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遺言書を作る時に遺留分の存在について悩まれたとき、検討するのが遺留分の放棄です。相続開始前に、遺留分権利者が遺留分の放棄をするためには家庭裁判所の許可が必要です。 これは遺留分権利者が被相続人や他の相続人から圧力をかけられたりして、自己の意思ではなく遺留分放棄をさせられるというのを防ぐためです。
遺留分権利者は、兄弟姉妹以外の法定相続人です。これには代襲相続も含みます。遺留分割合は、直系尊属のみが相続人の場合は3分の1、それ以外は2分の1です。 ここで兄弟姉妹を含まないというところがポイントです。得てして相続人間で揉めることが多いのが兄弟姉妹間の相続です。疎遠になってつながりがなかったり、逆に昔からの怨恨があったりすることがあります。そういったときに遺言書で除外することで、遺留分の心配なく遺産分割協議も回避できるのです。
この制度の趣旨としては、遺族の生活保障や遺産形成への貢献など、潜在的に遺族が持っているだろう持ち分を渡すということです。 ただ現在高齢化が進んでおり、その遺族の年齢も上がり自身の生計を確保していることも多く、本来の趣旨に合致しなくなってきているという指摘もあります。
そもそも遺留分制度というものはなぜ設けられているのでしょう? 遺留分制度は、被相続人の相続財産の一部を承継することを一定の相続人に保障する制度です。本来 被相続人は遺言書などで自分の財産を自由な意思で処分できるはずです、それに対して例外と言えるのがこの遺留分制度になります。
遺言遺贈の場合は、放棄することが可能ですが、死因贈与の場合は契約に拘束されるため放棄はできません。 ただし死因贈与も遺贈の規定が準用されるため撤回は可能です。あと税制面で不動産が絡むと大きく変わってきますので注意が必要です。登録免許税が遺贈の法定相続人であれば0.4%であるのに対して、死因贈与で受け取った場合は2%、不動産取得税も遺贈の法定相続人であれば課税がありませんが、死因贈与は4%です。金額も大きい不動産ですので、結構変わります。
贈与に似てるんですが、死因贈与契約について。死因贈与契約とは贈与者の死亡を原因に効力が生じる贈与契約になります。亡くなってから被相続人から無償で渡すというところから、遺言による遺贈と死因贈与契約は似たところがあります。 似ているところそうでないところがあるので、注意が必要です。遺贈が単独行為であるのに対して死因贈与契約は契約であるので双方の合意が必要です。
対抗要件について 不動産の場合は登記が対抗要件となります。登記簿についてはすべての人が確認できるため、第三者に対しても明らかな証明となります。できる限り最速でおこなうほうが無難です。 債権の場合は、通知が対抗要件となります。受益相続人から債務者に対して確定日付の付されたもので通知し、遺言書の内容もあわせて明らかにします。 この対抗要件の具備については相続人の他 遺言執行者も行うことができます
平成30年の民法改正から、対抗要件主義というものが採られています。これは簡単に言うと法定相続分以上の割合で相続をすると超えた部分については登記や登録などの対抗要件を備えなければ、第三者に対抗できないという事です。 つまり相続があったらさっさと手続きをしないと、ほったらかしにしていると第三者が購入したりすると取り返せないよという事です。法律上は超えた部分をなんて書いていますが、実務上は相続分すべてと考えます。
特定財産承継遺言というのは、遺産の分割方法として特定の財産を共同相続人のひとりまたは数人に承継させる旨の遺言です。末尾に「相続させる」とつけます。 特定財産承継遺言の場合は、相続発生と同時に当該相続人に所有権が移るため、遺産分割が不要になります。遺言書の大半はこのような形式をとっています。遺産分割協議というものが無くなるというのは、相続手続上はかなり楽になりますね。
では債務はどうなるのかという事ですが、債務は相続人に対して法定相続分どおりの割り当てになります。 民法902条に被相続人の債権者(相続債権者)は法定相続分に応じて権利行使ができるとされています。債務者の判断で請求先を変えられてしまうと債権者が困るからです。 法定相続分にしたがって債務を返済した相続人は、指定相続分に応じて他の相続人に求償することが可能です。つまりたくさん遺産をもらった人から取り返すということになります。
法定相続分とは違う指定がされた場合、注意しないといけない場合もあります。 一つは遺留分です。指定された割合が、他の人の遺留分を侵害するところまでいってるかどうか、配偶者と子供一人がいて、財産を4分の3配偶者にといった場合、子供の本来の法定相続分は2分の1。遺留分はというとその半分ですので4分の1となります。なのでこの場合は遺言書の指定は、遺留分の心配がいらないということになります。
遺言書で書く内容として、具体的に何を相続させるという他に、相続分の指定という事が可能です。民法で定められた法定相続分がありますが、遺言書ではこれと異なる割合で分割することが可能です。 遺留分という縛りはありますが、基本的には遺言者の思う通りの配分で大丈夫です。 ただし相続分の指定の場合は、遺産分割協議が必要になります。なぜなら相続分の指定は、それだけでは個別具体的な財産を取得させるものではないからです。
包括遺贈の場合は、受遺者が相続人以外の場合でも相続人と同一の権利義務を有するとされています。そのため放棄の手法は、相続放棄の規定が適用されます。3カ月間の熟慮期間、家庭裁判所の申述など同じ適用です。 割合的包括遺贈で受遺者が相続人であった場合、その割合的包括遺贈を放棄したとしても、相続人としての地位まで遺棄したものではないとされています。
遺贈の放棄ということも可能ですが、特定遺贈と包括遺贈で少し異なります。特定遺贈の放棄の場合は、受遺者から遺贈義務者への意思表示だけで成立します。放棄の期限等についても特に定めはありません。そして特定遺贈の放棄の効力は遺言者の死亡のときまで遡ります。
遺贈されたものは、遺言者の死亡によって即座にその抗力は発生します。ただそのものが特定されていない場合は、遺贈義務者がそのものを特定した時に移転の効果が生じることになります。 ただし対抗要件を具備しないと第三者に対抗できないといわれています。対抗要件というのは自分の物ですよということを指し示す行為の事ですね。土地の場合は、登記、モノ場合は引渡しになります。 相続人全員の協力というのもなにかと足並みをそろえるのが難しかったりしますので、遺言執行者がいると受贈者との連携だけで手続きを進めることが可能です。
最後に 負担付遺贈というものがあります。 受遺者に一定の行為を負担させることによって、その条件を満たすことで財産を遺贈するというものです。 「長男Bに遺言者所有の不動産甲を遺贈する。長男Bは前項の遺贈の負担として 遺言者が負担する債務のうち、○○銀行に対する令和●年●月●日付の借入債務を支払わなければならない」 もちろんこの場合負担を実行しなければ、遺贈対象物をうけとることはできません。
割合的包括遺贈というものもあります。これは具体的な財産を特定せずに抽象的な割合を示して財産を遺贈するものです。 たとえば「遺言者は友人Aに財産の3分の1、妻のBに3分の2を遺贈する」という内容です。この場合 友人Aも相続人である妻Bと遺産分割協議をする必要があります。具体的に財産の3分の1にあたる何をもらうかという話し合いです。
つぎは全部包括遺贈です。これは消極財産(債務など)を含めすべての相続財産を受遺者に取得させるものになります。「遺言者が所有するすべての財産を孫Aに包括して遺贈する」というものです。 全部包括遺贈が行われると包括受遺者が単独相続したのと同じ意味合いになります。
遺贈には4種類あります。ひとつは特定遺贈です。これは特定の財産を遺贈の目的とします。例えば 「遺言者は、自身が所有するA駐車場を 長男甲に遺贈する」といった場合です。 特定遺言の対象財産は、遺産分割の対象から外されます。特定遺贈の効力が発生すると遺贈義務者である者は、受遺者に対して引渡しをしなければならない。この遺贈義務者は相続人もしくは遺言執行者です。
不動産の遺贈が第三者に行われた場合、遺贈義務者である相続人と受遺者で共同申請し登記を行います。ただし受遺者が相続人の場合は単独申請で登記ができ、遺言執行者がいる場合は、遺言執行者と受遺者のみで手続きが可能です。 ただし遺言執行時に受遺者が死亡していた場合はその権利が失われます。
遺贈とは、遺言によって遺言者が自己の財産を他人に与える処分行為のことです。死因贈与は契約ですが、遺贈は単独の行為であり遺言書で行いますので要式行為ということになります。 遺贈をする当事者のことを遺贈者と呼びます。遺贈によって相続財産を与えられた者を受贈者と呼びます。この遺贈に伴う手続きを行う義務のあるものが遺贈義務者です。遺贈義務者は、相続人です。
③自筆証書遺言書自体を遺言者本人が破棄した場合、または遺贈の目的物を破棄したような場合ですね。この有名な壺を長男にと遺言で書いていたが、遺言者の不注意で壊しちゃったなどですね。 A遺言がB遺言によって撤回され、B遺言がさらにC遺言によって撤回されてもA遺言は原則として復活することはない。 例えばA遺言で土地Aを長男に、B遺言では土地Aを次男に相続させるとあって、C遺言で先に作ったB遺言は撤回するとしても、A遺言は復活しないという事ですね。 ただしC遺言においてA遺言を復活する旨が明確な時はA遺言が復活します。
次の場合は、遺言書の内容が撤回されたとみなされます。 ①前の遺言と後の遺言の内容が抵触するとき。つまりA土地を長男へ としていたところ A土地を次男へと後の遺言で記載した場合は、前の遺言は撤回されたということになります。 ②遺言の内容物を生前処分してしまったような場合。遺言で渡す筈だった土地を売却したり、預貯金を使って無くなってしまった場などですね。
遺言の重要な機能の一つに何度でも書き直せるというものがあります。 民法1022条に、「遺言者はいつでも遺言の方式に従って、その遺言の全部または一部を撤回することができる。とあります。 ただ撤回する場合は、明確に今までのものを全て撤回して新しく作るのか、その一部だけ変更するのか曖昧になってしまうと、複数の遺言書の存在が混乱を生むことになります。
あと自書かどうかの判定に、実印かどうかというところも重要な要素です。遺言書は必ずしも実印ではないと作れないのかというとそういうわけではないんですが、実印で押してあるとその印影と印鑑登録証明書の確認により、遺言書の自筆性を示す有力な材料となります。 それ以外には、遺言の作成された経緯や背景事情、遺言者の生活状況、家族との関係、遺言の内容等を総合して その自筆性が判断されることとなります。
【遺言の偽造 変造】 遺言無効を訴えられる自筆証書遺言はこのパターンもあります。遺言者本人が書いていない、遺言者が書いたものを書き換えているなどです。遺言者本人の意思でない物は、もちろん無効になります。 本人が書いているかどうかを確認するためには筆跡鑑定が必要になります。ただ筆跡鑑定が絶対かというとそうでもなく、鑑定人や鑑定会社によっても意見が分かれることも有ります。
【形式不備の遺言】 自筆証書遺言の場合に多いのがこれです。自筆証書遺言には絶対外せない様式が求められますので、ここを外すと無効になる可能性があがります。 例えば 日付けの記載に問題がある。 署名押印に問題がある。 財産目録に問題がある。 あとは訂正方法に問題があるなどです。 公正証書遺言に関しては、形式的な不備はほぼないといえます。
遺言内容が不明確な場合も無効となる可能性があります。遺言書の内容の趣旨や意味が不明であったり、記載が不正確などであった場合遺言執行が非常に困難といった場合もあります。 ただし過去の判例では「遺言の意思表示の内容は当事者の真意を合理的に探究し、出来る限り適法有効なものとして解釈すべき」としています。 つまりできるかぎり遺言者の意思を汲んで有効に取り扱いましょうというのが原則であるという事です。無明確な表現があったとしても形式的に解釈するだけではなく、遺言書の全記載のとの関連、遺言書作成当時の事情や状況を考慮し、判断し読み解くということです。
【公序良俗に反する遺言】 では③の公序良俗に反する遺言とは。例として挙げるならば、全財産を愛人に遺贈するといったものでしょうか?ただしこの場合も、事実関係を洗い出しする必要があります。愛人関係をとどめておくための遺言書だったとしたらその無効も明確かもわかりませんが、実際婚姻関係が破綻しており、事実婚としての体裁が整っていた場合は、一概にそうと言い切れないかもしれません。
遺言をするためには遺言能力というものが必要です。それは意思能力、つまり遺言の内容を理解し、遺言の結果を弁識できる能力を欠いた状態で作られた遺言書は無効となるという事です。 とはいえ遺言者が認知症だからといって、直ちに遺言書が書けないとヒトだというわけではありません。 認知症の程度や状況、遺言書の複雑さなどによってもその遺言作成が可能かどうか意見が分かれるからです。 客観的な証明としては、主治医の意見書、医師のカルテ、看護記録、介護日誌などが証拠となります。
ただそれに伴い④であげた遺言能力の問題は深刻になってきています。厚生労働省によれば、認知症高齢者数は、2012年で462万人と推計されており、2025年には約700万人、2040年には約800万人~950万人に達することが見込まれています。こうした状況下で認知症を理由に遺言能力を欠くとして遺言無効を原因とする紛争は今後も増加すると思われます。
遺言の無効が相続人から争われることがあります。理由としては以下 4つ。 ①遺言の形式的要件が抜けている。 ②遺言が偽造された。 ③遺言内容が公序良俗に反する ④遺言能力を欠いて作成されたといった点が問題になります。今後高齢化が進み、遺言書の必要性が認識されると作成件数は伸びると思われます。法務局などでも相続手続をきっちり行ってもらうため遺言書の作成を推奨する動きを行っています。
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保険に関しては、細かなルールが各保険会社の規約にあるので、読み直すか保険会社に問い合わせてみることをお勧めします。 結構 ご自身が亡くなった後に生じるものなので 契約者もいい加減にしか考えていないことも考えられます。 受取人が先に亡くなられた場合などは保険会社に連絡し速やかに受取人変更を行いましょう。遺言書での変更については、まだまだ法律上明文化されて年数もたっていないので、判例が少なく生命保険会社としての解釈が重要です。遺言書作成前に事前に確認しておいた方が無難です。
ここでの注意ポイントは、受取人固有の財産であるため相続財産のルールとは少し違うという事です。生命保険の受取人が先に亡くなっていて、新しい受取人の指定がされていないまま被保険者が亡くなった場合、保険金は被保険者の法定相続人に「均等に」分配されます。例えば、母親(配偶者) 子供3人という残された家族構成の場合この場合、法定相続分(配偶者1/2、子供たちが残りを等分)ではなく、母親と子供3人が「4分の1ずつ」等分で受け取ることになります。 これは、生命保険金が相続財産ではなく「受取人固有の財産」とされるため、民法上の法定相続分は適用されず、保険会社の規定に基づいて相続人間で均等に分けられるルールだか…
ではここで第三者である慈善団体などに変更が可能かどうかという事です。法律上は先の保険法がありますので可能といえます。ただし各保険会社の規約がありますので、そこで許容範囲かどうかということが重要です。 生命保険金は通常受取人固有の財産として扱われ、その受取人が不在の場合は、規約に従って法定相続人に均等に分配されます。 つまり受取人が亡くなっていたとしてもその人を代襲相続しないという事ですね。
結論的には現状可能です。保険法第44条には、「保険金受取人の変更は遺言によってもできる」と明記されています。なので、法的には遺言書によって生命保険の受取人を変更することは可能です。これは平成22年に明文化されました。 それまではどのように解釈するか、いろいろ争われていたわけですね。 保険証券には、配偶者を受取人としていても、遺言書で長男 ○○へ相続させるという事ができるという事です。
「マイベストプロ埼玉」にインタビュー記事を掲載いただきました!
「マイベストプロ埼玉」は、電通や朝日新聞社が協力して運営をする「まちの専門家をさがせるWebガイド」です。 この度、弊所は埼玉県のプロとして「マイベストプロ埼玉」に登録していただきました! あわせて、私のインタビュー記事が「マイベストプロ埼
遺言執行者は相続人に対する報告義務もありますので、相続人へ事務処理状況などを伝えたり、問い合わせに答えたりする必要があります。 こういった義務を放置したり、財産目録を不正に操作した場合など不誠実な処理を行った場合は、家庭裁判所に遺言執行者解任の訴えを起こすことが可能です。また実質的な損害が発生した場合も損害賠償請求を行うことができます。 遺言執行者の責務は重いのです。
二つ目は、財産目録の作成と交付です。これは「遅滞なく」行うと定められており、期間としては遺言執行者就任後 2カ月~3か月が目安とされています。ただ相続人を確定させるため戸籍を集めたり、財産情報を集めたりしているとあっという間にその期間は来てしまいます。 とくにお勤めされている相続人が遺言執行者となった場合、こういった慣れていない業務を空いている時間にするとなると苦労されることもおおいです。
遺言執行者は、遺言書に指定されていれば 相続人でも第三者でも誰でも行うことが可能です。ただ遺言執行の権限がある変わり、義務も発生します。 一つ目は、遺言内容の通知義務と相続人に対して遺言執行者としての就職連絡です。この義務は速やかに行わないと各相続人が被相続人の財産を引き出したり処分したりと不都合が生じます。
遺言書を書く時に、遺言執行者を付けたほうがいいのか、その役割や義務など一般にはわかりにくいですよね。とりあえず文字面からは遺言書を実現する人のようには見えますが。 遺言執行者がいないとできない遺言事項もありますが、おそらく遺言書を書く意味合いのメインとなる相続分の指定などを定める場合は、とくに必要ありません。もし必要という事でしたら遺言書が発見されてからでも家庭裁判所に選任の申し立てをすれば、つけることが可能です。
では遺言執行者の役割とは具体的になんでしょうか?遺言書で指定された遺言執行者は、その職を引き受けるか辞するか決めて相続人に対して意思表示を行います。その遺言執行者としての業務を行うという連絡を受けた後、他の相続人は被相続人の遺産を処分したりして遺言執行者の業務を妨害することはできません。 遺言執行者は、被相続人の財産の管理その他遺言執行に関する一切の権利義務を持つこととなります。その際には遺言内容、相続財産目録を各相続人に送付するという義務を担います。
遺言執行者は、相続人のうちの一人でも第三者でも構いません。不動産や株式を清算して換価分割する場合や預貯金の解約を伴う場合なども考えると第三者の専門家を遺言執行者としたほうが、手続きになれていますし、かかる日数も短縮できます。 ただ報酬のほうが発生しますのでそこはご了承ください。その分最小の協力で、気づけば自分の口座にお金が振り込まれているというのは精神的にも楽なはずです。
ただ遺言書の手続きを円滑に進めようという場合は遺言執行者をつけておいた方が良いと思います。 特定の財産を遺贈する場合、遺言執行者のいない場合はその手続きに相続人全員の協力が必要だったりします。相続人のひとりに連絡がつかない人、気難しい人などがいて協力してもらえない場合などは手続きが難航します。この場合遺言執行者がいればその受贈者と遺言執行者だけで手続きを進めていくことが可能です。
付言事項については、残された者への感謝の言葉などを書くと述べましたが、なかには逆のような言葉を書く方もおられます。しかしそれはNGです。せっかく作った遺言書に反発を抱くような個人への批判や叱責は後の相続問題を悪化させることになりかねないです。 このような遺言書を残してしまうと、遺言を受け入れない、遺言で得をする人を許さないといった感情を芽生えさせることになります。 付言事項については残された人の立場にたって慎重に残していただければと思います。
過去の遺言書では、付言事項として葬儀の方法などを指定するという事もされていました。ただ記載する文言数も限られていますし、事前の準備のことを考えると遺言書では間に合わないという事が考えられます 葬儀の方法などについては、死後事務委任契約書をつくるかエンディングノートに書いておくなどが有効です。