◇ トランプ大統領がパウエルFRB議長に「辞めろ」 = 「ジェローム・パウエルはいつも遅くて、間違ってばかりいる。一刻も早く辞めるべきだ」--トランプ大統領は記者会見で、FRB議長を名指しでこう非難した。トランプ関税の影響で、アメリカ経済は景気後退に陥る可能性が強まっている。もし不況になれば、国民の不満や批判は高まるに違いない。それなのに、FRBは利下げを躊躇している。けしからん、というわけだ。輸入関税の大...
経済問題の分析、解説。特に政府の政策に対する批判。いくつかの大学で教科書代わりに利用されています。
最近の例では、1000円高速料金やエコポイントへの批判。景気回復の芽をいち早く探し出しています。またアメリカのGMやクライスラーが破産法の申請しか可能性がないことも、数か月前から予想しています。 原則として祝日以外は、記事を更新。株価の上昇、下落も毎日予想しています。これまで3年間の騰落予想では、勝率が約7割。証券マンの読者も少なくありません。
◇ トランプ大統領がパウエルFRB議長に「辞めろ」 = 「ジェローム・パウエルはいつも遅くて、間違ってばかりいる。一刻も早く辞めるべきだ」--トランプ大統領は記者会見で、FRB議長を名指しでこう非難した。トランプ関税の影響で、アメリカ経済は景気後退に陥る可能性が強まっている。もし不況になれば、国民の不満や批判は高まるに違いない。それなのに、FRBは利下げを躊躇している。けしからん、というわけだ。輸入関税の大...
◇ 大きすぎる失政の代償 = いま専門家の間では「減反政策の影響が続いており、コメの生産量は減っている。一方、消費量は外国人旅行者の増加で増えている。だから供給不足で価格が高騰するのは当然」という見方が定着してきた。これが本当だとすれば、農水省は日本人の主食であるコメに関する実態を見誤っていたことになる。これはなんとも一大事と言わざるをえない。しかも、この農水省の誤認によって生じた悪影響はきわめて大...
◇ 令和のコメ騒動を収束できず = 総務省の発表によると、3月の消費者物価は生鮮食品を除いた総合指数で前年比3.2%上昇とややインフレ気味。なかでもコメの価格は、なんと前年比92.1%の大幅な上昇だった。これで10か月連続の高値更新となっている。政府の補助金支給で電気・ガス料金が下がったのに、コメの高騰で帳消しに。小売り価格は4月になっても一向に下がらず、たとえばスーパーの平均価格は3月31日からの週で、5キロ当...
◇ 景気後退に怯えるニューヨーク市場 = ダウ平均は先週1070ドルの大幅な値下がり。終り値はまた4万ドルを大きく割り込んだ。前週1900ドルも上げたことの反動もあったが、トランプ政策で景気後退の感触が強まり売り物が増加した。たとえば半導体の対中規制強化で、エヌビディアが55億ドル(7900億円)もの損失を計上。IT銘柄が大きく売られた。また中国製品を扱う小売業の業績悪化見通しから、内需関連株も下げている。日経平均...
◇ 新聞・テレビは世論調査してみたら = またもや“バラマキ”の話が急浮上している。自民・公明両党は先週、政府に対して「国民一律の現金給付」を実施するよう申し入れた。トランプ関税や物価高に対応するためで、政府もその方向で検討を開始する。今回は所得制限を設けず、1人5万円を支給する案が有力。補正予算案を編成し、今国会に提出する方針。しかし世論調査でも、その評判はよくない。それなのに、なぜやるのだろう。財源...
◇ 中国の予想外な強い抵抗 = トランプ大統領は相互関税の上乗せ分を90日間停止したときも、中国だけは除外した。逆に中国向けの関税は145%に引き上げている。これはもう輸入制限というよりは、輸入禁止に等しい。ここまですれば、中国も音を上げると考えたのだろう。ところが中国は報復関税125%で対抗、さらにレアメタルの輸出制限で応じた。こちらも超大国を意のままに支配している大王だった。この大王同士の対決、いまのと...
◇ 金融危機を恐れて相互関税を停止 = 議会の承認もなく、思うがままに関税をいじくり回すトランプ大統領。その姿は民主主義国の大統領というよりは、中世の大国を支配した大王のようだとも批判されている。だが圧倒的な権力を発揮する大王にも、いくつかの泣き所があるようだ。たとえば発表したばかりの相互関税を、13時間後には上乗せ分を90日間停止せざるをえなかなった。さらにスマホやパソコンの関税を撤廃した直後に、別途...
◇ 日経平均はなんと連日4ケタの上下動 = ダウ平均は先週1898ドルの大幅な値上がり。3週間ぶりの上昇で、終り値は4万ドル台を回復した。ただ上げたのは、トランプ大統領が相互関税の上乗せ分を90日間停止すると発表した水曜日だけ。この日は過去最大となる2963ドルも上昇した。しかし木曜日には中国向け関税が145%に引き上げられ、1000ドル以上も反落している。とにかくトランプ関税に大きく振り回された1週間だった。日経平...
◇ 最強の相手は中国車 = いま欧米や日本の製品を押しのけて、中国製の自動車が独走している。昨年の業績を眺めると、アメリカやヨーロッパのメーカーはほとんどが減益。日本も伸び悩んでいる。そんななかで昨年、中国の新車販売台数は3143万台で前年を4.5%上回った。特にトップを走るBYD(比亜迪)の成績は抜群。昨年は前年より4割多い427万台を売り上げた。この結果、直近5年間で売り上げは6倍、純利益は25倍という快走ぶりで...
◇ 日本車は生き残れるのか = アメリカが輸入するすべての自動車に、4月3日から一律25%の追加関税をかける--トランプ大統領が打ち出したこの奇策は、世界中の自動車メーカーを舞い上がらせた。アメリカでの生産台数を増やし、関税を免れようとするもの。コストを削減して、店頭価格の上昇を出来るだけ抑えようとするもの。あるいはアメリカ市場に見切りをつけるもの。対応はさまざまだが、みな大慌てだ。もちろん、日本のメー...
◇ きわめて難しい相互関税の対米交渉 = トランプ大統領は相互関税の詳細を発表したとき「個別の関税率は非関税障壁の状態も加味して決定した」と説明した。だが非関税障壁というのは、輸入商品の安全性や環境基準、それに輸入手続きの煩雑さなど、漠然とした性質のもの。どうやって、これを数値化したのか、疑問に思っていた。ところが、この問題を日経新聞が解明。それによると、個別国に対する相互関税率は「アメリカの貿易赤...
◇ 期待されるトランプ大統領の“アメ” = ダウ平均は先週3269ドルの大幅な値下がり。トランプ大統領が水曜日に相互関税の詳細を発表すると、木・金曜日は猛烈に下げた。特に金曜日は2231ドルと、史上3番目の下げ。週間の下げ幅も、コロナ初期の20年5月以来の大きさ。終り値は3万8315ドルで、昨年5月の水準に逆戻りした。市場では、相互関税の内容が予想をはるかに上回る厳しさだったと評価している。日経平均も先週は3340円の大幅...
◇ 日本には24%の相互関税 = ついにトランプ大統領が、相互関税の詳細を発表した。その内容は、まず全世界の国・地域に対して、一律に10%の関税をかける。また対米貿易で黒字を出している約60の国・地域については、非関税障壁の問題も考慮して個別の税率を設定するというもの。一律関税は5日から、個別関税は9日から発効する。個別関税を高い方から並べると、ベトナム46%、タイ36%、中国34%、台湾・インドネシア32%、イ...
◇ 消費者の心理が急速に委縮? = ニューヨーク市にカンファレンス・ボードという名の団体がある。経済団体や労働組合などで構成する民間の非営利団体だ。1916年の創立だから、かなり古い。この団体が有名なのは、毎月5000人の消費者を対象に「財布のヒモの締め具合」を調査していること。その結果は「消費者信頼感指数」として発表され、関係者には重要視されている。ところが先月25日に発表された3月の調査で、短期的な先行き...
◇ アメリカ景気に注意信号 = ダウ平均は先週401ドルの値下がり。終り値は4万2000ドルを割り込んだ。週の前半は「自動車関税が緩和的な内容になる」というニュースが流れて株価は上昇したが、トランプ大統領が水曜日に「25%の恒久的な措置」と発表すると下落。さらに週末には個人消費支出の減退が確認され、株価は大きく下げた。自動車関税が「緩和的」から「恒久的」に急変した割には、株価の下落は小幅にとどまった。市場がト...
◇ 低支持率でも石破内閣は続く = 石破内閣の支持率が急落した。たとえばNHKの世論調査を見ると、支持率は前月より8ポイント低下して36%に落ち込んだ。不支持率は10ポイント上昇して45%に達している。理由は言わずと知れた「石破首相が新人議員に10万円の商品券を贈った」事件。いま自民・公明の与党は衆院議席の過半数を割っている。だから仮に野党が結束して不信任案を出せば、石破内閣は潰れるかもしれない。だが野党は不信...
◇ 不透明感は徐々に薄れて行く = アメリカが高い輸入関税を導入すると、その相手国は報復措置としてアメリカ製品に高関税をかけることが多い。たとえば中国は、天然ガスや農産物に10-15%の関税をかけた。またカナダは鉄鋼・アルミ製品などに25%、EUも260億ユーロ分の輸入品に25%の関税を導入した。これらの報復関税もトランプ関税攻勢が誘発したものであり、トランプ政策が世界経済に与える悪影響の測定をますます難しくし...
◇ アメリカの自動車メーカーに大打撃 = 最も注目されているのは、自動車に対する輸入関税の引き上げだ。アメリカは自動車の消費大国。そこに関税障壁が構築されれば、各国のアメリカ向け自動車輸出は大きく抑制されてしまう。もちろん、日本に対する影響もきわめて大きい。貿易統計によると、24年のアメリカ向け自動車輸出は6兆0264億円で、アメリカ向け輸出全体の28.3%を占めた。さらにメキシコやカナダに生産拠点を持つメー...
◇ 来週2日には相互関税などの詳細を発表 = ドナルド・トランプ氏が2期目の大統領に就任したのは1月20日。その日から、とにかく関税をいじくり回した。大統領は議会の承認なしで、関税を動かすことが出来る。この特権を利用して関税政策を連発、いや乱発した。そして来週2日には、自動車に対する関税や新たに導入する相互関税の詳細を発表する予定。この際、トランプ関税攻勢の全体像をおさらいしておこう。きょう3月26日現在、...
◇ 底値を手さぐりする株式市場 = ダウ平均は先週497ドルの値上がり。3週間ぶりの上昇で、終り値は4万2000ドルに最接近した。先々週の木曜日には半年ぶりに4万1000ドルを割り込んだが、そこからは戻り基調に。形としては4万1000ドルが底値となったが、市場はもう一段上を向いて4万2000ドルを底値としたいようにも見受けられる。先週はトランプ関税攻勢に動揺することもなく、またFRBの金利据え置きも織り込み済みで冷静に受け取...
◇ 利上げのチャンスを逸した日銀 = 日銀とFRB(連邦準備理事会)はともに18-19日、それぞれ金融政策決定会合を開催した。日米の中央銀行が、同じ日に金融政策を決める会合を開くのは珍しい。そして同じように、政策金利は動かさないことを決めた。この結果、アメリカの金利は年4.25%、日本の金利は0.5%のまま据え置かれる。ただしFRBは利下げの見送り、日銀は利上げの見送り。両者の方向感だけは、全く異なっている。アメリ...
◇ コメ農家の高齢化にどう対処するのか = 23年度産米は夏の猛暑の影響で、生産量が減少した。さらに24年度産米も不作気味のため、関連する各段階の業者がいつもより多めに買い入れた。これが今回のコメ不足・価格高騰の引き金となった。そして価格がさらに上がるにつれて、多くの業者や消費者の買いだめを誘発した。--というのが、どうやら真相のようである。ところが農水省は、この現実を最初から最後まで誤認してしまった。...
◇ 疑問だらけの農水省の政策 = 農林水産省は先週14日、政府備蓄米放出のために実施した入札の結果を発表した。それによると、放出した15万トンのうち14万1796トンが落札され、その平均価格は60キロ当たり2万1217円だった。これに消費税を加算すると、約2万3000円。さらに流通業や小売業の手数料、運賃などを考慮すると、スーパーなどでの店頭価格はほとんど下がらないという見方が強い。だいたい入札という制度は、モノを高く売...
◇ 売り一色でないことが救い = ダウ平均は先週1314ドルの値下がり。2年ぶりの大幅な下落となった。月-木の4日間は続落、下げ幅は1988ドルに達している。ただ金曜日には大きく反発、675ドルの上昇となった。終り値ベースでも、木曜日には4万1000ドルを割り込んだが、金曜日には回復している。下落はトランプ関税の影響で物価が上昇、景気は下降を免れないという見方が広まったため。反発は下げ過ぎの訂正が主因で、自律反発の感...
◇ 4月になると悪化が顕在化する = アメリカが景気後退に落ち込む公算が強まってきた。悪くすると、景気後退とインフレが同時に発生するスタグフレーションに陥る危険性もないではない。トランプ関税政策で物価が上昇、その結果として消費と設備投資が減退するとみられるからだ。トランプ大統領がインタビューで「景気後退の可能性」を聞かれ、はっきり否定しなかったことで、景気下降の見通しはいっそう強まった。このため株式...
◇ ホワイトハウスから追い出される日は = テスラの24年の販売台数は179万台で、EVとしては世界最大を記録した。だが前年よりも1万台少なく、頭打ちの状態に陥っている。これは中国市場で、BYDなどの中国製EVに負けたため。そんなとき、ことしに入ると不買運動に見舞われた。販売台数の減少はアメリカでは前年比5%程度だが、ヨーロッパでは激減している。ヨーロッパ自動車工業会によると、1月の販売台数は9900台、前年比45%の...
◇ 不買運動で売れ行きが激減 = EV(電気自動車)の元祖とも言えるアメリカのテスラ。いまアメリカ国内でもヨーロッパの主要国でも、激しい不買運動に見舞われている。ニューヨーク市の直売店には暴徒が乱入、警官隊が出動して逮捕者が出る騒ぎに。ことしに入ってテスラの販売台数は激減、株価は急降下した。日本での生産も、この3月末で終了する。なぜ、こんなことが起こったのだろうか。アメリカの主要都市を行進する不買運動...
◇ NY市場はもう一段の下げを覚悟した = ダウ平均は先週1039ドルの大幅な値下がり。終り値は3万6887ドルで、2か月ぶりに3万7000ドルを割り込んだ。トランプ関税攻勢がアメリカ経済にも、悪影響を及ぼす。物価高と景気低迷に対する警戒感が増大している。SP500指数は大統領選挙日の水準を下回り、ナスダック指数も昨年12月の最高値より1割低くなった。特に半導体などハイテク株の下落が著しい。こうした状況から、ニューヨーク市...
◇ EUが大きく変わってしまう可能性 = 総選挙で勝利した中道右派のCDU・CSU(キリスト教民主社会同盟)だが、獲得した議席は208。過半数の315議席には遠く及ばない。そこでメルツ党首はすでに連立工作を開始している。だが第2党にのし上がったAfD(ドイツのための選択肢)は、極め付きの極右政党。移民の完全排斥だけでなく、EUの解体さえも公約にうたっている。これでは連立は無理。そこで第3党に沈んだ左派のSPD(社会民主党)...
◇ 移民・物価高・不況で、与党が大敗 = EUの盟主ドイツが、大変な苦境に陥っている。移民の大量流入に対する国民の反発、エネルギー価格の高騰による物価高、それに2年続きのマイナス成長。2月23日に実施された総選挙では、こうした問題に有権者の批判が集中。与党の左派SPD(社会民主党)が大敗した。勝利した中道右派のCDU・CSU(キリスト教民主社会同盟)も過半数を獲れず、いま連立を模索中。このためイギリスとフランスが...
◇ 立ちはだかる円高・トランプ関税 = 日経新聞が東証プライム上場1073社の昨年4-12月期決算を集計した。それによると、純利益は43兆円で前年同期比15.0%の増加だった。全業種の4分の3が増益で、うち348社が過去最大の利益をあげている。特に非製造業が好調で、前年比は24.3%の増益。製造業は4.9%の増益だった。またスタンダードとグロースに上場している企業も、前年比14%の増益と健闘した。要するに現時点でみる限り、企...
◇ トランプ関税でもNYは上昇、東京は大幅安 = ダウ平均は先週413ドルの値上がり。小売り最大手ウォールマートの暗い業績予想が発表されたり、消費者心理指数が1年3か月ぶりの低水準に落ち込むなど、景気の先行きに対する不安も広がった。その一方では、トランプ関税がインフレを促進するのではという心配も、市場の空気を暗くした。しかし下院が10年間で4兆5000億ドル(670兆円)にのぼる減税の延長案を可決するなど、プラス材...
◇ “曲がる太陽電池”を育成するしかない! = もう少し調べてみよう。まずは原子力。東日本大震災の前は54基の原発が稼働していたが、その多くが廃炉に追いやられた。震災後は建設中の3基を含めて26基が規制委員会に安全審査を申請。いままでに17基が合格、うち14基が再稼働している。だが23年の電源比率はわずか8.5%、計画で設定した2割の目標を達成するには、少なくとも26基がすべて稼働する必要がある。しかしテロ対策の遅れ...
◇ 幅がありすぎる目標の設定 = 政府は先週18日の閣議で、新しいエネルギー基本計画を決定した。この基本計画は、特に将来の電力をどのような手段で供給するかを決めるもので、きわめて重要。3年に1度、新しい計画を作成している。こんどの計画では「40年度に再生可能エネルギーと原子力を全電源の最大7割に増やす」ことになった。このため原子力については、従来からの「可能な限り原発依存度を低減する」という文言を削除。姿...
◇ この環境で利上げを示唆する鈍感さ = ことしに入ってから、日本株の足取りが重い。先週末の日経平均は、年初に比べると1118円も安い。1月7日以来ずっと4万円を割り込んだままだ。この間、主要な欧米市場の株価はしっかりと上昇している。たとえばダウ平均は年初比で900ドル近く上げ、SP500は先週、史上最高値を更新した。トランプ関税の直撃を受けたカナダやメキシコの株価さえ上昇している。まだ大差がついたわけではないが...
◇ 景気不安で急落したNY株 = ダウ平均は先週1118ドルの大幅な値下がり。終り値は1か月ぶりに4万4000ドルを割り込んだ。週の前半はSP500が史上最高値を更新するなど堅調だったが、後半は大きく下落している。まず小売り最大手ウオールマートの業績見通しが、予想を下回った。そこへ加わったのがPMI(購買担当者)の景況指数で、2月は1年5か月ぶりの低水準に落ち込んだ。このため景気の先行きに対する不安感が拡大、株価を押し下...
◇ 維新にも国民にもフラれる恐れ = 衆議院の総数は465議席、過半数は233議席。自民・公明党は総選挙で惨敗し、218議席しか獲得できなかった。過半数には15議席足りない、いわゆる少数与党になってしまった。一方、日本維新の会は38、国民民主党は28に議席を伸ばした。だから計算上は、この野党のどちらかが賛成してくれれば予算や法案を成立させることが出来る。そこで維新の会には「高校無料化」で、国民民主党には「年収の壁...
◇ 「年収の壁」「高校無料化」でずるずる譲歩? = 自民・公明党は「年収の壁」見直しについて、国民民主党と最終的な協議に入った。専業主婦などがパートで働いている場合、収入がある金額を超えると税金や社会保険料を納めなければならなくなる。このため手取りが逆に減ってしまい、大きな問題となっていた。この壁は、たとえば年収103万円で税金が、106万円で社会保険料が発生するなどいろいろ存在する。国民民主党は選挙でも...
◇ 動くに動けない窮地に陥る = パウエルFRB議長にとって、先週12日はちょっとした厄日だった。その日の朝、トランプ大統領がSNSに「金利は引き下げられるべきだ。それは間もなく導入される関税と表裏一体の関係にある」と投稿。どうして利下げと関税が表裏一体なのかは不明だが、かなり露骨な口先介入であることに間違いない。そして、その30分後に発表された1月の消費者物価は予想を上回る上昇。下院に呼び出されたパウエル議...
◇ トランプ政策に反応しない株式市場 = ダウ平均は先週243ドルの値上がり。終り値は4万4546ドルで、この4週間ずっと4万4000ドル台で動いている。この間、トランプ大統領は関税政策やウクライナ対策を矢継ぎ早に打ち出したが、株価はあまり変動しなかった。先週も株価を最も動かしたのは、予想より強かった1月の消費者物価。利下げが遠のいたと判断され、金利とドルが上昇。株価は下げた。日経平均は先週362円の値上がり。終り値...
◇ 日本にもDEI反対の波はやってくる = バイデン政権が強力に推進したEDI促進プロジェクト。つまり人種的少数者や性的少数者を尊重する政策を、トランプ大統領は全面的に否定した。その影響は急速に民間へも波及している。たとえば小売り最大手のウオールマート、IT大手のメタやグーグル、さらにマクドナルドも、これまで実施してきた社内DEI制度を廃止あるいは修正すると発表した。また一部の私立大学も、人種的少数者に与えて...
◇ 性的少数者は軍隊からも排除 = トランプ大統領は、多様性を尊重する考え方の完全否定にも乗り出した。多様性というのは、人種的少数者・性的少数者など社会から疎外されやすかった人々を尊重し、その積極的な活用で社会・経済を活性化しようという取り組み。もっと具体的に言えば、黒人やヒスパニック・身体障碍者・性転換したトランスジェンダーなどを優遇する考え方。バイデン政権が積極的に推進してきたが、トランプ大統領...
◇ 日米首脳会談への援護射撃だった? = 円の対ドル相場が急騰、このため株価は下落した。東京為替市場の円相場は先週末151円39銭に上昇、前週末に比べると3円70銭の円高となった。市場では「さらに上昇して150円を突破する」という観測も強まっている。期末が近づいて輸出企業が円を買い始めたこともあるが、最大の理由は日銀の利上げ説が強まったこと。日銀や政府の幹部が、そういう見方を広めるような発言を連発したからであ...
◇ 円高で反発力をそがれた東京市場 = ダウ平均は先週241ドルの値下がり。トランプ関税に振り回された1週間だった。メキシコ・カナダに対する25%の関税は先々週末に発表されたが、先週月曜日にはその1か月延期、さらに火曜日には中国に対する10%の追加関税が公表された。アメリカの場合は関税引き上げによる貿易量の縮小よりも、インフレを加速させるかどうかが心配。金曜日に鈍化を示す雇用統計が発表されると、景気の後退と...
◇ 脱・脱炭素こそがすべての屋台骨 = トランプ大統領が別荘を構えるフロリダを襲った巨大ハリケーン。ロサンゼルス近郊を焼き尽くした山火事。温暖化が原因と考えられる自然災害は、アメリカにも大きな被害をもたらしている。そのロス近郊を視察したトランプ大統領が、温暖化を無視できるはずはない。ところが脱炭素政策を否定しなければならない理由は、ほかにあった。それは化石燃料を掘って掘って掘りまくらないと、トランプ...
◇ 地球温暖化は加速するけれど = トランプ大統領は1月20日の就任演説で、エネルギーについて「緊急事態宣言」を布告。また気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱も表明した。さらに国内の原油・天然ガスについては「掘って掘って、掘りまくれ」と大増産を号令している。これらの措置は前大統領時代にも実行しており、とりわけ目新しいものではない。しかしバイデン政権の政策を完全にひっくり返す形であり、その影響...
◇ アメリカの独り天下は崩れるのか = トランプ大統領がホワイトハウス入りしたその日に、中国の新興企業ディープシーク社が格安の生成AI(人工知能)モデル≪R1≫を発表。これが関係者を仰天させた。というのも性能はアメリカの最先端モデルと変わらないのに、製造コストは10分の1。したがって使用料金も10分の1以下になるという。もし本当なら、アメリカ企業の優位性は脅かされる。宇宙から飛んできた明るい巨大彗星のように...
◇ 中国製の生成AIが突発性の波乱要因に = ダウ平均は先週120ドルの値上がり。終り値は4万4545ドルで、先々週から9日間4万4000ドル台に乗っている。月曜日には中国の新興企業ディープシークがコストの安い生成AIを発表。アメリカのAIメーカーが脅かされるというので、半導体関連銘柄が急落した。特にエヌビディアは17%も下落して、市場を驚かせた。しかしAI関連以外の銘柄は買われたため、ダウ平均は300ドル近くも上げている。...
◇ 手本はマッキンリー大統領? = トランプ関税攻勢の影響を、正確に測定することは困難だ。たとえば自動車を例にとっても、25%の関税がかけられるとメキシコからのアメリカ向け輸出は655憶ドル、カナダからの輸出は433憶ドル減少すると試算されている。アメリカ国内での供給量がそれだけ減るため、日本からの輸出は145億ドル増加する。だがメキシコで製造された日本車の輸出は、かなり減ってしまう。そのうえ日本にも10%の関...
◇ メキシコ・カナダ向けはあすが期限 = 自らをタリフ・マン(関税男)と称するだけあって、トランプ新大統領は関税という名の弾丸を次々と発射した。まず列挙してみよう。--①メキシコ・カナダ製品に25%の関税をかける②中国に対しては関税10%を上乗せする③EUにも関税を上乗せする④デンマークにも高い関税をかける⑤ロシアにも高関税をかける⑥コロンビアに25%の関税をかける⑦全世界からの輸入品に一律10%の関税をかける。こ...
◇ 日本経済を押しつぶす重石に = 財務省が発表した24年分の貿易統計によると、輸出は107兆0912億円で過去最大を記録した。しかし輸入が112兆4238億円に膨らんだため、貿易収支は5兆3325億円の赤字となっている。ただ輸出額が増加したのは、円安の影響が大きい。昨年の円相場は年平均で150円97銭、前年より7.7%の円安だった。たとえば自動車を例にとると、輸出額は17兆9000億円で過去最高だったが、台数は前年より2.9%減少して...
◇ 株価に気を遣ったトランプ政策 = ダウ平均は先週936ドルの大幅な値上がり。終り値は4万4424ドルで、史上最高値まであと600ドル。トランプ大統領が就任して最初の営業日だった火曜日の値動きは特に注目されたが、この日は500ドルを超えて上昇した。というのも新大統領が関税の引き上げを即日実施しなかったからだ。このあともトランプ氏はスターゲート計画・AI規制の緩和・法人税引き下げ・原油の増産など、株式市場が喜ぶ政策...
◇ 日銀が政策金利を0.25%引き上げ = 日銀は24日に開いた金融政策決定会合で、政策金利を0.25%引き上げることを決めた。昨年7月に続く利上げで、新しい政策金利は0.5%になる。この金利は08年10月と同じ水準。日本人は長らく金利のない世界で暮らしてきたが、ようやく‟金利のある世界”が戻ってきた。日銀首脳が「次の決定会合では利上げの是非を検討する」と予告していたため、市場はほぼ織り込み済み。株価も大きな変動は見せ...
◇ 人手不足でインフレを加速させる危険性 = 不法移民というのは、ビザなしで入国した者と、ビザを持って入国したが期限が切れても滞在している者を指す。いまアメリカでは、こういう状態の人が1100万人以上も働いている。職種は清掃・造園・家事・農業・金属加工・建設など。労働集約的な仕事が圧倒的に多い。フロリダ州では、農業従事者の40%近くが不法移民だという統計もある。賃金は一般市民より2割、職種によっては4割も低...
◇ 軍隊を派遣して南部国境を閉鎖する = アメリカ第47代大統領に返り咲いたドナルド・トランプ氏。どんな政策を打ち出すのか、全世界が固唾を呑んで注目している。その就任演説でも新政策を連発したが、最初に持ち出したのは移民問題。新大統領が、この問題を最重要視していることが判るだろう。演説では「南部の国境に非常事態を宣言、軍隊を派遣する」ことを正式に表明した。これによってメキシコからの移民流入は、完全に阻止...
◇ なぜ利上げに豹変したのだろうか = 「今月23-24日の金融政策決定会合では、追加の利上げを行うかどうかについて議論することになる」--植田日銀総裁と氷見副総裁が、相次いで講演会でこう言明した。市場は「これで利上げは確実になった」と受け取っている。これまで日銀幹部は「賃上げ動向とトランプ政策の影響を精査してから決める」「時間は十分にある」などと述べて、1月の利上げには否定的な考えを表明し続けてきた。...
◇ 特大イベントが続く今月下旬 = ダウ平均は先週1549ドルの大幅な値上がり。ドナルド・トランプ氏の大統領就任式が20日、さらに28-29日にはFRBの金融政策決定会合が開かれる。こうした大型イベントの前には、投資家は様子見のために手控えがち。しかし今回はトランプ政策に対する期待が再浮上、FRBも動かないと先読みしたのだろう。市場はインフレが確実に鎮静し、景気はそんなに落ち込まないという期待に包まれている。日経平...
◇ 補助金の減額で全国平均185円に = 政府は今週16日から、ガソリンに対する補助金を減額した。それまでのガソリン小売り価格は、全国平均が1リットル=180円を超えないように補助金が元売り会社に支給されていた。それが16日からは185円が上限に。資源エネルギー庁の発表によると、1月8日のレギュラー小売り全国平均は180.6円だったが、15日の集計では185円に張り付くだろう。軽油・灯油・重油・航空機燃料も同様だ。ガソリ...
◇ トランプ発言は正常か異常か? = 「デンマークはグリーンランドをアメリカに売り渡すべきだ」--トランプ次期大統領は7日の記者会見で、こう言い放った。理由は「安全保障の面から必要だから」だと説明した。もし売り渡さないときには「デンマーク製品に高率の関税をかける」とも言明した。そこで記者側が「経済的手段だけでなく、軍事力も使う可能性は」と質問すると、「その可能性は排除しない」と答えている。これに対し...
◇ トランプ政策への警戒感が強まる = ダウ平均は先週794ドルの値下がり。終り値は2か月半ぶりに4万2000ドルを割り込み、大統領選挙前の水準に落ち込んだ。インフレが鎮静しないところへ、トランプ政策への警戒感が強まっている。さらに金曜日には予想を大幅に上回る1月の雇用者増加が発表されて、株価は大きく下落した。市場のなかでは、いま「Gゼロ」という言葉が流行り出している。これは「西側先進国のリーダーシップがいな...
◇ 将来に希望が持てないバラマキ政策 = 民主主義国家の政府・与党が、国民の不満に耳を傾けなかったわけではない。多くの国が生活費の支援や物価高対策のために、いろいろな政策を打ち出した。その好例が日本である。ここ数年、毎年のように巨額の補正予算を編成。中間層以下の家庭に現金を配ったり、電気・ガス料金やガソリン代を引き下げるために何兆円もの補助金を支出した。いわゆるバラマキと称される財政政策である。消費...
◇ 「中間層が多ければ、よい政治が行われる」 = 古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、こう喝破した。--「富裕な人々は往々にして大掛かりな悪者になり、貧乏な人々は無頼の徒になりやすい。だから、この両者が少なく中間層が多い国では、よい政治が行われる」と。いま政治家は2500年前のこの名言を、じっくりと噛みしめるべきだろう。つまりは富裕者と貧乏人が増える格差社会、そこではよい政治は行われない。世界中で富裕...
◇ 先進7か国の与党がすべて選挙で敗退 = 世界政治史のなかで、2024年は記録に残る年になるだろう。多くの国で選挙が行われ、実に多くの国で政権の座にすわる与党が負けた。アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・インド・ポルトガル・韓国・オランダ・オーストリア・日本・台湾・ベルギーである。注目されるのは、このなかに西側先進国と称される民主主義国家が、日本も含めて7か国も含まれていること。これは偶然の一致では...
◇ 日米ともに“トランプ待ち” = 日本銀行は今月23-24日、アメリカの中央銀行であるFRBは28-29日に、それぞれ金融政策を決定する会合を開く。事前の予想では日銀が利上げ、FRBは利下げに動く可能性が取り沙汰されている。しかしトランプ次期大統領がホワイトハウス入りするのは20日。したがって日米の決定会合は、いずれもその直後に開催されるわけだ。現状から判断すると、日米の中央銀行はともにトランプ政策の具体的な内容を...
◇ 間違いではないが誤解を招きかねない = 25年度の予算案が昨年末、閣議決定された。一般会計の総額は115兆5415億円。新聞やテレビは「過去最大の予算案」という見出しで、大々的に報道した。たしかに当初予算としては過去最大なので、決して間違ってはいない。しかし、この「過去最大」という表現は全く無意味であるばかりか、多くの人に事実を誤解させる危険がある。最近は巨額の補正予算が編成され、当初予算の比重がいちじ...
◇ 25年のNY株は10%の値上がり? = 「トランプ次期大統領は減税や規制緩和あるいは原油の増産を先行させ、経済の基盤が固まったあとに関税を引き上げる」--いまウオール街では、こんな推測が広がっているという。そんな考え方が影響しているのかどうかは不明だが、25年の株価については強気の見方が多い。たとえば大手金融6社の予想だと、25年末のSP500指数は6500~7000に集中。現在の水準より10%ほど高くなる。24年の28...
◇ 時価総額は全世界の51%に = ことしの株式市場を振り返ってみると、最もインパクトが大きかった出来事は「ダウ平均の4万ドル台載せ」ではなかったか。ニューヨーク証券取引所のダウ工業30種平均株価は5月17日、終り値で初めて4万ドルを突破した。リーマン・ショック後09年3月の安値6547ドルに比べると、15年で6倍超に上昇したことになる。そして、その日のニューヨーク市場の時価総額は55兆3000億ドル。全世界の株式時価...
◇ 鬼の居ぬ間に上昇した日経平均 = ダウ平均は先週152ドルの値上がり。終り値は4万3000ドルを少し割り込んだ。クリスマス休暇で商いが減少しているところへ、前3週間で2000ドル以上も下げたことの反動買いが入った。ただFRBの利下げテンポが鈍るとの予想から、長期金利が上昇。これを嫌った売り物も目立っている。特に小型株は債券利回りとの比較から、大きく売られた。日経平均は先週1579円の大幅な値上がり。終り値は5か月ぶ...
◇ 1人当たりGDPは台湾にも抜かれて39位に転落 = GDP(国内総生産)は一国の経済規模を示す指標。それを人口で割った1人当たりGDPは平均的な国民の経済規模、つまり生活の豊かさを示す指標だと考えられる。IMF(国際通貨基金)の集計によると、日本の1人当たり名目GDPはことしスペイン・ブルネイ・スロバキア・台湾に抜かれ、世界39位に転落した。国民の生活水準が相対的に低下したことを示している。世界のランキングをみる...
◇ ‟軟着陸”は遠去かった? = ニューヨーク市場の株価が冴えない。ダウ平均はなんと50年ぶりに10日間の続落を記録。先週末は4万3000ドルを割り込んだ。最大の原因は、来年の利下げにブレーキがかかったこと。FRBは政策金利の0.25%引き下げを決めたが、同時に来年の利下げ予想を「従来の4回から2回に縮小」した。このため長期金利が急上昇、株式は売られドルが買われた。市場では、こんな解説が行き渡っている。だがブレーキがか...
◇ ダウ平均は10日間の続落 = ダウ平均は先週988ドルの大幅な値下がり。週末には下げ止まったが、水曜日までは10営業日の続落。実に50年ぶりの珍記録となった。特にFRBが0.25%の利下げを発表した水曜日は1100ドルを超える値下がり。この10日間の下げ幅は2689ドルに達した。利下げは完全に織り込んでいた市場だったが、FRBが来年の利下げ回数見通しを「4回から2回に縮小」したことがショックとなった。日経平均は先週769円の値...
◇ 中国製EVに押し込まれて = ホンダと日産自動車が、経営統合を目指して協議を開始する。持ち株会社を設立し、両社をその傘下に置く構想。三菱自動車も加われば、年間の販売台数は800万台を超え、世界第3位の自動車グループが誕生する。EV(電気自動車)の基幹部品・車載ソフトウェア・電池などの共通化などによって、効率を高めることが狙い。自動車産業の世界的な大競争時代を勝ち抜くための、思い切った決断だと言えるだろう...
◇ 目標を曖昧にして責任逃れ = 原子力発電所についての考え方を「最大限活用する」に変更する。東日本大震災のあと、政府は原発について「可能な限り依存度を低減する」という方針を貫いてきた。それを今回は百八十度転換する。同時に再生可能エネルギーも最大限活用し、電力の安定供給を目指す。これが年度内に決定しなければならない第7次エネルギー基本計画の素案――。主要新聞各紙が18日付けの朝刊で、経済産業省が公表した...
◇ 曲がる太陽電池を政府が本格的に支援 = 薄くて曲げることが出来る次世代型の太陽電池。ビルの壁や凹凸のある屋根、高速道路の側面にも貼り付けられる。ペロブスカイト型と呼ばれるこの新型電池を、政府が本格的に支援することになった。40年度に20ギガワットの発電能力を目指す。これは600万世帯分の電力を賄い、家庭全体の需要の約1割に相当する。現状では発電効率・耐久性・コストの面で、まだ改良の余地がある。政府はその...
◇ FRBは利下げ、日銀は利上げせず? = アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備理事会)は今週17-18日にFOMC(公開市場委員会)を開いて、政策金利の0.25%引き下げを決定する見通し。11月の雇用者増加数は22万7000人と高かったが、これはハリケーンで落ち込んだ前月の反動。また11月の消費者物価も2.7%上昇とやや高かったが、これも予想の範囲内。経済は‟軟着陸”に向かって着実に進んでいる、というのが市場の判定だ。したが...
◇ ハイテク銘柄の復権なのか? = ダウ平均は先週814ドルの値下がり。前週から7日間の続落となった。その割には下げ幅が小さく、終り値も4万4000ドルを少し割り込んだところで止まっている。そうしたなかでナスダック総合指数が水曜日に2万台に到達、関係者を驚かせた。11月の消費者物価が予想通りの上昇幅で、FRBが来週の会合で利下げを決めることが確実になったためだと解説されている。しかし、それならなぜダウ平均は下がっ...
◇ ドイツはことしもマイナス成長 = ユーロ圏20か国の経済が暗雲に包まれている。大黒柱とも言えるドイツが、ことしもマイナス成長になる見通し。代わりに頑張るはずのフランスもオリンピックの反動があって、経済は冴えない。しかも両国は政情不安にも見舞われ、政府の統率力は落ちてきた。そこへアメリカではトランプ氏の再登場。ECB(ヨーロッパ中央銀行)は政策金利の引下げを急ぎ景気の下降を防ごうとしているが、見通し...
◇ FRBでさえ判断に迷う = アメリカの景気は、好調を持続しているようにみえる。たとえば7-9月期の実質GDP成長率は年率で2.8%、10四半期連続でプラス成長を記録。内訳をみると、最も重要な個人消費は3.7%の増加、4-6月期の2.5%増加を大きく上回った。11月の雇用統計では、非農業雇用者の増加数が22万7000人。予想を大きく超えている。さらにニューヨーク市場の株価は絶好調、ダウ平均は連日のように最高値を更新。先...
◇ NY市場に集まる世界のカネ = ダウ平均は先週268ドルの値下がり。水曜日には終り値で4万5014ドルと初めて4万5000ドル台に載せたが、その後は利益確定売りに押されてやや反落した。しかし市場の空気は、強気一点張り。予想を上回る製造業の景況判断指数や雇用統計が発表されたが、FRBが来週の会合で追加の利下げに踏み切るだろうという予想にも変化はない。日経平均は先週883円の値上がり。終り値は3万9000円台を維持して...
◇ 徹底的な教育が基本ではないか = 遅まきながら、日本でも議論が始まった。年少者をSNSの悪影響から守ろうとする法律には、青少年インターネット環境整備法がある。しかし、この法律は18歳未満の年少者による有害情報の閲覧を減少させるため、企業は販売時に年齢確認を行うなどと書いてあるだけ。閲覧の規制などには、全く触れていない。そこで、こども家庭庁は11月25日、SNS上の青少年保護に関する検討会を初めて立ち上...
◇ その効果はまだ不明 = オーストラリア議会は11月28日、16歳未満のSNS利用を禁止する法案を可決した。対象はX、TikTok、インスタグラム、フェイスブックなど幅広い。これらの企業は子どもが接続できないようにする対応を迫られ、もし失敗すると最大4350万オーストラリア・ドル(約50億円)の罰金を科せられる。子どもや親に対する罰則規定はない。最近の世論調査では、この法案に対する賛成が77%にものぼっていた。...
◇ 経済が順調なのに、なぜ利上げするのか? = 「経済データがオントラック(予想した軌道上)に推移しているという意味では、近づいていると言える」--金利引き上げの可能性を聞かれた植田日銀総裁の答えである。日経新聞が28日にインタビューし、30日の朝刊紙面に内容を掲載した。市場ではいま「日銀は12月か来年1月に0.25%の利上げに踏み切る」という観測が強い。そこで、この答えを聞くと「12月にも利上げか」と考えたく...
◇ フロリダに目が向く株式市場 = ダウ平均は先週614ドルの値上がり。終り値は4万4911ドルで、SP500とともにまた最高値を更新した。月曜日にはトランプ次期大統領が財務長官に投資家のスコット・ベッセント氏を起用したことを好感、火曜日には中国・メキシコ・カナダへの追加関税を発表したことを受けて株価は上昇した。この間、消費者信頼感指数が1年4か月ぶりの高さとなり、ふつうならFRBの利下げが遅れると心配したはず。...
◇ 日本の自動車メーカーも大打撃 = アメリカ商務省の発表によると、ことし1-9月間の実績でメキシコからの輸入総額は3788億ドル(約58兆円)。中国からの輸入額は3221億ドル、カナダからは3093億ドルだった。アメリカの側からみると、これら3か国が輸入額の大きい1-3位を占めており、これら3か国だけで輸入全体の約4割を占めている。トランプ氏はこれら3か国への関税引き上げで、まず貿易収支の大幅な改善を狙ったのかもしれな...
◇ 第1弾はなぜか中国・メキシコ・カナダ = トランプ次期大統領は25日、SNSで「中国のほぼ全製品に対して10%の追加関税をかける。またメキシコとカナダからの輸入品に対しても25%の関税をかける」と発表した。中国からメキシコなどを経由して、大量の合成麻薬フェンタニルがアメリカに流入していることへの対抗措置だと説明している。だが本当に麻薬対策なのか。続いて第2弾が発表されるのか。その辺の情報がないため、為...
◇ 政府の姿勢が見えてこない = 内閣府は今回の総合経済対策を実施することによって、今後3年にわたって実質GDPが毎年1.2%押し上げられると試算した。だが物価対策や安全対策には、大きな押し上げ効果はない。結局は「日本経済・地方経済の成長」を図るための5兆8000億円が、そのための原資。これが民間企業の資金も呼び込んで、1.2%成長につなげようという構想のようだ。しかし具体的にどう使うのかが、全く見えてこない。...
◇ 補正予算13兆9000億円の大半はバラマキ = 政府は22日の臨時閣議で、石破内閣としては初めてとなる総合経済対策を決定した。財源の主柱は24年度の補正予算で、計上する一般会計の総額は13兆9000億円。これに特別会計などを含めると、財政支出は21兆9000億円。さらに地方自治体や民間の支出を含めると、いわゆる総事業規模は39兆円に達する。24年度予算の3分の1を超える膨大な追加経済対策だ。その内容は、次の3本柱から成って...
◇ 明暗分かれたNYと東京市場 = ダウ平均は先週852ドルの値上がり。終り値は4万4297ドルに達し、11月11日に記録した史上最高値を4ドル上回った。景況判断指数が予想を超えて景気の底堅さを示す一方、10月の消費者物価は2.6%上昇で予想の範囲内。FRBによる年内の追加利下げは確実という見方がさらに強まった。ウクライナ戦争が中距離弾道弾の段階に突入した警戒感もあるが、経済的な先行き楽観論の方が上回った形。日経平均...
◇ 間違いではないが、違和感は残る = このブログでは22日付けで「企業業績は下り坂」という記事を載せた。そのなかでSMBC日興証券が集計した7-9月期の企業決算の内容を紹介「最終損益は前年比6.6%の減益になる見通しだ」と書いた。ところが読者の方から疑問や批判のメールが多数寄せられた。なかには「増益を減益と間違えたのでは」とか「意図的に株価を下げようとしているのでは」などというご批判もあった。調べてみる...
◇ アメリカはまだ増益、日本は減益 = 企業の最終損益が4四半期ぶりに減益となりそうだ。SMBC日興証券が、これまでに決算を発表したTOPIX採用988社(全体の77%)の決算内容を集計した。それによると、最終利益の合計は前年比で6.6%の減益。このうち製造業は10.4%、非製造業は1.7%の減益となっている。自動車と鉄鋼は、ともに約30%の大幅な減益。自動車は認証不正による減産、鉄鋼は中国産の安値輸入増が響いた。こ...
◇ 今回は‟驚き”がなかった = トランプ大統領が初めて登場した8年前、市場はびっくり仰天してその経済政策を歓迎した。法人税と所得税の大幅な減税、輸入関税の大幅な引き上げ、移民の完全シャッタアウト。どこからみても景気はよくなり、企業の業績は改善する。為替市場では選挙から1か月の間にドルが急速に上昇、円の対ドル相場は105円から118円に下落した。また株式市場でも、ダウ平均は16年11月4日の1万7888ドルから17年3月3...
◇ 日米で企業業績がやや下向き = ダウ平均は先週544ドルの値下がり。月曜日にはまた最高値を更新したが、あとはダレた。高値圏で利益確定売りが出たのと、トランプ政策で金利が上昇するという発想が株価の足を引っ張った。水曜日に発表された10月の消費者物価は前年比2.6%の上昇。やや高めだったが市場は予想の範囲内と受け取り、年内の追加利下げは確実という見方は変えていない。ただピークを迎えた企業の決算発表をみると、...
◇ 国民民主党はトリガー条項の復活に固執 = ‟少数与党”になってしまった自民・公明党。何をやるにも、国民民主党の協力がなければ動きがとれない。このため経済政策でも、政策の調整を開始した。その最初のテーマは「年収のカベ」問題。どうやら「103万円のカベ」は崩せそうだが、国民民主党が主張する非課税額を178万円に引き上げることは難しそう。結局は「130万円までのカベ」を無くすあたりが、落としどころのようだ。そし...
◇ 廃炉18基で16万5000トンの放射性廃棄物 = いま日本では、大事故を起こした福島第1原発1-3号機を含めて、合計21基の原発を廃炉にすることが決まっている。福島を除けば、いずれも老朽化によるものだ。これら18基の原発を廃炉にすることにより、16万5000トンにのぼる放射性廃棄物が発生すると試算されている。だが、これらの廃棄物をどう処理するかが決まらず、廃炉は遅々として進んでいない。原子炉の解体に伴って発生する...
◇ 福島第1原発で0.7グラムのデブリを取り出す = 東京電力は2日「福島第1原発2号機のデブリを初めて原子炉格納容器から取り出した」と発表した。デブリというのは東日本大震災で炉心溶融を起こし、燃料棒と機材などが溶けてできた塊。放射線量がきわめて高く、これまでは取り出すことが出来なかった。今回やっと取り出しに成功したが、その大きさは5ミリ程度、重さはたったの0.7グラム。それでも、このデブリを徹底的に調べるこ...
◇ 大統領に議長を解任する権限はあるのか = 「トランプ次期大統領から辞任を求められたら、どうしますか」と、パウエルFRB議長にきわどい質問が飛んだ。それまで和やかに答えていたパウエル議長は厳しい顔になり、「ノー」と一言。さらに「自ら辞任するつもりはない。解任は法律的に認められていない」とも付け加えた。FRBが政策金利の0.25%引き下げを決めた7日、その利下げを発表したあとの記者会見での出来事である。...
◇ トランプ政策 + 追加利下げ ⇒ ? = ダウ平均は先週1937ドルの大幅な値上がり。終り値は4万3989ドルで、またまた最高値を更新した。SP500も新高値を付けている。火曜日にはサービス業の景況指数が2年3か月ぶりの高さとなったことを受けて400ドル以上も上昇、さらに水曜日にはトランプ前大統領の勝利で1500ドル値上がりした。しかし木曜日にFRBが0.25%の追加利下げを発表しても、株価は全く動かなかった。日経平均も先週は144...
◇ 代わりに絶好調のエヌビディアが入る = かつては世界中で売られたパソコンに、インテル製の半導体が使われていた。その証拠に、日本で売られたパソコンには「インテル入っている」のシールが貼られていたことは記憶に新しい。ところが、こんどはそのインテルが出て、エヌビディアが入った。ダウ平均株価を構成する銘柄の話である。この8日から入れ替えると、ダウ平均を作成・管理するSPダウ・ジョーンズ・インデックスがこう...
◇ 玉木代表の戦略を読み解く = 国民民主党が公約として掲げた経済政策の内容は、多岐にわたっている。まず税制改正では、所得税の非課税限度を103万円から178万円に引き上げる。ガソリン税に関するトリガー条項を復活する。さらに消費税を一律5%に引き下げ、インボイス制度を廃止する。また電気料金を下げるため、再生可能エネルギー賦課金の徴収を停止する・・・。このほか現役世代の負担を軽減するため、後期高齢者の3割負担...
◇ まずは「103万円のカベ」を打ち壊す = 新しい経済政策、来年度の税制改正をどうするか。国民民主党はこうした重要な問題について、自民・公明両党との間で早急に協議することで合意した。国民民主党は「実質賃金の引き上げ」を公約しており、まずは所得税の非課税枠拡大を議題にしたい考え。またガソリン料金に関するトリガー条項の凍結解除も求める方針のようだ。国民民主党に離反されると政権がもたない自民・公明党が、ど...
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◇ トランプ大統領がパウエルFRB議長に「辞めろ」 = 「ジェローム・パウエルはいつも遅くて、間違ってばかりいる。一刻も早く辞めるべきだ」--トランプ大統領は記者会見で、FRB議長を名指しでこう非難した。トランプ関税の影響で、アメリカ経済は景気後退に陥る可能性が強まっている。もし不況になれば、国民の不満や批判は高まるに違いない。それなのに、FRBは利下げを躊躇している。けしからん、というわけだ。輸入関税の大...
◇ 大きすぎる失政の代償 = いま専門家の間では「減反政策の影響が続いており、コメの生産量は減っている。一方、消費量は外国人旅行者の増加で増えている。だから供給不足で価格が高騰するのは当然」という見方が定着してきた。これが本当だとすれば、農水省は日本人の主食であるコメに関する実態を見誤っていたことになる。これはなんとも一大事と言わざるをえない。しかも、この農水省の誤認によって生じた悪影響はきわめて大...
◇ 令和のコメ騒動を収束できず = 総務省の発表によると、3月の消費者物価は生鮮食品を除いた総合指数で前年比3.2%上昇とややインフレ気味。なかでもコメの価格は、なんと前年比92.1%の大幅な上昇だった。これで10か月連続の高値更新となっている。政府の補助金支給で電気・ガス料金が下がったのに、コメの高騰で帳消しに。小売り価格は4月になっても一向に下がらず、たとえばスーパーの平均価格は3月31日からの週で、5キロ当...
◇ 景気後退に怯えるニューヨーク市場 = ダウ平均は先週1070ドルの大幅な値下がり。終り値はまた4万ドルを大きく割り込んだ。前週1900ドルも上げたことの反動もあったが、トランプ政策で景気後退の感触が強まり売り物が増加した。たとえば半導体の対中規制強化で、エヌビディアが55億ドル(7900億円)もの損失を計上。IT銘柄が大きく売られた。また中国製品を扱う小売業の業績悪化見通しから、内需関連株も下げている。日経平均...
◇ 新聞・テレビは世論調査してみたら = またもや“バラマキ”の話が急浮上している。自民・公明両党は先週、政府に対して「国民一律の現金給付」を実施するよう申し入れた。トランプ関税や物価高に対応するためで、政府もその方向で検討を開始する。今回は所得制限を設けず、1人5万円を支給する案が有力。補正予算案を編成し、今国会に提出する方針。しかし世論調査でも、その評判はよくない。それなのに、なぜやるのだろう。財源...
◇ 中国の予想外な強い抵抗 = トランプ大統領は相互関税の上乗せ分を90日間停止したときも、中国だけは除外した。逆に中国向けの関税は145%に引き上げている。これはもう輸入制限というよりは、輸入禁止に等しい。ここまですれば、中国も音を上げると考えたのだろう。ところが中国は報復関税125%で対抗、さらにレアメタルの輸出制限で応じた。こちらも超大国を意のままに支配している大王だった。この大王同士の対決、いまのと...
◇ 金融危機を恐れて相互関税を停止 = 議会の承認もなく、思うがままに関税をいじくり回すトランプ大統領。その姿は民主主義国の大統領というよりは、中世の大国を支配した大王のようだとも批判されている。だが圧倒的な権力を発揮する大王にも、いくつかの泣き所があるようだ。たとえば発表したばかりの相互関税を、13時間後には上乗せ分を90日間停止せざるをえなかなった。さらにスマホやパソコンの関税を撤廃した直後に、別途...
◇ 日経平均はなんと連日4ケタの上下動 = ダウ平均は先週1898ドルの大幅な値上がり。3週間ぶりの上昇で、終り値は4万ドル台を回復した。ただ上げたのは、トランプ大統領が相互関税の上乗せ分を90日間停止すると発表した水曜日だけ。この日は過去最大となる2963ドルも上昇した。しかし木曜日には中国向け関税が145%に引き上げられ、1000ドル以上も反落している。とにかくトランプ関税に大きく振り回された1週間だった。日経平...
◇ 最強の相手は中国車 = いま欧米や日本の製品を押しのけて、中国製の自動車が独走している。昨年の業績を眺めると、アメリカやヨーロッパのメーカーはほとんどが減益。日本も伸び悩んでいる。そんななかで昨年、中国の新車販売台数は3143万台で前年を4.5%上回った。特にトップを走るBYD(比亜迪)の成績は抜群。昨年は前年より4割多い427万台を売り上げた。この結果、直近5年間で売り上げは6倍、純利益は25倍という快走ぶりで...
◇ 日本車は生き残れるのか = アメリカが輸入するすべての自動車に、4月3日から一律25%の追加関税をかける--トランプ大統領が打ち出したこの奇策は、世界中の自動車メーカーを舞い上がらせた。アメリカでの生産台数を増やし、関税を免れようとするもの。コストを削減して、店頭価格の上昇を出来るだけ抑えようとするもの。あるいはアメリカ市場に見切りをつけるもの。対応はさまざまだが、みな大慌てだ。もちろん、日本のメー...
◇ きわめて難しい相互関税の対米交渉 = トランプ大統領は相互関税の詳細を発表したとき「個別の関税率は非関税障壁の状態も加味して決定した」と説明した。だが非関税障壁というのは、輸入商品の安全性や環境基準、それに輸入手続きの煩雑さなど、漠然とした性質のもの。どうやって、これを数値化したのか、疑問に思っていた。ところが、この問題を日経新聞が解明。それによると、個別国に対する相互関税率は「アメリカの貿易赤...
◇ 期待されるトランプ大統領の“アメ” = ダウ平均は先週3269ドルの大幅な値下がり。トランプ大統領が水曜日に相互関税の詳細を発表すると、木・金曜日は猛烈に下げた。特に金曜日は2231ドルと、史上3番目の下げ。週間の下げ幅も、コロナ初期の20年5月以来の大きさ。終り値は3万8315ドルで、昨年5月の水準に逆戻りした。市場では、相互関税の内容が予想をはるかに上回る厳しさだったと評価している。日経平均も先週は3340円の大幅...
◇ 日本には24%の相互関税 = ついにトランプ大統領が、相互関税の詳細を発表した。その内容は、まず全世界の国・地域に対して、一律に10%の関税をかける。また対米貿易で黒字を出している約60の国・地域については、非関税障壁の問題も考慮して個別の税率を設定するというもの。一律関税は5日から、個別関税は9日から発効する。個別関税を高い方から並べると、ベトナム46%、タイ36%、中国34%、台湾・インドネシア32%、イ...
◇ 消費者の心理が急速に委縮? = ニューヨーク市にカンファレンス・ボードという名の団体がある。経済団体や労働組合などで構成する民間の非営利団体だ。1916年の創立だから、かなり古い。この団体が有名なのは、毎月5000人の消費者を対象に「財布のヒモの締め具合」を調査していること。その結果は「消費者信頼感指数」として発表され、関係者には重要視されている。ところが先月25日に発表された3月の調査で、短期的な先行き...
◇ アメリカ景気に注意信号 = ダウ平均は先週401ドルの値下がり。終り値は4万2000ドルを割り込んだ。週の前半は「自動車関税が緩和的な内容になる」というニュースが流れて株価は上昇したが、トランプ大統領が水曜日に「25%の恒久的な措置」と発表すると下落。さらに週末には個人消費支出の減退が確認され、株価は大きく下げた。自動車関税が「緩和的」から「恒久的」に急変した割には、株価の下落は小幅にとどまった。市場がト...
◇ 低支持率でも石破内閣は続く = 石破内閣の支持率が急落した。たとえばNHKの世論調査を見ると、支持率は前月より8ポイント低下して36%に落ち込んだ。不支持率は10ポイント上昇して45%に達している。理由は言わずと知れた「石破首相が新人議員に10万円の商品券を贈った」事件。いま自民・公明の与党は衆院議席の過半数を割っている。だから仮に野党が結束して不信任案を出せば、石破内閣は潰れるかもしれない。だが野党は不信...
◇ 不透明感は徐々に薄れて行く = アメリカが高い輸入関税を導入すると、その相手国は報復措置としてアメリカ製品に高関税をかけることが多い。たとえば中国は、天然ガスや農産物に10-15%の関税をかけた。またカナダは鉄鋼・アルミ製品などに25%、EUも260億ユーロ分の輸入品に25%の関税を導入した。これらの報復関税もトランプ関税攻勢が誘発したものであり、トランプ政策が世界経済に与える悪影響の測定をますます難しくし...
◇ アメリカの自動車メーカーに大打撃 = 最も注目されているのは、自動車に対する輸入関税の引き上げだ。アメリカは自動車の消費大国。そこに関税障壁が構築されれば、各国のアメリカ向け自動車輸出は大きく抑制されてしまう。もちろん、日本に対する影響もきわめて大きい。貿易統計によると、24年のアメリカ向け自動車輸出は6兆0264億円で、アメリカ向け輸出全体の28.3%を占めた。さらにメキシコやカナダに生産拠点を持つメー...
◇ 来週2日には相互関税などの詳細を発表 = ドナルド・トランプ氏が2期目の大統領に就任したのは1月20日。その日から、とにかく関税をいじくり回した。大統領は議会の承認なしで、関税を動かすことが出来る。この特権を利用して関税政策を連発、いや乱発した。そして来週2日には、自動車に対する関税や新たに導入する相互関税の詳細を発表する予定。この際、トランプ関税攻勢の全体像をおさらいしておこう。きょう3月26日現在、...
◇ 底値を手さぐりする株式市場 = ダウ平均は先週497ドルの値上がり。3週間ぶりの上昇で、終り値は4万2000ドルに最接近した。先々週の木曜日には半年ぶりに4万1000ドルを割り込んだが、そこからは戻り基調に。形としては4万1000ドルが底値となったが、市場はもう一段上を向いて4万2000ドルを底値としたいようにも見受けられる。先週はトランプ関税攻勢に動揺することもなく、またFRBの金利据え置きも織り込み済みで冷静に受け取...
◇ 昨年は過去最多65社が消えた = 東芝、大正製薬、ベネッセ--だれでも、これらの社名は知っている。だが「この3社の共通点は何?」と聞かれて答えられるのは、株式投資家だけかもしれない。正解は「いずれも昨年、上場を止めた会社」である。調査会社レコフデータによると、上場廃止を目的としたTOB(株式公開買い付け)を実施した企業は、昨年65社にのぼった。買い付け金額は5兆3600億円で、前年の3.8倍に達している。...
◇ ひと声吠えれば物価が下がる = 日経平均は先週2455円の大幅安を演じた。半導体や輸出関連、内需株も売られている。特に注目されたのは、円安が進んだのに輸出関連銘柄が売られたこと。円相場が154円台にまで下落し、輸入原材料やエネルギーの高騰が企業収益を圧迫するという心配が強まったためである。また同じ理由から物価が上昇、消費が抑制されるという懸念から内需株も売られた。円安が進んだため、政府・日銀による為替...
◇ 下降局面に入った? 株価 = ダウ平均は先週わずか3ドルの値上がり。終り値は3万8000ドルに乗らなかった。前週も前々週も900ドル台の下落だったのに、反発は微々たるものに終わっている。3月の小売り売上高が予想を上回り、FRBによる利下げが遠のいた。年内3回の見通しが1回に縮小。このため買われ過ぎていた半導体を筆頭に、輸出関連、内需関連の銘柄が売られている。そこへ中東情勢の悪化が加わった。日経平均は先週2455...
◇ 日本メーカーに再浮上のチャンス = EV戦線のトップを走っていたアメリカのテスラが不調に陥った。業績の不振から、世界で従業員の10%以上を削減する方針を発表、大きな反響を呼んでいる。1-3月期の世界販売台数は38万6810台、前年より9%減少した。お膝元のアメリカでは充電網の整備が遅れているところへ、金利が上昇して需要が減退。中国ではBYD(比亜迪)などの値下げ戦略に対抗できなかった。BYDは中国のEVト...
◇ 人手不足はずうーっと続く = 生産年齢人口(15-64歳)は7395万2000人で、前年より25万6000人減った。ピークだった1995年に比べると15%も減少している。当然、人手は不足する。この人手不足を補う方策は大別すると4つ。①女性や高齢者を労働市場に引き出す②雇用の流動性を高める③外国人に来てもらう④機械化・ロボット化・AI化を進めて生産性を上げる--これらが効果を十分に上げなければ、人手不足は解消しないだろう。女...
◇ 15年間で静岡県に匹敵する人口が消えた = 総務省は先週12日、23年10月1日時点の人口推計を発表した。それによると、総人口は1億2435万2000人で前年より59万5000人減少した。減少は13年連続。このうち日本人だけをみると、総人口は1億2119万3000人で前年比83万7000人の減少。外国人は315万9000人で24万3000人の増加だった。総人口のピークは08年の1億2808万人だったから、それから15年間で373万人も減ったことになる。都道府県...
◇ ドル高はG20会議でも主要な議題に = 円の対ドル相場は154円台にまで下落した。アメリカで3月の物価上昇率が拡大、FRBによる利下げが遠のいたという観測が強まって金利水準が上昇。日米間の金利差が拡大したためである。だが実に34年ぶりの安さになったのに、政府・日銀は介入しなかった。なぜ介入しなかったのか。相場がどこまで下落したら介入するのか。市場では疑問と思惑が渦巻いている。先週は日米首脳会談のため、岸田首...
◇ アメリカのインフレが再燃? = ダウ平均は先週921ドルの大幅な値下がり。5日間の続落で、終り値は3万8000ドルを割り込んだ。3万7000ドル台は1月24日以来のこと。原因は3月の物価が反転上昇したことにある。消費者物価は前年比3.5%の上昇で2月の3.2%を上回り、生産者物価も2.1%の上昇で2月の1.6%を上回った。これでFRBによる利下げは遠のいたという観測が強まり、金利が上昇、株価は下落した。中東情勢の悪化も、株価を下...
◇ とても単純な誤りとは思えない = 3月29日。こども家庭庁が少子化対策の財源にする支援金について、1人当たりの負担額を試算し公表した。それによると、大企業の社員は月額500円、中小企業の社員は月額450円、公務員は600円。また自営業者は400円、後期高齢者は350円、低所得者は50円となっている。国民1人当たりの負担額は月450円。さらに賃上げが進めば「国民の負担は実質的にゼロになる」と、岸田首相が得々として解説した...
◇ 日本は円安で値上がりがさらに増幅 = 金価格を押し上げる経済的な要因は数多いが、最も大きいのはインフレだろう。物価が上がれば、通貨の価値は下がる。その損失を避けるために、インフレで価値が上がる金を買う。歴史的にみても、インフレ時には金が買われた。また株価が下がると、金が上がることも多い。投資資金を一時的に安全資産に移すためである。さらに財政状態の悪化でも、金が買われる。国債価格の下落による損失を...
◇ 政治・経済の複合要因で最高値を更新中 = 金(きん)の価格が高騰している。ニューヨーク商品取引所の先物価格は9日、1トロイオンス=2384.5ドルに上昇。8日間連続で、史上最高値を更新した。ことしに入ってからの上げ幅は約15%に達している。ロンドン市場の現物取り引きでも最高値を更新。東京の小売り価格も、1グラム=1万2622円の最高値を記録した。当面の価格上昇について、市場では「FRBが利下げすれば、利子を産まない...
◇ 日本への影響も大きい原油価格の上昇 = 原油の国際価格が、また上昇している。ニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)先物価格は先週87ドル台に上昇、北海ブレンドも90ドル台に乗せた。上昇のきっかけは、イスラエルがシリア首都ダマスカスのイラン大使館周辺をミサイル攻撃したこと。中東情勢の緊迫感が強まり、原油供給への不安が高まった。この原油価格の上昇で、アメリカではインフレ再燃論が拡大。金利が上昇、株価...
◇ 「年内の利下げナシ」の発言も飛び出す = ダウ平均は先週903ドルの大幅な値下がり。終り値は3万9000ドルを割り込んだ。景気が堅調なことを示す指標が続出、そこへ原油価格の急騰が加わった。このためインフレ再燃への警戒が強まって、長期金利が上昇。さらにパウエルFRB議長が「利下げを急ぐ必要はない」と発言。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は「年内は利下げを見送る可能性がある」とまで言及した。株価は上がりようが...
◇ 長くなった子どものネット利用時間を黙認? = 高校生はインターネットを利用している時間が1日平均で6時間14分、前年より31分延びた。6-9歳の小学校低学年でも2時間17分、スマホなどを見ている。さらに10歳の65%が、自分のスマホを持っている。こども家庭庁が、こんな23年度の調査結果を発表した。--日経新聞が1日の夕刊で、こう報道した。(不思議なことに、こども家庭庁のホームページをみても、この調査は載っていない...
◇ 日銀はETFの購入を止めただけ = FRBは国債と住宅ローン担保証券を売買することで、量的な金融操作を実施した。これに対して日銀は、国債とETF(上場投資信託)を売買している。ETFというのは株式の集合体だから、中央銀行が株式を売買することになってしまう。このため先進国の中央銀行が、ETFを金融操作のために売買することはない。しかし日銀は株価を下支えすることが重要だと考えて、一種の禁じ手を使用した。日銀は17-2...
◇ 利上げでも株価が下がらない根本的な原因 = FRBも日銀も、いま金融を引き締めている。しかしニューヨーク市場でも東京市場でも、株価は下がらない。下がらないどころか、史上最高値の更新を続けている。経済学の教科書には「金融が引き締まると、株価は下落する」と書いてある。でも、どうして下落しないのか。答えは「まだカネ余りの状態が続いているから」だ。まずはニューヨーク市場の状態から、検証してみよう。FRB...
◇ 業況判断の低下は一時的だが = 日銀は1日、3月の企業短期経済観測調査を発表した。それによると、最も注目される大企業・製造業の業況判断指数はプラス11で、前回調査よりも2ポイント低下した。低下は4四半期ぶり。中小企業・製造業の指数もマイナス1で、前回より3ポイント悪化している。最大の原因はダイハツ工業の認証不正事件で、自動車の生産台数が減少したこと。自動車産業だけではなく、鉄鋼などの周辺産業にも悪影響を...
◇ ダウとSP500がまたまた最高値 = ダウ平均は先週331ドルの値上がり。終り値は3万9807ドルで、またまた史上最高値を更新した。SP500も新高値を記録している。景気動向が堅調な一方で、FRBは年内3回の利下げを断念していない。市場はこの状態を好感、幅広い分野に買いを入れている。ダウ平均は1-3月期に2117ドル、率にすると5.6%の上昇だった。日経平均は先週519円の値下がり。ただ終り値は4万円台を維持している。前週に20...
◇ 消費者庁は手ぬる過ぎる = 悪質な誇大広告が、テレビやSNSで野放しになっている。全く効果がないのに、飲むだけで痩せるとか、病気が治るとか。こういう広告がよく使う表現が「何万個売れた」とか「業界一の売り上げ」とか。消費者庁ではこうした事例を規制するために、景品表示法を改正。悪質な事例に対しては、罰則を強化する方針だ。しかし摘発には時間と人手がかかるため、措置命令を出す件数はごく僅か。実効はきわめて...
◇ 岸田内閣はバラマキ依存症 = ガソリン補助金は延長せず、代わりにトリガー条項の凍結を解除したらどうか。トリガー条項というのは、ガソリン価格が高騰した場合に、ガソリン税の暫定上乗せ分の約25%分を免除できる仕組み。現在は東日本大震災の復興財源とするため凍結されている。国民民主党がこの方式を強く主張、予算の成立に協力までして自民党に迫ったが、結局は“裏ガネ問題”で霧消してしまった。この交渉の自民党の責任...