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ブルース・カミングスの著書『朝鮮戦争の起源』は、膨大な第一次史料を駆使した大著です。彼の考察や分析は、すべて第一次史料をもとにしたものだと言ってもよいと思います。ブルース・カミングスによると、朝鮮に進駐したアメリカ軍が、日本植民地化の朝鮮で日本の戦争に協力した指導層と手を結び、「朝鮮人民共和国」の建国に尽くした人たちを共産主義者と見なして弾圧・排除に動いたことが分かります。それは、カイロ宣言やポツダム宣言に反することだったと思います。そして、1949年に中国共産党率いる人民解放軍が国民党軍に勝利し、中華人民共和国を建国すると、アメリカは、はっきりと反共的なアジア戦略を策定します。それが、「アジアにおいて共産主義の力を封じ込め(Cntainment)可能なところまで減退させる」こととしたNSC-48(国家安...アメリカ国家安全保障会議極秘文書が示す現実
韓国の尹錫悦大統領を支える政党「国民の力」は、戦後結成された「韓国民主党(韓民党)」の流れを汲む保守政党だと思います。だから、その成立過程を知ることは、現在の韓国の政治状況を理解するために大事なことではないかと思います。でも、アメリカの影響下にある日本では、そういう歴史を踏まえた政治情勢の考察や分析は、ほとんど表にでてきません。もちろん、日本の敗戦直後に結成され、組織された韓国民主党(韓民党)と「国民の力」は一直線につながっているわけではないと思います。でも、保守政党としての基本的なスタンスは同じでだろうと思います。ブルース・カミングスの著書の下記抜粋文の中に、”9月10日、韓民党を代表する趙炳玉(チョピョオク)、尹潽善(ユンホソン)、そしてT・Y・ユン(尹致暎か)の三人が、軍政庁の役人と会い、人民共和...関係を強化する日米韓の正体
先日朝日新聞は、韓国の弾劾審判で、当時の軍司令官が証言をしたことを、下記のように伝えました。”郭種根(クァクジョングン)陸軍特殊戦司令官は昨年12月の非情戒厳の際に尹大統領から直接電話を受け、「議決定足数が満たされないようだ。早く国会の扉を壊し、中にいる人員を引きずりだせ」と指示されたと述べた。”韓国の情勢を踏まえれば、軍司令官が尹大統領を陥れるために、そういう事実をでっち上げることは考えにくいと思います。また、尹大統領が、国際社会を驚かせるような「非情戒厳」を宣布したこと自体も、戦後のアメリカの欺瞞的な軍政の影響と無関係ではないと私は思います。だから、今回は、「朝鮮戦争の起源1945年─1947年解放と南北分断体制の出現」ブルース・カミングス鄭敬謨/林哲/山岡由美「訳」(明石書店)から、当時韓国で、...アメリカの軍政と朝鮮戦争