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経済なんでも研究会 https://economy33.blog.fc2.com/

経済問題の分析、解説。特に政府の政策に対する批判。いくつかの大学で教科書代わりに利用されています。

最近の例では、1000円高速料金やエコポイントへの批判。景気回復の芽をいち早く探し出しています。またアメリカのGMやクライスラーが破産法の申請しか可能性がないことも、数か月前から予想しています。 原則として祝日以外は、記事を更新。株価の上昇、下落も毎日予想しています。これまで3年間の騰落予想では、勝率が約7割。証券マンの読者も少なくありません。

経済なんでも研究会
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2009/05/24

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  • 世界第5位に落ちる 日本のGDP

    ◇ 原因は成長政策の欠如とゼロ金利 = IMF(国際通貨基金)は「インドのGDPが25年中に日本を上回る」という推計を発表した。かつて日本はアメリカに次ぐ世界第2位の経済大国だったが、中国とドイツに抜かれて、現在は第4位。インドに抜かれれば、第5位に転落する。人口がバカ多い新興国だから仕方がないと言ってしまえばそれまでだが、世界の多くの人たちに「日本は老衰した昔の経済大国」といったイメージを植え付けたり...

  • 上場廃止が なぜ流行る? (下)

    ◇ ‟上場”の意味を考え直すチャンスかも = 上場廃止は、いまに始まった現象ではない。たとえばリーマン・ショック後にも増加したが、当時の原因はほとんどが経営不振。倒産したり、上場基準を維持できずに市場から撤退した。これに対して昨今の離脱は、経営者が意図して決定する、一種の”積極的な戦略”。ただし一般的に言うと、外部や一般株主による提案や要求から逃れるための‟消極的な目的”による場合が少なくない。たとえば東...

  • 上場廃止が なぜ流行る? (上)

    ◇ 昨年は過去最多65社が消えた = 東芝、大正製薬、ベネッセ--だれでも、これらの社名は知っている。だが「この3社の共通点は何?」と聞かれて答えられるのは、株式投資家だけかもしれない。正解は「いずれも昨年、上場を止めた会社」である。調査会社レコフデータによると、上場廃止を目的としたTOB(株式公開買い付け)を実施した企業は、昨年65社にのぼった。買い付け金額は5兆3600億円で、前年の3.8倍に達している。...

  • 日銀は 目を醒ませ!

    ◇ ひと声吠えれば物価が下がる = 日経平均は先週2455円の大幅安を演じた。半導体や輸出関連、内需株も売られている。特に注目されたのは、円安が進んだのに輸出関連銘柄が売られたこと。円相場が154円台にまで下落し、輸入原材料やエネルギーの高騰が企業収益を圧迫するという心配が強まったためである。また同じ理由から物価が上昇、消費が抑制されるという懸念から内需株も売られた。円安が進んだため、政府・日銀による為替...

  • 今週のポイント

    ◇ 下降局面に入った? 株価 = ダウ平均は先週わずか3ドルの値上がり。終り値は3万8000ドルに乗らなかった。前週も前々週も900ドル台の下落だったのに、反発は微々たるものに終わっている。3月の小売り売上高が予想を上回り、FRBによる利下げが遠のいた。年内3回の見通しが1回に縮小。このため買われ過ぎていた半導体を筆頭に、輸出関連、内需関連の銘柄が売られている。そこへ中東情勢の悪化が加わった。日経平均は先週2455...

  • EV戦線 異状あり

    ◇ 日本メーカーに再浮上のチャンス = EV戦線のトップを走っていたアメリカのテスラが不調に陥った。業績の不振から、世界で従業員の10%以上を削減する方針を発表、大きな反響を呼んでいる。1-3月期の世界販売台数は38万6810台、前年より9%減少した。お膝元のアメリカでは充電網の整備が遅れているところへ、金利が上昇して需要が減退。中国ではBYD(比亜迪)などの値下げ戦略に対抗できなかった。BYDは中国のEVト...

  • 日本人-84万人 外国人+24万人 (下)

    ◇ 人手不足はずうーっと続く = 生産年齢人口(15-64歳)は7395万2000人で、前年より25万6000人減った。ピークだった1995年に比べると15%も減少している。当然、人手は不足する。この人手不足を補う方策は大別すると4つ。①女性や高齢者を労働市場に引き出す②雇用の流動性を高める③外国人に来てもらう④機械化・ロボット化・AI化を進めて生産性を上げる--これらが効果を十分に上げなければ、人手不足は解消しないだろう。女...

  • 日本人-84万人 外国人+24万人 (上)

    ◇ 15年間で静岡県に匹敵する人口が消えた = 総務省は先週12日、23年10月1日時点の人口推計を発表した。それによると、総人口は1億2435万2000人で前年より59万5000人減少した。減少は13年連続。このうち日本人だけをみると、総人口は1億2119万3000人で前年比83万7000人の減少。外国人は315万9000人で24万3000人の増加だった。総人口のピークは08年の1億2808万人だったから、それから15年間で373万人も減ったことになる。都道府県...

  • 為替介入をめぐって 交錯する思惑

    ◇ ドル高はG20会議でも主要な議題に = 円の対ドル相場は154円台にまで下落した。アメリカで3月の物価上昇率が拡大、FRBによる利下げが遠のいたという観測が強まって金利水準が上昇。日米間の金利差が拡大したためである。だが実に34年ぶりの安さになったのに、政府・日銀は介入しなかった。なぜ介入しなかったのか。相場がどこまで下落したら介入するのか。市場では疑問と思惑が渦巻いている。先週は日米首脳会談のため、岸田首...

  • 今週のポイント

    ◇ アメリカのインフレが再燃? = ダウ平均は先週921ドルの大幅な値下がり。5日間の続落で、終り値は3万8000ドルを割り込んだ。3万7000ドル台は1月24日以来のこと。原因は3月の物価が反転上昇したことにある。消費者物価は前年比3.5%の上昇で2月の3.2%を上回り、生産者物価も2.1%の上昇で2月の1.6%を上回った。これでFRBによる利下げは遠のいたという観測が強まり、金利が上昇、株価は下落した。中東情勢の悪化も、株価を下...

  • 不信の連鎖 少子化対策の支援金

    ◇ とても単純な誤りとは思えない = 3月29日。こども家庭庁が少子化対策の財源にする支援金について、1人当たりの負担額を試算し公表した。それによると、大企業の社員は月額500円、中小企業の社員は月額450円、公務員は600円。また自営業者は400円、後期高齢者は350円、低所得者は50円となっている。国民1人当たりの負担額は月450円。さらに賃上げが進めば「国民の負担は実質的にゼロになる」と、岸田首相が得々として解説した...

  • 金(きん)は 嵐の夜に輝きを増す (下)

    ◇ 日本は円安で値上がりがさらに増幅 = 金価格を押し上げる経済的な要因は数多いが、最も大きいのはインフレだろう。物価が上がれば、通貨の価値は下がる。その損失を避けるために、インフレで価値が上がる金を買う。歴史的にみても、インフレ時には金が買われた。また株価が下がると、金が上がることも多い。投資資金を一時的に安全資産に移すためである。さらに財政状態の悪化でも、金が買われる。国債価格の下落による損失を...

  • 金(きん)は 嵐の夜に輝きを増す (上)

    ◇ 政治・経済の複合要因で最高値を更新中 = 金(きん)の価格が高騰している。ニューヨーク商品取引所の先物価格は9日、1トロイオンス=2384.5ドルに上昇。8日間連続で、史上最高値を更新した。ことしに入ってからの上げ幅は約15%に達している。ロンドン市場の現物取り引きでも最高値を更新。東京の小売り価格も、1グラム=1万2622円の最高値を記録した。当面の価格上昇について、市場では「FRBが利下げすれば、利子を産まない...

  • 出現! 新たなインフレ要因

    ◇ 日本への影響も大きい原油価格の上昇 = 原油の国際価格が、また上昇している。ニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)先物価格は先週87ドル台に上昇、北海ブレンドも90ドル台に乗せた。上昇のきっかけは、イスラエルがシリア首都ダマスカスのイラン大使館周辺をミサイル攻撃したこと。中東情勢の緊迫感が強まり、原油供給への不安が高まった。この原油価格の上昇で、アメリカではインフレ再燃論が拡大。金利が上昇、株価...

  • 今週のポイント

    ◇ 「年内の利下げナシ」の発言も飛び出す = ダウ平均は先週903ドルの大幅な値下がり。終り値は3万9000ドルを割り込んだ。景気が堅調なことを示す指標が続出、そこへ原油価格の急騰が加わった。このためインフレ再燃への警戒が強まって、長期金利が上昇。さらにパウエルFRB議長が「利下げを急ぐ必要はない」と発言。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は「年内は利下げを見送る可能性がある」とまで言及した。株価は上がりようが...

  • こども家庭庁は 調査会社なのか

    ◇ 長くなった子どものネット利用時間を黙認? = 高校生はインターネットを利用している時間が1日平均で6時間14分、前年より31分延びた。6-9歳の小学校低学年でも2時間17分、スマホなどを見ている。さらに10歳の65%が、自分のスマホを持っている。こども家庭庁が、こんな23年度の調査結果を発表した。--日経新聞が1日の夕刊で、こう報道した。(不思議なことに、こども家庭庁のホームページをみても、この調査は載っていない...

  • 中途半端な 金融の量的引き締め (下)

    ◇ 日銀はETFの購入を止めただけ = FRBは国債と住宅ローン担保証券を売買することで、量的な金融操作を実施した。これに対して日銀は、国債とETF(上場投資信託)を売買している。ETFというのは株式の集合体だから、中央銀行が株式を売買することになってしまう。このため先進国の中央銀行が、ETFを金融操作のために売買することはない。しかし日銀は株価を下支えすることが重要だと考えて、一種の禁じ手を使用した。日銀は17-2...

  • 中途半端な 金融の量的引き締め (上)

    ◇ 利上げでも株価が下がらない根本的な原因 = FRBも日銀も、いま金融を引き締めている。しかしニューヨーク市場でも東京市場でも、株価は下がらない。下がらないどころか、史上最高値の更新を続けている。経済学の教科書には「金融が引き締まると、株価は下落する」と書いてある。でも、どうして下落しないのか。答えは「まだカネ余りの状態が続いているから」だ。まずはニューヨーク市場の状態から、検証してみよう。FRB...

  • 人手不足が深刻に : 日銀短観

    ◇ 業況判断の低下は一時的だが = 日銀は1日、3月の企業短期経済観測調査を発表した。それによると、最も注目される大企業・製造業の業況判断指数はプラス11で、前回調査よりも2ポイント低下した。低下は4四半期ぶり。中小企業・製造業の指数もマイナス1で、前回より3ポイント悪化している。最大の原因はダイハツ工業の認証不正事件で、自動車の生産台数が減少したこと。自動車産業だけではなく、鉄鋼などの周辺産業にも悪影響を...

  • 今週のポイント

    ◇ ダウとSP500がまたまた最高値 = ダウ平均は先週331ドルの値上がり。終り値は3万9807ドルで、またまた史上最高値を更新した。SP500も新高値を記録している。景気動向が堅調な一方で、FRBは年内3回の利下げを断念していない。市場はこの状態を好感、幅広い分野に買いを入れている。ダウ平均は1-3月期に2117ドル、率にすると5.6%の上昇だった。日経平均は先週519円の値下がり。ただ終り値は4万円台を維持している。前週に20...

  • 誇大広告には 課税せよ!

    ◇ 消費者庁は手ぬる過ぎる = 悪質な誇大広告が、テレビやSNSで野放しになっている。全く効果がないのに、飲むだけで痩せるとか、病気が治るとか。こういう広告がよく使う表現が「何万個売れた」とか「業界一の売り上げ」とか。消費者庁ではこうした事例を規制するために、景品表示法を改正。悪質な事例に対しては、罰則を強化する方針だ。しかし摘発には時間と人手がかかるため、措置命令を出す件数はごく僅か。実効はきわめて...

  • ガソリン補助金 またも延長 (下)

    ◇ 岸田内閣はバラマキ依存症 = ガソリン補助金は延長せず、代わりにトリガー条項の凍結を解除したらどうか。トリガー条項というのは、ガソリン価格が高騰した場合に、ガソリン税の暫定上乗せ分の約25%分を免除できる仕組み。現在は東日本大震災の復興財源とするため凍結されている。国民民主党がこの方式を強く主張、予算の成立に協力までして自民党に迫ったが、結局は“裏ガネ問題”で霧消してしまった。この交渉の自民党の責任...

  • ガソリン補助金 またも延長 (上)

    ◇ 予算規模は防衛費並みに膨張 = 岸田首相は先週の参院予算委員会で、ガソリンに対する補助金について「国民経済や経済活動への影響を考慮して、検討して行くことが重要だ」と述べ、4月末で終了する予定の補助金政策を延長することに前向きな姿勢をみせた。この制度で、たしかにガソリンの小売り価格は1リットル=175円程度に抑えられている。しかし反対論も多いなかで、補助金はまたしても延長されることになりそうだ。ガソリ...

  • 次の焦点は 円相場の転換点

    ◇ 早ければ4月にも円高へ向かう可能性 = 日銀がマイナス金利政策を解除し、17年ぶりの利上げに踏み切った。一方、FRBは金利を据え置いたから、日米間の金利差はわずかに縮小。したがって理論的には、円高が進むはずだった。ところが実際は円安が進行。円の対ドル相場は151円台にまで下落している。株式市場はこれを好感して日経平均は先週、史上最高値を更新した。この円安は、いつまで続くのだろうか。アメリカのインフレは予...

  • 今週のポイント

    ◇ 日米市場で最高値更新ラッシュ = ダウ平均は先週761ドルの値上がり。水曜日と木曜日には、ダウ・ナスダック・SP500の3指数がそろって史上最高値を更新という素晴らしい記録を作っている。FRBが政策金利を据え置き、さらに年内3回の利下げ可能性を維持したことを好感した。ニューヨーク市場では「当面の懸案事項はすべて消滅した」という感じが広まっている。高値警戒感はあるが、4万ドルを狙う勢いは衰えていない。日経...

  • 世界24位に後退 : 日本の‟豊かさ”

    ◇ 香港・シンガポール・韓国に及ばず = UNDP(国連開発計画機関)が、各国の‟豊かさ”を測る24年度版「人間開発指数」の世界ランキングを発表した。それによると、日本は2年前よりも2つ順位を下げて24位となった。1位はスイス、次いでノルウェー、アイスランド、香港、デンマークが続いている。アジアでは香港のほかシンガポールが9位、韓国が19位となっており、日本はアジアで4番目にランク付けされた。この「人間開発指...

  • 原油が80ドル台に上昇 (下)

    ◇ 90ドル台が続けば影響が大きい = 北半球はこれから行楽シーズン入り、ガソリンの消費が増える。このため専門家の間では「原油の国際価格は90ドル台に乗せるかもしれない」という見方が強い。仮に90ドル台になると、直近の安値60ドル台に比べて5割高。その日本経済に与える影響は、決して無視できない。電気やガス代、それにガソリン価格が急騰。物価の上昇は加速する。日銀はマイナス金利政策を解除、17年ぶりの利上げに踏...

  • 原油が80ドル台に上昇 (上)

    ◇ OPECプラスの自己減産延長で = 原油の国際価格が上昇してきた。ニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)の先物相場は、3月に入ってから1バレル=80ドル台を維持している。昨年秋からはずっと60-70ドル台で推移していたが、ここへきて値を上げた。直接のきっかけは、OPEC(石油輸出国機構)プラスと呼ばれる産油国連合が自主減産を6月末まで延長したこと。この措置で、世界の原油見通しが供給過剰から不足へと...

  • 呑み込みにくい 日銀の理屈

    ◇ 「インフレなら利上げ」ではダメなのか? = 日銀はきょう19日に開く政策決定会合で、マイナス金利の解除を決定する。同時にイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)を停止、またETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)の買い入れも終了する。これまで17年も続けてきた金融の超緩和政策を、引き締めの方向へ転換するわけだ。だが、これで日銀が何を目指しているのか。説明がどうもすっきりとは呑み込めない...

  • 今週のポイント

    ◇ マイナス金利解除は織り込んだが・・・ = ダウ平均は先週わずか8ドルの値下がり。週の前半は先々週に下げた反動もあって反発。特に火曜日は注目のエヌビディアが7.2%も上昇、SP500が最高値を更新した。しかし後半はだらだらと下げている。2月の消費者物価が予想を上回って上昇、利下げが遠のいたという推測が強まって金利が上昇。株式市場は、これを嫌気した。ただ終り値は、3月23日に付けた最高値を400ドルしか下回ってい...

  • エヌビディア・ショック

    ◇ 一時停止かUターンかは、この株しだい? = 日米の株価が大きく揺れ始めた。ダウ平均は2月23日に3万9132ドルの新高値を付けたあと、下げに転じた。日経平均も3月4日に4万円台乗せを達成したあと、11日にはことし最大の下げを記録している。これまで株価の大幅高を主導してきた半導体関連銘柄が、反落でも主役も演じた。そして、その半導体銘柄を先導したのがエヌビディアだ。市場では「エヌビディア・ショック」という言葉が...

  • 大ピンチ! 介護職員が足りない(下)

    ◇ 大きな社会問題に発展する可能性 = 高齢化の進展で、福祉関係の費用が急激に増大している。たとえば、この20年間で医療費は6割、年金は5割も増えている。しかし介護費は別格、なんと4倍に跳ね上がった。00年の3兆3000億円が、23年には13兆5000億円に膨張している。この勢いは今後も衰えず、要介護者は00年の218万人から、40年度には2100万人に増大する見込みだ。当然、必要な介護職員の数も急増する。厚労省によると、21年度...

  • 大ピンチ! 介護職員が足りない(上)

    ◇ 来年は32万人も不足する見込み = 「22年ショック」という言葉が、介護関係者の間で定着している。この年、介護職員を辞めた人が61万人に達し、新たに就職してきた人を6万3000人も上回った。職員の数が純減したのは初めてのことで、ショックが業界を駆け巡った。主な原因は、給与の伸び悩み。物価が大幅に上昇したため、生活が苦しくなってしまった。しかし介護職員の給与は、政府が決める“公定価格”。財源が厳しく、思うよ...

  • 日銀 17年ぶりの利上げへ

    ◇ 各種の金利はすでに上昇してきた = 日銀は来週18-19日に開く政策決定会合で、マイナス金利政策を解除する可能性が大きい。植田総裁が2月29日に国会で「現状はデフレではなく、インフレの状態にある」と発言。内田副総裁も講演で「仮にマイナス金利を解除しても、緩和的な政策を維持して行くことになるだろう」と述べた。こうした日銀幹部の発言から、市場では解除の予想が急速に拡大した。実現すれば、なんと17年ぶりの金利...

  • 今週のポイント

    ◇ 日米ともに足取りは重い = ダウ平均は先週365ドルの値下がり。終り値は3万9000ドルを割り込んだ。高値圏で利益確定売りが出たことが、値下がりの主な原因。水曜日にはパウエルFRB議長が議会で証言。「利下げはそう遠くないうちに始めるのが適切」と述べたが、株価は小幅な上昇にとどまった。また金曜日には予想を上回る雇用者の増加が発表されたが、株価は小幅に下げただけ。方向感に乏しくなっている。日経平均は先週222...

  • トランプ圧勝の 根本的な理由

    ◇ 少数民族になる白人の不安 = 11月の大統領選挙に向けた共和党の指名争いで、トランプ前大統領が圧勝した。世論調査では、バイデン現大統領よりも支持率が高い。トランプ氏はいま4つの刑事事件を抱え、計51の罪で起訴されている。決して‟清廉潔白の士”とは言えないだろう。それなのに、なんで圧勝するのか。その根本的な理由は、アメリカが直面している歴史的な流れのなかに求められる。米国勢調査局によると、白人がアメリカ...

  • “裏ガネ”にかすんだ 少子化対策 (下)

    ◇ またもバラマキ、若者への配慮なし = 厚生労働省の発表によると、昨年の出生数は75万8631人で戦後最低。前年に比べて5.1%の減少、8年連続で前年を下回った。この減少率は想定を上回っており、少子化の進行が加速していることを示している。また昨年は婚姻数も48万9281組で、前年を5.9%下回った。岸田首相ならずとも、こうした現実には危機感を抱かざるをえない。そこで政府が打ち出した少子化対策。はたして効果があるのだ...

  • “裏ガネ”にかすんだ 少子化対策 (上)

    ◇ 国民の負担は実質ゼロなのか = 政府は「こども未来戦略」に盛り込んだ少子化対策の実現に必要な関連法の改正案を国会に提出した。その最大の柱は、児童手当の思い切った拡充。所得制限を撤廃し、支給対象の上限を現行の中学生から高校生にまで拡大する。また第3子以降に対しては、月額3万円を支給することになった。法律が成立すれば、ことし12月から実施する。岸田首相は「スピード感を持って実行に移して行く」と言明した...

  • 日経平均株価4万円 の風景

    ◇ バブルなのか、バブルでないのか = 「ついに」と言うべきか、それとも「やっと」と言うべきか。とにかく日経平均株価が4万円の大台に跳ね上がった。3万円台に乗せてから、ちょうど3年かかっている。だが、ことしの年初は3万3000円台、そこからは超特急で上り詰めた。2月22日には1989年12月に記録した史上最高値を更新、そこから7日間で4万円に到達したことになる。34年前には新高値のあとバブルが崩壊、株価は急落した。今回...

  • 今週のポイント

    ◇ 日経平均はついに4万円台へ = ダウ平均は先週44ドルの小幅な値下がり。高値圏で利益確定売りが続出したが、なんとかこなして終り値は3万9000ドル台を死守した形。相変わらず半導体関連には買いが入り、IT関連銘柄の多いナスダックが木曜日、2年3か月ぶりに最高値を更新した。一方、債券市場では長期金利が上昇。このため外国為替市場ではドルが買われ、円安が進んでいる。日経平均は先週812円の値上がり。終り値は3万9911...

  • 理解できない 日銀総裁の発言

    ◇ 「インフレ」とは何なのか? = 植田日銀総裁は先週22日、衆院予算委員会で「消費者物価は昨年までと同じように右上がりの動きが続くと予想している」「いまはデフレではなく、インフレの状態にあると考えている」と発言した。野党議員から「現在はデフレなのか、インフレなのか」と質問され、答えたものだ。市場はこの発言を受けて「日銀は3月にもマイナス金利の解除に踏み切る」と了解している。だが日銀総裁のこの発言は、...

  • 続伸か? 反落か? : 株価の行くえ (下)

    ◇ 東京市場は自信満々だが・・・ = 「日経平均4万円は確実、その後の上昇も当たり前」--東京市場では、こんな強気がまかり通っている。じっさい予想される高値の水準について、大和証券は4万3000円、JPモルガン証券は4万2000円に上方修正した。こんな強気を生み出した大きな原因の一つが、史上最高値を付けた34年前との株価の比較。アメリカは14倍、英独仏などは3-5倍。これに対して日本は元に戻っただけ。つまり1倍でし...

  • 続伸か? 反落か? : 株価の行くえ (上)

    ◇ 絶好調NY市場のアキレス腱 = 日米欧の株式市場が、そろって史上最高値を更新中。その動きを主導したのは、やはりニューヨーク市場だった。いまウオール街は“怖いものなし”の状態。というのも景気がいいことを示す指標が出れば、素直に喜ぶ。景気が悪い指標が出たら、FRBによる利下げが早まると歓迎する。ダウ平均は4万ドルに向けて、まっしぐらだ。しかし、そんな絶好調のニューヨーク市場にも死角はある。ニューヨークの株...

  • 半導体世紀の 魔怪獣か

    ◇ 世界中のカネを揺さぶったエヌビディア = 世界各国の株価が、一斉に上昇した。ダウ平均は連日のように史上最高値を更新して、ついに4万ドルを狙う勢い。日経平均は34年ぶりに史上最高値を更新、これまた4万円を目標にし始めた。ヨーロッパの株価も、たとえば代表的な指数のストックス600は2年ぶりに最高値を更新。さらに台湾の株価も高値を更新している。このところ下げていた上海総合指数でさえ、久しぶりに3000を回復した。...

  • 今週のポイント

    ◇ サクラ満開の日米株式市場 = ダウ平均は先週504ドルの値上がり。終り値は3万9132ドルで、またしても史上最高値を更新した。半導体大手のエヌビディアが11-1月期の決算を発表、純利益が前年比で8.7倍に増加。これを受けて、木曜日には半導体関連を中心に450ドル以上も値を上げたことが大きかった。このところ最高値の更新を続けているが、それでも年初来の上げ幅は1400ドルあまりと落ち着いた動き。ニューヨーク市場は花盛り...

  • GDP速報が提起した 問題点 (下)

    ◇ 企業を向いた財政・金融政策 = 新聞各紙が「「日本のGDPが4位に転落」を大々的に報じた15日、その同じ紙面で「株価が3万8100円台に」の大見出しが踊っていた。GDPは昨年の話、株高は現在のニュースだから矛盾はないと説明できるかもしれない。だが昨年も株価は上昇していた。株高の原因は企業の業績が好調だったため。業績の好調は、主として円安と値上げが原因だった。一方、円安と値上げで物価が高騰。これで家計は節約志...

  • GDP速報が提起した 問題点 (上)

    ◇ 貧しくなった日本人の生活 = 内閣府は先週、昨年10-12月期と23年のGDP速報を発表した。それによると、昨年10-12月期のGDP実質成長率は年率換算でマイナス0.4%。民間の事前予測はプラスだったが、個人消費と公共支出の落ち込みが大きくマイナス成長となった。これでマイナス成長は2四半期連続。アメリカなら「景気後退に陥った」と判定される。ところが企業の業績は絶好調、株価は史上最高値に最接近。いったい、なぜ...

  • 株高の起爆剤は MAG7

    ◇ その時価総額は日英加の総合計に匹敵 = ニューヨーク市場の株価が史上最高値を更新し続けている。ダウ平均は4万ドルを狙う勢いだし、銘柄数が最も多いSP500指数も5000を超えた。その起爆剤となっているのが、MAG7と呼ばれる大手IT7社。時価総額は昨年72%も増加、現在は12兆ドル(約1700兆円)にも達した。この金額は、日本・イギリス・カナダの株式市場に上場する全銘柄の時価総額に匹敵する。つい最近までニュー...

  • 今週のポイント

    ◇ 日経平均は史上最高値の更新へ = ダウ平均は先週44ドルの小幅な値下がり。月曜日にはまた史上最高値を更新したが、その後は上下動しながら下げた。先々週は18ドルの値上がりだったから、2週連続できわめて小幅な値動きにとどまっている。これは1月の消費者物価が予想以上に上昇、小売り売上高は予想以上に伸び悩むなど、景気にとってはプラスとマイナスの材料が同時に飛び出したこと。それに最高値の更新が続き、さすがに利益...

  • 「ギョウザ・ラーメン日本一」 への疑問

    ◇ 家計調査の信ぴょう性にかかわる大問題 = ギョウザの購入額で、浜松市が3年ぶりに日本一の座を奪還。ラーメンなど中華そばは、山形市が3年連続で首位を確保。--こんなニュースが新聞やテレビで大々的に報じられた。市長さんまで登場してのお祭り騒ぎ、悔し涙を見せる市民たち。毎年2月に現われる光景だが、だんだん騒ぎ方が派手になってきた。多くの人には「ほほえましいニュース」だと受け取られている。しかし――。総務省...

  • 仮面を脱ぐ 外国人の就労制度 (下)

    ◇ 使用者側の意識改革が最も重要 = 日本の人手不足は、今後もずっと続く。総務省の推計によると、30年の労働力人口は5880万人に。20年に比べると、524万人も減ってしまう。その不足を補う方法は女性や高齢者の活用、ロボットなど機械化の推進、それに外国人の招聘しかない。このうち女性と高齢者の活用は、しだいに限界に近付く。機械化には時間がかかる。だから本命は、やはり外国人の労働力だ。厚生労働省の集計によると、昨...

  • 仮面を脱ぐ 外国人の就労制度 (上)

    ◇ ようやく‟人材確保”を前面に = 政府は先週9日の関係閣僚会議で、外国人技能実習制度に代わる新制度「育成就労制度」の創設を決めた。現行の技能実習制度は「発展途上国に技術を伝える国際貢献」を目的に、1993年に発足。昨年10月末時点で41万2000人が来日している。しかし実態は技術の移転ではなく、劣悪な環境で単純労働を強いられるケースが続出。22年には実習生9000人が失踪している。このため国際貢献といった仮面を脱ぎ...

  • チグハグだった 日銀の説明

    ◇ なぜ利上げの可能性まで否定したのか = 日銀副総裁の異常な発言が、市場を驚かせた。内田副総裁は先週8日、奈良県での講演で「 マイナス金利政策を解除したあと、どんどん利上げしてゆくような道筋は考えにくい」と言明。市場はこの発言を好感、その日の日経平均は700円以上も上昇した。しかし副総裁がこんな重要な発表をするのは、きわめて珍しい。しかも翌9日には、植田総裁が国会で全く同じ趣旨の発言をしている。なんだか...

  • 今週のポイント

    ◇ 潮目が変わってきたNY市場 = ダウ平均は先週17ドルの小幅な値上がり。それでも5週連続の上昇で、木曜日には3万8726ドルの史上最高値を付けた。SP500も5000の大台に乗せている。巨大IT5社が10-12月期の決算でそろって増益に。また1月の雇用統計で非農雇用者の増加数が35万3000人と、事前予測の2倍に達した。こうした景気の予想外な堅調ぶりに、市場は‟軟着陸”への期待を高めている。ただ最高値を更新し続けているために...

  • トランプ再登板の 恐怖

    ◇ 世界的に異次元の大変化が = ≪すべての輸入品に10%の関税を上乗せする≫ ≪中国製品には60%以上の関税をかける≫ ≪NATO(北大西洋条約機構)からの脱退を目指す≫ ≪ヨーロッパの安全保障には責任を持たない≫ ≪温暖化防止のためのパリ協定から離脱する≫ ≪油田開発に対する規制を撤廃する≫ ≪ドル安を推進、パウエルFRB議長は再指名しない≫ ≪移民の流入を厳しく規制する≫ ≪日本製鉄のUSスチール買収は絶対にさせない≫・・・。アメ...

  • “経済の好循環”には ほど遠い (下)

    ◇ 可能性はゼロではないが = ことし“経済の好循環”が実現する可能性はあるのだろうか。そのためには所得が大幅に増加し、物価が安定しなければならない。まず賃上げはどうなるのか。岸田首相は「昨年を上回る賃上げを」と経済界にハッパをかけている。そこで、ことしの春闘では昨年の3.6%を上回る4%の賃上げが達成されたと仮定しよう。すると、パート労働者や年金生活者までを含めた全体の所得増加率は2%程度になるだろう。...

  • “経済の好循環”には ほど遠い (上)

    ◇ 昨年の実質給与はマイナス2.5% = 厚生労働省は6日、昨年12月と23年の毎月勤労統計を発表した。まず12月の1人当たり現金給与総額は57万3313円で、前年同月比1.0%の増加だった。しかし物価が上昇したため、実質値では前年比1.9%の減少。これで実質給与のマイナスは、実に21か月連続となった。なお正社員の現金給与総額は79万3207円で、前年比1.4%の増加。パートは11万7784円で、2.5%の増加だった。この結果、23年の1人...

  • 動かない 日米の中央銀行

    ◇ その政策理念は全く異なる = FRBは1月30-31日に開いたFOMC(公開市場委員会)で、政策金利の現状維持を決めた。パウエル議長は記者会見で「物価が持続的に2%に向かうと自信を持てる証拠がもっと必要だ」「次回3月の会合までに確信できるレベルに達する可能性は低い」と説明している。要するに物価の下がり方がまだ不十分、3月になっても物価は十分に下がらないだろうと予測しているわけだ。逆に言えば「物価が十分に下がれ...

  • 今週のポイント

    ◇ それでも上げるニューヨーク株式 = ダウ平均は先週545ドルの値上がり。終り値は3万8654ドルで、またまた史上最高値を更新した。4週間の連騰となったが、この間の上げ幅は1200ドル弱。比較的ゆっくりと上げている。水曜日にはFRBが金融政策の現状維持を決定。パウエル議長の「2%の物価目標達成に向け、より強力な自信を得るまで利下げは適切でない」という発言に敬意を表して下げた。しかし金曜日の想像をはるかに上回る...

  • 大型ビルに 「耐震化マーク」を!

    ◇ 災害時の人的被害を減らすために = 能登半島地震から1か月。被害の大きさは、想定以上に大きかった。テレビでは痛ましい映像がたくさん流れたが、なかでもコンクリート製のビルが横倒しになった画面にはびっくり。こうしたなか日経新聞は12月31日付けの朝刊で「ビル倒壊 首都圏もリスク」という記事を載せた。たしかに首都直下型地震が起これば、いくつものビルがあのように横倒しとなりかねない。ただし、この記事はとても...

  • 問題は 非正規雇用者の賃上げ率

    ◇ 人手不足で上がりそうだが・・・ = 総務省は30日、昨年12月の労働力調査を発表した。それによると、就業者数は6754万人で前年比38万人の増加。これで増加は17か月間も続いている。コロナ規制の解除で仕事が増え、人手不足で賃金が上昇した結果だろう。失業者は156万人で、前年比2万人の減少。完全失業率は2.4%で、前月より0.1ポイント低下した。雇用面からみた経済の状態は、まずまず順調だと言っていい。雇用の変化を業種別...

  • 「物価高を上回る所得増」は イバラの道

    ◇ 岸田首相の公約は達成できるのか = 岸田首相は30日の施政方針演説で「ことし、物価高を上回る所得を実現して行きます」と公約した。春闘での賃上げ、6月に予定する所得税・住民税の減税、それに物価の沈静に賭けた約束だと言える。また岸田首相は「賃金の上がることが当たり前だという前向きな意識を、社会全体に定着させてまいります」とも力説した。たいへん結構な政治目標である。だが、その実現はかなり難しいことも確か...

  • 「金利のある時代」が やってきた!

    ◇ 日銀はまだマイナス金利に固執しているが = 日銀は先週23日に開いた政策決定会合で「大規模金融緩和政策の維持」を決めた。相変わらずの現状維持である。植田総裁は記者会見で「賃金上昇を伴う持続的、安定的な物価上昇を実現する見通しの確度は少しずつ高まっている」としながらも「どの程度高まったかの判断、定量的な把握は非常に難しい」と説明した。要するに年が明けても変化はなし。日銀は石橋を叩いても渡らない。とこ...

  • 今週のポイント

    ◇ 史上最高値圏での綱引き = ダウ平均は先週246ドルの値上がり。3週間の連騰で、終り値は3万8109ドル。また史上最高値を更新した。月曜日にいきなり3万8000ドル台に乗せ、その後は反落したが週末に再び盛り返した。半導体・ハイテクから保険・製薬まで幅広い銘柄が買われている。昨年12月13日に3万7000ドル乗せだったから、40日間で1000ドル上げたことになる。だが過熱感はなく、利益確定売りをこなして着実に上げた。日経平均...

  • 大いなる矛盾!? 年金2.7%上げ

    ◇ 実質収入を下げていいのか = 厚生労働省は、24年度の公的年金支給額を「前年度比で2.7%引き上げる」と発表した。この引き上げ率は32年ぶりの大きさ。ただ本来なら3.1%の増額になるべきところが、マクロ経済スライドの適用によって0.4ポイント減額された。このため年金の増加率は物価の上昇率に及ばず、実質収入はマイナスになる。年金生活者の生活は、それだけ苦しくなるわけだ。マクロ経済スライドは、年金の増加率を物価...

  • 危うし! 日本の自動車産業 (Ⅳ)

    ◇ 車載電池が最後の決戦場 = 日本自動車工業会の集計によると、23年の新車販売台数は477万9080台。前年比14%の増加だった。このうちEVは8万8535台、前年比50%も伸びた。しかし全販売台数に占める割合はまだ2.22%に過ぎず、海外に比べると極端に低い。EVに関する限り、日本は後進国だ。トヨタの販売台数が昨年も世界一になるなど、日本のメーカーは不祥事を起こしたダイハツを除けば、好調を維持している。だが今後も伸び...

  • 危うし! 日本の自動車産業 (Ⅲ)

    ◇ 中国製EVに警戒強める欧米諸国 = 欧州自動車工業会の集計によると、ユーロ圏18か国の23年の新車販売台数は1284万台。前年比14%の増加だった。このうちEVは201万台、28%も増加している。脱炭素に厳しいEUだけに、EVの普及は順調。新車販売全体に占める比率はドイツが18%、イギリスとフランスは17%に上昇した。ここでも中国製EVの伸びが突出、価格の安さが強力な武器となっている。ところが、この価格の安さは中...

  • 危うし! 日本の自動車産業 (Ⅱ)

    ◇ 中国政府は「EVの世界制覇」を画策 = 中国自動車工業協会の発表によると、23年の新車販売台数は3009万4000台。前年比12%の増加だった。そのうちEVは668万5000台、前年比では24.6%も伸びている。ただ国内ではEVメーカーが乱立、競争が激しい。また不動産不況で景気は悪い。このため多くのEVメーカーが、本格的に海外市場の開拓に乗り出している。その一例がタイ。広州汽車集団など10社が、一挙に進出した。この結果...

  • 危うし! 日本の自動車産業 (Ⅰ)

    ◇ 輸出台数では中国に抜かれる = 中国自動車工業協会が発表した23年の自動車生産台数は3011万台、前年比11.6%の増加。販売台数は3009万台、12.0%の増加だった。中国はいま不動産不況で悩んでいるが、自動車産業だけは順調に発展している。また輸出台数も491万台、前年比57.9%と大きく伸びた。中国の自動車輸出は20年時点で100万台にすぎなかったが、この3年間で5倍近くに増大したわけである。日本自動車工業会が発表した23年...

  • 今週のポイント

    ◇ ダウもSP500も最高値を更新 = ダウ平均は先週271ドルの値上がり。終り値は3万7854ドルで、1月2日に付けた史上最高値を更新した。半導体関連株が値上がりを主導、SP500も2年ぶりに新高値を記録している。12月の小売り売上高や工業生産が予想以上に堅調だったところへ、FRBのウオラ―理事が「政策の修正を急ぐ必要はない」と発言。利下げが遠のくという観測から売り物も増えたが、それを乗り切っての株高だった。日経平均...

  • 12万5000年ぶりの暑さ! : 昨年の気温

    ◇ 戦争なんかしている場合か! = 「昨年の気温は最も高かった」--世界中の気象研究機関が、いっせいに観測の結果を発表している。たとえばNOAA(米海洋大気局)は先週12日「23年は観測史上最も暑い年だった」と発表。20世紀の平均に比べ1.18度高く、これまでの最高だった16年の平均気温を0.15度上回ったと説明している。また水深2000メートルまでの海水温も史上最高。ことしも最高を更新する確率は3割強にのぼると予測...

  • 成長率5.2%の 真偽 / 中国

    ◇ あまりにも座り心地のいい数字 = 中国の統計局は17日、23年のGDP速報を発表した。それによると、実質経済成長率は5.2%。習近平政権が目標として掲げた「5%前後」を達成した。ただ22年はゼロ・コロナ政策で都市閉鎖などが断行され、成長率は3.0%にまで落ち込んでいた。その反動で5%を超えたのだと、専門家は解説している。また名目成長率は4.6%で、22年の4.8%を下回った。これは物価が下落し、経済がデフレ状態に陥っ...

  • トランプ復活に“期待”する 中ロ首脳

    ◇ 台湾では「一つの中国」を認めない頼氏が勝利 = 台湾の総統選挙では、いま政権を握っている民進党副総統の頼清徳氏が当選した。このため中国との関係については「一つの中国」を認めない現在の政策が踏襲されることになる。仮に野党の国民党候補が勝利すれば、中国との関係は接近したはず。この結果にアメリカ・日本・韓国などは、ほっと一息。中国の習近平主席は「期待外れ」と悔しがったに違いない。一方、アメリカでは早く...

  • 日本株の‟独り勝ち”は いつまで?

    ◇ 消去法で買われてきたが = 日経平均株価は先週2200円も上昇した。年初からの上昇率は6.33%に達している。世界を見渡すと、年初からの上昇率がプラスだったのはアメリカのSP500ぐらいなもの。それも0.29%というわずかな上がり方である。あとはダウ平均が0.26%、ドイツが0.28%、中国が3.12%、韓国が4.90%と、いずれも下落している。まさに日本株の‟独り勝ち”だ。だが、こんな珍しい状態はいつまで続くのだろう。ダウ平...

  • 今週のポイント

    ◇ 東京市場はお祭り騒ぎ = ダウ平均は先週127ドルの値上がり。年初2日に付けた史上最高値を目指したが、少々及ばなかった。12月の消費者物価は予想を上回る上昇だったが、食料とエネルギーを除いたコア指数が下がったため悪材料とは見られなかった。ただ高値を警戒する利益確定売りは、着実に増えている。また週末に飛び込んできた米英軍によるイエメンのフーシ派拠点爆撃は、今週にも尾を引きそうな暗い材料となった。日経平均...

  • 東京都区部・物価の 不思議

    ◇ なぜ全国の先行指標になるのか = 総務省は9日、東京都区部の12月の消費者物価を発表した。それによると、変動の大きい生鮮食品を除く指数は前年比で2.1%の上昇。前月の2.3%上昇より、伸び率がやや縮小した。また生鮮食品を含む総合指数は2.4%の上昇で、前月より0.3ポイント縮小した。この東京都区部の消費者物価は、中旬だけの速報値。全国の先行指標になるという理由で、総務省が特別に集計・発表している。東京23区の物...

  • 浮き上がれない 中国経済 (下)

    ◇ 長期停滞の危険性も = 中国政府も、景気対策を打ち出している。10月に開いた全国人民代表大会では、国債1兆元(約20.5兆円)の追加発行を承認。また12月中旬に開いた中央経済工作会議では「積極的な財政政策と柔軟な金融政策」の実施を確認した。しかし、その効果はまだ現われていない。対策の規模が不十分という批判も出ているが、すでに財政赤字のGDP比は3.8%に達しており、共産党が認める限度3%を大きく超えている。...

  • 浮き上がれない 中国経済 (上)

    ◇ ことしの成長率は4%台に低下? = 日経新聞が、中国経済を専門とする内外のエコノミスト25人に「中国のことしの成長見通し」を聞いた。その予測の平均値は4.6%、昨年の見込み5.2%を大きく下回る。またアメリカの調査会社ムーディーズは、4.0%まで落ち込むという予測を発表した。深刻な不動産不況が回復せず、住宅価格の下落に直面した個人が消費支出を抑制し始めたことが大きい。統計局が発表した11月の主要指標をみると...

  • 割れた 雇用統計の見方 / アメリカ

    ◇ インフレは‟しぶとい”と知るべし = アメリカ労働省が5日に発表した12月の雇用統計。最も注目される非農業雇用者の増加数は21万6000人で、事前予想の17万人を大きく上回った。平均時給は前月比0.4%の上昇で、これも予想を上回る。また完全失業率は3.7%で、前月と変わりなし。雇用の状況はいぜん底堅く、これではFRBの利下げも遠のいてしまう。--投資家の半分近くはこう考えて、株式を売った。しかし残りの半分近くは、...

  • 今週のポイント

    ◇ 新年は慎重なすべり出し = ダウ平均は先週223ドルの値下がり。火曜日には小幅に上げて史上最高値を更新したが、水曜日には300ドル近く反落した。FRBが12月のFOMC会議の内容を公表、委員の間で「追加的な利上げの可能性」を肯定する意見が強かったことが判明したためである。またダウは昨年14%、ナスダックは43%も上昇したことの反動も大きかった。日経平均は先週87円の値下がり。ニューヨーク市場の軟調に加えて、能...

  • 政府 vs 民間 : 24年度経済見通し

    ◇ 実に重大な官民予測の相違 = 政府は昨年末の閣議で「24年度の経済見通し」を了承した。それによると実質GDPは568兆円となり、18年度の555兆円を抜いて過去最大になる。実質成長率はプラス1.3%で、23年度の見込みプラス1.1%を上回る見通し。賃上げと減税の効果によって個人消費が1.2%増加、企業の設備投資も3.3%増加する。一方、消費者物価は前年度比2.5%の上昇になると予測している。日経センターは昨年末、民間エコノミ...

  • 国が 及び腰では! : 原発政策 (下)

    ◇ 理念に欠ける政府の原発政策 = ウクライナ戦争がきっかけとなって、原油など燃料の国際価格が高騰した。このため日本の輸入価格も急騰、たとえば22年の鉱物性燃料の輸入額は33兆5000億円となっている。電気やガス、ガソリンの値段が上がり、個人や企業の負担が増大した。また貿易赤字が20兆円にのぼり、円安が進行。これも物価を押し上げ、個人や企業を苦しめている。輸入燃料費の増加は、それだけ日本人の購買力が海外に流出...

  • 国が 及び腰では! : 原発政策 (上)

    ◇ 柏崎刈羽原発6-7号機の運転禁止解除 = 原子力規制委員会は年末27日、東京電力の柏崎刈羽原発に対する運転禁止命令を2年8か月ぶりに解除した。この原発は17年12月に6-7号機が安全審査に合格したが、その後IDカードの不正使用や侵入検知に関するトラブルが続発。規制委員会が核燃料の移動を禁止するという形で、事実上の運転禁止命令を出していた。東電側が対策を講じ、今回ようやく運転できることになった。だが実際に原発...

  • 多すぎる 予測不能 : 24年の世界

    ◇ 自然災害から紛争・戦争まで = 人間は未来を推測することは出来るが、完全に予知することは出来ない。だから常に予測不能の事象に脅かされているのだが、それにしても2024年は不明なことが多すぎる。そんななかで経済問題に限れば、まだある程度の推測が可能だ。たとえばFRBはことし何回か利下げし、アメリカ経済は不況に落ち込むことなくインフレの克服に成功する。その確率は5割を超えるかな--というように。また日銀...

  • 想定を超えた好成績 : 23年の株価

    ◇ 原動力はやっぱり‟カネ余り” = 日経平均株価は3万3464円で、大納会を終了した。この1年間の上げ幅は7369円。なんと年間としては、史上3番目の上昇幅である。1月4日の大発会は2万5717円、その時点でこんな好成績を予想した人は少なかったに違いない。そこから年の前半はコロナ規制の解除、円安の進行による企業の利益増大、それに著名投資家ウォーレン・パフェット氏の日本株買い入れなどがあって、株価は上昇。後半は上げ足を...

  • 国債は どこまで増やせるのか?

    ◇ 来年度も35兆円を新規に発行 = 政府が編成した24年度の予算案。一般会計の総額は112兆0717億円で、23年度の当初予算より約2兆円縮小している。これはコロナ関連の予備費を4兆円削減したため。内容を見ていちばん気になったのは、社会保障費と国債費が増大したこと。どちらも自然に増加してしまう費目で、いずれも過去最大に。両方を合わせると64兆7000億円と、歳出全体の57.8%を占めている。いわば6割近くが固定費であり、...

  • 贅沢すぎる悩み : NY株式市場

    ◇ 史上最高値でも利下げは可能なのか? = ニューヨーク市場では先行き安心感が広がり、株価は史上最高値の水準に達している。FRBが政策金利を据え置いたことから「利上げ局面は終わった。来年は利下げの年になる」という確信が急激に強まったためだ。ダウ平均は年内にも3万8000ドルを超えてもおかしくない。そんな高揚感のなかで、市場では「こんなにすんなりと上げてもいいのだろうか」という何とも贅沢な疑問さえ生じてい...

  • 今週のポイント

    ◇ 年末相場に期待する株式市場 = ダウ平均は先週81ドルの値上がり。火曜日の終り値3万7558ドルまで、5日連続で史上最高値を更新し続けた。あとはさすがにやや反落したが、11月から8週連続の上昇。4年10か月ぶりの記録も作っている。最大の原因は、FRBによる政策金利の据え置き決定。これで来年は利下げが始まるという観測が拡大、市場の空気が一挙に明るくなった。日経平均は先週199円の値上がり。日銀がマイナス金利政策の...

  • 金融政策は 誰のため?

    ◇ 日銀はどこを向いてるんだ = 日銀は19日に開いた政策決定会合で「現行の超金融緩和政策を維持する」ことを決めた。植田総裁は記者会見で「もう少し賃金と物価の状況を見極めたい」と語ったが、そうすると緩和政策の修正は来春の春闘後ということになりそうだ。この決定を受けて円安が進み、株価は大幅に上昇した。だが日銀はいったい何を恐れて、金融政策の正常化に踏み出せないのだろうか。仮に、日銀が「マイナス金利政策の...

  • 地球温暖化は防げない! : COP28 (下)

    ◇ 芳しくない日本の評判 = COP28の会場で、日本の評判はあまりよくない。口先ばかりで実行が伴わない国、という評価である。たとえば岸田首相は演説で「日本はCO₂排出対策を講じていない石炭火力発電所の新設はしない」と力説した。だが、いま稼働している石炭火力発電所を削減するのかどうかについては、全く触れていない。また「再生可能エネルギーを30年までに3倍に拡大する」ことに賛同したが、日本政府の計画だと2...

  • 地球温暖化は防げない! : COP28 (上)

    ◇ やっとのことで曖昧すぎる合意 = 地球の温暖化を食い止めようと、世界の国々がUAE(アラブ首長国連邦)の首都ドバイに集まった。COP28と呼ばれる第28回国連気候変動枠組み締結国会議である。だが、そこでまとまった成果文書をみると「およそ10年間で、化石燃料からの脱却を加速する」「再生可能エネルギーを30年までに、現状の3倍に拡大する」という合意だけ。「脱却を加速する」とは、なんと曖昧な表現だろう。再生...

  • 対照的だった ‟短観”と‟毎勤”

    ◇ 賃上げが物価高を超えるのは難しい = 日銀が発表した12月の短観(企業短期経済観測調査)は、明るく輝いてみえた。大企業・製造業の業況判断指数は3期連続の上昇でプラス12。大企業・非製造業はプラス30で、なんと32年ぶりの高さ。これまでマイナスに沈んでいた中小企業・製造業もプラス1となり、ようやく水面上に顔を出した。要するに、企業の景気は非常によろしい。一方、厚生労働省が発表した10月の毎月勤労統計は、うす...

  • 今週のポイント

    ◇ ダウ平均は史上最高値を更新中 = ダウ平均は先週1057ドルの大幅な値上がり。先々週から7日間の連騰で、終り値は3万7305ドル。水曜日からは3日続けて史上最高値を更新した。FRBが政策金利の据え置きを決定、来年には利下げが始まることがほぼ確実に。にもかかわらず、小売り売上高などが予想以上に堅調。この調子なら、いわゆる‟軟着陸”の可能性が高まった。市場には安心感が広がっている。日経平均は先週663円の値上がり。...

  • 追い詰められた 日本銀行

    ◇ マイナス金利政策を止められるのか = アメリカの中央銀行であるFRBは12-13日、FOMC(公開市場委員会)を開いて「政策金利を5.25%のまま据え置く」ことを決めた。またFOMC参加者による金利の見通しでは「24年は少なくとも3回の利下げ」が見込まれることも公表。さらにパウエル議長は会見で「政策金利はピークに近い可能性がある」と言明した。こうしたことから、市場は「引き締め時代は終わり。来年は5-6回の利...

  • 円相場は 上がる or 下がる?(下)

    ◇ 140円を超える円高は企業に打撃 = 円相場を決める最大の要因は、日米間の金利差。その金利差は、両国の金融政策で決まる。たとえばアメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備理事会)は13日、政策金利の据え置きを決定した。その結果、市場では「来年3月の利下げ」観測が有力となり、金利水準には下げ圧力が加わっている。一方、日銀は18-19日に政策決定会合を開く。仮にそこでゼロ金利政策からの離脱を決めれば、日米間...

  • 円相場は 上がる or 下がる?(上)

    ◇ 突然の円高で、株価は大幅安 = 円相場の動きが、相当に荒っぽい。11月半ばには1ドル=151円台にまで下落したが、今月7日には141円台に急上昇。株価は大幅に下落した。その後はまた145-146円台に値を下げ、株価も反発。だがFRBが13日、金利据え置きの決定をしたことで、142円台に上昇した。円相場は企業の業績を左右するし、輸入物価を変動させる。これから円相場は上がるのか下がるのか。非常に気になるところだが、専門...

  • 崖っぷちの 岸田内閣 : パー券不正処理

    ◇ リクルート事件と重なる政権崩壊の構図 = 自民党5派閥によるパーティー券収入の不正処理事件。岸田首相は自らが派閥を離脱、また派閥によるパーティーの開催を禁止するなど、防戦に必死となっている。しかし1000万円以上の裏金を作ったといわれる松野官房長官と高木国会対策委員長の更迭は避けられない情勢。政治資金規正法の違反者は10人以上にのぼるとみられ、自民党内では国会終了後に検察が誰に対して事情聴取を行うかに...

  • 今週のポイント

    ◇ 円高と政局不安で大幅安の日経平均 = ダウ平均は先週2ドルの小幅な値上がり。前半は下げたが、後半は上げて‟行って来い”の形となった。それでも終り値はことしの最高値を更新している。市場はこれまでFRBの利上げが遠のくという理由で、景気の減速を歓迎してきた。ところが景気の下降で企業の業績が悪化する心配も、しだいに強まってきている。先週の株価は、そのせめぎ合いなのかもしれない。日経平均は先週1124円の大幅...

  • ≪番外編 +3≫

    ◇ マネー経済圏の急膨張がすべて ・病室の天井を見つめながら、こう考えた。最近の世界経済で、最も大きな変化を遂げた事象は何だっただろうか。戦争の勃発が招いた物価の高騰、ゼロ金利から金融引き締めへ、AI(人工知能)の発展、米中の経済摩擦、宇宙開発競争・・・。いろいろあるが、極め付きは「マネー経済圏の急膨張」だったのではないか。・モノやサービスを産み出すことで形成される実体経済。その裏には必ず金融経済が...

  • ‟利下げ”は来年3月? / アメリカ

    ◇ 追い詰められる日銀 = ニューヨーク株式市場の空気が一変した。つい最近までは「年内にもう1回、最後の利上げ」という予想が圧倒的だったが、先週はこれが一挙に「来年3月には利下げ」へと変わった。このため金利は急低下、株価は急上昇。ダウ平均は年内にも、史上最高値を更新する勢いをみせている。きっかけはウォラーFRB理事の‟利下げの可能性”を示唆した発言。この人が引き締めを主張するタカ派であるだけに、そのイン...

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