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「キューバ超大国を屈服させたラテンの魂」伊藤千尋(高文研)のような本を読めば、アメリカという国がどういう国であるかが分かるように思います。極論すれば、アメリカは、圧倒的な軍事力や経済力を背景に、世界中の国々を、アメリカの影響下に置き、利益を吸い上げてきたということです。また、従わない国や抵抗する国は、武力を行使してつぶしてきたということです。だから、ロシアに対してもさまざまな工作や攻撃をしてきたことは間違いないと思います。現に、ロシアの主張を無視してNATOを拡大させ、ウクライナの政権を転覆して武器を配備し、合同軍事演習をくり返したのみならず、ノルドストリームの問題では、ウクライナ戦争のずっと前から、ロシア側に制裁を科していました。ところが、驚くことに、メディアに登場する専門家と言われる人たちの多くは、そ...プロパガンダの政治学、想像から妄想へ
しばらく前、朝日新聞の「日曜に想う」という欄に、沢村亙論説主幹代理が「歴史はいかに転換するのか」と題する文章を書いていました。その中で、ドイツのショルツ首相が、「ロシアのウクライナ侵攻」開始を受けて議会演説でくり返した「ツァイテンベンデ(時代の転換点)」という言葉を、ドイツで生まれ、日本で暮らす3人に投げかけ、それぞれの「ツァイテンベンデ(時代の転換点)」に関する思いを聞いていました。まったく立場の異なる3人なので、「ツァイテンベンデ」について、読者にいろいろ考えさせようという意図が窺えました。だからこの文章では、ウクライナ戦争の捉え方が極めて重要なわけですが、ウクライナ戦争をより深く理解させ、停戦や和解のきっかけにしようとする意図はまるでなく、「でも、だれもプーチン大統領は止められなかった。楽観は消え、...民主主義が攻撃されている?
1973年9月11日、社会主義政権としては史上初めて自由選挙によって樹立されたサルバドール・アジェンデ政権をクーデターで転覆し、議会制民主主義を否定して、軍事政権を率いたのは、ピノチェトでした。下記資料1は、「燃える中南米特派員報告」伊藤千尋(岩波新書)から、その一部を抜粋したものですが、著者の伊藤千尋氏は、ピノチェトの軍政に抵抗を続けるチリ国民に寄り添い、その内面にも踏み込んで、抵抗の実態を詳細に語っています。一方、資料2は、「収奪された大地ラテンアメリカ五百年」E・ガレアーノ:大久保光夫訳(藤原書店)からの抜萃ですが、著者ガレアーノは、チリの政権転覆が、アメリカの主導したものであったことを明らかにしています。政権転覆の戦略はワシントンで作成されたというのです。そして、それを準備したのが、キッシンジャー...アメリカの過去の所業をふり返りつつ、ウクライナ戦争を見る