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月夜の猫-BL小説です 幻月16 bl小説 小笠原のCF撮影の立ち会いで、一度仕事上でも良太は波多野と顔を合わせたことがあった。 だが、千雪の言うように、今こちらから波多野に近づくのは双方にとってまずいことになりかねない。 特にこんな時だからこそ。 確かにもし裏であっちの輩が関係しているとしたら、とっくに波多野
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ15 bl小説 「ふーん、子どもじゃないってことは、もう、あーんなことも、こーんなことも済ませちゃったってこと?」 幸也に顔を覗き込まれて、勝浩は耳まで真っ赤になる。 「いやーん、素直な反応。そっか、俺のいない間に、勝浩ってばいろいろ経験しちゃったんだ」 幸也はにやにやとグラ
月夜の猫-BL小説です 秋の陽3 bl小説 ただし、志村と同じ劇団にいた小杉が志村のマネジメントをやってくれることになったので、工藤の負担がさほど増えたわけではないが、制作関係が忙しくなり、工藤は飽和状態だった。 その頃の万里子は徐々に仕事も増え、順調に人気も取り戻し始めていた。 あまりに忙しそうな工藤を見て
2023-09-17更新かわい有美子さん作のBL小説 「Zwei」の感想です。 2012.11月発売 (幻冬舎コミックス リンクスロマンス) 平河寮シリーズ4冊目です。 ★これまでのシリーズ感想は以下★ 天使のささやき 甘い水①② 今年4月に書いた「甘い水①②」の感想で たいして間を置かずに 読むような雰囲気出しておいて 今頃ようやく読みました(笑 約5カ月ぶり#59142; なんでもっと早く読まなかったんだ俺…(←いつものヤツ) ってくらい面白かったです! 捜査二課 通称”組対”所属の刑事 山下 ✕ 山下と高校・大学で同級生だった検事 須和 仕事で偶然再会した二人の再燃する愛♡ しかし本作、 始まりが、いや全体的に かなり暗い(笑 暗いって表現もなんともアホっぽくて 残念な頭の中身が知れますが(^▽^;) 荒涼?寂寞?いや寂..
両親が帰宅したのは夕方だった。彩葉の手に「はい、お土産」と温泉まんじゅうの箱を乗せ、荷解きをしている母親の背中を眺める。そういえば、母さんは清音がお気に入りだ。包装紙をはがしながら、なんとなくそんなことを思った。「彩葉?どうしたの、ぽーっとして」 こちらをうかがう母親の声に、リビングの椅子におさまって温泉まんじゅうをかじりながら、彩葉は「ん-ん」と生返事をする。 頭のなかは清音に対する恥ずかしさ...
月夜の猫-BL小説です 幻月15 bl小説 「わしは、上の部屋を片付けて、しばらくおりますんで、いつでも呼んでください」 平造は七階にある工藤の部屋へと向かった。 千雪と京助も何やら話し込んでいたが、また連絡を入れると言い、オフィスを出て行った。 良太は今のうちにやっておくことはやっておこうとキーボードを叩いて
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ14 bl小説 シーリングファンが高い天井で回っている。 大型のテーブルは黒く磨かれ、背もたれが大きい椅子は凝ったデザインだ。 パッと見はそんな洋風居酒屋だが、メニューは和洋何でもありで、気取りはない。 「何、勝っちゃんも負けちゃいられねーってか?」 「そんなんじゃありません
月夜の猫-BL小説です 秋の陽2 bl小説 「でもほら、他のみなさんはそそくさとお帰りになって、高校生かしらって思った良太ちゃんが残ったでしょ? 頑張り屋さんなのねって感心したのよ」 がんばりやさん……… 良太は思わず反芻する。 「でもほんと、ご縁って不思議よね。その可愛いかった良太ちゃんが、今ではこの会社の司令
ああ、【永遠】という言葉が、こんなにも儚く虚しく霧散していく。 「大丈夫。アナタたちのことは、私が守る」 僕はよっぽどな表情をしていたんだろう。幼い子供を宥めるような優しい笑みを浮かべ、でもきっぱりと云ってくれたのは、僕たちの所属している小さな音楽事務所の社長。あのとき、僕たちを見つけてくれた。そして必死で育ててくれた。彼女がいたからこそ僕たちはこうして存在していられる。このひとは、身内を捨てたりしない。僕たちを、放り出したりしない。このひとがこう云ってくれるのならきっと大丈夫。僕が頷こうとすると、 がたっ、と。―――大きな音。 眼を向けると、計登さんが足をテーブルにかけ、揺らしていた。「・・…
月夜の猫-BL小説です 霞に月の52 bl小説 「今はとにかく何でも吸収している時でしょ。あーあ、俺も天野くんくらいの年までもタイムリープしたいよ」 宇都宮がぼやくと、「やめてよ。トシちゃんまで。これからじゃない!」とあくまでも強気のひとみが言い切った。 そのうち竹野は良太にもたれて眠り始めた。 スケジュールが
月夜の猫-BL小説です 秋の陽1 bl小説 久しぶりに出掛ける用もなく、広瀬良太は朝からデスクワークに没頭していた。 ここ青山プロダクションのある乃木坂も通りはすっかり色を変えた街路樹が秋の陽を浴びている。 主な業務はテレビドラマや映画の制作、タレントのマネジメント等、良太の肩書は、社長秘書兼プロデューサーだが
月夜の猫-BL小説です 幻月14 bl小説 「久々、高速なんか走ったからちょっと疲れたくらいだ。どうなっとるのか、話してくれ」 老体に鞭打つとはこのことだ。 良太は今までの経緯とこれからどうするかをかいつまんで平造に話した。 「平さん、お久しぶりです」 京助と二人、先ほどからひそひそと話し込んでいた千雪が平造を
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ13 bl小説 「え………」 勝浩は絶句した。 女の子二人を従えるようにして入ってきた長身の男は、白いシャツを無造作にはおり、緩やかに流れる柔らかい髪が少し首にかかっている。 「おっせーぞ! 幸也」 「このやろー、どこに雲隠れしてやがったんだ、今まで」 スーツの男たちからもヤジ
昼食のあと、名残惜しい気持ちで清音を駅まで送っていった。清音はいちどだけ振りかえると、反対側の出口への階段を下りていく。 ひとりになった帰り道、肩を並べる相手がいないのがさびしい。冷えた空気によそよそしいほど白い息を吐きながら、やっぱり寒いな、清音が持っているようなマフラーを買おうかな、などと思考があてどなく流れる。ずっと話していた気がするので、考えたことを言葉にしない感覚が新鮮だった。 自室に...
空が青いと思い知ったのは夜衣(よい)が吐いた煙草の煙を眼で追いかけたときだった。 ビルの屋上で吹きっさらしの真冬の澄んだ空を見て、セカイは美しいんだなって、理解した。 白く淡い煙草の煙が、青く鮮やかな空にとけていく。あの日―――そう、あの日あの瞬間まで、ぼくらは――― ぼくらはふたりきりだった。 ぼくらはひとりきりだった。 ぼくらはふたりで、ひとつだった。 ぼくらのせかいは、ふたりで完結していたのに。
月夜の猫-BL小説です 幻月13 bl小説 何者が何のためにこんな茶番を仕組んだのか。 仕事上でも確かに敵は多いだろうが、よもや工藤に濡れ衣を着せて殺人犯に仕立てるような面倒な真似をするものだろうか。 まあ、鴻池あたりならやろうと思えばやれるだろうが、実在の人間を駒に使ってドラマでも創りそうな男だし。 ただし
映画のできばえはまあまあそこそこだったかな、というのが原作を読破している彩葉の見解だった。エンドロールと主題歌が流れるなか、清音に話しかけようと隣を見るとぐっすり眠りこんでいる。「清音?寝落ちしちゃった?」 呼びかけるとうっすら目を開けた。その、眠りと現のあいだにある、完全にはここにない視線は彩葉がはじめて目にする清音のまなざしだった。とろりと半分溶けたような、はじめて世界を映す赤子のような、甘...
月夜の猫-BL小説です 霞に月の(工藤×良太)51までアップしました bl小説 霞に月の(工藤×良太)51、月で逢おうよ11、幻月(工藤×良太)12 までアップしました 霞に月の(工藤×良太)51 月で逢おうよ11 幻月(工藤×良太)12 までアップしました
月夜の猫-BL小説です 霞に月の51 bl小説 まあ、わからないでもない。 交流会でもちょっとアイドル気味に女の子に囲まれてたもんな。 良太は一人頷いた。 あれだけの人数だからまだよかったようなものの、直子がオフィスにかかってくるマスコミ関係者の佐々木への取材申し込みの対応に追われていると、ラインしてきた。
月夜の猫-BL小説です 幻月12 bl小説 「そら、あんなアホな連中に任せとったら日本は冤罪天国になってまいますわ」 さらにきつい千雪の言葉に、そういえば昔、千雪は冤罪で逮捕されかけたと聞いたのを良太は思い出した。 時々千雪はあの綺麗な顔で、恐ろしいことを平気で口にすることも、良太は知っている。 その時、オフィスの
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ11 bl小説 「あ、勝っちゃん、明日の飲み会七時に新宿だから、六時半にここでね」 出て行こうとして、検見崎が振り返る。 「それ、お断りしましたよね?」 勝浩は聞き返す。 「だってな、二人のこと見ちゃったしな」 「ずるいですよ」 眉をひそめて勝浩は抗議するが、「ほら、俺ってろ
互いに悶々とした夜を過ごすのでは、と危ぶんだものの、彩葉は軽く泣いたせいもあってかごく普通に眠れてしまった。 清音がどうだったのかはわからないけれど、朝食を食べているいま、とくに眠そうなようすもない。食欲も旺盛で、丁寧ながら盛んな箸づかいで彩葉がグリルで焼いた魚の身をほぐしている。「きょう、これからどうしようか?」 清音の問いかけに、しばらく考えた。どうしよう。なにをしよう。朝から清音といっしょ...
月夜の猫-BL小説です 霞に月の50 bl小説 「あれ、良太?」 玄関に続く応接間の前で紫紀と仕事の話をしていた工藤は、玄関に向かうひとみや宇都宮、天野や下柳らから一人離れてあたりを見回している紗英に気づいた。 「紗英さん、お迎え待ってるん?」 すると京助と一緒にやってきた千雪が聞いた。 「ううん。六本木行くん
月夜の猫-BL小説です 幻月11 bl小説 「工藤はその通りのことを取り調べでも話したが、端から工藤を犯人と決めつけている警察は耳を貸さないようだ。なので黙秘している」 「六本木のクラブ『ベア』も松下美帆も工藤さんの周りに記憶にありませんね。少なくともチーママの証言というのは勘違いか、偽証でしょう」 ややあって秋
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ10 bl小説 「で? 勝っちゃんは誰に片思いなのかな?」 面倒な相手に聞かれたな、と勝浩は眉根を寄せて検見崎を見た。 「そんなこと、あなたに言う必要ないでしょ」 「いやあ、実は美利ちゃん、多分勝っちゃん狙いだろうってわかってたんだ。ついにって思ったのにな。勝っちゃんがそんな
そうっと髪を撫ぜられて、もう一度、唇が重なって離れる。心臓がせわしなく動いているのか、静まり返って止まってしまったのかさえ彩葉にはわからない。ぎゅっと抱きしめられる。「……清音」 かすれた声で呼ぶと、応じるように彩葉を抱きしめている腕にさらに力がこめられる。こんなふうにだれかに抱きしめられたことはない。こんな、とても壊れやすい大切なものをどうしようもない気持ちで扱うときみたいに。 頬に、清音の頬の...
月夜の猫-BL小説です 霞に月の49 bl小説 佐々木は公一が連れてきた女性陣にアイドルのように囲まれていろいろ聞かれているようだ。 藤堂や直子、三田村とバルツァーは、佐々木軍団の傍でそれぞれ笑いあっている。 アスカは秋山と宇都宮や天野、ひとみや下柳、須永らと飲みかわしているが、秋山と一緒にいられれば落ち着いて
月夜の猫-BL小説です 幻月10 bl小説 「八時に下柳さんと『ブラン』で待ち合わせたが、携帯を忘れた下柳さんの伝言だと言って制作スタッフからセントラルハイアットホテルの『スマイル』に変更したという連絡が入った。『スマイル』で待っていると店に工藤さん宛の電話が入ったので移動したが、何も言わずに電話は切れた。カウ
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ9 bl小説 夕方になっても気温が三十度までしか下がらない中を散歩するのは、人間も犬たちもなかなか大変だ。 一人でハスキーとラブラドールを散歩させるのは尚のこと。さらに三匹を連れてとなると、かなりな肉体労働になる。 二人は犬たちを三十分ほど運動させ、ぐるりと学内をまわってクー
軽く風呂を洗って換気扇をまわし、すこし緊張しながら自室の扉を開けると、清音がふとんの端で読んでいた本から目をあげた。「なんだかすっかりくつろいでしまった」などと言いながら本を閉じる。「お泊まり会って、もっと緊張するかと思っていたのにな」 清音の言葉にうっすらとした寂しさを覚えながらも、「ゆっくりしてもらえてよかった」と返した。ベッドに腰かけると、ふとんに座った清音が彩葉を見上げてくる。まつげが長...
月夜の猫-BL小説です 幻月9 bl小説 「俺はどうなろうとかまうものか。それを認めたら俺は自分の嫌悪するヤクザと変わらないことになる」 Tはどう片をつけたかは言わないが、それに対して工藤がそう言ったことがある。 「あなた自身ではなくあなたの大切な者に災いが降りかかるとしても、そんなことを言っていられますか?」
皿をまとめて運んだ清音がシンクで水を使う音を聞きながら、彩葉は口をひらいた。「清音、将来のことはなにか決まった?奨学金とか、目指す学部とか」「奨学金はたぶん大丈夫。学部は就職率とかも勘案しなきゃいけないから、ゆっくり決めるよ」「そうかぁ。就職率、重要事項だよねぇ」「菅原はいい図書館司書になれるよ。俺はそう信じてるから」 テーブルをはさんで、キッチンカウンターのむこうで皿を洗いながら清音はなんのて...
月夜の猫-BL小説です 幻月8 bl小説 それじゃ、到底真犯人に辿り着けるわけがない。 「証拠は挙がっているんだぞ!」 今度は威嚇か。 まるで三流ドラマで使い古された科白じゃないか。 あの時、酒がまずいような気がして飲み干していなかったからか、朦朧とはしていたが、比較的早く目が覚めた。 俺にご丁寧に血の付いたナ
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ7 bl小説 「さっき編集部の人たちと話してたやつでしょ? お断りします」 そう言い合っている間に、車は勝浩が借りている部屋の前に停まった。 「たまには、融通を利かせようよ」 「ユウの散歩があるから、ダメ。じゃあ、どうもありがとうございました」 にこやかに車から降りる勝浩を見
月夜の猫-BL小説です 霞に月の(工藤×良太)47までアップしました BL小説 霞に月の(工藤×良太)47までアップしました。高校時代勝浩が密かに思いを寄せていた先輩幸也は好きな相手に振られていた。東京で充実した学生生活を送っている勝浩の前に、いきなり幸也が現れるー月で逢おうよ アップしています。幻月(工藤×良
「清音、ハンバーグつくるのってそんなにすごいことじゃないから。やってみれば簡単にできちゃうし」「もうそのせりふがすごいよ……菅原って料理好きだったんだな、知らなかった」「うーん、好きっていうか、中学生のころから家事が分担制になったせいでできるようになっただけだよ」 ふうん、とうなりながら清音はカウンターキッチン越しに彩葉の手もとを凝視している。子どものようなまなざしに小判型に種を整える手が恥ずかしが...
月夜の猫-BL小説です 幻月7 BL小説 「小田さんも警察に行ってるそうです」 良太は淡々と口にした。 「そうか。だったら、とにかく、何があったのか、はっきりしたところを聞かないことにはな」 小田は工藤の大学の同期で、青山プロダクションの顧問弁護士でもある。 良太は工藤が連行されたということに愕然としていたが、
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ6 BL小説 「勝浩、そろそろ終わる? 俺、この辺で切り上げるけど」 後ろの席で煙草をいじっていた検見崎が声をかけてきた。 最近自分の部屋以外喫煙可能な場所を探すのすら困難になってきたのだが、癖でつい手にしてしまうのだ。 時計の針は午後九時を少しまわろうとしているところだった。
月夜の猫-BL小説です 霞に月の47 BL小説 工藤も良太の方に顔を向けた。 すっかり良太に気を許したヨハンナと笑いながらたどたどしいドイツ語で懸命に会話をしている良太に、工藤は苦笑する。 だが、ちょっとは良太のことを心配したらどうなんだという藤堂の思惑まで気づくはずもない。 「良太ちゃんって、やっぱすごいんだ