◇ 金利上昇に怯えたNY株式市場 = ダウ平均は先週1326ドルの大幅な値下がり。5日間の続落で、終り値は4万2000ドルを割り込んだ。トランプ減税法案が下院で成立、財政の悪化が見込まれることから長期金利が上昇。株式市場に冷風が流れ込んだ。また週末にはトランプ大統領がEUに対して50%の関税をかけると恫喝、貿易摩擦の悪化が心配されて、これも株価の下落につながった。日経平均は先週593円の値下がり。6週間ぶりの下落となっ...
経済問題の分析、解説。特に政府の政策に対する批判。いくつかの大学で教科書代わりに利用されています。
最近の例では、1000円高速料金やエコポイントへの批判。景気回復の芽をいち早く探し出しています。またアメリカのGMやクライスラーが破産法の申請しか可能性がないことも、数か月前から予想しています。 原則として祝日以外は、記事を更新。株価の上昇、下落も毎日予想しています。これまで3年間の騰落予想では、勝率が約7割。証券マンの読者も少なくありません。
◇ 金利上昇に怯えたNY株式市場 = ダウ平均は先週1326ドルの大幅な値下がり。5日間の続落で、終り値は4万2000ドルを割り込んだ。トランプ減税法案が下院で成立、財政の悪化が見込まれることから長期金利が上昇。株式市場に冷風が流れ込んだ。また週末にはトランプ大統領がEUに対して50%の関税をかけると恫喝、貿易摩擦の悪化が心配されて、これも株価の下落につながった。日経平均は先週593円の値下がり。6週間ぶりの下落となっ...
◇ ゴーン流の大リストラで再建を目指す = 「デジャビュ」という言葉がある。もともとはフランス語だが、英語の辞書にも“dejavu”と出ている。訳せば「既視感」、つまり「いつか見たような光景に出会った感覚」のこと。日産自動車の今回の発表をみて、この既視感にとらわれた人は少なくないだろう。その「見たような光景」とは、あの悪名高いカルロス・ゴーン元会長が1999年に断行した大規模リストラ。5つの工場を閉鎖し、2万1000...
◇ 存亡の危機で7工場を閉鎖へ = テレビCMでは「やっちゃえ! 日産」と元気よく走り回っていた日産自動車が、またまた重大な経営危機に陥った。発表によると、25年3月期は最終6708億円の大赤字。そこへトランプ関税の影響も加わるから、このまま行くと倒産しかねない。そこでやむなく厳しいリストラに踏み切ることになった。28年までに世界に17ある完成車工場を10に減らし、従業員の15%に当たる2万人を削減するというのがその...
◇ 物価と円相場しだいの日本 = ちょうど1年ぶりに、マイナス成長に落ち込んだ。内閣府が先週16日に発表した1-3月期のGDP実質成長率は、年率換算でマイナス0.7%に。住宅投資や企業の設備投資は健闘したが、個人消費が年率換算でプラス0.1%と伸びず、また輸入が12.1%も増加して足を引っ張った。このほか輸出が2.3%の減少、政府の公的投資も1.8%減少してマイナス要因となっている。個人消費が伸び悩んだのは、物価の上昇で家...
◇ 伸び始めたトランプ関税の影 = ダウ平均は先週1405ドルの大幅な値上がり。終り値は4万2600ドル台を回復した。月曜日には米中両国が関税率をともに115ポイント引き下げることで合意したため、株価は1160ドルも上昇した。その後も貿易戦争の緩和期待から買い気は強かったが、その半面ではトランプ関税の悪影響が意識され株価の上値は重くなった。たとえば1-3月期の実質成長率はマイナス0.3%、景気の悪化を見越した個人消費の...
◇ 小売価格の高騰は農水省の画策 = コメの小売価格が18週ぶりに値下がりして、大きな話題となっている。しかし下がったと言っても、5キロ当たりわずかに19円。まだ1袋4200円を超えていて、政府が備蓄米を放出した効果は全く表れていない。そこで江藤農水相は「買い戻しの条件を緩和し、より多くの業者が入札に参加できるようにする」と言明した。だが、それで小売価格が3000円程度にまで下がるのだろうか。専門家の多くは否定...
◇ 将来を見据えた政策が欲しい = 原油の国際価格が下落したため、日本国内のガソリン小売価格も下がり始めた。経産省の集計によると、レギュラー・ガソリンの全国平均小売価格は4月28日の時点で1リットル=184.5円だった。4月14日時点の186.5円から、明白な下げ基調に転じている。これまでは政府の補助金で185円に抑制されてきたが、現在は補助金なしでも185円を下回るようになった。この動向をみて、石破首相は「さらに10円の...
◇ OPECプラスは完全に機能不全 = 原油の国際価格が、ずっと低水準を続けている。ニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)先物価格でみると、22年6月には1バレル=115ドルの高値を付けていた。そこからは上下しながらも、しだいに下落。直近では昨年4月の85ドルが高値だった。あとはずるずると下がって、現在は60-62ドル程度で推移している。原油が下がった原因は需要面と供給面の両方にあり、いずれも相当に深刻。したがっ...
◇ 日米交渉の決着は7月以降? = アメリカと各国・地域との関税引き下げ交渉が、ようやく進行し始めた。交渉の妥結第1号はイギリス。ホワイトハウス関係者は、近くアジアの数か国とも合意をみるだろうと予想している。またアメリカと中国は、ともに関税を115ポイントずつ引き下げることで合意。このため金融市場では交渉が急速に進展するという見方も広がっている。だが、この見方には大きな疑問符が付く。日米交渉も7月まで...
◇ 関税引き下げに過剰な期待 = ダウ平均は先週68ドルの小幅な値上がり。終り値は4万1249ドルだった。上げ過ぎを調整した形だが、やや中途半端な感じ。水曜日にはFRBが「見通しの不確実性がいっそう強まった」という理由で、政策金利の据え置きを決定し株価は下落した。ところが終り値では300ドル近くも上昇。原因はイギリスとの関税交渉がまとまり、中国との交渉も始まるというニュースが伝わったからだ。市場は利下げよりも、...
◇ 米側のカードは相互関税の上乗せ分だけ? = 日米間の関税引き下げ交渉は全くの平行線、このままでは交わりそうにないことが明瞭になった。1日にワシントンで開かれた2回目の閣僚会議で、赤沢経済再生相は大豆やトウモロコシの輸入増加などを提示、トランプ関税の全面的な引き下げを要求した。ところがアメリカ側は自動車などに対する関税引き下げを拒否。引き下げる可能性があるのは、相互関税のうちの上乗せ分だけだという基...
◇ 速すぎる株価の反発スピード = ダウ平均は先週1204ドルの大幅な値上がり。終り値は4万1317ドルで、4月8日の底値からは3671ドルの上昇となった。トランプ大統領が「中国に対する145%の関税は高すぎる」と発言したことや、1-3月期のGDP速報で個人消費の伸びが予想を上回ったことなどが株価を押し上げた。また市場では、FRBが今週の政策決定会合で利下げに踏み切るだろうとの期待が高まり、これも株価上昇の原因となっている。...
◇ トランプ大統領のアキレス腱になるか = アメリカ商務省の発表によると、1-3月期のGDP実質成長率は年率換算でマイナス0.3%だった。マイナス成長は3年ぶり。昨年10-12月期のプラス2.4%から大幅に低下した。最大の要因は、関税引き上げを前に駆け込み輸入が急増したこと。輸入額は年率換算で、前年比41.3%も増加した。このため純輸出が4.8ポイントも低下、GDPの減少に寄与した。個人消費は伸びが鈍化したものの、増加率は1...
◇ カギはトランプ大統領の決断 = アメリカ経済もまた、スタグフレーション(不況とインフレの共存)の入り口に差しかかっている。関税引き上げで物価が上昇し、それが消費の減退を招いて景気を下降させる可能性が生じたからだ。そこへ中国との貿易戦争が加われば、打撃は決して小さくない。すでに農産物の価格が低落し、農村ではトランプ政策に対する批判も聞かれ始めた。中国によるレアメタルの禁輸、発注したボーイング旅客機...
◇ 東南アジアの取り込みに奔走 = 中国は不動産不況から、なかなか立ち直れない。ことし1-3月期のGDP成長率は5.4%で、前期と変わらなかった。内需の伸びは鈍く、輸出が6.9%増加して成長を主導した形となっている。そこへトランプ関税。このままだと成長率は2ポイント低下するという試算もあって、打撃は決して小さくない。人民元も急落し、3月は17年4か月ぶりの安値を記録した。輸出にとってはプラス材料だが、物価の上昇要因...
◇ トランプ大統領の奇っ怪な発言 = トランプ大統領は先週22日、記者団に対して「中国に対する関税145%は相当に高い。ゼロにすることはないが、大幅に下がるだろう」と言明した。その後も「中国との交渉はうまく行っている。習近平主席から電話もかかってきた」と、楽観的な見通しを何度も繰り返した。ところが中国側の反応は、全く否定的。外務省の報道官は「アメリカとの交渉は行われていない。中国は売られた喧嘩は受けて立...
◇ 石破首相は拒否できるのか? = 立憲民主党の野田代表は25日「食料品にかかる消費税を原則1年間だけゼロにする案を、参院選挙の公約にする」と発表した。野田氏は首相時代に、消費税の10%引き上げを実現した人。それだけに、これまでは消費税の減税には慎重だったが、ここへきて変節した。党内に強まった減税論に押し切られた形。ただ財源については「赤字国債に頼ることなく、地域財政や未来世代に負担をかけない財源を確保...
◇ トランプ政権の“反省”は本物か? = ダウ平均は先週971ドルの値上がり。終り値は4万ドル台を回復した。4月8日の安値から2468ドルの上昇となっている。月曜日にはトランプ大統領の「パウエルFRB議長は辞めろ」発言があって、株式・債券・為替のトリプル安。火曜日には「解任は考えない」と軌道修正したために、株価は大幅に反発した。市場では、ベッセント財務長官らがトランプ大統領に忠告。トランプ氏も金融市場が混乱するこ...
◇ トランプ大統領がパウエルFRB議長に「辞めろ」 = 「ジェローム・パウエルはいつも遅くて、間違ってばかりいる。一刻も早く辞めるべきだ」--トランプ大統領は記者会見で、FRB議長を名指しでこう非難した。トランプ関税の影響で、アメリカ経済は景気後退に陥る可能性が強まっている。もし不況になれば、国民の不満や批判は高まるに違いない。それなのに、FRBは利下げを躊躇している。けしからん、というわけだ。輸入関税の大...
◇ 大きすぎる失政の代償 = いま専門家の間では「減反政策の影響が続いており、コメの生産量は減っている。一方、消費量は外国人旅行者の増加で増えている。だから供給不足で価格が高騰するのは当然」という見方が定着してきた。これが本当だとすれば、農水省は日本人の主食であるコメに関する実態を見誤っていたことになる。これはなんとも一大事と言わざるをえない。しかも、この農水省の誤認によって生じた悪影響はきわめて大...
◇ 令和のコメ騒動を収束できず = 総務省の発表によると、3月の消費者物価は生鮮食品を除いた総合指数で前年比3.2%上昇とややインフレ気味。なかでもコメの価格は、なんと前年比92.1%の大幅な上昇だった。これで10か月連続の高値更新となっている。政府の補助金支給で電気・ガス料金が下がったのに、コメの高騰で帳消しに。小売り価格は4月になっても一向に下がらず、たとえばスーパーの平均価格は3月31日からの週で、5キロ当...
◇ 景気後退に怯えるニューヨーク市場 = ダウ平均は先週1070ドルの大幅な値下がり。終り値はまた4万ドルを大きく割り込んだ。前週1900ドルも上げたことの反動もあったが、トランプ政策で景気後退の感触が強まり売り物が増加した。たとえば半導体の対中規制強化で、エヌビディアが55億ドル(7900億円)もの損失を計上。IT銘柄が大きく売られた。また中国製品を扱う小売業の業績悪化見通しから、内需関連株も下げている。日経平均...
◇ 新聞・テレビは世論調査してみたら = またもや“バラマキ”の話が急浮上している。自民・公明両党は先週、政府に対して「国民一律の現金給付」を実施するよう申し入れた。トランプ関税や物価高に対応するためで、政府もその方向で検討を開始する。今回は所得制限を設けず、1人5万円を支給する案が有力。補正予算案を編成し、今国会に提出する方針。しかし世論調査でも、その評判はよくない。それなのに、なぜやるのだろう。財源...
◇ 中国の予想外な強い抵抗 = トランプ大統領は相互関税の上乗せ分を90日間停止したときも、中国だけは除外した。逆に中国向けの関税は145%に引き上げている。これはもう輸入制限というよりは、輸入禁止に等しい。ここまですれば、中国も音を上げると考えたのだろう。ところが中国は報復関税125%で対抗、さらにレアメタルの輸出制限で応じた。こちらも超大国を意のままに支配している大王だった。この大王同士の対決、いまのと...
◇ 金融危機を恐れて相互関税を停止 = 議会の承認もなく、思うがままに関税をいじくり回すトランプ大統領。その姿は民主主義国の大統領というよりは、中世の大国を支配した大王のようだとも批判されている。だが圧倒的な権力を発揮する大王にも、いくつかの泣き所があるようだ。たとえば発表したばかりの相互関税を、13時間後には上乗せ分を90日間停止せざるをえなかなった。さらにスマホやパソコンの関税を撤廃した直後に、別途...
◇ 日経平均はなんと連日4ケタの上下動 = ダウ平均は先週1898ドルの大幅な値上がり。3週間ぶりの上昇で、終り値は4万ドル台を回復した。ただ上げたのは、トランプ大統領が相互関税の上乗せ分を90日間停止すると発表した水曜日だけ。この日は過去最大となる2963ドルも上昇した。しかし木曜日には中国向け関税が145%に引き上げられ、1000ドル以上も反落している。とにかくトランプ関税に大きく振り回された1週間だった。日経平...
◇ 最強の相手は中国車 = いま欧米や日本の製品を押しのけて、中国製の自動車が独走している。昨年の業績を眺めると、アメリカやヨーロッパのメーカーはほとんどが減益。日本も伸び悩んでいる。そんななかで昨年、中国の新車販売台数は3143万台で前年を4.5%上回った。特にトップを走るBYD(比亜迪)の成績は抜群。昨年は前年より4割多い427万台を売り上げた。この結果、直近5年間で売り上げは6倍、純利益は25倍という快走ぶりで...
◇ 日本車は生き残れるのか = アメリカが輸入するすべての自動車に、4月3日から一律25%の追加関税をかける--トランプ大統領が打ち出したこの奇策は、世界中の自動車メーカーを舞い上がらせた。アメリカでの生産台数を増やし、関税を免れようとするもの。コストを削減して、店頭価格の上昇を出来るだけ抑えようとするもの。あるいはアメリカ市場に見切りをつけるもの。対応はさまざまだが、みな大慌てだ。もちろん、日本のメー...
◇ きわめて難しい相互関税の対米交渉 = トランプ大統領は相互関税の詳細を発表したとき「個別の関税率は非関税障壁の状態も加味して決定した」と説明した。だが非関税障壁というのは、輸入商品の安全性や環境基準、それに輸入手続きの煩雑さなど、漠然とした性質のもの。どうやって、これを数値化したのか、疑問に思っていた。ところが、この問題を日経新聞が解明。それによると、個別国に対する相互関税率は「アメリカの貿易赤...
◇ 期待されるトランプ大統領の“アメ” = ダウ平均は先週3269ドルの大幅な値下がり。トランプ大統領が水曜日に相互関税の詳細を発表すると、木・金曜日は猛烈に下げた。特に金曜日は2231ドルと、史上3番目の下げ。週間の下げ幅も、コロナ初期の20年5月以来の大きさ。終り値は3万8315ドルで、昨年5月の水準に逆戻りした。市場では、相互関税の内容が予想をはるかに上回る厳しさだったと評価している。日経平均も先週は3340円の大幅...
◇ 日本には24%の相互関税 = ついにトランプ大統領が、相互関税の詳細を発表した。その内容は、まず全世界の国・地域に対して、一律に10%の関税をかける。また対米貿易で黒字を出している約60の国・地域については、非関税障壁の問題も考慮して個別の税率を設定するというもの。一律関税は5日から、個別関税は9日から発効する。個別関税を高い方から並べると、ベトナム46%、タイ36%、中国34%、台湾・インドネシア32%、イ...
◇ 消費者の心理が急速に委縮? = ニューヨーク市にカンファレンス・ボードという名の団体がある。経済団体や労働組合などで構成する民間の非営利団体だ。1916年の創立だから、かなり古い。この団体が有名なのは、毎月5000人の消費者を対象に「財布のヒモの締め具合」を調査していること。その結果は「消費者信頼感指数」として発表され、関係者には重要視されている。ところが先月25日に発表された3月の調査で、短期的な先行き...
◇ アメリカ景気に注意信号 = ダウ平均は先週401ドルの値下がり。終り値は4万2000ドルを割り込んだ。週の前半は「自動車関税が緩和的な内容になる」というニュースが流れて株価は上昇したが、トランプ大統領が水曜日に「25%の恒久的な措置」と発表すると下落。さらに週末には個人消費支出の減退が確認され、株価は大きく下げた。自動車関税が「緩和的」から「恒久的」に急変した割には、株価の下落は小幅にとどまった。市場がト...
◇ 低支持率でも石破内閣は続く = 石破内閣の支持率が急落した。たとえばNHKの世論調査を見ると、支持率は前月より8ポイント低下して36%に落ち込んだ。不支持率は10ポイント上昇して45%に達している。理由は言わずと知れた「石破首相が新人議員に10万円の商品券を贈った」事件。いま自民・公明の与党は衆院議席の過半数を割っている。だから仮に野党が結束して不信任案を出せば、石破内閣は潰れるかもしれない。だが野党は不信...
◇ 不透明感は徐々に薄れて行く = アメリカが高い輸入関税を導入すると、その相手国は報復措置としてアメリカ製品に高関税をかけることが多い。たとえば中国は、天然ガスや農産物に10-15%の関税をかけた。またカナダは鉄鋼・アルミ製品などに25%、EUも260億ユーロ分の輸入品に25%の関税を導入した。これらの報復関税もトランプ関税攻勢が誘発したものであり、トランプ政策が世界経済に与える悪影響の測定をますます難しくし...
◇ アメリカの自動車メーカーに大打撃 = 最も注目されているのは、自動車に対する輸入関税の引き上げだ。アメリカは自動車の消費大国。そこに関税障壁が構築されれば、各国のアメリカ向け自動車輸出は大きく抑制されてしまう。もちろん、日本に対する影響もきわめて大きい。貿易統計によると、24年のアメリカ向け自動車輸出は6兆0264億円で、アメリカ向け輸出全体の28.3%を占めた。さらにメキシコやカナダに生産拠点を持つメー...
◇ 来週2日には相互関税などの詳細を発表 = ドナルド・トランプ氏が2期目の大統領に就任したのは1月20日。その日から、とにかく関税をいじくり回した。大統領は議会の承認なしで、関税を動かすことが出来る。この特権を利用して関税政策を連発、いや乱発した。そして来週2日には、自動車に対する関税や新たに導入する相互関税の詳細を発表する予定。この際、トランプ関税攻勢の全体像をおさらいしておこう。きょう3月26日現在、...
◇ 底値を手さぐりする株式市場 = ダウ平均は先週497ドルの値上がり。3週間ぶりの上昇で、終り値は4万2000ドルに最接近した。先々週の木曜日には半年ぶりに4万1000ドルを割り込んだが、そこからは戻り基調に。形としては4万1000ドルが底値となったが、市場はもう一段上を向いて4万2000ドルを底値としたいようにも見受けられる。先週はトランプ関税攻勢に動揺することもなく、またFRBの金利据え置きも織り込み済みで冷静に受け取...
◇ 利上げのチャンスを逸した日銀 = 日銀とFRB(連邦準備理事会)はともに18-19日、それぞれ金融政策決定会合を開催した。日米の中央銀行が、同じ日に金融政策を決める会合を開くのは珍しい。そして同じように、政策金利は動かさないことを決めた。この結果、アメリカの金利は年4.25%、日本の金利は0.5%のまま据え置かれる。ただしFRBは利下げの見送り、日銀は利上げの見送り。両者の方向感だけは、全く異なっている。アメリ...
◇ コメ農家の高齢化にどう対処するのか = 23年度産米は夏の猛暑の影響で、生産量が減少した。さらに24年度産米も不作気味のため、関連する各段階の業者がいつもより多めに買い入れた。これが今回のコメ不足・価格高騰の引き金となった。そして価格がさらに上がるにつれて、多くの業者や消費者の買いだめを誘発した。--というのが、どうやら真相のようである。ところが農水省は、この現実を最初から最後まで誤認してしまった。...
◇ 疑問だらけの農水省の政策 = 農林水産省は先週14日、政府備蓄米放出のために実施した入札の結果を発表した。それによると、放出した15万トンのうち14万1796トンが落札され、その平均価格は60キロ当たり2万1217円だった。これに消費税を加算すると、約2万3000円。さらに流通業や小売業の手数料、運賃などを考慮すると、スーパーなどでの店頭価格はほとんど下がらないという見方が強い。だいたい入札という制度は、モノを高く売...
◇ 売り一色でないことが救い = ダウ平均は先週1314ドルの値下がり。2年ぶりの大幅な下落となった。月-木の4日間は続落、下げ幅は1988ドルに達している。ただ金曜日には大きく反発、675ドルの上昇となった。終り値ベースでも、木曜日には4万1000ドルを割り込んだが、金曜日には回復している。下落はトランプ関税の影響で物価が上昇、景気は下降を免れないという見方が広まったため。反発は下げ過ぎの訂正が主因で、自律反発の感...
◇ 4月になると悪化が顕在化する = アメリカが景気後退に落ち込む公算が強まってきた。悪くすると、景気後退とインフレが同時に発生するスタグフレーションに陥る危険性もないではない。トランプ関税政策で物価が上昇、その結果として消費と設備投資が減退するとみられるからだ。トランプ大統領がインタビューで「景気後退の可能性」を聞かれ、はっきり否定しなかったことで、景気下降の見通しはいっそう強まった。このため株式...
◇ ホワイトハウスから追い出される日は = テスラの24年の販売台数は179万台で、EVとしては世界最大を記録した。だが前年よりも1万台少なく、頭打ちの状態に陥っている。これは中国市場で、BYDなどの中国製EVに負けたため。そんなとき、ことしに入ると不買運動に見舞われた。販売台数の減少はアメリカでは前年比5%程度だが、ヨーロッパでは激減している。ヨーロッパ自動車工業会によると、1月の販売台数は9900台、前年比45%の...
◇ 不買運動で売れ行きが激減 = EV(電気自動車)の元祖とも言えるアメリカのテスラ。いまアメリカ国内でもヨーロッパの主要国でも、激しい不買運動に見舞われている。ニューヨーク市の直売店には暴徒が乱入、警官隊が出動して逮捕者が出る騒ぎに。ことしに入ってテスラの販売台数は激減、株価は急降下した。日本での生産も、この3月末で終了する。なぜ、こんなことが起こったのだろうか。アメリカの主要都市を行進する不買運動...
◇ NY市場はもう一段の下げを覚悟した = ダウ平均は先週1039ドルの大幅な値下がり。終り値は3万6887ドルで、2か月ぶりに3万7000ドルを割り込んだ。トランプ関税攻勢がアメリカ経済にも、悪影響を及ぼす。物価高と景気低迷に対する警戒感が増大している。SP500指数は大統領選挙日の水準を下回り、ナスダック指数も昨年12月の最高値より1割低くなった。特に半導体などハイテク株の下落が著しい。こうした状況から、ニューヨーク市...
◇ EUが大きく変わってしまう可能性 = 総選挙で勝利した中道右派のCDU・CSU(キリスト教民主社会同盟)だが、獲得した議席は208。過半数の315議席には遠く及ばない。そこでメルツ党首はすでに連立工作を開始している。だが第2党にのし上がったAfD(ドイツのための選択肢)は、極め付きの極右政党。移民の完全排斥だけでなく、EUの解体さえも公約にうたっている。これでは連立は無理。そこで第3党に沈んだ左派のSPD(社会民主党)...
◇ 移民・物価高・不況で、与党が大敗 = EUの盟主ドイツが、大変な苦境に陥っている。移民の大量流入に対する国民の反発、エネルギー価格の高騰による物価高、それに2年続きのマイナス成長。2月23日に実施された総選挙では、こうした問題に有権者の批判が集中。与党の左派SPD(社会民主党)が大敗した。勝利した中道右派のCDU・CSU(キリスト教民主社会同盟)も過半数を獲れず、いま連立を模索中。このためイギリスとフランスが...
◇ 立ちはだかる円高・トランプ関税 = 日経新聞が東証プライム上場1073社の昨年4-12月期決算を集計した。それによると、純利益は43兆円で前年同期比15.0%の増加だった。全業種の4分の3が増益で、うち348社が過去最大の利益をあげている。特に非製造業が好調で、前年比は24.3%の増益。製造業は4.9%の増益だった。またスタンダードとグロースに上場している企業も、前年比14%の増益と健闘した。要するに現時点でみる限り、企...
◇ トランプ関税でもNYは上昇、東京は大幅安 = ダウ平均は先週413ドルの値上がり。小売り最大手ウォールマートの暗い業績予想が発表されたり、消費者心理指数が1年3か月ぶりの低水準に落ち込むなど、景気の先行きに対する不安も広がった。その一方では、トランプ関税がインフレを促進するのではという心配も、市場の空気を暗くした。しかし下院が10年間で4兆5000億ドル(670兆円)にのぼる減税の延長案を可決するなど、プラス材...
◇ “曲がる太陽電池”を育成するしかない! = もう少し調べてみよう。まずは原子力。東日本大震災の前は54基の原発が稼働していたが、その多くが廃炉に追いやられた。震災後は建設中の3基を含めて26基が規制委員会に安全審査を申請。いままでに17基が合格、うち14基が再稼働している。だが23年の電源比率はわずか8.5%、計画で設定した2割の目標を達成するには、少なくとも26基がすべて稼働する必要がある。しかしテロ対策の遅れ...
◇ 幅がありすぎる目標の設定 = 政府は先週18日の閣議で、新しいエネルギー基本計画を決定した。この基本計画は、特に将来の電力をどのような手段で供給するかを決めるもので、きわめて重要。3年に1度、新しい計画を作成している。こんどの計画では「40年度に再生可能エネルギーと原子力を全電源の最大7割に増やす」ことになった。このため原子力については、従来からの「可能な限り原発依存度を低減する」という文言を削除。姿...
◇ この環境で利上げを示唆する鈍感さ = ことしに入ってから、日本株の足取りが重い。先週末の日経平均は、年初に比べると1118円も安い。1月7日以来ずっと4万円を割り込んだままだ。この間、主要な欧米市場の株価はしっかりと上昇している。たとえばダウ平均は年初比で900ドル近く上げ、SP500は先週、史上最高値を更新した。トランプ関税の直撃を受けたカナダやメキシコの株価さえ上昇している。まだ大差がついたわけではないが...
◇ 景気不安で急落したNY株 = ダウ平均は先週1118ドルの大幅な値下がり。終り値は1か月ぶりに4万4000ドルを割り込んだ。週の前半はSP500が史上最高値を更新するなど堅調だったが、後半は大きく下落している。まず小売り最大手ウオールマートの業績見通しが、予想を下回った。そこへ加わったのがPMI(購買担当者)の景況指数で、2月は1年5か月ぶりの低水準に落ち込んだ。このため景気の先行きに対する不安感が拡大、株価を押し下...
◇ 維新にも国民にもフラれる恐れ = 衆議院の総数は465議席、過半数は233議席。自民・公明党は総選挙で惨敗し、218議席しか獲得できなかった。過半数には15議席足りない、いわゆる少数与党になってしまった。一方、日本維新の会は38、国民民主党は28に議席を伸ばした。だから計算上は、この野党のどちらかが賛成してくれれば予算や法案を成立させることが出来る。そこで維新の会には「高校無料化」で、国民民主党には「年収の壁...
◇ 「年収の壁」「高校無料化」でずるずる譲歩? = 自民・公明党は「年収の壁」見直しについて、国民民主党と最終的な協議に入った。専業主婦などがパートで働いている場合、収入がある金額を超えると税金や社会保険料を納めなければならなくなる。このため手取りが逆に減ってしまい、大きな問題となっていた。この壁は、たとえば年収103万円で税金が、106万円で社会保険料が発生するなどいろいろ存在する。国民民主党は選挙でも...
◇ 動くに動けない窮地に陥る = パウエルFRB議長にとって、先週12日はちょっとした厄日だった。その日の朝、トランプ大統領がSNSに「金利は引き下げられるべきだ。それは間もなく導入される関税と表裏一体の関係にある」と投稿。どうして利下げと関税が表裏一体なのかは不明だが、かなり露骨な口先介入であることに間違いない。そして、その30分後に発表された1月の消費者物価は予想を上回る上昇。下院に呼び出されたパウエル議...
◇ トランプ政策に反応しない株式市場 = ダウ平均は先週243ドルの値上がり。終り値は4万4546ドルで、この4週間ずっと4万4000ドル台で動いている。この間、トランプ大統領は関税政策やウクライナ対策を矢継ぎ早に打ち出したが、株価はあまり変動しなかった。先週も株価を最も動かしたのは、予想より強かった1月の消費者物価。利下げが遠のいたと判断され、金利とドルが上昇。株価は下げた。日経平均は先週362円の値上がり。終り値...
◇ 日本にもDEI反対の波はやってくる = バイデン政権が強力に推進したEDI促進プロジェクト。つまり人種的少数者や性的少数者を尊重する政策を、トランプ大統領は全面的に否定した。その影響は急速に民間へも波及している。たとえば小売り最大手のウオールマート、IT大手のメタやグーグル、さらにマクドナルドも、これまで実施してきた社内DEI制度を廃止あるいは修正すると発表した。また一部の私立大学も、人種的少数者に与えて...
◇ 性的少数者は軍隊からも排除 = トランプ大統領は、多様性を尊重する考え方の完全否定にも乗り出した。多様性というのは、人種的少数者・性的少数者など社会から疎外されやすかった人々を尊重し、その積極的な活用で社会・経済を活性化しようという取り組み。もっと具体的に言えば、黒人やヒスパニック・身体障碍者・性転換したトランスジェンダーなどを優遇する考え方。バイデン政権が積極的に推進してきたが、トランプ大統領...
◇ 日米首脳会談への援護射撃だった? = 円の対ドル相場が急騰、このため株価は下落した。東京為替市場の円相場は先週末151円39銭に上昇、前週末に比べると3円70銭の円高となった。市場では「さらに上昇して150円を突破する」という観測も強まっている。期末が近づいて輸出企業が円を買い始めたこともあるが、最大の理由は日銀の利上げ説が強まったこと。日銀や政府の幹部が、そういう見方を広めるような発言を連発したからであ...
◇ 円高で反発力をそがれた東京市場 = ダウ平均は先週241ドルの値下がり。トランプ関税に振り回された1週間だった。メキシコ・カナダに対する25%の関税は先々週末に発表されたが、先週月曜日にはその1か月延期、さらに火曜日には中国に対する10%の追加関税が公表された。アメリカの場合は関税引き上げによる貿易量の縮小よりも、インフレを加速させるかどうかが心配。金曜日に鈍化を示す雇用統計が発表されると、景気の後退と...
◇ 脱・脱炭素こそがすべての屋台骨 = トランプ大統領が別荘を構えるフロリダを襲った巨大ハリケーン。ロサンゼルス近郊を焼き尽くした山火事。温暖化が原因と考えられる自然災害は、アメリカにも大きな被害をもたらしている。そのロス近郊を視察したトランプ大統領が、温暖化を無視できるはずはない。ところが脱炭素政策を否定しなければならない理由は、ほかにあった。それは化石燃料を掘って掘って掘りまくらないと、トランプ...
◇ 地球温暖化は加速するけれど = トランプ大統領は1月20日の就任演説で、エネルギーについて「緊急事態宣言」を布告。また気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱も表明した。さらに国内の原油・天然ガスについては「掘って掘って、掘りまくれ」と大増産を号令している。これらの措置は前大統領時代にも実行しており、とりわけ目新しいものではない。しかしバイデン政権の政策を完全にひっくり返す形であり、その影響...
◇ アメリカの独り天下は崩れるのか = トランプ大統領がホワイトハウス入りしたその日に、中国の新興企業ディープシーク社が格安の生成AI(人工知能)モデル≪R1≫を発表。これが関係者を仰天させた。というのも性能はアメリカの最先端モデルと変わらないのに、製造コストは10分の1。したがって使用料金も10分の1以下になるという。もし本当なら、アメリカ企業の優位性は脅かされる。宇宙から飛んできた明るい巨大彗星のように...
◇ 中国製の生成AIが突発性の波乱要因に = ダウ平均は先週120ドルの値上がり。終り値は4万4545ドルで、先々週から9日間4万4000ドル台に乗っている。月曜日には中国の新興企業ディープシークがコストの安い生成AIを発表。アメリカのAIメーカーが脅かされるというので、半導体関連銘柄が急落した。特にエヌビディアは17%も下落して、市場を驚かせた。しかしAI関連以外の銘柄は買われたため、ダウ平均は300ドル近くも上げている。...
◇ 手本はマッキンリー大統領? = トランプ関税攻勢の影響を、正確に測定することは困難だ。たとえば自動車を例にとっても、25%の関税がかけられるとメキシコからのアメリカ向け輸出は655憶ドル、カナダからの輸出は433憶ドル減少すると試算されている。アメリカ国内での供給量がそれだけ減るため、日本からの輸出は145億ドル増加する。だがメキシコで製造された日本車の輸出は、かなり減ってしまう。そのうえ日本にも10%の関...
◇ メキシコ・カナダ向けはあすが期限 = 自らをタリフ・マン(関税男)と称するだけあって、トランプ新大統領は関税という名の弾丸を次々と発射した。まず列挙してみよう。--①メキシコ・カナダ製品に25%の関税をかける②中国に対しては関税10%を上乗せする③EUにも関税を上乗せする④デンマークにも高い関税をかける⑤ロシアにも高関税をかける⑥コロンビアに25%の関税をかける⑦全世界からの輸入品に一律10%の関税をかける。こ...
◇ 日本経済を押しつぶす重石に = 財務省が発表した24年分の貿易統計によると、輸出は107兆0912億円で過去最大を記録した。しかし輸入が112兆4238億円に膨らんだため、貿易収支は5兆3325億円の赤字となっている。ただ輸出額が増加したのは、円安の影響が大きい。昨年の円相場は年平均で150円97銭、前年より7.7%の円安だった。たとえば自動車を例にとると、輸出額は17兆9000億円で過去最高だったが、台数は前年より2.9%減少して...
◇ 株価に気を遣ったトランプ政策 = ダウ平均は先週936ドルの大幅な値上がり。終り値は4万4424ドルで、史上最高値まであと600ドル。トランプ大統領が就任して最初の営業日だった火曜日の値動きは特に注目されたが、この日は500ドルを超えて上昇した。というのも新大統領が関税の引き上げを即日実施しなかったからだ。このあともトランプ氏はスターゲート計画・AI規制の緩和・法人税引き下げ・原油の増産など、株式市場が喜ぶ政策...
◇ 日銀が政策金利を0.25%引き上げ = 日銀は24日に開いた金融政策決定会合で、政策金利を0.25%引き上げることを決めた。昨年7月に続く利上げで、新しい政策金利は0.5%になる。この金利は08年10月と同じ水準。日本人は長らく金利のない世界で暮らしてきたが、ようやく‟金利のある世界”が戻ってきた。日銀首脳が「次の決定会合では利上げの是非を検討する」と予告していたため、市場はほぼ織り込み済み。株価も大きな変動は見せ...
◇ 人手不足でインフレを加速させる危険性 = 不法移民というのは、ビザなしで入国した者と、ビザを持って入国したが期限が切れても滞在している者を指す。いまアメリカでは、こういう状態の人が1100万人以上も働いている。職種は清掃・造園・家事・農業・金属加工・建設など。労働集約的な仕事が圧倒的に多い。フロリダ州では、農業従事者の40%近くが不法移民だという統計もある。賃金は一般市民より2割、職種によっては4割も低...
◇ 軍隊を派遣して南部国境を閉鎖する = アメリカ第47代大統領に返り咲いたドナルド・トランプ氏。どんな政策を打ち出すのか、全世界が固唾を呑んで注目している。その就任演説でも新政策を連発したが、最初に持ち出したのは移民問題。新大統領が、この問題を最重要視していることが判るだろう。演説では「南部の国境に非常事態を宣言、軍隊を派遣する」ことを正式に表明した。これによってメキシコからの移民流入は、完全に阻止...
◇ なぜ利上げに豹変したのだろうか = 「今月23-24日の金融政策決定会合では、追加の利上げを行うかどうかについて議論することになる」--植田日銀総裁と氷見副総裁が、相次いで講演会でこう言明した。市場は「これで利上げは確実になった」と受け取っている。これまで日銀幹部は「賃上げ動向とトランプ政策の影響を精査してから決める」「時間は十分にある」などと述べて、1月の利上げには否定的な考えを表明し続けてきた。...
◇ 特大イベントが続く今月下旬 = ダウ平均は先週1549ドルの大幅な値上がり。ドナルド・トランプ氏の大統領就任式が20日、さらに28-29日にはFRBの金融政策決定会合が開かれる。こうした大型イベントの前には、投資家は様子見のために手控えがち。しかし今回はトランプ政策に対する期待が再浮上、FRBも動かないと先読みしたのだろう。市場はインフレが確実に鎮静し、景気はそんなに落ち込まないという期待に包まれている。日経平...
◇ 補助金の減額で全国平均185円に = 政府は今週16日から、ガソリンに対する補助金を減額した。それまでのガソリン小売り価格は、全国平均が1リットル=180円を超えないように補助金が元売り会社に支給されていた。それが16日からは185円が上限に。資源エネルギー庁の発表によると、1月8日のレギュラー小売り全国平均は180.6円だったが、15日の集計では185円に張り付くだろう。軽油・灯油・重油・航空機燃料も同様だ。ガソリ...
◇ トランプ発言は正常か異常か? = 「デンマークはグリーンランドをアメリカに売り渡すべきだ」--トランプ次期大統領は7日の記者会見で、こう言い放った。理由は「安全保障の面から必要だから」だと説明した。もし売り渡さないときには「デンマーク製品に高率の関税をかける」とも言明した。そこで記者側が「経済的手段だけでなく、軍事力も使う可能性は」と質問すると、「その可能性は排除しない」と答えている。これに対し...
◇ トランプ政策への警戒感が強まる = ダウ平均は先週794ドルの値下がり。終り値は2か月半ぶりに4万2000ドルを割り込み、大統領選挙前の水準に落ち込んだ。インフレが鎮静しないところへ、トランプ政策への警戒感が強まっている。さらに金曜日には予想を大幅に上回る1月の雇用者増加が発表されて、株価は大きく下落した。市場のなかでは、いま「Gゼロ」という言葉が流行り出している。これは「西側先進国のリーダーシップがいな...
◇ 将来に希望が持てないバラマキ政策 = 民主主義国家の政府・与党が、国民の不満に耳を傾けなかったわけではない。多くの国が生活費の支援や物価高対策のために、いろいろな政策を打ち出した。その好例が日本である。ここ数年、毎年のように巨額の補正予算を編成。中間層以下の家庭に現金を配ったり、電気・ガス料金やガソリン代を引き下げるために何兆円もの補助金を支出した。いわゆるバラマキと称される財政政策である。消費...
◇ 「中間層が多ければ、よい政治が行われる」 = 古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、こう喝破した。--「富裕な人々は往々にして大掛かりな悪者になり、貧乏な人々は無頼の徒になりやすい。だから、この両者が少なく中間層が多い国では、よい政治が行われる」と。いま政治家は2500年前のこの名言を、じっくりと噛みしめるべきだろう。つまりは富裕者と貧乏人が増える格差社会、そこではよい政治は行われない。世界中で富裕...
◇ 先進7か国の与党がすべて選挙で敗退 = 世界政治史のなかで、2024年は記録に残る年になるだろう。多くの国で選挙が行われ、実に多くの国で政権の座にすわる与党が負けた。アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・インド・ポルトガル・韓国・オランダ・オーストリア・日本・台湾・ベルギーである。注目されるのは、このなかに西側先進国と称される民主主義国家が、日本も含めて7か国も含まれていること。これは偶然の一致では...
◇ 日米ともに“トランプ待ち” = 日本銀行は今月23-24日、アメリカの中央銀行であるFRBは28-29日に、それぞれ金融政策を決定する会合を開く。事前の予想では日銀が利上げ、FRBは利下げに動く可能性が取り沙汰されている。しかしトランプ次期大統領がホワイトハウス入りするのは20日。したがって日米の決定会合は、いずれもその直後に開催されるわけだ。現状から判断すると、日米の中央銀行はともにトランプ政策の具体的な内容を...
◇ 間違いではないが誤解を招きかねない = 25年度の予算案が昨年末、閣議決定された。一般会計の総額は115兆5415億円。新聞やテレビは「過去最大の予算案」という見出しで、大々的に報道した。たしかに当初予算としては過去最大なので、決して間違ってはいない。しかし、この「過去最大」という表現は全く無意味であるばかりか、多くの人に事実を誤解させる危険がある。最近は巨額の補正予算が編成され、当初予算の比重がいちじ...
◇ 25年のNY株は10%の値上がり? = 「トランプ次期大統領は減税や規制緩和あるいは原油の増産を先行させ、経済の基盤が固まったあとに関税を引き上げる」--いまウオール街では、こんな推測が広がっているという。そんな考え方が影響しているのかどうかは不明だが、25年の株価については強気の見方が多い。たとえば大手金融6社の予想だと、25年末のSP500指数は6500~7000に集中。現在の水準より10%ほど高くなる。24年の28...
◇ 時価総額は全世界の51%に = ことしの株式市場を振り返ってみると、最もインパクトが大きかった出来事は「ダウ平均の4万ドル台載せ」ではなかったか。ニューヨーク証券取引所のダウ工業30種平均株価は5月17日、終り値で初めて4万ドルを突破した。リーマン・ショック後09年3月の安値6547ドルに比べると、15年で6倍超に上昇したことになる。そして、その日のニューヨーク市場の時価総額は55兆3000億ドル。全世界の株式時価...
◇ 鬼の居ぬ間に上昇した日経平均 = ダウ平均は先週152ドルの値上がり。終り値は4万3000ドルを少し割り込んだ。クリスマス休暇で商いが減少しているところへ、前3週間で2000ドル以上も下げたことの反動買いが入った。ただFRBの利下げテンポが鈍るとの予想から、長期金利が上昇。これを嫌った売り物も目立っている。特に小型株は債券利回りとの比較から、大きく売られた。日経平均は先週1579円の大幅な値上がり。終り値は5か月ぶ...
◇ 1人当たりGDPは台湾にも抜かれて39位に転落 = GDP(国内総生産)は一国の経済規模を示す指標。それを人口で割った1人当たりGDPは平均的な国民の経済規模、つまり生活の豊かさを示す指標だと考えられる。IMF(国際通貨基金)の集計によると、日本の1人当たり名目GDPはことしスペイン・ブルネイ・スロバキア・台湾に抜かれ、世界39位に転落した。国民の生活水準が相対的に低下したことを示している。世界のランキングをみる...
◇ ‟軟着陸”は遠去かった? = ニューヨーク市場の株価が冴えない。ダウ平均はなんと50年ぶりに10日間の続落を記録。先週末は4万3000ドルを割り込んだ。最大の原因は、来年の利下げにブレーキがかかったこと。FRBは政策金利の0.25%引き下げを決めたが、同時に来年の利下げ予想を「従来の4回から2回に縮小」した。このため長期金利が急上昇、株式は売られドルが買われた。市場では、こんな解説が行き渡っている。だがブレーキがか...
◇ ダウ平均は10日間の続落 = ダウ平均は先週988ドルの大幅な値下がり。週末には下げ止まったが、水曜日までは10営業日の続落。実に50年ぶりの珍記録となった。特にFRBが0.25%の利下げを発表した水曜日は1100ドルを超える値下がり。この10日間の下げ幅は2689ドルに達した。利下げは完全に織り込んでいた市場だったが、FRBが来年の利下げ回数見通しを「4回から2回に縮小」したことがショックとなった。日経平均は先週769円の値...
◇ 中国製EVに押し込まれて = ホンダと日産自動車が、経営統合を目指して協議を開始する。持ち株会社を設立し、両社をその傘下に置く構想。三菱自動車も加われば、年間の販売台数は800万台を超え、世界第3位の自動車グループが誕生する。EV(電気自動車)の基幹部品・車載ソフトウェア・電池などの共通化などによって、効率を高めることが狙い。自動車産業の世界的な大競争時代を勝ち抜くための、思い切った決断だと言えるだろう...
◇ 目標を曖昧にして責任逃れ = 原子力発電所についての考え方を「最大限活用する」に変更する。東日本大震災のあと、政府は原発について「可能な限り依存度を低減する」という方針を貫いてきた。それを今回は百八十度転換する。同時に再生可能エネルギーも最大限活用し、電力の安定供給を目指す。これが年度内に決定しなければならない第7次エネルギー基本計画の素案――。主要新聞各紙が18日付けの朝刊で、経済産業省が公表した...
◇ 曲がる太陽電池を政府が本格的に支援 = 薄くて曲げることが出来る次世代型の太陽電池。ビルの壁や凹凸のある屋根、高速道路の側面にも貼り付けられる。ペロブスカイト型と呼ばれるこの新型電池を、政府が本格的に支援することになった。40年度に20ギガワットの発電能力を目指す。これは600万世帯分の電力を賄い、家庭全体の需要の約1割に相当する。現状では発電効率・耐久性・コストの面で、まだ改良の余地がある。政府はその...
◇ FRBは利下げ、日銀は利上げせず? = アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備理事会)は今週17-18日にFOMC(公開市場委員会)を開いて、政策金利の0.25%引き下げを決定する見通し。11月の雇用者増加数は22万7000人と高かったが、これはハリケーンで落ち込んだ前月の反動。また11月の消費者物価も2.7%上昇とやや高かったが、これも予想の範囲内。経済は‟軟着陸”に向かって着実に進んでいる、というのが市場の判定だ。したが...
◇ ハイテク銘柄の復権なのか? = ダウ平均は先週814ドルの値下がり。前週から7日間の続落となった。その割には下げ幅が小さく、終り値も4万4000ドルを少し割り込んだところで止まっている。そうしたなかでナスダック総合指数が水曜日に2万台に到達、関係者を驚かせた。11月の消費者物価が予想通りの上昇幅で、FRBが来週の会合で利下げを決めることが確実になったためだと解説されている。しかし、それならなぜダウ平均は下がっ...
◇ ドイツはことしもマイナス成長 = ユーロ圏20か国の経済が暗雲に包まれている。大黒柱とも言えるドイツが、ことしもマイナス成長になる見通し。代わりに頑張るはずのフランスもオリンピックの反動があって、経済は冴えない。しかも両国は政情不安にも見舞われ、政府の統率力は落ちてきた。そこへアメリカではトランプ氏の再登場。ECB(ヨーロッパ中央銀行)は政策金利の引下げを急ぎ景気の下降を防ごうとしているが、見通し...
◇ FRBでさえ判断に迷う = アメリカの景気は、好調を持続しているようにみえる。たとえば7-9月期の実質GDP成長率は年率で2.8%、10四半期連続でプラス成長を記録。内訳をみると、最も重要な個人消費は3.7%の増加、4-6月期の2.5%増加を大きく上回った。11月の雇用統計では、非農業雇用者の増加数が22万7000人。予想を大きく超えている。さらにニューヨーク市場の株価は絶好調、ダウ平均は連日のように最高値を更新。先...
◇ NY市場に集まる世界のカネ = ダウ平均は先週268ドルの値下がり。水曜日には終り値で4万5014ドルと初めて4万5000ドル台に載せたが、その後は利益確定売りに押されてやや反落した。しかし市場の空気は、強気一点張り。予想を上回る製造業の景況判断指数や雇用統計が発表されたが、FRBが来週の会合で追加の利下げに踏み切るだろうという予想にも変化はない。日経平均は先週883円の値上がり。終り値は3万9000円台を維持して...
◇ 徹底的な教育が基本ではないか = 遅まきながら、日本でも議論が始まった。年少者をSNSの悪影響から守ろうとする法律には、青少年インターネット環境整備法がある。しかし、この法律は18歳未満の年少者による有害情報の閲覧を減少させるため、企業は販売時に年齢確認を行うなどと書いてあるだけ。閲覧の規制などには、全く触れていない。そこで、こども家庭庁は11月25日、SNS上の青少年保護に関する検討会を初めて立ち上...
◇ その効果はまだ不明 = オーストラリア議会は11月28日、16歳未満のSNS利用を禁止する法案を可決した。対象はX、TikTok、インスタグラム、フェイスブックなど幅広い。これらの企業は子どもが接続できないようにする対応を迫られ、もし失敗すると最大4350万オーストラリア・ドル(約50億円)の罰金を科せられる。子どもや親に対する罰則規定はない。最近の世論調査では、この法案に対する賛成が77%にものぼっていた。...
◇ 経済が順調なのに、なぜ利上げするのか? = 「経済データがオントラック(予想した軌道上)に推移しているという意味では、近づいていると言える」--金利引き上げの可能性を聞かれた植田日銀総裁の答えである。日経新聞が28日にインタビューし、30日の朝刊紙面に内容を掲載した。市場ではいま「日銀は12月か来年1月に0.25%の利上げに踏み切る」という観測が強い。そこで、この答えを聞くと「12月にも利上げか」と考えたく...
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◇ 金利上昇に怯えたNY株式市場 = ダウ平均は先週1326ドルの大幅な値下がり。5日間の続落で、終り値は4万2000ドルを割り込んだ。トランプ減税法案が下院で成立、財政の悪化が見込まれることから長期金利が上昇。株式市場に冷風が流れ込んだ。また週末にはトランプ大統領がEUに対して50%の関税をかけると恫喝、貿易摩擦の悪化が心配されて、これも株価の下落につながった。日経平均は先週593円の値下がり。6週間ぶりの下落となっ...
◇ ゴーン流の大リストラで再建を目指す = 「デジャビュ」という言葉がある。もともとはフランス語だが、英語の辞書にも“dejavu”と出ている。訳せば「既視感」、つまり「いつか見たような光景に出会った感覚」のこと。日産自動車の今回の発表をみて、この既視感にとらわれた人は少なくないだろう。その「見たような光景」とは、あの悪名高いカルロス・ゴーン元会長が1999年に断行した大規模リストラ。5つの工場を閉鎖し、2万1000...
◇ 存亡の危機で7工場を閉鎖へ = テレビCMでは「やっちゃえ! 日産」と元気よく走り回っていた日産自動車が、またまた重大な経営危機に陥った。発表によると、25年3月期は最終6708億円の大赤字。そこへトランプ関税の影響も加わるから、このまま行くと倒産しかねない。そこでやむなく厳しいリストラに踏み切ることになった。28年までに世界に17ある完成車工場を10に減らし、従業員の15%に当たる2万人を削減するというのがその...
◇ 物価と円相場しだいの日本 = ちょうど1年ぶりに、マイナス成長に落ち込んだ。内閣府が先週16日に発表した1-3月期のGDP実質成長率は、年率換算でマイナス0.7%に。住宅投資や企業の設備投資は健闘したが、個人消費が年率換算でプラス0.1%と伸びず、また輸入が12.1%も増加して足を引っ張った。このほか輸出が2.3%の減少、政府の公的投資も1.8%減少してマイナス要因となっている。個人消費が伸び悩んだのは、物価の上昇で家...
◇ 伸び始めたトランプ関税の影 = ダウ平均は先週1405ドルの大幅な値上がり。終り値は4万2600ドル台を回復した。月曜日には米中両国が関税率をともに115ポイント引き下げることで合意したため、株価は1160ドルも上昇した。その後も貿易戦争の緩和期待から買い気は強かったが、その半面ではトランプ関税の悪影響が意識され株価の上値は重くなった。たとえば1-3月期の実質成長率はマイナス0.3%、景気の悪化を見越した個人消費の...
◇ 小売価格の高騰は農水省の画策 = コメの小売価格が18週ぶりに値下がりして、大きな話題となっている。しかし下がったと言っても、5キロ当たりわずかに19円。まだ1袋4200円を超えていて、政府が備蓄米を放出した効果は全く表れていない。そこで江藤農水相は「買い戻しの条件を緩和し、より多くの業者が入札に参加できるようにする」と言明した。だが、それで小売価格が3000円程度にまで下がるのだろうか。専門家の多くは否定...
◇ 将来を見据えた政策が欲しい = 原油の国際価格が下落したため、日本国内のガソリン小売価格も下がり始めた。経産省の集計によると、レギュラー・ガソリンの全国平均小売価格は4月28日の時点で1リットル=184.5円だった。4月14日時点の186.5円から、明白な下げ基調に転じている。これまでは政府の補助金で185円に抑制されてきたが、現在は補助金なしでも185円を下回るようになった。この動向をみて、石破首相は「さらに10円の...
◇ OPECプラスは完全に機能不全 = 原油の国際価格が、ずっと低水準を続けている。ニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)先物価格でみると、22年6月には1バレル=115ドルの高値を付けていた。そこからは上下しながらも、しだいに下落。直近では昨年4月の85ドルが高値だった。あとはずるずると下がって、現在は60-62ドル程度で推移している。原油が下がった原因は需要面と供給面の両方にあり、いずれも相当に深刻。したがっ...
◇ 日米交渉の決着は7月以降? = アメリカと各国・地域との関税引き下げ交渉が、ようやく進行し始めた。交渉の妥結第1号はイギリス。ホワイトハウス関係者は、近くアジアの数か国とも合意をみるだろうと予想している。またアメリカと中国は、ともに関税を115ポイントずつ引き下げることで合意。このため金融市場では交渉が急速に進展するという見方も広がっている。だが、この見方には大きな疑問符が付く。日米交渉も7月まで...
◇ 関税引き下げに過剰な期待 = ダウ平均は先週68ドルの小幅な値上がり。終り値は4万1249ドルだった。上げ過ぎを調整した形だが、やや中途半端な感じ。水曜日にはFRBが「見通しの不確実性がいっそう強まった」という理由で、政策金利の据え置きを決定し株価は下落した。ところが終り値では300ドル近くも上昇。原因はイギリスとの関税交渉がまとまり、中国との交渉も始まるというニュースが伝わったからだ。市場は利下げよりも、...
◇ 米側のカードは相互関税の上乗せ分だけ? = 日米間の関税引き下げ交渉は全くの平行線、このままでは交わりそうにないことが明瞭になった。1日にワシントンで開かれた2回目の閣僚会議で、赤沢経済再生相は大豆やトウモロコシの輸入増加などを提示、トランプ関税の全面的な引き下げを要求した。ところがアメリカ側は自動車などに対する関税引き下げを拒否。引き下げる可能性があるのは、相互関税のうちの上乗せ分だけだという基...
◇ 速すぎる株価の反発スピード = ダウ平均は先週1204ドルの大幅な値上がり。終り値は4万1317ドルで、4月8日の底値からは3671ドルの上昇となった。トランプ大統領が「中国に対する145%の関税は高すぎる」と発言したことや、1-3月期のGDP速報で個人消費の伸びが予想を上回ったことなどが株価を押し上げた。また市場では、FRBが今週の政策決定会合で利下げに踏み切るだろうとの期待が高まり、これも株価上昇の原因となっている。...
◇ トランプ大統領のアキレス腱になるか = アメリカ商務省の発表によると、1-3月期のGDP実質成長率は年率換算でマイナス0.3%だった。マイナス成長は3年ぶり。昨年10-12月期のプラス2.4%から大幅に低下した。最大の要因は、関税引き上げを前に駆け込み輸入が急増したこと。輸入額は年率換算で、前年比41.3%も増加した。このため純輸出が4.8ポイントも低下、GDPの減少に寄与した。個人消費は伸びが鈍化したものの、増加率は1...
◇ カギはトランプ大統領の決断 = アメリカ経済もまた、スタグフレーション(不況とインフレの共存)の入り口に差しかかっている。関税引き上げで物価が上昇し、それが消費の減退を招いて景気を下降させる可能性が生じたからだ。そこへ中国との貿易戦争が加われば、打撃は決して小さくない。すでに農産物の価格が低落し、農村ではトランプ政策に対する批判も聞かれ始めた。中国によるレアメタルの禁輸、発注したボーイング旅客機...
◇ 東南アジアの取り込みに奔走 = 中国は不動産不況から、なかなか立ち直れない。ことし1-3月期のGDP成長率は5.4%で、前期と変わらなかった。内需の伸びは鈍く、輸出が6.9%増加して成長を主導した形となっている。そこへトランプ関税。このままだと成長率は2ポイント低下するという試算もあって、打撃は決して小さくない。人民元も急落し、3月は17年4か月ぶりの安値を記録した。輸出にとってはプラス材料だが、物価の上昇要因...
◇ トランプ大統領の奇っ怪な発言 = トランプ大統領は先週22日、記者団に対して「中国に対する関税145%は相当に高い。ゼロにすることはないが、大幅に下がるだろう」と言明した。その後も「中国との交渉はうまく行っている。習近平主席から電話もかかってきた」と、楽観的な見通しを何度も繰り返した。ところが中国側の反応は、全く否定的。外務省の報道官は「アメリカとの交渉は行われていない。中国は売られた喧嘩は受けて立...
◇ 石破首相は拒否できるのか? = 立憲民主党の野田代表は25日「食料品にかかる消費税を原則1年間だけゼロにする案を、参院選挙の公約にする」と発表した。野田氏は首相時代に、消費税の10%引き上げを実現した人。それだけに、これまでは消費税の減税には慎重だったが、ここへきて変節した。党内に強まった減税論に押し切られた形。ただ財源については「赤字国債に頼ることなく、地域財政や未来世代に負担をかけない財源を確保...
◇ トランプ政権の“反省”は本物か? = ダウ平均は先週971ドルの値上がり。終り値は4万ドル台を回復した。4月8日の安値から2468ドルの上昇となっている。月曜日にはトランプ大統領の「パウエルFRB議長は辞めろ」発言があって、株式・債券・為替のトリプル安。火曜日には「解任は考えない」と軌道修正したために、株価は大幅に反発した。市場では、ベッセント財務長官らがトランプ大統領に忠告。トランプ氏も金融市場が混乱するこ...
◇ トランプ大統領がパウエルFRB議長に「辞めろ」 = 「ジェローム・パウエルはいつも遅くて、間違ってばかりいる。一刻も早く辞めるべきだ」--トランプ大統領は記者会見で、FRB議長を名指しでこう非難した。トランプ関税の影響で、アメリカ経済は景気後退に陥る可能性が強まっている。もし不況になれば、国民の不満や批判は高まるに違いない。それなのに、FRBは利下げを躊躇している。けしからん、というわけだ。輸入関税の大...
◇ 大きすぎる失政の代償 = いま専門家の間では「減反政策の影響が続いており、コメの生産量は減っている。一方、消費量は外国人旅行者の増加で増えている。だから供給不足で価格が高騰するのは当然」という見方が定着してきた。これが本当だとすれば、農水省は日本人の主食であるコメに関する実態を見誤っていたことになる。これはなんとも一大事と言わざるをえない。しかも、この農水省の誤認によって生じた悪影響はきわめて大...
◇ なぜ日銀はコソコソ動くのか = 東京債券市場で22日、10年もの国債の流通利回りが一時1%を超えた。13年5月以来11年ぶりのことである。理由は日銀が通常の買い入れオペで、国債の購入額を突如として減らしたからだ。このため国債の流通価格が下がり、利回りが上昇した。2年ものや5年もの国債の利回りも上昇している。市場では「日銀が政策金利の引き上げ準備を始めた」という観測が、一気に広がった。市場の観測はまだ収斂して...
◇ 補助金→生産増→安売り→輸出増 = いま中国は不動産不況に悩んでいるが、鉱工業生産だけは順調に増加している。だが主要製品の生産は過剰で、価格が下がっていることも事実。たとえば4月の卸売り物価でみると、鉄鋼の価格は前年比8.1%の下落。4月の消費者物価でみると、自動車は4.3%、スマホは2.9%の下落となっている。しかし価格が下落しても、生産は衰えない。政府が補助金を出して、増産を奨励しているからである。国内で...
◇ 米政府が中国製EVに関税100% = バイデン政権は先週14日、主要な中国製品に対する制裁関税の大幅な強化を発表した。EV(電気自動車)については25%だった制裁関税を100%に。また自動車などに使用する旧世代の半導体については25%を50%に。車載用リチウムイオン電池は3倍の25%に。太陽電池は2倍の50%に。さらに鉄鋼とアルミは3倍の25%に引き上げる。通商法301条に基づく措置で、「安価な製品の流入を防ぎ、国内産業...
◇ 当面の焦点は22日のエヌビディア決算発表 = ダウ平均株価は先週末、とうとう4万ドル台に乗せた。20年11月の3万ドル乗せから、3年半での大台替わり。4月の雇用情勢や小売り売上高、それに消費者物価が、そろって予想をわずかに下回る伸びに。FRBの利下げが早まるという期待が高まって、株価を押し上げた。ただ高値で確定売りも出やすくなっている。今後も株価は上昇を続けるのだろうか。当面の関門は、22日に発表されるエヌ...
◇ ダウの続伸は半導体の業績しだい = ダウ平均は先週491ドルの値上がり。金曜日には、終り値でとうとう4万ドル台に乗せた。1999年3月に1万ドル、2017年1月に2万ドル、20年11月に3万ドルという上昇の軌跡。この10年間では2.4倍に膨張している。先週の値上がりは、4月の消費者物価と小売り売上高が予想をやや下回ったことが原因。FRBが利下げを早めるのではないかという期待が、市場に広まった。日経平均は先週558円の値上がり...
◇ 物価の上昇で節約ムード広がる = 内閣府は16日、ことし1-3月期のGDP速報を発表した。それによると、名目経済成長率は年率換算でプラス0.4%、実質成長率はマイナス2.0%だった。不正認証問題で自動車の生産が減少、消費や輸出にも悪影響が及んだ。しかし名目成長率はプラスを維持。物価が3.6%上昇したために、実質成長率はマイナスに沈んでいる。こうしたなかで特に注目されたのが、個人消費の落ち込み。これで4四半期連...
◇ 達成できない計画の連続 = エネルギーの大半を輸入に頼る日本にとって「エネルギー基本計画」は最も重要な経済政策の青写真だと言える。2003年に初めて作成され、その後3年ごとに改定されてきた。だが残念なことに、この計画目標が達成されたことはない。目標の水準が高すぎるのか、それとも達成するための具体的な政策に欠陥があるのか。いずれにしても、責任官庁である経済産業省の失態。ことしは改定の年に当たっているが...
◇ 太陽光発電は余って困っているのに = 気象庁の予測によると「ことしの夏は猛暑になりそう」だという。そして気温の上昇とともに、電気料金もどんどん上がりそうだ。たとえば標準家庭について6月請求分をみると、東京電力は8538円で5月より401円高くなる。大手10社がすべて値上げし、いちばん高いのは北海道電力の9114円。いちばん安いのは九州電力の7101円ということになる。国際的なエネルギー価格の高騰に、円安による輸入...
◇ 景気後退の予兆も現われた = これまで暖流に囲まれてきたアメリカ経済に、寒流が入り込み始めた。再び暖流が勢いを取り戻すのか、それとも寒流が強さを増して行くのか。まだ断定はできない。ただ景気後退の予兆も現われており、もし寒流が勢いを増すと、FRBによる利下げが早まったり、円高が進行したりする。日本経済への影響も非常に大きいので、注意が必要だ。潮目の変化は、まず4月の雇用統計に表われた。非農業雇用者...
◇ ダウ平均は最高値更新の勢い = ダウ平均は先週837ドルの値上がり。5月に入ってからは8連騰で、終り値は3万9513ドル。3月末に記録した史上最高値まで、あと300ドルに接近した。4月の雇用統計で雇用者の増加数が予想を下回り、FRBの利下げ期待感が増大。また3月期の企業決算が好調だったことも、株価を押し上げた。さらにハマスが休戦案を受け入れたことで、安心感が広がった。日経平均は先週7円の小幅な値下がり。ニューヨ...
◇ 個人消費の減り方に注目 = 内閣府は16日に、ことし1-3月期のGDP速報を発表する。それに先駆けて民間の調査機関が、続々と予測の結果を発表した。読売新聞によると、民間10社が予測した実質成長率は年率換算でマイナス1.0%~マイナス3.3%。全社がマイナスを予測し、その平均値はマイナス1.8%だった。NHKも11社について、ほぼ同様の内容を報道している。民間の事前予測は当たらないこともあるが、全社がマイナスを予...
◇ 理屈に合わない日銀のアプローチ = FRBは急激な金融引き締め政策で、インフレを抑え付けようとした。しかし物価はまだ3%以上の上昇を続けている。これを2%の上昇にまで下げることが最終的な目標。だが、これ以上の引き締めは景気を悪化させる危険があるので難しい。このため政策金利をずっと5.25%に据え置いたまま、様子を見ているのが現状だ。それでも「物価2%」という目標は、満月のようにはっきりと見えている。日...
◇ 中央銀行はそれぞれの難問を抱え込んだ = FRB(連邦準備理事会)はアメリカの中央銀行、日本銀行は言うまでもなく日本の中央銀行だ。この2つの中央銀行はいま、それぞれに大きな問題を抱え込んで苦しんでいる。中央銀行の使命の1つは、通貨価値の維持。同時に経済の健全な成長にも、目を配らなければならない。だが近年は、その目的をなかなか達成できない。金融政策の効力が低下してきたためである。アメリカの場合。FR...
◇ 日経平均、4月は1964円の大幅安 = ダウ平均は先週436ドルの値上がり。終り値は3万8600ドル台にまで戻している。FRBが金融政策の現状維持を決めたことは、完全に織り込み済み。市場では「一つの儀式が終了した」という感じ。また週末に発表された雇用統計は予想を下回り、インフレ抑制への期待が高まった。さらに1-3月期の企業業績も堅調で、中東情勢に落ち着きが見えれば、株価はまだ上げそうな気配をみせている。日経平...
◇ 23年度は就業者が28万人増加した = 総務省が発表した23年度の労働力調査をみて、ちょっと驚いた。世の中は人手不足で騒がしいが、この調査をみる限り人手がひどく不足するような原因は見当たらない。たとえば完全失業率は2.6%、失業者数は平均178万人で、ともに前年度と変わりなかった。また就業者数は6756万人で、前年度より28万人増えている。増え方は大幅とは言えないが、それでも働く人はそこそこ増えている。それなの...
◇ 日銀がひと言つぶやけば円高になるのに = FRBは1日の政策決定会合で「現行の金融政策を据え置くこと」を決めた。声明のなかで、FRBは「ここ数か月間、2%の物価目標に向けた進展がみられなかった」と、その理由を説明している。パウエル議長も記者会見で「インフレ抑制への自信を得るまでには、まだ時間がかかりそうだ」と補足した。市場は完全に織り込んでいたため、株価は小幅に値上がりしただけだった。ところが為...
◇ 「この程度の円安なら全く心配なし」という非常識 = 円相場は29日、朝方に160円台まで下落したあと6円近くも反発。市場では政府・日銀が介入したとみている。今回の円安を加速させた直接の原因は、植田総裁の26日の発言。記者の方から‟助け舟”のような質問が出た。--「円安進行による物価への影響は、無視できる範囲なのか」--これに植田総裁が「はい」と答えたため、一同は唖然。為替市場では円の対ドル相場が一気に158...
◇ 市場は円安の悪影響を警戒 = ダウ平均は先週253ドルの値上がり。終り値は3万8000ドル台を回復した。しかし3月下旬に記録した史上最高値を、まだ1500ドル以上も下回っている。1-3月期の実質成長率は1.6%で予想に届かなかったが、景気の基調は強いと判断された。また1-3月期の企業決算が好調だったことも、株価を押し上げる材料となっている。日経平均は先週866円の値上がり。しかし終り値は3万8000円に届かなかった。3月下...
◇ 原因は成長政策の欠如とゼロ金利 = IMF(国際通貨基金)は「インドのGDPが25年中に日本を上回る」という推計を発表した。かつて日本はアメリカに次ぐ世界第2位の経済大国だったが、中国とドイツに抜かれて、現在は第4位。インドに抜かれれば、第5位に転落する。人口がバカ多い新興国だから仕方がないと言ってしまえばそれまでだが、世界の多くの人たちに「日本は老衰した昔の経済大国」といったイメージを植え付けたり...
◇ ‟上場”の意味を考え直すチャンスかも = 上場廃止は、いまに始まった現象ではない。たとえばリーマン・ショック後にも増加したが、当時の原因はほとんどが経営不振。倒産したり、上場基準を維持できずに市場から撤退した。これに対して昨今の離脱は、経営者が意図して決定する、一種の”積極的な戦略”。ただし一般的に言うと、外部や一般株主による提案や要求から逃れるための‟消極的な目的”による場合が少なくない。たとえば東...