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大化改新の方程式(253) 「大織冠・藤原・内大臣・鎌足」のどこまでが不比等の創作か? その2
前回、藤原不比等の父として、百済王子・扶余豊璋でもない、近江朝の右大臣・中臣金でもない、「中臣鎌足」なる人物が実在し、確かに「大織冠」を授けられた事実があったと想定できることを示した。以下はそれを前提とした推論なので、「大織冠はまったくの虚構」と考える方にとっては意味のない話になることを先に断っておきたい。それでは、「内大臣」についてはどうであろうか。『日本書紀』によれば、孝徳天皇による大化政権発...
大化改新の方程式(252) 「大織冠・藤原・内大臣・鎌足」のどこまでが不比等の創作か?
相当インターバルがあいてしまいました。申し訳ございません。この春から夏にかけて、毎年大きく携わっていた2つの業務が他社へ移管され、その引継ぎやら後始末やらで、心身ともに余裕のない状態でした。これを機会に第一線を退く旨は会社には伝えており、今後はこのブログに割く時間が増えるものと期待しています。今後ともよろしくお願いいたします。前回の記事にて、死期を悟った不比等が恥を忍んで『日本書紀』に最後の改竄を...
大化改新の方程式(251) 自説のまとめ:鎌足失脚説 おまけの続き
前回に続き、「鎌足=金」説について論じたい。トンデモ級の説なのかもしれないが、「鎌足=豊璋」説よりはリアリティがあると思う。少なくとも、中臣氏との接点がまるでみえない後者に比べて、前者にはその心配はない。この説の可能性については、飯田眞理氏が『古代日本の探求 第一巻』にて多方面から語り尽くしているので、今回は、この説の論点を私なりに整理しておこうと思う。(1)同時代人にみえみえの改竄をあえてするか...
大化改新の方程式(250) 自説のまとめ:鎌足失脚説 おまけ
自説の根幹としてあげた3つの命題のうち、3つ目の「斉明朝では鎌足は失脚していた」を展開してきた。すでに検証したように、関裕二氏が唱える「鎌足=豊璋」説には根拠がないことは明白だが、実は、はじめて関裕二氏の著作を読んだとき、豊璋がありなら、他の人物でもよいのではないかと考えたことがある。で、思いついたのが、中臣金──理由は至極単純で、鎌足=「金」を「兼」ねる男。隠蔽目的にしてはあまりにネタバレすぎる、...