◇ 「イランは弱い」が市場の感覚に = ダウ平均は先週9ドルの小幅な値上がり。終り値は4万2207ドルで、5月27日からずっと4万2000ドル台で推移している。何も決められなかったG7(主要7か国)首脳会議、政策金利をまた据え置いたFRB、そしてイランを巡る中東情勢の緊迫化など。市場にとっては大きな悪材料が続出したが、株価は高値で頭打ちの形となっている。先行き不安はあるけれども、大きな落ち込みは回避した。日経平均...
経済問題の分析、解説。特に政府の政策に対する批判。いくつかの大学で教科書代わりに利用されています。
最近の例では、1000円高速料金やエコポイントへの批判。景気回復の芽をいち早く探し出しています。またアメリカのGMやクライスラーが破産法の申請しか可能性がないことも、数か月前から予想しています。 原則として祝日以外は、記事を更新。株価の上昇、下落も毎日予想しています。これまで3年間の騰落予想では、勝率が約7割。証券マンの読者も少なくありません。
◇ 石破首相は拒否できるのか? = 立憲民主党の野田代表は25日「食料品にかかる消費税を原則1年間だけゼロにする案を、参院選挙の公約にする」と発表した。野田氏は首相時代に、消費税の10%引き上げを実現した人。それだけに、これまでは消費税の減税には慎重だったが、ここへきて変節した。党内に強まった減税論に押し切られた形。ただ財源については「赤字国債に頼ることなく、地域財政や未来世代に負担をかけない財源を確保...
◇ トランプ政権の“反省”は本物か? = ダウ平均は先週971ドルの値上がり。終り値は4万ドル台を回復した。4月8日の安値から2468ドルの上昇となっている。月曜日にはトランプ大統領の「パウエルFRB議長は辞めろ」発言があって、株式・債券・為替のトリプル安。火曜日には「解任は考えない」と軌道修正したために、株価は大幅に反発した。市場では、ベッセント財務長官らがトランプ大統領に忠告。トランプ氏も金融市場が混乱するこ...
◇ トランプ大統領がパウエルFRB議長に「辞めろ」 = 「ジェローム・パウエルはいつも遅くて、間違ってばかりいる。一刻も早く辞めるべきだ」--トランプ大統領は記者会見で、FRB議長を名指しでこう非難した。トランプ関税の影響で、アメリカ経済は景気後退に陥る可能性が強まっている。もし不況になれば、国民の不満や批判は高まるに違いない。それなのに、FRBは利下げを躊躇している。けしからん、というわけだ。輸入関税の大...
◇ 大きすぎる失政の代償 = いま専門家の間では「減反政策の影響が続いており、コメの生産量は減っている。一方、消費量は外国人旅行者の増加で増えている。だから供給不足で価格が高騰するのは当然」という見方が定着してきた。これが本当だとすれば、農水省は日本人の主食であるコメに関する実態を見誤っていたことになる。これはなんとも一大事と言わざるをえない。しかも、この農水省の誤認によって生じた悪影響はきわめて大...
◇ 令和のコメ騒動を収束できず = 総務省の発表によると、3月の消費者物価は生鮮食品を除いた総合指数で前年比3.2%上昇とややインフレ気味。なかでもコメの価格は、なんと前年比92.1%の大幅な上昇だった。これで10か月連続の高値更新となっている。政府の補助金支給で電気・ガス料金が下がったのに、コメの高騰で帳消しに。小売り価格は4月になっても一向に下がらず、たとえばスーパーの平均価格は3月31日からの週で、5キロ当...
◇ 景気後退に怯えるニューヨーク市場 = ダウ平均は先週1070ドルの大幅な値下がり。終り値はまた4万ドルを大きく割り込んだ。前週1900ドルも上げたことの反動もあったが、トランプ政策で景気後退の感触が強まり売り物が増加した。たとえば半導体の対中規制強化で、エヌビディアが55億ドル(7900億円)もの損失を計上。IT銘柄が大きく売られた。また中国製品を扱う小売業の業績悪化見通しから、内需関連株も下げている。日経平均...
◇ 新聞・テレビは世論調査してみたら = またもや“バラマキ”の話が急浮上している。自民・公明両党は先週、政府に対して「国民一律の現金給付」を実施するよう申し入れた。トランプ関税や物価高に対応するためで、政府もその方向で検討を開始する。今回は所得制限を設けず、1人5万円を支給する案が有力。補正予算案を編成し、今国会に提出する方針。しかし世論調査でも、その評判はよくない。それなのに、なぜやるのだろう。財源...
◇ 中国の予想外な強い抵抗 = トランプ大統領は相互関税の上乗せ分を90日間停止したときも、中国だけは除外した。逆に中国向けの関税は145%に引き上げている。これはもう輸入制限というよりは、輸入禁止に等しい。ここまですれば、中国も音を上げると考えたのだろう。ところが中国は報復関税125%で対抗、さらにレアメタルの輸出制限で応じた。こちらも超大国を意のままに支配している大王だった。この大王同士の対決、いまのと...
◇ 金融危機を恐れて相互関税を停止 = 議会の承認もなく、思うがままに関税をいじくり回すトランプ大統領。その姿は民主主義国の大統領というよりは、中世の大国を支配した大王のようだとも批判されている。だが圧倒的な権力を発揮する大王にも、いくつかの泣き所があるようだ。たとえば発表したばかりの相互関税を、13時間後には上乗せ分を90日間停止せざるをえなかなった。さらにスマホやパソコンの関税を撤廃した直後に、別途...
◇ 日経平均はなんと連日4ケタの上下動 = ダウ平均は先週1898ドルの大幅な値上がり。3週間ぶりの上昇で、終り値は4万ドル台を回復した。ただ上げたのは、トランプ大統領が相互関税の上乗せ分を90日間停止すると発表した水曜日だけ。この日は過去最大となる2963ドルも上昇した。しかし木曜日には中国向け関税が145%に引き上げられ、1000ドル以上も反落している。とにかくトランプ関税に大きく振り回された1週間だった。日経平...
◇ 最強の相手は中国車 = いま欧米や日本の製品を押しのけて、中国製の自動車が独走している。昨年の業績を眺めると、アメリカやヨーロッパのメーカーはほとんどが減益。日本も伸び悩んでいる。そんななかで昨年、中国の新車販売台数は3143万台で前年を4.5%上回った。特にトップを走るBYD(比亜迪)の成績は抜群。昨年は前年より4割多い427万台を売り上げた。この結果、直近5年間で売り上げは6倍、純利益は25倍という快走ぶりで...
◇ 日本車は生き残れるのか = アメリカが輸入するすべての自動車に、4月3日から一律25%の追加関税をかける--トランプ大統領が打ち出したこの奇策は、世界中の自動車メーカーを舞い上がらせた。アメリカでの生産台数を増やし、関税を免れようとするもの。コストを削減して、店頭価格の上昇を出来るだけ抑えようとするもの。あるいはアメリカ市場に見切りをつけるもの。対応はさまざまだが、みな大慌てだ。もちろん、日本のメー...
◇ きわめて難しい相互関税の対米交渉 = トランプ大統領は相互関税の詳細を発表したとき「個別の関税率は非関税障壁の状態も加味して決定した」と説明した。だが非関税障壁というのは、輸入商品の安全性や環境基準、それに輸入手続きの煩雑さなど、漠然とした性質のもの。どうやって、これを数値化したのか、疑問に思っていた。ところが、この問題を日経新聞が解明。それによると、個別国に対する相互関税率は「アメリカの貿易赤...
◇ 期待されるトランプ大統領の“アメ” = ダウ平均は先週3269ドルの大幅な値下がり。トランプ大統領が水曜日に相互関税の詳細を発表すると、木・金曜日は猛烈に下げた。特に金曜日は2231ドルと、史上3番目の下げ。週間の下げ幅も、コロナ初期の20年5月以来の大きさ。終り値は3万8315ドルで、昨年5月の水準に逆戻りした。市場では、相互関税の内容が予想をはるかに上回る厳しさだったと評価している。日経平均も先週は3340円の大幅...
◇ 日本には24%の相互関税 = ついにトランプ大統領が、相互関税の詳細を発表した。その内容は、まず全世界の国・地域に対して、一律に10%の関税をかける。また対米貿易で黒字を出している約60の国・地域については、非関税障壁の問題も考慮して個別の税率を設定するというもの。一律関税は5日から、個別関税は9日から発効する。個別関税を高い方から並べると、ベトナム46%、タイ36%、中国34%、台湾・インドネシア32%、イ...
◇ 消費者の心理が急速に委縮? = ニューヨーク市にカンファレンス・ボードという名の団体がある。経済団体や労働組合などで構成する民間の非営利団体だ。1916年の創立だから、かなり古い。この団体が有名なのは、毎月5000人の消費者を対象に「財布のヒモの締め具合」を調査していること。その結果は「消費者信頼感指数」として発表され、関係者には重要視されている。ところが先月25日に発表された3月の調査で、短期的な先行き...
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◇ 「イランは弱い」が市場の感覚に = ダウ平均は先週9ドルの小幅な値上がり。終り値は4万2207ドルで、5月27日からずっと4万2000ドル台で推移している。何も決められなかったG7(主要7か国)首脳会議、政策金利をまた据え置いたFRB、そしてイランを巡る中東情勢の緊迫化など。市場にとっては大きな悪材料が続出したが、株価は高値で頭打ちの形となっている。先行き不安はあるけれども、大きな落ち込みは回避した。日経平均...
◇ これで本当に“票”になるのか? = 自民・公明党が公約した「現金給付」の欠点。まず高所得者にも給付されること。たとえば年間所得1500万円で区切ろうとしても、事務的な作業が複雑で出来ない。また過去の経験からみると、給付金の半分近くが貯蓄に回ってしまい、消費が目立って増加することはなかった。仮に現金給付の対象を「18歳以下の子どもと住民税非課税世帯の人だけ」に限れば、線引きも簡単に出来るはず。しかし、それ...
◇ 与野党ともにバラマキ専門 = 自民党は7月の参院選に向けた物価対策として「現金給付」を公約とすることを決めた。国民1人当たり一律2万円とし、さらに18歳以下の子どもと住民税の非課税世帯に住む大人には1人2万円を追加する。所得制限は設けないという内容になりそう。当初は渋っていた公明党も同調したので、与党の公約は「現金給付」で一本化された。野党の公約は「消費税の減税」に集中している。たとえば立憲民主党は「...
◇ 与野党がぐるになって無責任 = 年金改革関連法案が先週12日、参議院で可決され成立した。これにより、まずパートなど短時間労働者が厚生年金に入りやすくなる。具体的には106万円以上という年収条件や従業員51人以上という企業規模条件が撤廃される。また高所得者の厚生年金保険料の引き上げも決定した。ただし基礎年金である国民年金の底上げについては、5年後に考えるという。これではとても年金“改革”法などとは言えない。...
◇ 中東に上がった巨大な火柱 = ダウ平均は先週565ドルの値下がり。ハイテク銘柄の回復を中心に強含みの相場が続いたが、週末にはイスラエルのイラン核施設攻撃で急落した。それでも終り値は4万2000ドル台を維持している。しかし中東情勢は一気に緊迫しており、強い警戒感が続くだろう。イスラエル対アラブ諸国の全面戦争に発展するか。アメリカが巻き込まれるかどうかが、当面の焦点となっている。日経平均は先週93円の値上がり...
◇ 日米交渉も手詰まり感が強い = トランプ大統領が振りかざす最大の武器は、もちろん関税。だがいま、その関税引き上げの法的根拠が大きく揺らいでいる。国際貿易裁判所は5月28日「トランプ大統領が発動した相互関税などは大統領の権限を越えており無効」という判決を下した。トランプ政府の控訴で連邦巡回区控訴裁判所が「その判決を一時停止」としたため、相互関税はまだ効力を保っている。しかし8月以降に、控訴裁判所がどん...
◇ 習近平主席に弱みを握られた? = トランプ大統領の“アメリカ・ファースト”大作戦が行き詰まっている。米中両国は9-10日、ロンドンで貿易摩擦を巡る2回目の閣僚交渉を実施した。出席者はベッセント財務長官、グリア通表代表部代表と何立峰副首相ら。アメリカ側はレアアースの輸出規制解除を強く要請、中国側もアメリカの輸出規制緩和などを主張した模様。結果として5月にスイスで行われた第1回閣僚交渉で決まった「出来るだけ...
◇ 昨年だけで香川県に匹敵する人口が消滅 = 厚生労働省が発表した24年の人口動態統計によると、日本人の出生数は68万6061人で前年よりも5.7%減少した。生まれてくる赤ちゃんの数が年間70万人を下回ったのは、初めてのこと。国立人口問題研究所は出生数が70万人を割り込むのは39年と推計していたが、それが15年も早まってしまった。一方で死亡者数は増加しており、人口の自然減は91万人を超えた。この減少数は香川県の人口に、...
◇ NY株価はトランプ就任直前まで戻す = ダウ平均は先週493ドルの値上がり。終り値は4万3000ドルに接近した。特に金曜日には発表された5月の雇用統計が予想より堅調だったため、景気に対する警戒感が和らいだ。SP500は3か月半ぶりに6000を回復、トランプ大統領が就任する直前の水準に戻している。この戻りの中核となったのは、M7と呼ばれる最先端企業。なかでも半導体関連銘柄が、大きく値を上げてきた。日経平均は先週223円の...
◇ 競争ではなく“協業”の勧め = 韓国の大統領選挙で、革新系の最大野党「共に民主党」の李在明前代表が圧勝。直ちに大統領に就任した。この人はかねて中国・北朝鮮に融和的であり、アメリカや日本を痛烈に批判したこともあった。このため日本国内では、その政治姿勢を警戒する風潮もないではない。しかし今回の選挙に関してみると、李在明氏は態度を全く変化させている。就任式の演説でも「韓米同盟を土台に、韓米日協力を固める...
◇ 26年3月期は6年ぶりの減益見通し = 日経新聞が東証プライムに上場する約1000社について、26年3月期の決算見通しを集計した。それによると、純利益は前年比7%の減少となる見込み。このところ絶好調を続けてきた企業業績も、6年ぶりに減益となる。トランプ関税や円高を収益悪化の理由として挙げている企業が多い。製造業も非製造業も7%の減益になる見通しで、特に自動車・鉄鋼・海運・電力の利益が大きく減少する。同じく日...
◇ 金融市場も仰天、消化不良 = 「トランプ関税は違法」という判決が出て、多くの人々をびっくり仰天させた。アメリカの国際貿易裁判所は5月28日、トランプ大統領が実施した相互関税などは「大統領の権限を逸脱しており無効。10日以内に関税を停止するための行政手続きを発令せよ」という判決を公表した。これに対して、トランプ政権は直ちに控訴。すると連邦巡回区控訴裁判所があくる29日に「この判決を一時停止する」という命...
◇ 関税裁判に戸惑う金融市場 = ダウ平均は先週667ドルの値上がり。休日明けの火曜日に741ドル上昇したあとはほぼ横ばいで、終り値も4万2000ドル台を維持した。火曜日の上げは、トランプ大統領がEUに対する50%関税を7月9日まで延期すると発表したことを好感した。ただし「火を付けておいて、水をかける」トランプ・マジックのやり方はもう限界。株価の反発は小さくなってきている。エヌビディアの好決算を受けて、半導体関連銘...
◇ 市場も慣れてきたけれど・・・ = ダウ平均株価は休日明けの27日、740ドル以上も反発して4万2000ドル台を回復した。先々週は5営業日とも下落し週間1300ドル以上も値下がりしたが、これで下げ基調はいったん中断された形になっている。続落した原因は下院が減税法案を可決したことで財政不安が増大したこと、それにトランプ大統領が突如としてEUに50%の関税をかけると発表したことだった。そして急反発した原因は、トランプ大...
◇ 曖昧な石破首相の指示 = 「コメは買ったことがない」と放言して、江藤農水相が罷免された。後を継いだのは、小泉元環境相。苦虫を嚙み潰したような顔で「コメの価格引き下げに全力をあげる」と約束した。石破首相は新農水相に「競争入札は止めて随意契約にせよ。早急に5キロ当たり3000円台に下げろ」と指示している。この方向は正しい。だが「3000円台に下げろ」という指示は、あまりにも曖昧すぎる。3000円でも3999円でも、...
◇ 金利上昇に怯えたNY株式市場 = ダウ平均は先週1326ドルの大幅な値下がり。5日間の続落で、終り値は4万2000ドルを割り込んだ。トランプ減税法案が下院で成立、財政の悪化が見込まれることから長期金利が上昇。株式市場に冷風が流れ込んだ。また週末にはトランプ大統領がEUに対して50%の関税をかけると恫喝、貿易摩擦の悪化が心配されて、これも株価の下落につながった。日経平均は先週593円の値下がり。6週間ぶりの下落となっ...
◇ ゴーン流の大リストラで再建を目指す = 「デジャビュ」という言葉がある。もともとはフランス語だが、英語の辞書にも“dejavu”と出ている。訳せば「既視感」、つまり「いつか見たような光景に出会った感覚」のこと。日産自動車の今回の発表をみて、この既視感にとらわれた人は少なくないだろう。その「見たような光景」とは、あの悪名高いカルロス・ゴーン元会長が1999年に断行した大規模リストラ。5つの工場を閉鎖し、2万1000...
◇ 存亡の危機で7工場を閉鎖へ = テレビCMでは「やっちゃえ! 日産」と元気よく走り回っていた日産自動車が、またまた重大な経営危機に陥った。発表によると、25年3月期は最終6708億円の大赤字。そこへトランプ関税の影響も加わるから、このまま行くと倒産しかねない。そこでやむなく厳しいリストラに踏み切ることになった。28年までに世界に17ある完成車工場を10に減らし、従業員の15%に当たる2万人を削減するというのがその...
◇ 物価と円相場しだいの日本 = ちょうど1年ぶりに、マイナス成長に落ち込んだ。内閣府が先週16日に発表した1-3月期のGDP実質成長率は、年率換算でマイナス0.7%に。住宅投資や企業の設備投資は健闘したが、個人消費が年率換算でプラス0.1%と伸びず、また輸入が12.1%も増加して足を引っ張った。このほか輸出が2.3%の減少、政府の公的投資も1.8%減少してマイナス要因となっている。個人消費が伸び悩んだのは、物価の上昇で家...
◇ 伸び始めたトランプ関税の影 = ダウ平均は先週1405ドルの大幅な値上がり。終り値は4万2600ドル台を回復した。月曜日には米中両国が関税率をともに115ポイント引き下げることで合意したため、株価は1160ドルも上昇した。その後も貿易戦争の緩和期待から買い気は強かったが、その半面ではトランプ関税の悪影響が意識され株価の上値は重くなった。たとえば1-3月期の実質成長率はマイナス0.3%、景気の悪化を見越した個人消費の...
◇ 主要68都市で住宅価格が下がる = 中国の不動産不況は、なかなか改善しない。改善どころか、やや悪化している面さえ見受けられる。たとえば政府の発表によると、この5月に新築住宅の価格が下落したのは主要70都市のうち68都市。3月の57都市、4月の64都市よりも拡大した。統計局の発表によると、5月の鉱工業生産は前年比5.6%増、小売り売上高は3.7%増と底入れの形。しかし新築住宅の面積は24%の減少で、景気の足を大きく引っ...
◇ 韓国や台湾との奪い合いに勝てるか = 厚生労働省の集計によると、23年10月末時点で日本で働く外国人は204万8675人。前年より22万人増えた。出身地をみると、ベトナムが全体の25%を占めて最多。続いて中国、フィリピン、ネパールの順となっている。また働いている分野は製造業が55万人で最多、続いてサービス業、卸・小売業の順となっている。200万人を超えたのだから、ずいぶん多くなったという感じは否定できない。だが現実...
◇ 受け入れ制度は改善したけれど = 少子高齢化の急速な進行で、日本は恒常的な人手不足の状態に陥る。だから外国人労働力に頼らざるをえない。そこで政府は外国人労働者の受け入れ制度を、大幅に改善した。その目玉は「育成就労制度」の新設。技能を持たない未熟練の外国人でも受け入れて育成し、技能を積めば「特定技能」に移行して最終的には永住できる道も開いた。関連法案が14日の国会で成立、27年までに運用を開始する。「...
◇ なぜ、きちんと説明しないのか = 日銀は先週14日の金融政策決定会合で「長期国債の買入れを減額する方針」を決めた。ただ具体的な内容については「7月末の次期決定会合で決める」という。日銀は13年の異次元緩和から国債の購入を大幅に増やしてきたが、これで事実上の量的引き締めに転換する。植田総裁は記者会見で「減額は相応の規模になる」と述べた。だが、この日銀の決定については判らないことが多すぎる。まず、なんで...
◇ 日銀の国債買い入れ減額は消化不良 = ダウ平均は先週210ドルの値下がり。終り値は3万8589ドルで、この3週連続で3万8000ドル台を上下した。FRBは12日の会合で「政策金利の据え置き」を決定、年内の利下げ回数を3回から1回の予想に縮小した。このため市場には弱気が広がったが、大きくは下げていない。ほぼ織り込み済みだったこともあるが、たとえ1回の可能性でも利下げに頼らざるをえない状態を反映しているようだ。日経平...
◇ 岸田首相の大いなる誤算 = 所得税と住民税の定額減税が6月から実施された。原則として1人当たり所得税が3万円、住民税が1万円の減税となる。したがって夫婦と子ども2人の世帯では、16万円の減税となる計算。ただ納税者が年収2000万円以上の場合は対象外、減税の対象者は9500万人になる模様。岸田首相は「この措置によって家計の収入増が物価高を上回り、経済の好循環が始まる」と胸を張った。だが評判は、すこぶる悪い。新聞...
◇ ユーロ圏やカナダが利下げに踏み切った = ECB(ヨーロッパ中央銀行)は6日の定例理事会で、政策金利を4.5%から4.25%に引き下げることを決めた。ECBはユーロ圏20か国の金融政策をつかさどる中央銀行。インフレに対処するため、22年7月から10回にわたって金利を引き上げた。ユーロ圏の消費者物価は22年10月に前年比で10.6%も上昇したが、最近は2%台の上昇に落ち着いてきている。ことし3月以降、主要国ではスイス、ス...
◇ それでも利下げに頼るしかない = ダウ平均は先週113ドルの値上がり。この2週間はずっと3万8000ドル台で上下している。そうしたなかでも、ニューヨーク市場では「9月の利下げは確実」という期待が膨らんでいた。小売り高が伸び悩み、求人数が激減するなど、景気の鈍化を示す指標が続出したからである。さらにECB(ヨーロッパ中央銀行)とカナダ中銀が利下げを発表、市場の期待はいっそう強まった。ところが週末に発表された...
◇ なぜ日銀はコソコソ動くのか = 東京債券市場で22日、10年もの国債の流通利回りが一時1%を超えた。13年5月以来11年ぶりのことである。理由は日銀が通常の買い入れオペで、国債の購入額を突如として減らしたからだ。このため国債の流通価格が下がり、利回りが上昇した。2年ものや5年もの国債の利回りも上昇している。市場では「日銀が政策金利の引き上げ準備を始めた」という観測が、一気に広がった。市場の観測はまだ収斂して...
◇ 補助金→生産増→安売り→輸出増 = いま中国は不動産不況に悩んでいるが、鉱工業生産だけは順調に増加している。だが主要製品の生産は過剰で、価格が下がっていることも事実。たとえば4月の卸売り物価でみると、鉄鋼の価格は前年比8.1%の下落。4月の消費者物価でみると、自動車は4.3%、スマホは2.9%の下落となっている。しかし価格が下落しても、生産は衰えない。政府が補助金を出して、増産を奨励しているからである。国内で...
◇ 米政府が中国製EVに関税100% = バイデン政権は先週14日、主要な中国製品に対する制裁関税の大幅な強化を発表した。EV(電気自動車)については25%だった制裁関税を100%に。また自動車などに使用する旧世代の半導体については25%を50%に。車載用リチウムイオン電池は3倍の25%に。太陽電池は2倍の50%に。さらに鉄鋼とアルミは3倍の25%に引き上げる。通商法301条に基づく措置で、「安価な製品の流入を防ぎ、国内産業...
◇ 当面の焦点は22日のエヌビディア決算発表 = ダウ平均株価は先週末、とうとう4万ドル台に乗せた。20年11月の3万ドル乗せから、3年半での大台替わり。4月の雇用情勢や小売り売上高、それに消費者物価が、そろって予想をわずかに下回る伸びに。FRBの利下げが早まるという期待が高まって、株価を押し上げた。ただ高値で確定売りも出やすくなっている。今後も株価は上昇を続けるのだろうか。当面の関門は、22日に発表されるエヌ...
◇ ダウの続伸は半導体の業績しだい = ダウ平均は先週491ドルの値上がり。金曜日には、終り値でとうとう4万ドル台に乗せた。1999年3月に1万ドル、2017年1月に2万ドル、20年11月に3万ドルという上昇の軌跡。この10年間では2.4倍に膨張している。先週の値上がりは、4月の消費者物価と小売り売上高が予想をやや下回ったことが原因。FRBが利下げを早めるのではないかという期待が、市場に広まった。日経平均は先週558円の値上がり...
◇ 物価の上昇で節約ムード広がる = 内閣府は16日、ことし1-3月期のGDP速報を発表した。それによると、名目経済成長率は年率換算でプラス0.4%、実質成長率はマイナス2.0%だった。不正認証問題で自動車の生産が減少、消費や輸出にも悪影響が及んだ。しかし名目成長率はプラスを維持。物価が3.6%上昇したために、実質成長率はマイナスに沈んでいる。こうしたなかで特に注目されたのが、個人消費の落ち込み。これで4四半期連...
◇ 達成できない計画の連続 = エネルギーの大半を輸入に頼る日本にとって「エネルギー基本計画」は最も重要な経済政策の青写真だと言える。2003年に初めて作成され、その後3年ごとに改定されてきた。だが残念なことに、この計画目標が達成されたことはない。目標の水準が高すぎるのか、それとも達成するための具体的な政策に欠陥があるのか。いずれにしても、責任官庁である経済産業省の失態。ことしは改定の年に当たっているが...
◇ 太陽光発電は余って困っているのに = 気象庁の予測によると「ことしの夏は猛暑になりそう」だという。そして気温の上昇とともに、電気料金もどんどん上がりそうだ。たとえば標準家庭について6月請求分をみると、東京電力は8538円で5月より401円高くなる。大手10社がすべて値上げし、いちばん高いのは北海道電力の9114円。いちばん安いのは九州電力の7101円ということになる。国際的なエネルギー価格の高騰に、円安による輸入...
◇ 景気後退の予兆も現われた = これまで暖流に囲まれてきたアメリカ経済に、寒流が入り込み始めた。再び暖流が勢いを取り戻すのか、それとも寒流が強さを増して行くのか。まだ断定はできない。ただ景気後退の予兆も現われており、もし寒流が勢いを増すと、FRBによる利下げが早まったり、円高が進行したりする。日本経済への影響も非常に大きいので、注意が必要だ。潮目の変化は、まず4月の雇用統計に表われた。非農業雇用者...
◇ ダウ平均は最高値更新の勢い = ダウ平均は先週837ドルの値上がり。5月に入ってからは8連騰で、終り値は3万9513ドル。3月末に記録した史上最高値まで、あと300ドルに接近した。4月の雇用統計で雇用者の増加数が予想を下回り、FRBの利下げ期待感が増大。また3月期の企業決算が好調だったことも、株価を押し上げた。さらにハマスが休戦案を受け入れたことで、安心感が広がった。日経平均は先週7円の小幅な値下がり。ニューヨ...
◇ 個人消費の減り方に注目 = 内閣府は16日に、ことし1-3月期のGDP速報を発表する。それに先駆けて民間の調査機関が、続々と予測の結果を発表した。読売新聞によると、民間10社が予測した実質成長率は年率換算でマイナス1.0%~マイナス3.3%。全社がマイナスを予測し、その平均値はマイナス1.8%だった。NHKも11社について、ほぼ同様の内容を報道している。民間の事前予測は当たらないこともあるが、全社がマイナスを予...
◇ 理屈に合わない日銀のアプローチ = FRBは急激な金融引き締め政策で、インフレを抑え付けようとした。しかし物価はまだ3%以上の上昇を続けている。これを2%の上昇にまで下げることが最終的な目標。だが、これ以上の引き締めは景気を悪化させる危険があるので難しい。このため政策金利をずっと5.25%に据え置いたまま、様子を見ているのが現状だ。それでも「物価2%」という目標は、満月のようにはっきりと見えている。日...