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これ、なのか?確かに、不自然なほどに、ピシリとひび割れが起きている。「でも…どうやって、開ければいいんだ?」まるで寄木細工のようだ。もちろんこれは、木ではな…
人差し指を口にくわえると、わずかに湿らせる。そうしてピッと顔の前に立てると、わずかな空気の流れを、宗太郎は感じ取ろうとする。(これが、大人なら…タバコの煙で…
コンクリートむき出しの無機質な何もない部屋…ここのどこに、そんな仕掛けが、隠されているのだろう?何かが頭の奥で、モヤモヤとするけれど、その正体をつかむことが…
「そんなに…知りたいのか?」 なぜか重々しい口調で、神林くんは宗太郎を見る。ゴクリ…と唾を呑み込むと、「もちろん!」宗太郎は力を込めて、答えた。清子と神林くん…
おそらくその場で、宗太郎が固まっていたのだろう。「ソータロー、大丈夫?」清子の声が聞こえる。「えっ?大丈夫…」そう答えると、後ろを振り向く。どうやら自分は……
駅舎の開業は1921(大正10)年だという。検索したが改築の記載がないので、おそらく開業以来の駅舎なのだろうと思う。あちこちで見かける感じの駅舎なので、写真は撮っていない。駅の近くの倉庫が、廃屋として存在感がある。周りは関東平野の穀倉地帯なので、米俵が積まれてい
(開いたぁ) 思わず宗太郎は、ため息をもらす。中はコンクリートの壁で、ガランとしていて、特に何もない部屋だ。ひそかに想像していたような、幽霊が出るわけでもない…
清子は何か言いたそうな顔をしたけれど、何も言ってこない。だが、ふぅ~と大きく深呼吸をすると、鍵を握り締め、その扉に射し込んだ。カチリ…かすかな音がして、キィ…
「ソータロー」 清子が話しかける。「なに?」何を言うつもりなのか?宗太郎の顏が、ピリリとこわばらせる。清子は少し考えると「いいよ、こうなったら、行こう」なぜだ…
「笑っている場合じゃないだろ」 宗太郎がムッとすると、清子も…「私たち、幼なじみなんだから… そんなこと、意識したこともないわ」猛然として言い返す。 だがそん…
「ね、他にないの?」 清子は遠慮して…神林くんに聞く。「その鍵があるなら…ドアが開くんじゃないの?」そう言われれば、そうだ。清子の言うことは、もっともだ。なん…
「そんなことより…解除方法はないのか?」 宗太郎は忌々し気に、シャッターの下りた窓を見つめる。神林くんは、まっすぐに2人を見ると「悪いが、ボクは知らないんだ……
まるで植物人間のように、身動き1つしていなかった老人のその目が…いきなりかぁ~っと、大きく見開いている。「うそっ!」驚いて、清子も宗太郎も、ベッドから飛びの…
「開かずの扉?」 なんだ、それは…?だが神林くんは、まぶたをピクリともせず、平然とした顔で、うなづく。 まるでドラマのような展開じゃないか!宗太郎は思わず、神…
「おまえ…疑っているのか?」 神林くんは、宗太郎の目をのぞき込むようにして、低い声でそう聞く。「あっ、いや、そんな…」宗太郎は落ち着きなく、目をキョロキョロさ…
(一体、何を考えているんだ?) そんなに…自分たちをからかって、楽しいのだろうか?(ゆがんでいる)そう思うのだが…清子はまっすぐに手を突き出し、神林くんに催促…
「やけに突っかかってくるけど… おまえ、まさか…何か、知っているんじゃないのか?」 宗太郎はついに、神林くんの顏を真正面から見つめた。そろそろハッキリさせてく…
「だって、あの時…忘れられないくらいの出来事があったんだもの」「えっ?」 清子は、何を言おうとしているんだ?何だかイヤな予感がして…宗太郎の心臓は、早鐘のよう…
だが…宗太郎の真剣なまなざしを受けると、「うーん」と腕組みをしながら考える。「だいぶ昔のことだからねぇ~あんまり覚えていないけど… 鏡は別の場所にあったよう…
「ちょっとぉ~そんなことをしていたら、あっという間に、 時間がなくなるわよ」 清子の声が聞こえた。宗太郎が振り向くと、清子が腕組みをして、こちらを見ている。「…
「ダメかぁ~ この扉…中からは、開かないのか?」 宗太郎は、再度ダメ出しのように、神林くんに聞く。だが神林くんは、冷ややかな目付きを、宗太郎に向ける。「それが…
「残念だったな」 ボソリと神林くんが言う。(本当に、そう思っているのか?)宗太郎の中では、反発心が生まれる。「ここの見取り図とか、設計図とか…ないのか?」もち…
途方もないことに、巻き込まれてしまった…宗太郎は、そう思う。そんな中、張り切っているのが清子だ。「迷っている時間が、もったいないわ。 さっさと探しましょ」清…
「はぁ?」 何を言っているんだ? 宗太郎は、神林君に聞き返す。「だから、酸素の残り時間のことだよ」一体、何を聞いているんだ、と冷ややかな目で、宗太郎に向き直る…
「あのボタンを押さえても…ロックはかかるんだ。 ここをしっかりと、ふさがないとね!」 と言うと…扉のてっぺんをさわってみせる。「なんだって?」だってさっきは……
だが…その様子を、神林君は冷ややかな目で見守る。「そんなことをいても、ムダだと思うなぁ」妙に悠々とした態度で言うので…「やってみないと、わからないじゃないか…
得意気に、宗太郎が清子に言うのを、「だから、それはたぶん、出来ていないんだ」見てもいないのに…神林くんは、強い口調でそう言う。「だから、なんで!」何でケチを…
「えっ…」 からかっているんじゃあないのか?戸惑う宗太郎に、視線を向けると、あーあとため息をつき、「やっぱり刺激がないと、ダメかぁ」神林君がつぶやく。「なんだ…
「自分にも、危険が及ぶ可能性がある場合… 例外なく、必ず、保険をかけるタイプのはずだ」 絶対に、見逃さないぞ…と、宗太郎はまなざしに力をこめる。「ふぅーん」口…
「あなたねぇ~さっきから、考えがないのよ。 大体、おじいさんはどうするのよ。 もしも、何かあったら? あなた…責任は取れるの?」 いつもは、寡黙な清子が、さっ…
「えっ?」「なんだって?」 清子と宗太郎は、思わず声をもらす。「この仕掛け、全部おじいさんが?」「何のために?」にわかには、信じられない。何しろ…元気な姿を目…
「あっ、ソータロー。 お前、何か思い出したか?」 神林君はすぐに気付いたようで、淡々とそう聞く。(まさか…ヤツの狙いは、これなのか?) 何のために?そう思うけ…
「おっとぉ~清子…君って、中々強いんだなぁ」 宗太郎と同じようなことを、神林くんも思っているらしい。宗太郎としては、それもなんだかなぁ~と思うけれども。「そん…
こうなったら、一蓮托生だぁ~その割りに、落ち着き払う神林くんに、「おまえ…何を考えているんだ?」呆れたように、宗太郎は彼につかみかかる。馬鹿じゃないのか?自…
ピーピーピーピーピーピーいきなりアラーム音が鳴り響く。宗太郎と清子は、ビクッと虚空を見上げる。「おい!一体、何をした?」宗太郎が神林君に、飛び付くようにして…
「いや、もっとおっかないことを、言ったのかと思った」 宗太郎が言うと、「たとえば、なに?」急に神林君が、食いついて来る。「それは…」言いかけて、口ごもる。「殺…
「あっ」 ふいに、宗太郎は思い出す。「ねぇ、さっき、おじいさんに何と言ったの?」その言葉に、清子も振り向き、「あっ、それ私も…気になってた」大きくうなづく。「…
「まぁ、いいや」 しばらく2人を見た後…急に興味をなくしたように、チラリと老人を見ると、2人の方を振り向いた。「ここ…実は、仕掛けがあるんだ」ふいに、ポンと言…
「赤ちゃんだって、そうだろ? 指を手のひらに置くと、ギュッと握るヤツ! あれだ、条件反射みたいな?」 神林君の言葉に、あからさまに清子は、胡散臭いものを見るよ…
「えっ」 あまりの素早さに、清子は驚いてその場に固まる。「ほら!早く離さないと…指をへし折られるぞ」おどかすように、神林くんが言う。「まさか!」そう言いながら…
先生も知っているよ、と付け加える。「えっ、高梨先生も?」思わず宗太郎が、口をはさむ。「あの先生、そんな名前だったっけ?」ニヤッと笑うと、神林君はパッとベッド…
「もしも本当のことを知ったら… キミはそんな風に、言えるかなぁ~」 妙に気になる言い方だ。「例えば…このスイッチを切っても、仕方がないようなことを、 この人が…
「いくら、おじいさんの遺言でも…(遺言って言ってもいいのか?) それはないだろ?」 宗太郎は横目で、ベッドを横目で見ながら、一応清子に確認する。「いいんじゃな…
清子の思考回路は、一体どうなっているのだろう?頭の中をのぞいてみたいものだ…と宗太郎は思う。いきなり神林君は、ニヤリと笑うと、2人の顏を見比べる。「ここで、…
老人の枯れ枝のように、細い腕には点滴のチューブが、幾つも刺さり、見ているだけでも痛々しい。「どうして病院に入れないんだ?」それでも神林くんに問い詰める。だが…
清子に対して、神林くんがとても低姿勢なのを見ると…宗太郎は何だか、不公平だなぁと思う。(なんだ?フェミニストなのか? こんな時にも…女の子には、甘いんだなぁ…
「人目のつかない所。 誰もいない、静かな所。 自分の家で…最後を迎えたい、と言うからさぁ」 神林くんは、そう静かな声で言う。「そんなこと、誰が信じると思うか?…
「えっ?」 なんだって? 一体、どういうこと?いきなり『祖父』というワードを聞いて、清子と宗太郎は、顔を見合わせる。「だって…遺産相続がどうとか、言ってたじゃ…
ジィっと見つめるその瞳の奥で、何かが煙るように揺らめいている。「だから…言ってるだろ? ボクは、キミたちのことを、知ってるんだ」記憶がない…というのに、相手…
久しぶりに仮眠室で昼寝をしようと、 営業所2階の仮眠室へ行くと… 畳の上に枯れ葉が落ちている。 カーテンも何かおかしい。 何かがおかしい。 触りたくないけど、カーテンをめくると、 ベリベリって音がしました。 窓の隙間から、侵入したんだね。 どこまで成長するか観察したい、って...