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戦後の日本や韓国(朝鮮半島)に決定的な影響をもたらした「対ソ封じ込め政策(ContainmentPolicy)」を主導したジョージ・ケナン(GeorgeF.Kennan)が、モスクワのアメリカ大使館における勤務経験を生かし、本国に送った「X論文(XArticle)」、通称「長文電報」は、トルーマン政権内で回覧され、アメリカの冷戦外交の基本方針となる「封じ込め政策」につながったといいます。そして、ケナンが1948年の訪日調査を基に日本の戦略的価値を再評価し「日本の経済復興と安定が極東の安全保障に不可欠である」と結論づけたことが、日本のGHQの政策転換、いわゆる「逆コース」の政策となったということです。下記は、<『朝鮮戦争の起源2⃣1947年─1950年「革命的」内戦とアメリカの覇権』【上】』ブルース・カミン...「逆コース」をもたらしたケナンの思想
下記は、<『朝鮮戦争の起源2⃣1947年─1950年「革命的」内戦とアメリカの覇権』【上】』ブルース・カミングス:鄭敬謨/林哲/山岡由美「訳」(明石書店)>「第二章封じ込めと国際協調主義第一部アメリカ」の「大きな三日月地帯」─アチソンが朝鮮に線を引く」からの抜萃です。この「大きな三日月地帯」の「封じ込め政策」は、バイデン政権で「攻撃型」に転換され、活発に進められてきたように思います。そういう意味で、ブルース・カミングスが明らかにした、”「大きな三日月地帯」──アチソンが朝鮮に線を引く”は、重要だと思います。当初、極東地域で日本・フィリピン・アリューシャン列島に対するソ連の軍事侵略にアメリカは断固として反撃するとしたアチソン・ライン(不後退防衛線)が、その後、日本・韓国・台湾・フィリピン・タイ・中東諸国など...「大きな三日月地帯」におけるアメリカの新戦略
戦後、アメリカが韓国や日本を「共産主義の蔓延を食い止めるための防波堤」にするという反共政策を進めたということは、孫栄健氏やブルース・カミングス氏がそう思ったり、考えたりしたということではなく、第一次史料が示す事実です。そして、現実にその政策が進められたことを、「韓日条約締結秘話」李東元著:崔雲祥監訳(PHP)が、はっきり示していると思います。李東元氏が、同書の「日本の読者の皆様へ」で褒めたたえ、感謝している日本人は、下記の抜粋文にあるように、東条戦時内閣の元閣僚、岸信介氏や賀屋興宣氏に代表されるように、「鬼畜米英」の戦争の指導的立場にあった人たちです。また、監訳者、崔雲祥氏は、「本書出版の意義」のなかの「アメリカの評価」で、”李長官は1966年国連総会出席中に、統一政策に関する意見の差異のため長官職を辞任...李東元著「韓日条約締結秘話」が明かす真実
ブルース・カミングスの著書『朝鮮戦争の起源』は、膨大な第一次史料を駆使した大著です。彼の考察や分析は、すべて第一次史料をもとにしたものだと言ってもよいと思います。ブルース・カミングスによると、朝鮮に進駐したアメリカ軍が、日本植民地化の朝鮮で日本の戦争に協力した指導層と手を結び、「朝鮮人民共和国」の建国に尽くした人たちを共産主義者と見なして弾圧・排除に動いたことが分かります。それは、カイロ宣言やポツダム宣言に反することだったと思います。そして、1949年に中国共産党率いる人民解放軍が国民党軍に勝利し、中華人民共和国を建国すると、アメリカは、はっきりと反共的なアジア戦略を策定します。それが、「アジアにおいて共産主義の力を封じ込め(Cntainment)可能なところまで減退させる」こととしたNSC-48(国家安...アメリカ国家安全保障会議極秘文書が示す現実
韓国の尹錫悦大統領を支える政党「国民の力」は、戦後結成された「韓国民主党(韓民党)」の流れを汲む保守政党だと思います。だから、その成立過程を知ることは、現在の韓国の政治状況を理解するために大事なことではないかと思います。でも、アメリカの影響下にある日本では、そういう歴史を踏まえた政治情勢の考察や分析は、ほとんど表にでてきません。もちろん、日本の敗戦直後に結成され、組織された韓国民主党(韓民党)と「国民の力」は一直線につながっているわけではないと思います。でも、保守政党としての基本的なスタンスは同じでだろうと思います。ブルース・カミングスの著書の下記抜粋文の中に、”9月10日、韓民党を代表する趙炳玉(チョピョオク)、尹潽善(ユンホソン)、そしてT・Y・ユン(尹致暎か)の三人が、軍政庁の役人と会い、人民共和...関係を強化する日米韓の正体
先日朝日新聞は、韓国の弾劾審判で、当時の軍司令官が証言をしたことを、下記のように伝えました。”郭種根(クァクジョングン)陸軍特殊戦司令官は昨年12月の非情戒厳の際に尹大統領から直接電話を受け、「議決定足数が満たされないようだ。早く国会の扉を壊し、中にいる人員を引きずりだせ」と指示されたと述べた。”韓国の情勢を踏まえれば、軍司令官が尹大統領を陥れるために、そういう事実をでっち上げることは考えにくいと思います。また、尹大統領が、国際社会を驚かせるような「非情戒厳」を宣布したこと自体も、戦後のアメリカの欺瞞的な軍政の影響と無関係ではないと私は思います。だから、今回は、「朝鮮戦争の起源1945年─1947年解放と南北分断体制の出現」ブルース・カミングス鄭敬謨/林哲/山岡由美「訳」(明石書店)から、当時韓国で、...アメリカの軍政と朝鮮戦争