思えます。ブログサービスの終了は、運営事業者であるNTTdocomoの判断なのでしょう。先月も、NTT系のプロバイダーであるぷららがホームページサービスを終了したばかりですので(閲覧は4月末まで可能・・・)、NTTグループ全体での基本方針なのかもしれません。何れも他社サービスへのお引っ越しが可能なのですが、それでも、長年使い慣れたサービスがなくなる不便さに加え、他のブロガーの記事を読んだり、フォローする機能...Gooブログ終了が暗示する自由な言論空間の危機

  • ‘徳にも制限が必要’という過去からのリベラリズムへの警告

    ‘徳’というものについては、それ自体が賞賛すべき道徳・倫理的な価値であり、古今東西を問わず、無限に追求すべきものと信じられてきました。しかしながら、‘徳’に関する完璧なる絶対性を否定した人物が過去に存在していたとしたら、多くの人々が驚くことでしょう。この誰もが驚くような人物とは、三権分立の定式化で知られるかのモンテスキューなのです。モンテスキューは、『法の精神』の中で、政治的自由は制限政体にしか存在しないとする文脈において「信じられないことだが、徳でさえ制限を必要とするのである(『法の精神』第2部、第11篇第4章、岩波文庫版より引用)」と述べています。モンテスキュー自身が‘信じられないことだが’と付しているように、‘徳に対する制限’の主張は、18世紀フランスの一般的な固定概念とは違っていたことを示していま...‘徳にも制限が必要’という過去からのリベラリズムへの警告

  • 外国人が不起訴となる原因とは?

    最近、移民の急激な増加を背景として、日本国内では、外国人が犯罪を行いながらも不起訴となるケースが頻繁に見られるようになりました。リベラル派の人々は、国民固有の権利に関わる分野にあっても権利の平等を主張しながら、外国人に対する不可解な不起訴処分については口を噤んでいます。検察審査会も機能しているようにも見えず、法の前の平等を損ねる由々しき問題です。それでは、何故、このような国民に対する政府の義務放棄、あるいは、検察の怠慢がまかり通っているのでしょうか(検察に対する政治介入が強く疑われる・・・)。現代にあって生じている問題でも、過去の歴史にヒントを見出す場合が少なくありません。日本国内で起きている外国人不起訴の問題についても、既に古代ローマ時代に前例のような類似する事例が見られるようなのです。その事例は、18...外国人が不起訴となる原因とは?

  • 関税政策の復活をチャンスとするには-国内経済の復興

    今朝方、驚くようなニュースが飛び込んできました。それは、アメリカのトランプ大統領が、中国を除く諸国に対して一律10%関税を維持しつつも、90日間、相互関税の一部を停止したというものです。この‘変心’については、‘最初に高く持ちかけつつ、後に下げることで相手に要求を受け入れさせる交渉戦術であるとする見方’や、‘高率の相互関税は、百戦錬磨のディーラーでもあるトランプ流の手段であって、そもそも本気ではなかった’、あるいは中国が除外、かつ、125%に上乗せされたことから、‘本丸は中国である(他の諸国はダミー)’とする見解もあります。経済界は、めまぐるしく変わるアメリカの関税政策に右往左往する状態なのですが、グローバリズムがその無慈悲な側面ゆえに退潮を見せる中、ここは、長期的な視点から今後の国際経済の在り方について...関税政策の復活をチャンスとするには-国内経済の復興

  • ‘商人による専制国家は最悪’-現代にも通じるグローバリストの問題

    モンテスキューの『法の精神』と言えば、三権分立論、とりわけ、司法の独立の意義を論理的に説明した書物として知られています。現代に生きる人々も、同書の恩恵を大いに受けているのですが、『法の精神』には、司法の独立のみならず、至る所にモンテスキューの鋭い洞察力が覗われ、国家体制に関する箴言を見出すことができます。『法の精神』が出版されたのは、カール・マルクスの『共産党宣言』が出版された1848年を丁度一世紀、即ち、100年遡る1748年のこととなります。18世紀のフランスを背景に執筆されているのですが、今日の問題を先取りした考察も少なくありません。18世紀と言えば今日のグローバリゼーションの黎明期でもあり、世界大での海外貿易の活発化により商業が著しく発展した時代でもありました。この時代にあって、モンテスキューは、...‘商人による専制国家は最悪’-現代にも通じるグローバリストの問題

  • 株価暴落はチャンス?

    アメリカのトランプ大統領が発動した相互関税は、日本国を含む世界各地で株価の下落をもたらしているようです。1929年の世界大恐慌が第二次世界大戦の遠因として指摘されているように、証券市場での株価暴落は、全世界に大惨事をもたらしかねないリスクがあります。第一次世界大戦後に訪れた未曾有の好景気を背景に発生した証券バブルの崩壊が原因とされ、あたかも、この歴史の流れを当然のことのように捉えがちですが、果たして、ニューヨーク株式市場での株価暴落は、‘歴史の必然’であったのでしょうか。マルクス主義の祖であるカール・マルクスは、‘資本家’側の視点から『資本論』を執筆しています。このため、同書には、株価暴落に関する興味深い記述があります。それは、「あらしが過ぎ去れば、これらの証券は、失敗した企業または山師企業を代表するもの...株価暴落はチャンス?

  • 若年層は皇室について議論を

    今般、筑波大学に入学した秋篠宮家の悠仁氏については、昨年、大学入学をめぐり、一大騒動が起きることとなりました。何故ならば、‘東大入学を希望した秋篠宮家が、皇族の特権を濫用して裏工作を画策したのではないか’とする憶測が流れたからです。真偽のほどは判然とはしないものの、同情報の内容と実際の行動や出来事との間に一致がみられたことから、SNSやウェブを中心にかなりの信憑性をもって語られることになったのです。この結果、国民の間から反対の大合唱が起きると共に、悠仁氏の東大入学に反対する署名活動も始まる事態に至りました。しかも、同署名活動が停止状態に追い込まれたため、日本社会に対して介入パワーを持つ‘特権身分’として、皇族の存在に対して、より一層警戒感がもたれることにもなったのです。皇族の大学進学がかくも国民の反対に遭...若年層は皇室について議論を

  • 倉西研究所のメンバーのご紹介

    倉西研究所のメンバーのご紹介倉西研究所のメンバーのご紹介

  • 王室・皇室は国民の理性を抑圧してしまう

    実写映画の『白雪姫』は、実のところ、今日の王室や皇室が抱える深刻な問題を人々の意識に上らせてしまったように思えます。美しいお姫様と勇敢な王子様が登場するおとぎの世界として安心して読めたストーリーも、それに現代の“価値観”が投入されますと、時代が現代に向けて逆流し、俄に現実味を帯びてくるからです。そして、この感覚は、否が応でも今日の王室や皇室の存在に対して抱く国民の疑問や違和感を強めてしまうのです。客観的に現状を観察すれば、今日という時代にあって、既に王室も皇室もその存在意義が失われていることは否定のしようがないように思えます。先ずもって民主主義が価値として根付いている今日では、かつての君主のように統治者にあって政治的権力を行使し得る立場にはありません。立憲君主制にあってもこの点は変わりなく、『マグナ・カル...王室・皇室は国民の理性を抑圧してしまう

  • 風刺になってしまう実写映画『白雪姫』

    『白雪姫』と言えば、19世紀にグリム兄弟がドイツに伝わる昔話やおとぎ話を収集したグリム童話の中でも、特によく知られている代表的な作品です。今日に至るまで、かわいらしい挿絵が描かれている絵本のみならず、映画化やアニメ化されて全世界の人々に親しまれてきました。ところが、今般、ディズニー社が実写版のミュージカル映画を作成したところ、思わぬ物議を醸すこととなりました。グリム童話は、1812年、即ち、ドイツ諸国がナポレオン体制の頸木を脱し、ドイツ・ロマン主義運動が高まりを見せていた時期に出版されています。同運動は、後年のドイツ統一へと繋がってゆくのですが、ドイツという極めて政治性を帯びた民族性が強く意識されながらも全世界に広く読まれるようになったのは、同作品の中に、人類共通の普遍的な要素が含まれていたからなのでしょ...風刺になってしまう実写映画『白雪姫』

  • 日本国の食料&エネルギーの自給率を上げる政策を

    食料安全保障の強化を謳った日本国の大手商社とアメリカの大手穀物メジャーとの業務提携は、日本国の農業の行方に暗い影を投げかけています。同提携は、5年後の2030年には、200万トンから300万トン、即ち、日本国内の米生産量の凡そ二分の一弱の大量の穀物が日本国に輸入されることを意味するからです。目標達成の見込みがなければ、三菱商事がADMに対して輸出施設の整備に1000億円もの投資を行なうはずもありませんので、同提携の背後には、日米両国の政府が動いているとも推察されるのです。人口減少が続く中、2、300万トンもの穀物を新たに日本国内で消費されるとは思えず、おそらく、政府は、日本国民の食卓に上る主食を、国産のお米から輸入穀物に置き換えようとしているのでしょう。備蓄米の放出にも拘わらず、米価が高値を維持しているの...日本国の食料&エネルギーの自給率を上げる政策を

  • 食料安全保障とは自給体制の強化では?

    先日の3月28日付けの日本経済新聞朝刊の第1面に、日本国の食料安全保障に関する記事が掲載されておりました。タイトルは「三菱商事、穀物メジャーと提携」というものです。同記事の内容は、日本国の大手商社三菱商事が、2030年度の穀物の取引量を現在の1.5倍に増やすために、アメリカの穀物メジャーであるADM(アーチャー・ダニエルス・ミッドランド)に対して1000億円ともされる額を出資するというものです(ADM側は、穀物の供給先として三菱商事の再生航空燃料事業に期待・・・)。同提携については、日本国の‘食料安全保障に寄与する’としているのですが、日本国の農業を取り巻く厳しい現状に照らしますと、この解説には疑問が沸いてきます。この問題を考えるに先だって、‘食料安全保障とは何か’という同用語の定義を確認する必要がありま...食料安全保障とは自給体制の強化では?

  • グローバリストの実行部隊の特徴-独裁志向と真逆性

    宗教とは、人々の内面や魂の問題領域であるとする認識の下にあって、初めてその自由が個人に対して厚く保障されています。しかしながら、仏陀であれ、イエス・キリストであれ、マホメットであれ、生前にあって既にその教えに惹かれた人々が自然に集まり、教団を結成したことは否定のしようもありません。自然崇拝や祖先崇拝、あるいは、アニミズム等を除いて、世界三大宗教と称される宗教は、組織を伴って今日までその教えが伝えられてきたと言えましょう。ローマカトリックと袂を分かったプロテスタントでさえ、小規模ながらも○○派や○○会と称する独自の教会組織を設けています。宗教が内包してきた組織性に注目しますと、信仰とは、必ずしも個人の問題とは言い切れなくなります。そして、今日、グローバリストが宗教を利用したのは、まさしく、この宗教に備わる組...グローバリストの実行部隊の特徴-独裁志向と真逆性

  • 元統一教会解散では終わらない新興宗教団体問題

    新興宗教団体とは、第二次世界大戦後にあって突然に出現したわけではなく、戦前にありましても、大本教や天理教など、神様からお告げを受けたとされる教祖達が始めた宗教団体は存在しています。海外に視線を移せば、イエズス会など、新興宗教団体の古株が世界大に根を張っています。新興宗教団体と政治との繋がりも、戦後の新興宗教団体に始まるわけでもありません。その一方で、今日の新興宗教団体には、分断と対立を狙うグローバリストの実行部隊としての側面がもはや隠しようもなく表面に現れているようにも思えます。長らく政権与党の座にあり続けてきた自民党と元統一教会との関係は、安部元首相個人に限ったものではありません。政治家の秘書の多くが統一教会の信者であり、選挙に際しても活動員が提供されていたことは、その組織的な繋がりを示しています。秘書...元統一教会解散では終わらない新興宗教団体問題

  • グローバリストによる巧妙なる民族主義・新興宗教の利用

    昨日、3月25日、東京地方裁判所は、旧統一教会に対して解散を命じました。同解散命令の発端となったのは、安部元首相暗殺事件であったことは言うまでもありません。犯人とされた山上徹也被告が、母親に対して巨額の献金を強要してきた旧統一教会への恨みを理由として犯行に及んだと供述しているからです。もっとも、同事件につきましては、自家製の銃器を用いた山上被告による単独犯行は物理的にあり得ないことから、組織的な背景が強く疑われるのですが、この問題、結局は、グローバリストによる世界支配の問題に行き着くのではないかと思うのです。共産主義につきましても、マルクスは、『共産党宣言』において労働者の組織化の重要性をアピールしています。離れた土地を結ぶ広域的な通信・交通網を介して労働者が連絡し合い、結集して階級や政党を結成すれば、共...グローバリストによる巧妙なる民族主義・新興宗教の利用

  • ケネディ大統領は何故暗殺されたのか?

    先日、アメリカでは、一部機密扱いとされてきたケネディ大統領暗殺事件に関する機密文書が公開されました。凡そ8万ページに及ぶ膨大な量に上るため、その全ての解析には時間を要するそうですが(こういう時こそ、AIの出番では?)、既に‘犯人は未だにオズワルド’とする落胆の声も上がっているそうです。その一方で、調査の時点で既に‘忖度’が行なわれているらしく、その作為的な不自然さがむしろCIA関与説、あるいは、陰謀説に信憑性を与えているとも言えましょう。理性に基づく合理的な懐疑を‘陰謀論’の一言で封じる手段は、心理作戦に長けたCIAが開発したとする説もあるように、今般の機密解除は、陰謀の実在性を強く印象づけることになりました。そしてこのことは、近現代史は、陰謀を抜きにしては正確に理解することはできないことを示しています。...ケネディ大統領は何故暗殺されたのか?

  • グローバリストの巧妙なる共産主義の利用

    ‘資本家’であるグローバリストによる共産主義の活用方法は、極めて巧妙です。労働者を煽ることで国民を分裂させ、国境を越えた運動として自らの国際組織に取り込むと共に、国際社会をも分断させたのですから。第一次世界大戦後には、自由主義、狂信主義(造語が許されるならばFanazism・・・)、共産主義の三者を操って第一次世界大戦に誘導しましたが、第二次世界大戦後には、資本主義対共産主義という枠組みを作り出すことに成功しています。そして、こうしたイデオロギー集団のコントロールによって最も利益を得たのは、グローバリストであったとも言えましょう。それでは、先ずもって共産主義は、どのようにして国際社会にまで分裂作用を及ぼしたのでしょうか。指摘し得るのは、‘共産主義革命’に向けた工作活動です。最初の共産革命とされるロシア革命...グローバリストの巧妙なる共産主義の利用

  • 共産主義拡散の狙いは労働者の国際組織化による国民分断と世界支配

    1848年に出版されたカール・マルクスの『共産党宣言』は、今日に至るまで共産主義者のバイブルとされてきました。経済メカニズムの分析と解明を内容としながらも、幾つかの重大な誤りや矛盾を含んでいる『資本論』よりも、同書の方が遥かに知名度が高く、その影響力も広範囲に及んでいます。その主たる理由の一つは、難解とされる後者よりも前者の方が平易に書かれており、理解が難しくないからなのでしょう。読みやすさに関しては両者の間には雲泥の差があるのですが、‘マルクスの著作は文章の表面だけを読んではならない’という読者の注意点においては何れも共通しています。何故ならば、マルクスの視線が‘資本家’のものであり、かつ、マルクスのスポンサー勢力が所謂‘資本家’であるとしますと、真の目的は隠されているからです。マルクスの執筆の目的は、...共産主義拡散の狙いは労働者の国際組織化による国民分断と世界支配

  • グローバリストと共産主義との世界観の共有

    19世紀にあってカール・マルクスが科学的に分析したとされる経済システムとは、結局は、大英帝国の絶頂期にあってイギリスが直面したそれ固有の経済・社会状況を対象としたものに過ぎませんでした。このため、マルクス主義をもって人類共通の普遍法則を主張することはできませんし、そもそも、マルクス自身の個人的な背景に基づく世界観が強く反映されているとも言えましょう。そして、同氏自身が富裕なユダヤ系の所謂‘ブルジョア’であった点を考慮しますと(ロンドンにあって、マルクス自身は、ヴィクトリア時代の上流の典型的な生活様式を楽しんでいた・・・)、それは、当時の資本家達の世界観でもあったとも推測されるのです。言い換えますと、マルクスは、資本家の視点から労働者を捉えているのであり、決して、労働者のそれから資本家を観察したわけではない...グローバリストと共産主義との世界観の共有

  • グローバリストと共産主義者との共闘関係

    カール・マルクスは、文化・文明の証とも言える人類の思弁的な精神活動、即ち、学問、芸術、宗教等よりも、生物としての人類の営みを重視し、それ故に、現実としての経済メカニズムの分析と解明に没頭しました。同方針に基づけば、研究生活の集大成ともなる『資本論』は、実学の書となるはずでした。しかしながら、政治の世界にあって、‘資本主義陣営’と‘共産主義陣営’が鋭く対峙した冷戦がイデオロギー対立とも称されたように、今日では、共産主義は、マルクスが軽視したはずの思想や価値観の問題として見なされています。それでは、何故、こうした‘倒錯’が起きてしまったのでしょうか。その第一の原因は、マルクス、並びに、マルクスの支援者の真の目的が、表向きとは別のところにあったからなのではないでしょうか。昨日の記事の結論部分でも述べたように、二...グローバリストと共産主義者との共闘関係

  • 大英帝国の天国と地獄-自由貿易体制の悲劇

    19世紀中葉、イギリスは自国を中心とした自由貿易体制の絶頂期を迎えます。セポイの反乱後の1858年に東インド会社が解散され、最終的にインドがヴィクトリア女王に献上されたのは、同社の残務整理が完了した1877年のことです。かくしてイギリスはその版図を全世界に広げ、1931年にウェイストミンスター憲章の下でイギリス・コモンウェルスに衣替えするまで、大英帝国は栄華の時代を歩み続けてゆくのです。大英帝国の最盛期は、同帝国に君臨したヴィクトリア女王の名に因んでヴィクトリア時代とも称されています。同時代に培われた文化は、今日までイギリスに典雅で優美なイメージを与えてきました。ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』を読みますと、誰もがヴィクトリア朝の生活様式のエッセンスに触れることができます(もっとも、同作品は、キャ...大英帝国の天国と地獄-自由貿易体制の悲劇

  • 備蓄米入札は最低価格で落札すべき

    昨年の夏頃から始まった米価高騰は、目下、国民に生活苦をもたらしています。野菜等の他の食品の値上がりもあってエンゲル係数も上がる一方であり、日本国政府に対して対策を求める声も相次いでいます。こうした状況を受けて、政府もようやく備蓄米の放出に踏み切ったのですが、その手法を見てみますと、政府の‘本心’が透けて見えるようで、そら恐ろしくさえなります。先ずもって驚かされたのは、入札方法です。今般の21万トンの備蓄米放出の目的は、米価を下げることにあります。政策目的ははっきりとしていますので、合理的かつ常識的に考えれば、最も価格を下げる効果が期待される方法が採られるはずでした。政策の立案・実施に際しては、合目的性が強く求められるのは当然のことです。この側面は、政府に限らず、あらゆる組織にも言えることでしょう。ところが...備蓄米入札は最低価格で落札すべき

  • 日本国のお米輸出政策は無理では

    農産物につきましては、工業製品とは違い、輸出量が、即、国内の供給量を減少させるというゼロ・サム問題があります。工業製品の場合、海外への輸出は生産量を増加させるに過ぎませんが、農産物の場合には、国内の農地面積、即ち、生産量が限られていますので、輸出を優先しますと、国内での国民向けの供給量が減ってしまうのです。この結果、国内消費の需要が満たされなくなり、需給のバランスの変化により価格が上昇します。価格が上昇すれば、国民の生活が苦しくなるのですから、国民生活の安定を考慮すれば、農産物の輸出には、細心の注意をはらうべきことと言えましょう。政府は、工業製品のように輸出を奨励したり、促進策を講じるわけにはいかないのです。ところが、にわかには信じられないことに、昨日のネットニュースの情報によりますと、日本国政府は、今後...日本国のお米輸出政策は無理では

  • 農地獲得は戦争の目的であった-農地法は売国法

    今日の日本国を見ておりますと、人類が、農地の獲得を目的としてしばしば戦争を行なってきた歴史が忘却されているように思えます。農業が主要な産業であった時代や地域では、農地の獲得と領土の拡大はほぼ同義でした。古くは、古代ローマ帝国が、征服した辺境の地を退役兵士に与えて耕作させることで、農地と領土を同時に広げています。また、広い視野からすれば、昨日の記事でも述べたように、大航海時代の幕開けと共に始まった西欧列強によるアジア・アフリカの植民地化も、交易商品としての特産物を独占的に生産させるための農地獲得が目的であったとも言えましょう。そして、それは遠い過去のお話ではなく、近現代史にありましても、むしろ主要な戦争要因の一つに数えることもできるのです。第二次世界大戦もまた、農地獲得とは無縁ではありません。戦後、ドイツに...農地獲得は戦争の目的であった-農地法は売国法

  • 外国人・法人による農地取得は日本国の植民地化への道

    日本国の農地法が、個人であれ、法人であれ、国籍に関係なく国内の農地が所有できる法律であることを知ったとき、驚くと共に、余りの無防備さに唖然ともさせられました。常識ではにわかには信じられないような現実を見せられたからです。日本国政府は、国土を広く世界に開放し、自国を植民地化したいのでしょうか?播種や収穫時といった人手の要る時期に限定して雇用される農園等の外国人季節労働者や雇用契約に基づく出稼ぎ的な外国人工場労働者等は、雇用契約が終了すれば、出身国に帰国します。また、ビジネス目的で来日した外国人も、事業が終了すれば日本国を離れることでしょう。その一方で、農地取得に際しては、その取得者の定住が想定されています。農業では、長期、否、凡そ生涯に亘る耕作地の耕作・維持・運営を要しますので、他の職業とは別の側面を持つの...外国人・法人による農地取得は日本国の植民地化への道

  • ‘国籍条項’なき日本国の農地法の問題

    日本国政府は、今になって慌てたかのように、短期滞在資格の外国人に対して、農地取得を禁じる措置をとりました。同対策からしますと、外国人の農地取得については、既に外国人に対する農地取得の法的規制があり、それを今般、食料安全保障の観点から厳格化した、とする印象を受けます。国民の多くも、外国人に対しては、当然に取得制限や規制があると思い込んでいるかもしれません。しかしながら、米価高騰への疑念から少しばかり調べてみましたところ、その実態に驚かされることとなったのです。日本国の場合、実のところ、外国人に対する農地取得制限は、なきに等しかったのですから。3月7日付けの日経新聞朝刊で説明されている(1)年150日間の取得農地耕作も、(2)法人に対する農業関係者の議決権50%保有も、外国人に限ったことではありません。農地取...‘国籍条項’なき日本国の農地法の問題

  • 外国人による農地取得の問題

    先日の2025年3月7日付けの日経新聞朝刊の第1面に、農地に関するある記事が掲載されておりました。それは、「短期在留農地取得認めず」というタイトルの記事であり、「外国人向けの要件厳しく」というサブタイトルが付されています。内容としては、タイトルが示すように外国人に対して日本国内の農地取得要件を厳格化するというものなのですが、この記事、むしろ、従来の日本国政府の農地政策が、如何に外国人に対して寛容であったのかを、浮き上がらせているように思えます。今回の厳格化の措置は、日本国政府、否、農林水産省は、これまで短期滞在の外国人についても農地取得を認めてきたことを意味します。同記事によりますと、農地取得には、国籍を問わずに年間150日以上の農業従事が要件とされていますが、150日は、月で言えば僅か5ヶ月に過ぎません...外国人による農地取得の問題

  • お米の‘転売’が悪である理由

    今般の米価高騰については、さらなる米価の上昇を見込んで買い占めを行なっている‘転売ヤー’の暗躍が指摘されています。仮に、‘転売ヤー’達の先買い行動が、米価を2倍にまで上昇させるほどの影響力があるとしますと、少数の個人的な活動ではなく、組織性が強く疑われるのですが、現行の法体制では、‘転売ヤー’の取締が難しいとされます。しかも、法規制を行なう上での根拠を明確に示すことも簡単なことではありません。そこで、本記事では、何故、お米の‘転売’が悪であるのかを考えてみたいと思います。転売という単語は、一般用語としても使われていますので、ここでは、問題となる行為を‘転売’と表記しますが、‘転売ヤー’の取締に関しては、‘ものを安く買って高く売るのは、商の基本であるから、‘転売ヤー’だけを取り締まることはできない‘、’不正...お米の‘転売’が悪である理由

  • ニトリホールディングスの対中米輸出問題

    今般の米価高騰の背景として、政府による食料品の輸出促進政策が指摘されています。新型コロナウイルス感染症の拡大に直面していた2020年3月、安倍政権下において日本国政府は、日本産の食品の輸出を促進する方針を表明します。以後、自公政権は、お米を含む農産物や食料品の輸出を後押しすることとなります。内外において日本食品展示会も開かれ、2023年7月には中国の上海でも開催されました。この流れにあって、2021年11月に、家具の製造・販売を主たる事業としてきたニトリホールディングスは、ホクレン農業協同組合連合会と共同で北海道産のお米である「ななつぼし」を中国に輸出する計画を発表します(中国の国内価格の10倍の価格ともされるので、中国人富裕層向けの輸出・・・)。ニトリは家具事業者ですので、農林水産省がこの種の異業種参入...ニトリホールディングスの対中米輸出問題

  • 農家と消費者との情報共有が必要

    今般、異常なまでの米価高騰が起きたことで、これまで国民の多くにあって意識されてこなかった様々な問題も表面化することとなりました。その一つが、農家と消費者との隔絶状態の問題です。農家は、消費者の現状について多くを知らず、逆に、消費者も農家の実情を知らないのです。両者が隔絶されているため、お互いに誤解や無理解が生じているとも言えましょう。例えば、適正な米価については、1年前の2倍、即ち、今般の米価高騰で記録した5キロ4000円や5000円を超える価格が、米作農家にとりましては採算がとれる妥当なレベルとする意見があります。農地の形態や規模並びに環境等によって生産性や収益性に違いが生じますので、この見解が、全ての農家を代表する意見であるのか、あるいは、一部の農家の‘希望小売価格’に過ぎないのか、消費者には判断がで...農家と消費者との情報共有が必要

  • 食料も独立性が重要

    今日の自民党と公明党から成る日本国政府は、グローバリストにして自由貿易主義原理主義者でもあります。国境の壁をできるだけ低くする作業に邁進しており、遂に、最期の砦とも言えるお米の保護まで放棄するに至っているかのようです。果たして、この方向転換は、日本国民の望むところなのでしょうか。戦後、GATT(「関税及び貿易に関する一般協定」)の下でアメリカを中心とした自由貿易体制の構築が始まった時点では、農産物は、自由化の対象には含まれていませんでした。関税引き下げの対象が農産物にまで及んだのは、1964年5月から1967年6月までの足かけ3年を費やして合意に至ったケネディ・ラウンドでのことです。農産物への対象拡大の背景には、小麦やとうもろこし等の大生産国であるアメリカをはじめとした穀物輸出国の後押しがあったことは疑い...食料も独立性が重要

  • お米の先物取引は存在意義を失っている

    昨今の急激な米価高騰を前にして、価格とは、どのようにして決まるのか、という問題が改めて問われているように思えます。経済学の説明では、価格とは、需給と供給のバランスによって決定されるとされます。この説に従えば、2倍にも跳ね上がった米価の急激な高騰は、著しい供給不足が起きたか、あるいは、突然の需要増加があったものと想定されます。しかしながら、昨年2025年のお米の生産量を見ましても微増こそすれ、価格を2倍に上昇させるほどの激減は見られませんし、インバウンド等による消費増も今年に始まったわけでもありません。合理的、かつ、客観的に観察すれば、別の要因が働いたとしか考えられないのですが、その一つが、大阪堂島商品取引所に昨年8月に開始されたお米先物取引です。日本国内では、先物取引の必要性については、収穫量が天候等によ...お米の先物取引は存在意義を失っている

  • 堂島商品取引所に見るグローバリストの価格形成主導権掌握の狙い

    今般の米価高騰につきましては、誰もが真相に行き着くことができないような迷路めいた状況にあります。煙に巻かれているかのようですが、米価高騰との直接的な関連性については曖昧であるものの、一つだけ、はっきりしていることがあります。それは、昨年8月に大阪堂島商品取引所にて本格的に始動した米の先物取引が、日本国民にとりましては、特に食の安全保障上極めて危険な存在であると言うことです。大阪堂島商品取引所は、2021年に株式会社化するに際してSBIホールディングスが株式の凡そ3分の1を占めるSBI系取引所として発足しています。いわば、民間の株式会社なのですが、政府との関係が皆無なわけではありません。何故ならば、同取引所は、2020年に管内閣が内外に向けて公表した「国際金融都市構想」に組み込まれているからです。香港が中国...堂島商品取引所に見るグローバリストの価格形成主導権掌握の狙い

  • お米産直型システムが魔を封じる

    今般の米価高騰の仕組みを見ておりますと、今日の日本国の米が抱えている様々な問題点も浮かび上がってきます。それは、農家に限られた問題ではありません。お米の消費者である国民もまた、現行の制度にあって不利益を被っているのです。生産から小売りを経て消費に至るまでのプロセスにおいて、価格が上がる主たる原因となるのは、言わずもがな、生産と消費との間における卸や小売り等の取引過程にあります。取引の度に取引当事者の利益分が上乗せされますので、回数が多いほどに末端での販売価格は上昇するのです。また、取引者が設定した自己利益、すなわち、卸売段階等での価格によっても販売価格は上がります。このことは、中間取引の回数を減らしたり、中間者が設定する価格を下げれば、消費者は、より安い価格で産物や製品を購入することが出来ることを意味しま...お米産直型システムが魔を封じる

  • お米の‘産直型システム’が必要では

    戦争の最中にあった1942年に制定され、戦後にあっても長らく食糧管理制度を支えてきた食糧管理法は1995年に廃止され、今日では、食糧法に衣替えしています。2018年には減反政策も廃止されたのですが、この自由化によって最も利益を得たのは、お米を生産する農家でもそれを消費者である国民でもないのかもしれません。現行の食糧法(「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」)によれば、政府は、お米の供給量について調整し得る権限が認められています。政府の主たる政策手段は、主要食糧(米穀と麦など)の(1)買い入れ、(2)輸入、(3)売り渡しの三者です。需要の増減については民間任せとなりますので、政府の政策手段は、主として供給面での調整となります。つまり、供給過剰の場合には買い入れを実施して価格下落を防ぎ、供給が不足する場...お米の‘産直型システム’が必要では

  • 米価高騰の目的は日本国の米市場開放?

    近年、日本国では、政権が交代する度に、‘○○ミクス’という首相の名に因んで命名された経済政策が打ち上げられてきました。新政権による国民向けのアピールの一つに過ぎないと見なされ、誰もが気にも留めなかったことなのでしょうが、考えてもみますと、政権交代にも拘わらず延々と続いてゆく‘○○ミクス’とは、国民向けではなく、グローバリスト向けの一種の‘宣誓’であったのかもしれません。グローバリズムの路線を歩み続けるという意思表示の・・・。そして、今般の米価高騰の背景にも、グローバリストの戦略の介在が疑われるのです。岸田文雄前首相が、ロンドンの金融街であるシティにあって‘インベストインキシダ’と述べたのは2022年5月5日のことです。投資の対象としては、「人への投資」「科学技術・イノベーションへの投資」「スタートアップ投...米価高騰の目的は日本国の米市場開放?

  • 岐路に立たされた日本国の米作

    今般の異常なまでの米価の高騰は、マネー・ゲーム化を伴う投機が絡んでいることは、多くの国民が、薄々気がついているのではないかと思います。一年の間に2倍まで跳ね上がるのですから、単なる供給不足では説明が付かないからです。マネー・ゲーム化については江藤拓農林水産大臣も、昨夏の大阪堂島商品取引所における米先物取引の復活には触れないもの、言及しておりますし、農家の証言やメルカリでのお米の出店などが見られますので、流通過程において高値誘導の買い占めや転売が発生していることは確かなのでしょう。その一方で、安過ぎた米価や政府の減反政策を真の原因として指摘する見解もあります。近年、確かに米価は安値が続く傾向にあり、その収益性の低さが稲作離れを加速させる原因ともなっていることは、理解に難くありません。農家の大多数が、毎年の赤...岐路に立たされた日本国の米作

  • 先物取引と‘未来操作’

    目下、米価の高騰に国民の多くが憤っている最大の理由は、‘悪徳業者’によって価格操作が行なわれているからに他なりません。お米をため込んだり、転売するだけで利益を得ているのですから、生産者並びに消費者の怒りを買うのは当然のことです。米価が2倍にも跳ね上がったにも拘わらず、日本国政府の対応は後手後手であり、「買い占め等防止法」が存在しながら、これを適用しようともしていません。政府やマスメディアの不審な行動の背景には、常々、グローバリストの陰が見えるのですが、今般も、米先物取引との関連性が強く疑われるのです。先物取引という言葉は、一般的には馴染みが薄いのですが、人類史を振り返り、かつ、何故、今日、グローバリストが強大なるマネー・パワーを有するに至ったのかを考えますと、その重要性が自ずと理解されてきます。それは、先...先物取引と‘未来操作’

  • 米先物取引の中国対抗論への疑問

    昨年の2024年8月から大阪堂島商品取引所で始まったお米の先物取引については、今日、報道が規制されているためか、国民の多くはその存在を知りません。しかしながら、その影響力を考慮しますと、先物取引の問題は、‘グローバリストの視点’を想定しますと看過できないように思えます。農産物の先物取引市場での相場は、価格形成のみならず、将来の作付面積や生産量に対しても多大な影響を与えます。仮に、先物相場での価格が上昇すれば、農家は、当該作物を作付する面積を増やしたり、生産量を拡大するなど、増産の方向に動きます。逆に、先物相場が下落しますと、農家は、その反対の行動を採るからです。もっとも、農家が一斉に同じ方向で作付け期に生産量を調整しますと、数ヶ月から1年後の収穫期には過剰生産による暴落が起きたり、供給不足によって価格暴騰...米先物取引の中国対抗論への疑問

  • 米先物取引は先買いによる‘買い占め’?

    今般の米価高騰については、様々な要因が指摘されながらも、同時期に大阪堂島商品取引所で再開された米先物取引の存在は無視できないように思えます。既に、米価は2倍にも跳ね上がっていますので、仮に、再開時に先行きの米価高騰を予測して「買いヘッジ」に資金を投入した‘投機家達’は、今月で6ヶ月の限月を迎える場合、投資額が2倍に増えたことになります。‘笑いが止まらない’という状況なのでしょうが、その他の大多数の一般国民は、上昇し続ける主食の価格に悲鳴を上げています。先物取引が米価に影響を与える仕組みについては、限月までの間に需給バランスを自らの利益となる方向に操作できる時間的な猶予から説明も説明されます(その他については、本ブログの12月18日付けの記事で説明・・・)。将来的な価格上昇に賭ける「買いヘッジ」の場合には、...米先物取引は先買いによる‘買い占め’?

  • 農家の要望なき米先物取引の罪

    農産物の先物取引については、一般的には‘天候等による価格変動のリスクをヘッジする’として、その必要性が説明されています。収入が安定するので、農家のためにこそ存在するとする説です。しかしながら、本ブログの2月7日付けの記事でも述べましたように、農家にとりましては極めて不利な制度です。そこで、昨年2024年8月から大阪堂島商品取引所での米先物取引再開の経緯を見ますと、やはり疑問ばかりが沸いてきます。先ずもって、取引復活に際しては、SBIホールディングスの強い要請があったことは疑いようもありません。同社は、大阪堂島商品取引所の株式公開時に凡そ3分の1を取得しており、市場の運営者がプレーヤーを兼ねる状態となります。中立・公平であるべき取引所が自社企業に有利になるように運営する懸念が高まるのですが、実際に、米先物取...農家の要望なき米先物取引の罪

  • 米先物取引には情報統制がかかっている?

    今般の異常なまでの米価高騰の背景には、昨年の8月から大阪堂島商品取引所で再開されたお米の先物取引が関与している疑いは濃厚です(「コメ指数先物」)。しかも、この米先物市場に関しては、国民の関心を引かないように隠されているのではないか、とする説もあります。実際に、日経新聞の大阪堂島商品取引所の先物市場情報欄を見ましても、トウモロコシについては掲載されていても、何故か、お米については情報がないのです。もしかしますと、既に閉鎖されているか、あるいは、取引の頻度が低いとも考えられるのですが、お米の先物取引を取り上げる大手メディアや雑誌社も殆ど見当たりませんので、情報が規制されているとも推測されるのです。先物取引では、「買いヘッジ」であれば、決済時の限月に1円でも契約時の「現物コメ指数」よりも高値となれば利益が出ます...米先物取引には情報統制がかかっている?

  • 相互主義関税は保護主義の相互承認への道?

    江戸時代も末期となる1858年、徳川幕府は「安政五カ国条約」を結び、アメリカ、オランダ、ロシア、イギリスそしてフランスとの間の通商を開始します。これらの条約によって輸出入に関する関税も定められたのですが、その内容が不平等であったため、その後、条約改正が明治政府の重大なる政治課題となったことは、教科書の記述等でもよく知られるところです。関税自主権の回復は、1905年の日露戦争での勝利を待たねばならず、日本国の悲願の達成には凡そ半世紀を要したことになります。輸出関税率を5%、輸入関税率を20%とする「安政五カ国条約」で定められた関税率は、アロー号事件後に清国と間で締結された天津条約における輸入関税率が輸出関税率と等しく5%であったことを踏まえますと、自国産業の保護という意味においては、確かに「安政五カ国条約」...相互主義関税は保護主義の相互承認への道?

  • グローバリズムの正体は世界戦略では

    グローバリストの最終目的が‘もの’、‘サービス’、‘マネー’、‘人’、‘知的財産’、‘情報’の世界大かつ全面的な自由移動であるとすれば、その行く末は、グローバリストが最適と見なした形での国際分業の成立とその固定化であることは、容易に予測されます。そして、自由移動こそが、政治分野における征服や異民族支配に伴う一側面であったことを思い起こしますと、グローバリズムとは、経済理論でも、思想や宗教でもなく、その本質において‘世界戦略’であった可能性が高まってくるのです。経済学にあって、グローバリズムが全人類にもたらす効用や恩恵を論理的に説明する理論が登場せず、行き詰まってしまった理由も、それが不可能な命題であったからなのでしょう。国境の消滅とそれに伴う全ての生産要素の自由移動の帰結が、全ての諸国の経済成長であり、全...グローバリズムの正体は世界戦略では

  • グローバリズムの格差拡大メカニズムとは

    1980年代後半以降、米ソ冷戦時代の終焉をもってグローバリズムが全世界に広がることとなります。とりわけ、2002年に中国がWTOに加盟すると世界経済の状況は一変し、同国が、経済大国として躍り出ることにもなりました。この流れに平行するように、経済格差の広がりも顕著となり、かつての先進国でも中間層の崩壊に伴う貧困の増加が深刻な問題として持ち上がることにもなったのです。結局、グローバリズムが国家間の貿易において相互に利益をもたらし、全ての人々の生活を豊かにするとする宣伝文句とは逆の方向へと向かったことになります。それでは、何故、グローバリズムは‘嘘つき’となってしまったのでしょうか。その理由は、昨日の記事でも指摘したように、国境を越えた生産要素の自由移動が、経済学において自由貿易主義者が主張してきた比較優位によ...グローバリズムの格差拡大メカニズムとは

  • 自由貿易論の限界とグローバル理論の不在

    自由貿易主義の非現実性は、垂直であれ、水平であれ、自由競争の結果とされる国際分業なるものが、全ての諸国にとりまして満足するとは限らないという事実をもって容易に理解されます。しかも、‘最も効率的な国際分業’である以上、たとえ自国が担うことになった‘役目’に不服があったとしても、半ば永遠に固定化されてしまうかもしれません。ITやAIなど先端技術の分野にあって圧倒的にテクノロジーの差が生じてしまっている今日では、過去の時代よりも遥かにキャッチアップが難しい時代でもあるからです。否、キャッチアップが可能な国は、中国やインドと言った人口並びに資源に恵まれた大国に限られているのが現実とも言えましょう。グローバル時代には、‘規模の経済’が優位要因として極めて強く働くからです。比較優位説に基づく自由貿易体制における分業に...自由貿易論の限界とグローバル理論の不在

  • 関税壁の復活は内需復活へのチャンスでは?

    国内政治にありましては、弱い立場の人々を扶けることは、政府の役割の一つとしされています。このため、所得や収入が低いといった恵まれない立場にある人や世帯に対しては、税を軽減したり、特別に支援金や手当を支給すると言った措置がとられています。所得レベルに比例して税率を上げてゆく累進課税も、弱者に配慮した制度と言えましょう。経済政策の分野でも、大企業と中小企業とは区別されており、一律に同一条件で法を適用するのではなく、後者に対しては条件を緩和するといった措置がとられることも珍しくはありません。こうした政策の根底には、全てのメンバーの生活を維持し、豊かさをもたらすという、公権力の存在意義があるからなのでしょう。それでは、今日の自由貿易主義やグローバリズムはどうでしょうか。今日に至るまで、これらの自由主義思想の基礎的...関税壁の復活は内需復活へのチャンスでは?

  • 米先物取引は農家に不利では

    昨年2023年8月において大阪堂島商品取引所で再開されたお米の先物取引は、米価高騰の時期と重なることから、値上がり原因の疑いがあります。先物取引再開には、堂島商品取引所のステークホルダーでもあるSBIホールディングスの強い働きかけがあったとされ、投機のチャンスを狙う金融筋の思惑が絡んでいるのは確かなことなのでしょう。農産物の先物取引については、投機マネーの流入が懸念されながらも、農産物価格の変動リスクをヘッジする役割を果たすとする肯定論があります。否、農家に対するリスクヘッジこそが、農産物の先物市場の存在意義とも言え、この役割なくしては、誰も同取引を正当化できないことでしょう。競馬や競輪などと同じく、単なる‘賭け事’となってしまうのですから。しかも、日本人の主食であるお米を賭け事の対象とするとなりますと、...米先物取引は農家に不利では

  • 米価高騰とグローバリズム

    国産米価格の高騰が続く中、グローバリズムの時代なのだから、時代の変化として受け入れるべきとする擁護論も聞えてきます。お米市場が自由化された結果であり、この現状を受入れ、海外から安価なお米を輸入すればよい、というのです。おそらく、農政改革を訴えるグローバリストの政治家の多くも、この路線で改革を推進したいのでしょう。しかしながら、グローバリズムを帝国主義や植民地主義という言葉に置き換えてみますと、この擁護論が如何に危ういものであるかが容易に理解されます。古代ローマ帝国は、今日に至るまで様々な学ぶべき教訓を人類に与えています。現代に生きる人々が反面教師とすべき教訓の一つが、‘パンとサーカス’です。肥沃なナイルのデルタ地帯に広大な穀倉地帯が広がるエジプトを征服したことで、イタリア半島には大量の安価な穀物が流入しま...米価高騰とグローバリズム

  • 米価高騰から経済における‘自由主義’を考える

    今般の米価高騰については、今後のさらなる値上がりや品薄も懸念されており、政府が備蓄米放出の方針を示しても、国民の不安が払拭されたわけではありません。食料品の全般的な値上がりもあって、国民生活は苦しくなるばかりです。この問題、実のところ、経済における自由主義に関する二つの‘思い込みの問題’を提起しているように思えます。その一つは、国内市場における一般的な自由主義であり、もう一つは、グローバリズムにも繋がる国際経済における自由貿易主義です。近代における経済自由主義の祖ともされるアダム・スミスは、その著書『諸国民の富』において自由主義経済の効用を論じています。‘神の見えざる手’は、人々の自由な経済活動が自然に富をもたらすことを上手に表現した言葉です。確かに、より豊かな生活を求めて多くの人々が経済活動に熱心になり...米価高騰から経済における‘自由主義’を考える

  • 馬脚を現わす日本国の政治家-ガザ難民受入

    去る1月25日、大統領に就任したばかりのドナルド・トランプ大統領は、ヨルダンのアブドラ国王との電話会談で、パレスチナのガザ地区の住民の受入を拡大するよう要請したと報じられています。翌26日には、エジプトのシーシー大統領に対しても同様の申し入れを行なったようです。アメリカでは、不法移民の強制退去が始まっているために、周辺諸国に対するガザ住民の受け入れ要求については、ダブル・スタンダードとしての批判があります。そして、昨日2月3日に、石破茂首相も、日本国におけるガザ住民の受入を検討すると発言したと報じられたことから、日本国内では反対の声が広がっています。仮に、アメリカの不法移民の強制退去が、出身国への強制送還であれば、ダブル・スタンダードの批判は免れたことでしょう。不法移民の強制送還は、何れの国でも実施されて...馬脚を現わす日本国の政治家-ガザ難民受入

  • 米価高騰は農政改革と関連するのか?

    多くの人々にとって、経済の仕組みが複雑に感じられ、分かりづらいのは、国民に公開されていない情報があまりにも多いからなのではないでしょうか。現実には、国民の目には見えないところで、教科書に記述されている範囲の知識や情報を遥かに超えた活動が幅広く行なわれているのですから。例えば、今般の米価高騰を見ましても、日本国民の多くは、何故、かくも米価が高騰するのか、その理由が分からない状態に置かれています。その理由は、お米に関する生産から小売りまでのあらゆる段階に加え、金融まで関わる不透明な部分、即ち、‘謎’が多いからです。例えば、日本農業協同組合(農協)や農林中央金庫(農林中金)の問題は今に始まったことではありませんが、外国債権の投資の失敗で生じた凡そ2兆円ともされる農林金庫の損失は、一体、どのような経緯で生じたのか...米価高騰は農政改革と関連するのか?

  • 米価高騰は国会で調査を-国政調査権の行使

    米価高騰は、川柳にも詠まれて話題になるほどの国民の関心事となっています。昨年秋の収穫時期を過ぎても価格が下がらないのですから、この先を案じる国民は少なくないはずです。高止まりどころか、さらなる値上がりを予測する声もあり、国民の不安は募るばかりです。しかも、米価高騰の原因やメカニズムにつきましては、政府からの国民に対する明確なる説明もないのです。このため、マスメディアであれ、ネットであれ、様々な憶測が飛び交うこととなりました。本ブログでも、先物取引原因説を唱えたのですが、詳細な情報も専門知識も欠ける上に、昨年春頃から始まる農林中央金庫の巨額損失、大阪堂島商品取引所での先物取引の復活、SBI証券の参入、買い占めの誘発など、関連性が強く疑われる一連の出来事からの推測に過ぎません。国民生活に直結する大問題でありな...米価高騰は国会で調査を-国政調査権の行使

  • 米価高騰は農家を扶けているのか?

    昨今の米価高騰については、現状の価格が農家にとりましては適正なのではないか、とする擁護論があります。政府が長期的に推進してきた減反政策とも相まって、お米の生産量が減少してきた理由は米価の低さにあるとする説です。採算が採れず、作れば作るほど赤字になるのでは、次世代の後継者が失われるのは当然であり、国民がこれまで通りに国産米の供給を望むならば、高価格は受忍すべきということになります。確かに、米価が採算割れを起こすような低価格であれば、日本国の農業はやがて衰退してゆくことでしょう。しかしながら、米作農家を一緒くたにして米価の高止まりをよしとするのは、いささか極論のようにも思えます。何故ならば、‘農家’には、既に農地の集約化を済ませた比較的規模の大きな農業事業者から山間部等の零細な農家まで様々であるからです。前者...米価高騰は農家を扶けているのか?

  • 米価高騰は「食料供給困難事態対策法」の対象になるのか

    報道によりますと、昨年2024年6月に国会で可決成立した「食料供給困難事態対策法」が、今年の4月1日から施行されるそうです。同法の目的は、食料が不足する事態に備え、‘兆候の段階から、政府一体となって供給確保対策を講ずる’ことにあり、どこか、緊急事態宣言の食料版のような印象を受けます。「政府の意思決定や指揮命令を行う体制やその整備」するというのですから。有事を想定してか、食料をめぐる政府の動きが活発化している様子も窺えるのですが、同法は、今般の米価高騰の問題性をも明らかにしているように思えます。4月1日からの施行に先立って、政府は基本的な運用方針を明らかにしています。お米を含む対象12品目については、国内供給量が2割以上減少し、価格高騰が発生した場合などを「食料供給困難事態」と規定しており、今般の米価高騰が...米価高騰は「食料供給困難事態対策法」の対象になるのか

  • 政府備蓄米放出と米相場の問題

    米価高騰の原因については諸説が入り乱れているものの、何れも説得力に欠けています。このため、複合要因説も唱えられることにもなったのですが、本ブログでは、先物取引をはじめとした投機マネーの流入、並びに、それに便乗する形でのバブル現象ではないかと疑っております。仮に、異常な値上がりが一種のバブルであれば、政府による備蓄米の放出は米相場に影響を与えますので、幾つかの留意すべき問題があります。最初に、政府備蓄米の放出によるプラス面を挙げてみることとしましょう。昨年のお米の作柄は6年ぶりに収穫量がアップしていますので、流通していない保管分を合わせれば、現状はお米不足の状態ではありません。となりますと、仮に、消費者への小売り段階で品不足であるならば、それは、さらなる値上がりを期待して人為的に供給が制限されていることを意...政府備蓄米放出と米相場の問題

  • 米価高騰の原因は投機?

    昨年から続いてきた米価の高騰は、秋の新米の収穫時期を過ぎ、年が開けても収まる気配はなく、国民の家計を圧迫し続けています。お米は主食なだけに、とりわけ所得の低い世帯や子育て世代では、お米の購入を諦めるか、控えざるを得ない事態に直面しています。多くの国民が早期の正常化を期待してきたのですが、政府の動きは余りにも鈍く、国民の苦境を敢て黙認してきた観さえあります。ここに来てようやく江藤拓農林水産大臣も、買い戻しの条件付きながら政府備蓄米の放出を口にするようになりました。去年の夏には、坂本元大臣が‘新米が出荷になるので米価高騰は落ち着くので、備蓄米は放出しない’旨を説明していましたので、江藤大臣は、米価の高騰の主たる原因が、需給バランスにおける後者の不足にあるわけではないことには気がついたようです。実際に、お米の作...米価高騰の原因は投機?

  • ‘政府の嘘’が最大の問題では-陰謀論作戦の背景

    ドナルド・トランプ米大統領が近日中の解除を約したケネディ大統領暗殺事件に関する機密文書については、おそらくウォーレン委員会の最終報告とは違った内容を含むのでしょう。仮に同報告書と何らの矛盾も齟齬もない文書であれば、かくも厳重に機密扱いする必要がないからです。かくして人々の関心も自ずと高まるのですが、今般の一件は、‘政府の嘘’の問題をも提起しています。今日、メディアでは、‘陰謀論’を見出しに含む記事が定期的に流されています。何れも、‘陰謀論’に嵌まってしまった家族や知人、あるいは、陰謀論が流布する現状を嘆くものであり、これらの記事からは、暗に‘陰謀を信じる人々を一般社会から排除しよう’あるいは‘まともに取り合ってはならない’とするメッセージが伝わってきます。執拗なまでの頻繁な記事に、これこそ世論誘導のための...‘政府の嘘’が最大の問題では-陰謀論作戦の背景

  • ケネディ大統領暗殺事件と陰謀論作戦

    2025年1月20日、アメリカではドナルド・トランプ氏が大統領に就任し、第二次トランプ政権が発足しました。その一方で、就任式に先立つ19日に、過去の三つの暗殺事件に関する機密文書を‘数日以内’に‘全て公開する’と同大統領が述べたことから、この日を待ち望んでいた人々には朗報ともなりました。三つの暗殺事件とは、1963年に発生し、全世界に衝撃が走ったジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件を含む、68年のロバート・ケネディ元司法長官並びにマーチン・ルーサー・キング牧師の暗殺事件の三件です。ケネディ大統領暗殺事件については、当初からオズワルド単独犯説は疑われており、ウォーレン委員会が提出した最終報告書にも現場の状況や目撃証言との食い違いや矛盾点があったことから、アメリカ国民のみならず多くの人々が陰謀の存在を疑うことと...ケネディ大統領暗殺事件と陰謀論作戦

  • 医療保険制度が蝕まれる理由

    近年、日本国内に住所をもつ中国人の人口が増加するにつれ、国民が深く懸念する事態が生じています。マスメディア等でも取り上げられてきたのですが、それは、医療保険の利用を目的とした中国人の日本国への移住です。この問題は、2012年に、原則として3ヶ月以上に日本国に滞在する予定の外国人に対して、日本国の社会保険への加入を義務付けたことから始まります。義務づけという言葉に惑わされがちですが、同改正は、住民基本台帳に登録されている外国籍の人であれば、日本国の各種社会保険制度に加入し、これを利用することができることを意味します。このような問題が生じるのですから、現行の医療保険制度には、何か盲点があるはずです。先ずもって、日本国政府は、公的年金制度と医療保険制度の両者を基本的に社会保険として一括りに扱っているようです。「...医療保険制度が蝕まれる理由

  • 危険に満ちた中国人観光ビザ緩和

    昨年2024年12月25日、日本国の岩屋毅外相は、訪問先の北京にて中国人向けの観光ビザを大幅に緩和する方針を示しました。日本国民にとりましては寝耳に水であり、国民的合意を欠いた政府の独断・独走であることは明白です。これでは、国境管理に関する措置ですので、住民から鍵と管理を預かる門番が、自分の利益のために勝手に門の扉を開けてしまったようなものです。さすがに日本国内の世論も同措置に反発し、岩屋外相、否、日本国政府に批判が集中することにもなったのですが、中には、経済効果を期待して、同措置を千載一遇のチャンスを掴んだとして評価する声も聞えます。日本国に多大なる利益をもたらすというのです。対中ビザ緩和策に対する日本国利益論の根拠となるのは、同緩和策の目玉となる富裕層を対象とした10年間の有効期間を持つ「観光マルチビ...危険に満ちた中国人観光ビザ緩和

  • 「日本の不動産に1兆円」-投資ファンドはグローバリストの先兵?

    「日本の不動産に1兆円」とは、昨日1月19日付の日本経済新聞の一面に掲載されていた記事の見出しです。同記事の内容は、アジア系投資ファンドのPAG(PacificAllianceGroup)が、今後3年間において1兆円規模の日本国内の不動産投資を予定しているとするものです。PAGは、不動産や未公開株等を主たる投資先とする代替投資会社と称される投資ファンドの一種あり、プライベート・エクイティ・ファンドとも呼ばれるものです。プライベート・エクイティ・ファンドについては、債務不履行の窮地に陥った貧困国から同国が発行した公債を買取り、債務削減交渉を拒絶して容赦なく債務返済を迫る行為がこれまでの問題視されてきており、この側面だけを見ましても、全てではないにせよ、投資ファンドというものの植民地主義的な行動パターンが伺え...「日本の不動産に1兆円」-投資ファンドはグローバリストの先兵?

  • 中国人東大生12%の衝撃-グローバリズムの理不尽

    報道に寄りますと、東京大学の中国人学生は、学部と大学院を合わせて3,396人に上るそうです。全在学生の数が凡そ27500人とされていますので、実に12%が中国人学生と言うことになりましょう。日本国政府は、長年に亘り、中国人留学生の受け入れ拡大を政策的に推し進め、今日では、多様性の尊重を旗印にグローバリズムの先鋒と化していますが、この数値は、グローバリズムが如何に一般の国民にとりましては不経済であり、かつ、リスクに満ちているかを実数で表しているように思えます。グローバリズムを金科玉条の如くに信奉している人々は、この数字をグローバリズムの成果として見なし、頬を緩ますかも知れません。また、大学の国際ランキングでは多様性は重要な評価基準ですので、中国人を筆頭とする外国人の在籍者数の増加は、ランキングアップに血眼に...中国人東大生12%の衝撃-グローバリズムの理不尽

  • グローバリズムは‘デジタル帝国’をもたらす

    グローバリズムとは、‘規模の経済’が絶対的な優位性を与えますので、規模の如何が企業間並びに国家間競争に多大なる影響を与えます。その一方で、もう一つ、グローバリズムにあって圧倒的な優位性を約束するのがテクノロジーです。テクノロジーにあって他に先んじる企業は、国境を越えて易々と自らのシェアを拡大してゆきますので、規模とテクノロジーの両者は車の両輪のような働きをするのです。このテクノロジーに注目しますと、今日のコンピュータを含む情報処理・通信産業の発展は、グローバル時代における経済植民地化に拍車をかけたとしか言いようがありません。第一に、上述したように、テクノロジーが競争上の優位性を約束する要因ですので、これは、高度で先端的なテクノロジーを有する国や企業にしか、同産業に参入するチャンスが殆どないことを意味します...グローバリズムは‘デジタル帝国’をもたらす

  • 企業買収と経済植民地主義

    第二次世界大戦後、植民地主義は終焉したと見なされがちです。確かに、アジア・アフリカ諸国の多くが独立し、植民地は、地球上から姿を消したようにも見えます。しかしながら、植民地は消えたとしても、植民地主義は、別の形で残っているようにも思えます。植民地主義とは、自国の国境線を越えた領土や勢力範囲の拡張を是とする考え方であり、‘帝国主義’とも言い換えることができるかもしれません。強者の論理であり、この世界では、強い者が弱い者から奪うことが是認されます。その一方で、敗者や弱者の側は、支配される側として虐げられることを意味します。実際に、植民地主義が蔓延していた時代には、宗主国が現地の統治権を奪うのみならず、植民地とされた諸国の領域内にある資源や権益は持ち去られ、一般の住民達もプランテーション等での労働を強制されたり、...企業買収と経済植民地主義

  • 企業買収の反倫理性-経済における自由のパラドックス

    自由とは、しばしば‘他者の意思に従属しないこと’として説明されています。‘自由な市民社会’という言葉も、ヨーロッパにあって中世の身分社会が崩壊し、個々人が対等な立場にあって自らの意思に基づいて生きることができる社会の到来の表現したものです。もちろん、‘全て’の人々の自由を護るには、相互に他害行為を抑制する規範やルールが必要なものの、自由とは、本来、独立した主体性を意味しており、これを奪うことは、他者に対する不当な侵害行為と見なされるのです。この観点から見ますと、今日の自由主義経済には、その名とは裏腹に、自由、否、主体性の侵害を許す側面があります。この側面は、自由の最大化を目指す新自由主義に顕著なのですが、株式会社が経済活動の主体としての基本モデルとなったために、株式の取得等により、他社を自らの支配下に置い...企業買収の反倫理性-経済における自由のパラドックス

  • ‘企業売買’は許されるのか?

    人身売買と言えば、誰もが眉を顰め、人類にはあってはならないものとして批判するものです。奴隷市場が公然と開設され、奴隷達が取引されていたお話を聴けば、それは過去の野蛮な時代の悲劇として、誰もが奴隷になりかねない時代に生きた人々に深い同情を寄せることでしょう。今日では、人を売買することは、売る側が自分自身であったとしても犯罪であり、法律によって固く禁じられています。人身売買の禁止は、人類の道徳・倫理の精神的成長を示す証とも言えましょう。ところが、経済の世界を見ますと、実のところ、企業の売買は許されています。人身売買の罪の本質が、他者の自己決定権とも表現される主体性を失わせ、自らの意思に従属させるところにあるとしますと、何故、人がだめで企業が許されるのか、その合理的な説明は難しくなります。どちらも、主体性の侵害...‘企業売買’は許されるのか?

  • USスチール買収問題が示すグローバリズムの野蛮性

    アメリカのジョー・バイデン大統領が日本製鉄によるUSスチールの買収を禁じる大統領令を発令した一件については、中国の反応が注目されるところです。中国共産党の機関紙である人民日報系の環球時報は、日本企業を「がっかりさせた」と論評しています。中国は、アメリカにシャットアウトされたかに見える日本製鉄、並びに、日本政府にすり依り、同事件を契機に日米離反を試みようとしたのでしょうか。あるいは、対中関税の大幅な引き上げを公約とするトランプ政権の発足を前にして、自国と日本国の立場を同一視し、アメリカの保護主義を批判したいのでしょうか。両者が入り交じった見解なのでしょうが、国営新華社通信は、「米国が国家安全保障をむやみに用いた新たな事例の一つにすぎない」と報じていますので、どちらかと言えば、後者、即ち、政治的な理由をもって...USスチール買収問題が示すグローバリズムの野蛮性

  • USスチール買収問題で交渉すべきは‘有事の鉄鋼供給’では?

    日本製鉄によるUSスチールの買収については、鉄が所謂‘戦略物資’であり、かつ、鉄鉱石の調達にはじまる生産、供給。運搬能力が戦争の行方をも左右することから、相当なる政治、否、安全保障上の問題であることが理解されます。アメリカが、全米で2位のシェアを占めるUSスチール社を手放したくない理由は、アメリカの軍事力とも直結するからなのでしょう。グローバリズムの問題に進む前に、本日は、有事における鉄鋼供給の問題について述べておきたいと思います。たとえ戦場における戦闘において自軍が勝利を収めたとしても、戦争自体には敗北するというケースは珍しくはありません。兵站が途切れてしまったり、兵器等を製造する能力が乏しい、あるいは、原材料が入手不可となったり、破壊されてしまいますと、敗戦は必至となります。人が生きるのに必要な食料の...USスチール買収問題で交渉すべきは‘有事の鉄鋼供給’では?

  • USスチール買収が何故安全保障の問題なのか-鉄と戦争

    アメリカのジョー・バイデン大統領が、大統領令をもって日本製鉄によるUSスチールの買収を禁じた一件については、昨日1月7日に、経団連、日本商工会議所、並びに、経済同友会の3団体のトップが顔を揃えて同措置を批判する記者会見を開いています。その主たる批判点は、安全保障上の理由から買収が禁止されたところにあるようです。自由主義経済を守ってきたアメリカが、このような措置を執れば、むしろ安全保障上のリスクとなる日米離反が起きかねないとして。尤もな主張のようにも聞えるのですが、同批判は、日本国側の安全保障に関する認識の甘さを露呈しているようにも思えます。企業買収や合併等の本質的な問題性については後に論じるとしましても、今般の買収劇の舞台が製鉄分野であったことには留意する必要がありましょう。仮に、買収案件がファッション系...USスチール買収が何故安全保障の問題なのか-鉄と戦争

  • USスチールの買収は断念が賢明では?

    アメリカのバイデン大統領が下した日本製鉄によるUSスチール買収禁止の決断は、目下のところ、日本国内において対米感情を悪化させているようです。当事者である日本製鉄も、日本国政府の後押しもあってか、アメリカ政府を相手取って訴訟を起こす方針を固めています。同件について日本国側の主要な批判点の一つは、日本企業に対して安全保障上のリスクが指摘されたことです。同盟国でありながら、アメリカの安全を脅かす存在として日本企業が認識されたからです。しかしながら、日本国側の批判には、日本国自身をも窮地に陥れるような幾つかの問題点を含んでいるように思えます。アメリカの制度には、海外企業による自国企業の買収について審査を行なう対米外国投資委員会(CFIUS)が設けられています。日本製鉄側は、同手続きの不備を問題視すると共に、買収禁...USスチールの買収は断念が賢明では?

  • USスチール買収措置が提起するグローバリズムの問題

    新年を迎え、お正月の行事に賑わう1月3日、アメリカのジョー・バイデン大統領は、日本製鉄によるUSスチールの買収を禁じる大統領命令を発しました。2兆円規模とされる同買収案は、2023年12月に日本製鉄側が提案しており、同年4月には、USスチール側も臨時株主総会で同案を承認しています。両者合意の上の友好的買収ですので、同案の実現には然程の障害はないようにも見えたのですが、USスチールが粗鋼の世界市場では24位でありながらも、全米では第2位のシェアを誇るアメリカを代表する大手製鉄企業であったため、様々な方面から反対の声が上がることとなにもなったのです。先ずもって同案に反対したのが、USスチールの労働者も加盟する全米鉄鋼労働組合(USW)です。通常、企業買収に伴って大規模なリストラが実施されますので、USスチール...USスチール買収措置が提起するグローバリズムの問題

  • 新年のご挨拶

    謹んで新年の祝詞を申し上げますこのひととせも皆様方がお健やかに過ごされますよう心よりお祈り申しております本年もどうぞよろしくお願いいたします*ブログ記事につきましては1月6日(月)より再開を予定しております。新年のご挨拶

  • 選挙公約には‘必須項目’が必要では?

    今日の日本国の政治の世界を見ますと、‘権力を握っていれば、何でもできる’とする傲慢さに満ちています。この態度は、与党も野党も変わりはなく、前者が特に‘あこぎ’に見えるのは、政権の座にあるからなのでしょう。選挙期間にあっては平身低頭で自らへの支持をお願いしながら、選挙が終わった途端、支配者然として振る舞うのですから、イギリス人は選挙の間のみが自由であって、選挙が終われば‘奴隷’であるとする、18世紀に生きたジャン・ジャック・ルソーが指摘した通りでもあります。ルソーの時代から250年余りが経過し、民主主義の価値が定着したとされる今日にあっても、民主主義国家の証とされる自由選挙は形ばかりに過ぎないようです。それでは、何故、民主主義の制度的な発展は停滞したままであり、国民は、‘奴隷’状態のままに置かれているのでし...選挙公約には‘必須項目’が必要では?

  • 忘却されている国民の課税同意権

    民主主義と言えば、とかくに選挙における参政権と凡そ同義に捉えられがちです。かのエイブラハム・リンカーン大統領による「人民の、人民による、人民のための政治」という‘定義’も、民主主義の価値とは、‘人民’が自ら政治を行なうことにある、とするイメージを強めてきました。この民主主義の一般的なイメージは、共和制の連邦国家として誕生したアメリカ合衆国が民主主義の先端的なモデルとなってきたことにもよるのでしょう。しかしながらその一方で、議会制民主主義の歴史的な発展過程を振り返りますと、国民が参政権を得るに至った‘プロセス’を知ることができます。アメリカのように最初から民主主義国家として建国された国は少数であり、大半の諸国は、君主制から民主制への移行プロセスを経て今日に至っているのです。議会制民主主義発祥の地は、イギリス...忘却されている国民の課税同意権

  • 国会議員は国が承認したワクチンを疑ってはならない?

    レプリコンワクチンを製造販売しているMeijiSeikaファルマ社が、損害賠償を求めて原口一博議員を訴えた件については、幾つかの考えるべき疑問点があるように思えます。その一つは、原口議員一人が被告とされたのは、国会議員の地位にあったからとする同社の説明です。体内で自己増殖を行なうレプリコンワクチンの危険性について、最初に指摘をしたのは原口議員ではありません。そもそも同議員は、従来型のワクチンが原因とみられる健康被害に苦しんだ自らの経験からmRNAワクチンそのものに対して危険性を訴えてきたのであって、新型のレプリコンワクチンについても、ワクチン被害者の立場から批判したに過ぎないのです。同社がネット上で12月25日に公開した「訴訟提起に関するお知らせ」を読みますと、同議員が「コスタイベ」について誤った知識を拡...国会議員は国が承認したワクチンを疑ってはならない?

  • Meiji Seikaファルマ社はスケープゴートなのか?

    新型のレプリコンワクチンをもってワクチン事業に参入したMeijiSeikaファルマ社は、ワクチン被害の広がりを前にして逆風に晒されています。危機感を募らせる中、同社は、昨日の12月25日には、ワクチンの危険性を訴えてきた立憲民主党の原口一博衆議院議員に対して名誉毀損に基づく損害賠償を求める訴訟を東京地方裁判所に提訴するに至りました。この訴訟、考えてもみますと、首を傾げざるを得ない諸点が散見されます。先ずもってワクチンをめぐる損害賠償請求訴訟であるならば、ワクチンの開発・製造販売を手がけた製薬会社が健康被害を受けた側から訴えられるのが、一般的な構図のはずです。今般のケースでは、被告席ではなく原告席に製薬会社側が座っているところに、ワクチン訴訟としての奇妙さがあります。もちろん、‘攻撃は最大の防御’とも言われ...MeijiSeikaファルマ社はスケープゴートなのか?

  • Meiji Seika ファルマの社員出版批判は藪蛇では?

    2023年9月18日、コロナワクチンの危険性を訴える『私たちは売りたくない!危ないワクチン販売を命じられた製薬会社現役社員の慟哭』という書籍が発売されました。同書はAmazonの総合書籍ランキングで1位を獲得するほどの反響を呼んでおり、一般国民のワクチン問題への関心の高さも示しています。その一方で、同書は、名指しで批判されることとなった製薬会社MeijiSeikaファルマの怒りをも買うことにもなったのです。『私たちはうりたくない』は、製薬会社MeijiSeikaファルマに勤める現役の社員たちが書いたとするスタイルを採っています。執筆のきっかけとなったのは、全く健康に問題のなかった同社の若手社員がコロナワクチン接種により突然に死亡するという痛ましい出来事に遭遇したことにあります。このとき、MeijiSeik...MeijiSeikaファルマの社員出版批判は藪蛇では?

  • 「ミヤネ屋」放送の火災映像はフェイク?

    先月11月27日に東京都文京区にて発生した猪口邦子参議院議員宅の火災に際し、日本テレビ系の情報番組「情報ライブミヤネ屋」が火災直後の様子を撮影したとされる映像を報じたことから、SNS等で批判を浴びることとなりました。BPO(放送倫理・番組向上機構)にも、12月19日までに250件の苦情が寄せられたと報じられております。同映像に関する批判の多くは、映像があまりにもショッキングであるため、ご遺族への配慮を欠いているというものです。同火災では、ご家族となるお二人の方が亡くなられたことが既に確認されており、動画に映されていた炎を前にしたベランダの女性もその内のお一人である可能性があるからです。逃げ遅れた方の様子を放送するのは無神経で残酷であり、放送倫理に反するということなのでしょう。確かに同主張には一理も二理もあ...「ミヤネ屋」放送の火災映像はフェイク?

  • お米の先物取引は即刻廃止すべき

    秋の収穫期も過ぎ、年の瀬も押し迫っている今日、凡そ2倍に高騰したお米の価格は一向に下げる様子は見られません。収穫量も十分に確保されているはずなのに、お米の集荷業者間では‘争奪戦’が続いているというのです。この‘異常現象’も、あるいは、大阪堂島商品取引所で始まったお米の先物取引の影響であるのかもしれません。商品の先物取引一般には、通常、限月における現物の受渡しを伴います。このことは、先物取引への投資額が増えるほど、消費者とは無関係な次元でのお米の取引量が増加することをも意味します(「受渡決済」)。もっとも、大阪堂島商品取引所におけるお米の先物市場につきましては、現物の受渡しを伴わない形での決済も行なわれているようです。取引参加者の大半は、農家、農協、卸売業者等の当事者ではない「非当事者」即ち、証券会社や内外...お米の先物取引は即刻廃止すべき

  • 日本国政府の米価高騰に対する奇妙な沈黙

    昨今の米価高騰について、その原因として先物取引等の投機マネーの流入が推測される理由は、日本国政府の沈黙にあります。物価高につきましては、ガソリンや電力・ガス等に対する対策は一先ず練られていても、凡そ全ての国民のエンゲル係数を上げる米価高騰につきましては、対策らしい対策を採ろうとはしていないのです。マスメディアもまた、この件については沈黙を守っています。この現象は、如何にも不自然なのです。主食である米価が2倍にも跳ね上がれば、通常は、一揆が起きてもおかしくありません。もちろん、‘飽食の時代’とも称されておりますように、今日では、お米の価格が高くとも、小麦やトウモロコシなどの他の食品で代替できます。このため、過去の時代よりも深刻度は低いのでしょうが、それでも、食卓にご飯のお茶碗が添えられている家庭が圧倒的に多...日本国政府の米価高騰に対する奇妙な沈黙

  • SBIホールディイングスが先物取引を再開させた理由

    今年8月の大阪堂島商品取引所におけるお米の先物取引の再開につきましては、同取引所の凡そ3割の株を保有するSBIホールディングスの強い働きかけがあったと指摘されています。同取引所と民間の一企業との関係は、市場の運営者と事業者の癒着が生じますので、独占禁止法に抵触する可能性もありましょう。それでは、何故、SBIホールディングスは、お米の先物取引に手を出したのでしょうか。お米の先物取引については、既に2011年から試験的に実施されていたのですが、参加事業者が集まらないことを理由に農林水産省が許可を与えず、2023年には一端終了しています。お米の先物取引については、過去においても米価高騰の要因となり、国民生活を苦しめてきた歴史がありますので、農林水産省が二の足を踏むのも当然と言えば当然なことです。ところが、202...SBIホールディイングスが先物取引を再開させた理由

  • お米の先物取引が米価を上げる理由

    大阪堂島商品取引所で今年の8月から再開されたお米の先物取引は、米価高騰の一因となっているようです。それでは、何故、先物取引がお米の価格を押し上げるのでしょうか。この価格上昇のメカニズムは、‘人とは自らの利益を最大化するために行動する’と仮定しますと、容易に理解することができます。先物取引では、現在の取引価格よりも将来の限月における価格が上昇した場合、両者の差額による差益が生まれるのは‘買いヘッジ’です。このため、先物市場で高値が付いている場合には、同市場で取引に参加していない人々までも、大凡の将来における値動きを予測することができるのです。将来的な価格上昇が見込まれるからこそ、‘買いヘッジ’において高値が付くからです。先物市場での高値は、将来における値上がりの‘サイン’とも言えましょう。先物市場における価...お米の先物取引が米価を上げる理由

  • 米価高騰を推理する-先物取引原因説

    不思議なことに、主食であるお米の価格が2倍近くにも跳ね上がるという異常事態にありながら、マスメディアのみならずネット上では同問題に関する情報が圧倒的に不足しています。物価高が先の衆議院議員選挙における自公政権の敗因理由の一つでありながら、石破政権もまた、国民生活を護るために対策に乗り出す様子も見られません。‘令和の米騒動’と称されながら、政府は積極的な説明も対策も怠っており、この‘沈黙’には何らかの意図が隠されているようにも思えてきます。余りにも不自然なのです。昨日の記事で述べたように、インバウンド説、猛暑説、肥料価格高騰説、輸送コストアップ説の何れもが説得力に乏しいとしますと、真の原因は、別のところにあるのでしょう。そこで、情報不足の状況にありながら、幾つかの推理を試みてみたいと思います。第一の推理は、...米価高騰を推理する-先物取引原因説

  • 日本国の米価高騰は人災か?

    2024年は、異常なまでのお米価格の上昇に見舞われた年でした。夏頃には平年ですと5キロ2000円台程度であったお米の小売り価格があれよあれよという間に3000円台に上昇し、秋の収穫期が過ぎた今日でも、一向に価格が下がる気配はありません。4000円台や5000円台のお米も珍しくはないのです。米価格だけを見れば、50%から100%を越えるインフレ率ともなりましょう。お米は日本人の主食ですので、急激な米価高騰は国民生活を直撃します。ところがこの状態を、日本国政府は、全くと言ってもよいほどに放置しているのです。今般の米価高騰については、様々な理由が挙げられていますが、一体、どこに原因があるのでしょうか。米価高騰の原因の一つとされるのは、コロナ禍収束後におけるインバウンドによる需要の増加です。需要増を受けて国内の米...日本国の米価高騰は人災か?

  • 否定できない新型コロナパンデミック陰謀説

    2019年12月に中国の武漢市に始まるCovid19パンデミックにつきましては、発生当初より、SNS等では様々な憶測が飛び交ってきました。もちろん、中には陰謀説もあったのですが、同パンデミックから凡そ5年が経過した今日では、マスメディアやウェブ上で公開されている情報だけからでも、ある程度は真実に迫ることができるようになりました。そして、同ウイルスについては未だに不明な点は多いものの、点と点が線となり、やがてこれらの分散されていた線が一つのキャンパスに吸い寄せられてゆくと、素描ではあれ、そこにはやはり陰謀の姿が浮かび上がっているように思えるのです。陰謀の実在性は、ここ凡そ十日間におけるCovid19パンデミックをめぐる動きからも容易に推測されます。先ずもって、12月2日に、アメリカの議会下院の特別委員会は、...否定できない新型コロナパンデミック陰謀説

  • どうして企業・団体献金は‘だめ’なのか

    自民党のパーティー券に端を発した政治資金の問題は、先の衆議院議員選挙にあって自民党の議席激減の一要因として指摘されたように、多くの国民に政治腐敗の元凶として認識されています。今般の一件では、収支報告書の記載における不正が‘裏金’として咎められたものの、企業・団体献金自体は、政治資金規正法等の法律に従っていれば許されています。このため、先の選挙では、立憲民主党や日本維新の会など、公約に団体献金の全面的な禁止を掲げた政党も現れることとなりました。とは申しますものの、企業・団体献金の禁止については、幾つかの側面から反対意見があります。果たして、これらの反論には、合理性や説得力があるのでしょうか。今月10日に開かれた衆議院予算員会での石破首相の答弁からしますと、先ずもって、反対論の根拠としては、‘憲法第21条への...どうして企業・団体献金は‘だめ’なのか

  • 「ブダペスト覚書」の教訓-日台同時核武装が対中戦争を防ぐ

    ウクライナ戦争を誘発した遠因として、しばしば「ブダペスト覚書」に基づくウクライナの核放棄が指摘されています。同覚書によって、ウクライナは同時に核の抑止力をも失ったからです。事実を直視しますと、「ブダペスト覚書」とは、NPTの縮図にも見えてきます。核兵器を手放したウクライナと核放棄の見返りに同国の安全を保障したアメリカ、イギリス並びにロシア等との関係は、NPTにおける非核保有国と核保有国との間の関係との相似形であるからです。ウクライナは、結局、約束を反故にされて騙される形となったのですが、核保有国による核兵器使用の可能性が高まる今日、核攻撃のリスクに晒されている非核保有国の多くでは、核保有国、否、NPT体制の背後で蠢いてきた世界権力によって‘騙された’とする感情が湧いていることでしょう。もっとも、ウクライナ...「ブダペスト覚書」の教訓-日台同時核武装が対中戦争を防ぐ

  • 日本国は台湾有事で第二のウクライナに?

    非核保有国であるウクライナの運命は、同国と同じく核を保有していない日本国ともオーバラップします。「ブタベスト覚書」が存在しながら、‘核の傘’を提供する国が現れなかったように、日米同盟が存在していても、必ずしも‘核の傘’が開くとは限らないからです。核保有国と非核保有国との間の絶対に越えることができない軍事力の差は、NPTを遵守してきた非核保有国にとりましては死活問題となります。この点に注目しますと、東アジアにおける台湾有事は、アメリカを介して日本国をも第二のウクライナの立場に追い込むリスクがあります。アメリカと台湾との準同盟関係が日米同盟に連鎖する可能性が極めて高いからです。否、アメリカ側は既に自衛隊の参加を織り込み済みなのでしょうし、日本国側も効果的な日米合同軍事行動の実現を目指して着々と法整備を進めてい...日本国は台湾有事で第二のウクライナに?

  • NPT時代の残酷な戦争

    ウクライナ紛争は、それが非核兵器保有国と核兵器保有国との間の戦争に発展したため、NPT体制を根底から問い直す機会ともなりました。何故ならば、50年代に始まるNPTの成立過程にあって、核保有国対非核保有国との間の非対称な戦争は想定されていなかったからです。戦後、アメリカの核独占状態が崩れ、ソ連邦をはじめ各国が核兵器を開発・保有に成功する中、核兵器の拡散を防ぎ、核戦争の恐怖から人類を解放することが、NPTの主たる目的であったのですから。言い換えますと、核戦争の未然防止策として始まったのが、同条約に基づく核放棄の義務化であったのです。因みに、1958年にNPT構想を発案したのは、当時、アルランド外相であったフランク・アイケン(FrankAiken)であったとされます。未然防止策とは、時にして、その防止したはずの...NPT時代の残酷な戦争

  • NPT体制維持のための茶番劇か-ウクライナの単独核武装を拒む勢力

    ゼレンスキー大統領による停戦提案につきましては、NATO側はウクライナの早期加盟に否定的な態度を示す一方で、ウクライナに対する継続的支援については積極的な姿勢を見せています。その背景には、戦争ビジネスの温存があるのでしょうが、軍事同盟の連鎖経路を断つことによる第三次世界大戦の回避、並びに、同戦争に伴う関係諸国の国民の負担や犠牲等を考慮しますと、ウクライナの単独核武装こそ、現下にあっては最も望ましい方向性のように思えます。しかしながら、ウクライナの単独核武装が現状における最適解でありながらも、何故か、国際社会ではこの選択肢を潰そうとする人々が湧き出てきます。敵味方に関係なく、あたかも全員が結託しているかのように・・・。ウクライナの核武装につきましては、先ずもってロシアのプーチン大統領が脅しをかけています。ロ...NPT体制維持のための茶番劇か-ウクライナの単独核武装を拒む勢力

  • NATOによるウクライナ加盟拒否の思惑

    ウクライナのゼレンスキーが提案したNATO加盟とロシア占領地域の現状維持をセットとした停戦案は、早くもNATO側の加盟拒否という壁にぶつかってしまったようです。冷静に未来を予測すれば、何れか一方によって停戦が破られた時点で第三次世界大戦に発展しかねないのですから、NATO側もおいそれとは加盟を認めるはずもありません。盧溝橋事件をはじめ、戦争の発端が何者か、あるいは、第三者による工作であった疑いのある場合も多く、当事者双方が遵守しようとしても、外部者の思惑によって停戦の合意が破られるリスクもあります。つい数年前の2022年9月に起きた「ノルドストリーム」爆破事件でさえ、真相が全て明らかになっているわけではありません。この事件では、デンマーク沖のバルト海に敷設されていた天然ガスの海底パイプラインが、何者かの手...NATOによるウクライナ加盟拒否の思惑

  • ゼレンスキー提案はミュンヘンの宥和の再来?

    アメリカにおける第二次トランプ政権の発足を前にしてウクライナのゼレンスキー大統領が提示した和平案は、既に暗礁に乗り上げているようです。昨日の12月3日からベルギーのブリュッセルにてNATOの外相会議が始まりましたが、この席でも、アメリカやドイツ等の主要国もウクライナのNATO加盟には難色を示していると報じられています。もっとも、アメリカの消極的な姿勢はバイデン現民主党政権によるものですので、来年1月にトランプ政権が発足した以降は、トランプ大統領が自らの選挙公約を果たすためにゼレンスキー提案に乗ってくる展開もあり得ないわけではありません。しかしながら、世界大戦というものが、世界権力による誘導であった可能性を考慮しますと、ゼレンスキー提案は大いに警戒すべきです。そして、ここで思い出されますのが、イギリスの痛恨...ゼレンスキー提案はミュンヘンの宥和の再来?

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