メインカテゴリーを選択しなおす
そのままの姿勢で空を仰いでいると、智伸がそっと声をかけてきた。いたわるような声音だった。「優羽、そろそろ行ったほうがよくないか。新幹線の時間もあるし」「……だな」 そっと空から視線を戻して、優羽は智伸を見遣った。世界のだれよりいとおしい笑顔の、いちばんそばにいられる時間の終わりが刻々と迫っている。手に取って、眺められるんじゃないかと思うほど克明に。 神社をあとにしながら、優羽は智伸の手を取った。驚...
頷いた、その顔を見ることができなかった。 ぼくは、 俯いたまま、背を向けたまま、 ドアが閉まる音を、全身で聴いた。 ドアが閉じる。それは、 終わりの音。 あれからぼくはずっと、 世界から遮断されているような気持ちでいる。 ずっと、 ずぅっと、ぼくは、 ぼくは見えない膜に包まれていて、 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・息ができないんだ。
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ39 BL小説 「だって、京助さんって、何も隠そうとか思ってない人でしょ? 大学じゃなくても、アパートの前で京助さん、平気で先生にキスするし」 思い切りはっきり言われて、千雪は頭を掻きむしった。 確かに誰に見られてもおかしくない。 「ったく、あんの、ドアホが!」 「周りの方は
目的地には迷いようもなく到着した。神社仏閣のたぐいを頻繁に訪れるタイプではないのだが、優羽は少々あっけにとられた。電車の駅からほど近い智伸と並んで訪れたここは、荘厳な雰囲気というよりはむしろ観光地の趣がつよい。 パワースポット。たしかにすこし、軽い響きかもしれない。 それでも智伸は楽しそうで、参拝のあと、なんでこんなにと思うほどの種類のお守りを売っている店を覗いて「おい、優羽。お守り買ってやるよ...
春雷(工藤×良太)37まで、メリーゴーランドラスト追加しました。
月夜の猫-BL小説です 春雷(工藤×良太)37まで、メリーゴーランドラスト追加しました。 BL小説 春雷(工藤×良太)37まで、メリーゴーランドラスト追加しました。 またメリーゴーランド、あちこち修正したため、全体再アップいたしました。 ページが多いため、どこか抜けてるよう
月夜の猫-BL小説です メリーゴーランド374 BL小説 クリスマスイブの夕方のことだ。 彼女との約束までまだ時間があるな、と一張羅のジャケットを羽織り、ウキウキ帰り支度をしていた佐久間は、「あかん、これ、先輩に頼まれとったんや、忘れとった、どないしょ」と、デスクの上の封筒に気づいた。 「木村さん、もう休みやよ
月夜の猫-BL小説です 春雷37 BL小説 「いやあ、俳優陣もいつのまにか良太ちゃんペースに合わせられてるし」 フン、と鼻で笑う工藤に、坂口は付け加える。 坂口の言葉を裏付けるように、救護班に擦りむいた膝を手当てしてもらった女性には、川野が歩み寄って声を掛けていた。 リテイクとなったものの、皆が少し冷静になれた
あなたの傍に居られるのなら、他のすべてを無くしてもかまわない。 それを罪だと云うのなら、それさえも呑みこんでしまおう。 実を結ばない花が咲く。――――――ねぇ? その儚いうつくしさを大切に思っている。 あなたが思っているよりもずっと、 冥い感情を知っているんだ。
月夜の猫-BL小説です 春雷36 BL小説 ピアノのコンサートか。 ほんと、カップルならこれ以上ないイベントだよな。 亜弓がもっと近くに住んでれば渡したんだけど。 「でもチケットが余って、もし時間が合えば、鈴木さん一人で行くって言うし、俺も一緒に行こうかな」 ま、俺の場合、寝ちまうのが関の山だけどさ。 良太は
つぎの日もすこんとよく晴れて、「晴れ男はどっちだったんだろうな」と空の青を映して智伸は笑った。弱い海風がその髪を揺らしていた。優羽は智伸の髪が光に透けるさまをぼうっと眺めている。 この旅の最後の日。15時すぎになったらふたりで新幹線に乗り、智伸も優羽も帰途につく。 それからは、と優羽はゆっくり思う。それからは、離ればなれだ。智伸は病院へ、優羽は日常へ、引き裂かれるように帰っていく。智伸を失って、...
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ38 BL小説 今度は、小夜子は無事出産することができるのだろうかとまで思ってしまい、怖くなる。 「おい、千雪、聞いてるか?」 「あ、ああ。それはおめでたい話やけど、俺はやっぱパスって伝えといて」 千雪はそう言うと携帯を切ってしまった。 「何かあったんですか?」 眉を顰めたま
月夜の猫-BL小説です 春雷35(工藤×良太)までアップしました BL小説 春雷35(工藤×良太)、かぜをいたみ37(京助×千雪)までアップしました。 尚、それぞれのエピソードがリンクしているため、メリーゴーランド(京助×千雪)の中で主に時系列的に修正する箇所があり、修正して再アップしていきます
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ37 BL小説 「いいえ、先生の小説は好きだし、推理小説も好きだけど、すごいトリックとか考えつかないし、私が書きたいものとは違うって感じがしてたし」 「そうなん? けど、俺の話かて、巧妙なトリックやなんかあるわけやないし、推理小説いうより、探偵小説やで?」 「それは速水さんが
その晩はぬる燗をつけてもらい、智伸とすこしだけ飲んだ。そうしているとやはり、病気のことも、入院のことも、やがて訪れる智伸の死のことも、たちの悪い冗談のように思えそうだった。けれど、浴衣の袖から覗く智伸の痩せた腕が優羽に現実を思い知らせてしまう。「どうした、優羽」 沈みがちな優羽になにか察したのか、智伸が心配そうに尋ねる。 自分がくりかえし似たような錯覚とそれを打ち崩す現実を行ったり来たりすること...
月夜の猫-BL小説です 春雷35 BL小説 そうだよな、佐藤さんのことが何もなければ、アスカさんも秋山さんとコンサートデートとかできるのにな。 ふとそんなことを考えながら良太は三田村の向かいに座って、鈴木さんの置いてくれたコーヒーを飲んだ。 「でもバレンタインってやっぱ、一人で行くのも面白くないですよね」
【 】は、 はらはら零れる花びらを一枚指で掬い、―――喰んだ。 白い歯がさくりと花弁を噛み砕く。 甘い芳香が周囲を包む。 とくり、―――どくり、 躰の奥で鼓動する。胎動のごとく、鼓動する。 どくり、―――とくり、 躰のなか、ああ、これは花だ。花が喜んでいる。ぼくの心を蝕んでいる花が咲き誇る。 溶ける。―――溶ける。 躰が震えた。ずっと、望んでいる。ずっと願っているんだ。 望みが、欲望が、溢れ出す。花が咲きこぼれる。苦しい。苦しいんだ。 漆黒の虚無を見つめる。 静かに凪いでいるその瞳に映るぼくのこころは醜い欲望での汚泥に塗れている。 花はこんなにも美しく、咲いているのに。 ――――――【 】が、…
月夜の猫-BL小説です 春雷34 BL小説 翌朝八時頃、良太は佐藤がDV夫から逃げているらしいと伝えた上で、くれぐれも無理はしないようにと森村にラインでメッセージを送った。 すると森村は既に車で軽井沢に着いていて、コンビニでサンドイッチを買ってきて食べているところだと返事をしてきた。 『ご心配なく。とりあえず
ぱたぱたとスリッパを鳴らしながら部屋に戻って、畳の上で壁にもたれかかり、寄り添うようにくっついて座った。体育座りのまま、智伸が言う。頭を智伸の肩にに乗せている優羽は、音と振動でその声を聞く。「もっと早く、俺が気持ちを伝えていたらどうなっていたかな。たとえば高校のときとかに」 幼い片想いを打ち明けあっていたなら。もっと早く、両想いなのだとわかっていたなら。優羽は頭のなかに作りものの光景を思い浮か...
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ36 BL小説 「先生のお母さんって確かお亡くなりになってますよね? 三年くらい前に原夏緒の回顧展開催されて、私も拝見させていただきました」 千雪をまっすぐ見て木村は言った。 「え、そっちかいな?」 「だからお弁当作ってくれたのはお母さんじゃないですよね」 千雪はくすっと笑う
月夜の猫-BL小説です 春雷33 BL小説 たまに良太にも、母親や妹の亜弓以外でも義理チョコなんかが届いたりするのはご愛敬というところか。 「今年は義理チョコやめようって風潮らしいから、まあ悲鳴を上げる程俺なんかには来ないけど」 工藤宛のものなど、中を確かめてオフィスで分けろ、とか何とかムチャなことを工藤は言うの
智伸は回復すると「温泉に浸かりたい」と言い出したので昼間からふたりで湯に浸かり、「大名みたいだな」などと言いあって笑った。大きな窓から差す光に、ふたりの声がぼやぼやとにじんだ。優羽には音声が光を反射して、きらきらきらめくさままで見えるようだった。 風呂あがり、旅館の受付のまえの小さな土産物コーナーを冷やかして、ロビーでなにを話すわけでもなく椅子に身体を沈めた。 ゆっくりと時間が傾斜して、終わりへ...
―――――――――してください。 鈍色の言葉が霧散する。 ――――――――――――■■してください。 墨染の桜が煙る。 果てない夢の終焉をください。 ずっと、 ずっと、 世界の終わりを、待っている。 おねがい。 ―――――――――――――――■■してください。 ずっと、 おもっていたから。 おねがい。 ――――――――――――■■してください。 ほかになにもいらないから、 もう、 もどれなくてもいいから、―――だけどだけどだけど、 蹲り慟哭する己の姿を、もうひとりの自分が酷く冷静に見つめている。口から花が零れる。溢れ出る花にこの身が埋もれていく。 現実なのか夢なのか、それすらも曖昧な陽炎のよう…
部屋に入ると、智伸は缶コーヒーの残りを飲み干して座卓に突っ伏した。ゆっくりと息を吐きだす音が耳に届いた。 よほど疲れているのか、そのまま動かないので優羽はその背をやわらかくさすった。こんなことしかできないなんてという思いと、いまはまだこれができるという喜びが胸のうちでせめぎ合う。いつか、触れられなくなる。永遠に。 智伸にそっと差し出すように告げた。「俺なら、だいじょうぶだから。だいじょうぶじゃな...
月夜の猫-BL小説です 春雷32 BL小説 「そうか」 工藤はコーヒーを飲んでから、また徐に口を開いた。 「まあ、それはそれだ。お前の好きにしたらいいが、やはりそろそろお前の待遇的なものも考えねばならないだろう。取締役でどうだ? 形的には三月の株主総会での決定だ」 「取締役? 俺がですか?」 「ちっぽけな会社で
月夜の猫-BL小説です 春雷31 BL小説 「アスカさんが何か?」 逆に秋山は聞き返した。 「いや、いいんだ。お姉さんとは連絡を取っているのか?」 工藤が話を変えると、秋山はちょっと逡巡する。 「ええ、まあ、姉自身もうちを嫌ってさっさと結婚して家を離れた人ですから、ほんのたまに連絡をくれます」 「確か弟がいたな
「戻ろうか」という智伸の言葉で来た道を戻る。自販機でコーヒーを買って、飲みながら歩いた。智伸は甘いコーヒーが好きで、優羽は無糖。 変わらないな、と思う。なにが変わらないのだろうと思ったところで、ふっと高校時代を思い出す。 こんなふうに、いつも一緒に登下校していた。ただ、ふたりとも決して財布に余裕があったわけではなかったから、自販機は使わずに、飲みものは事前に準備するというのが暗黙の了解だった。駅...
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ34 BL小説 一番、自然だったのはやさかで会った栗色のふわっとした髪と品のいい夏のドレスに身を包んでいた、大きな目が印象的な彼女だろう。 ん? てことは、彼女、やっぱ俺の後をつけてた? ってか、俺のこと知っとるいうことか? 千雪は頭の中でそんなことを思いめぐらせながら、
月夜の猫-BL小説です 春雷(工藤×良太)30までアップしました BL小説 春雷(工藤×良太)30までアップしました。かぜをいたみ(京助×千雪)33までアップしました。
月夜の猫-BL小説です 春雷30 BL小説 青山にある秋山のマンションにつくと、工藤はエントランスで部屋番号を押した。 すぐに秋山がロックを解除し、工藤は十階へと上がる。 「すみません、わざわざ来て頂いて」 秋山はリビングのソファに工藤を通し、コーヒーを入れながら言った。 「さっき小田が来て加藤と話しているが、
こみ上げる感情の波に、瞼のふちが赤くなっていくのがわかる。みっともなく泣いてしまいそうだった。涙腺というのはいちど緩むと緩みっぱなしになるらしい。 せわしないまばたきを繰り返して、必死に涙を押し戻す。収まりきらずにすこしだけこぼれた優羽の涙に智伸は気がつかないふりをしてくれた。すこしだけゆがんだ声をようやく優羽は絞り出した。ふたりのあいだに、ぽたりとその声が転がる。「これから先、だれに出会っても...
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ33 BL小説 以前、自分の書いた推理小説を一方的に千雪に送りつけてきたというか、おそらく自分でドアポケットに入れていったであろう、ペンネーム家図愛と書いてホームズラブがこの木村女史だったわけだが、自分より、相応の編集部に投稿した方がいいだろうとアドバイスをしていたが、千雪の
翌朝はすっかりよく晴れて、まるで花火が雲を蹴散らしたかのような青が空に広がっていた。 朝食をとったあと、智伸の希望で坂道を下りながら目的地のない散歩に出る。目的地がないと、とたんにつまさきが不安になるのはなぜだろう。 あたりいちめん、きのうの花火の煙のにおいがまだそこらじゅうに残っているような気がした。川沿いの遊歩道をゆっくり海へとむかう。最後の信号を渡ると、いっそ暴力的なほど唐突に海辺の景色が...
智伸が「そうだな、きっとな」と言い、ふっと笑った。 そのときは俺がいなくなったあとの優羽の人生の話を聞かせてくれな、と声がつづいた。 優羽の心の内側を、ごく弱く引っかくような声だった。深い傷にはならない。ばんそうこうはいらない。SOSを発するほどでもない。なににも、だれにも癒してもらえないから。優羽がひとりで抱えなくてはいけない痛みだから。 けれど、うずくまって身を丸めてしまいたいほどの痛みで、智...
月夜の猫-BL小説です 春雷29 BL小説 「え………、アスカさん、どうかしたんですか?」 「いつもよりトーンが低かった」 さすが、工藤! 思わず良太は口にしそうになった。 伊達に鬼だのなんだの異名を取ってるわけじゃないんだ。 「そうなんですか? 秋山さん、何か言ってました?」 「いや、あいつもどこから
智伸の目が、ぱちりと見ひらかれた。その背後で、花火が爆ぜる。つぎつぎに、生まれては消える。一瞬、観客を楽しませるためだけにつくられた存在であることに、なんの疑問も抱かずに。「……え?」「智伸がいないこれからを生きていける気がしないんだ。全然しない。俺をわかってくれるのも、受け止めて励ましてくれるのも、もうお前しかいないから、だから……」 みっともなく、声がゆがんだ。 たったひとりで刻まれた不在の記憶...
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ30 BL小説 「ほな、桐島にも言うとく。あいつもその頃、スケジュール入れずに帰国する言うてたし」 三田村がそう言った時、エレベーターが開いた。 二人の女性が最初に降りた。 千雪が、アレっと思ったのはその時だ。 去って行く女性の後ろ姿を見つめたが、何が引っ掛かったのかに気づい
月夜の猫-BL小説です 春雷28 BL小説 佐藤製作所は建設機械を扱う長野県では大手の企業だが、創業者二代目である社長の佐藤孝蔵が病に臥せっていて、娘婿で専務取締役の佐藤彰吾と取締役で社長とともに会社に尽くし、会社を大きくしたと言われている滝沢昭信が社長の椅子を争い、会社が二分していた、という内容だ。 ところが数
音と振動に一瞬、地震かとも思ったけれど、昼間の花火の話を思い出す。ふたりの泊まる部屋は海べりからは離れた高台にあるのに、意外なほどふかく響く音に思わず優羽は首をひねって窓の外を見た。「花火、見えてる」 優羽の声に反応して智伸も外を見る。「ここからだとちいさいけど、あれだよな」 智伸は浴衣をひっかけただけの姿で窓辺まで歩いていって椅子に身を沈めた。先ほどまでの余韻でまだだるい優羽は寝ころんだまま窓...
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ29 BL小説 「来はった」 辻が三田村にドヤ顔を向ける。 「まだ十時前やん」 携帯を見て千雪が言った。 「お前、明日朝イチだろうが」 ぶすっつらのまま、仕方なく千雪は立ち上がる。 「ほな、俺らも河岸変えるか?」 三田村が言った。 「せやな」 頷きながら研二も立ち上がる。
月夜の猫-BL小説です 春雷27 BL小説 「CM、アスカさんですか?」 四時半少し前に美聖堂の駐車場に入り、工藤のキャリーケースをトランクに入れ、工藤が後部座席に乗り込むと、良太はハンドルを切りながら聞いた。 アスカはこれまでも美聖堂のイメージキャラクターとして、幾度もCMの仕事をしてきている。 「ああ。プ
優羽の三度目の射精と、智伸が優羽のなかに飛沫を散らすのが同時だった。 どろりと内腑に智伸の吐きだしたものを感じたとたんに、優羽はまたひどく興奮した。性器をなかから引き抜こうとする智伸に荒い息のすきまから思わず口走る。自分でもびっくりするくらい鼻にかかった甘ったるい声だった。「やぁ、……や、まだ、抜かないで」 なかばで止まった智伸のものがみるみる硬度を増していくので、とっさに口走ったこととはいえ、さ...
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ28 BL小説 「あれなあ、マジ、すごかったよな、周辺の学校の女子総出で体育館入りきらんかったもんな」 そんな昔のことまで持ち出して三田村は改めて感心したように言った。 「あんなあ、ほんまのアイドルやったはる人なんか、比べ物にならんで? いっぺん、工藤さんの車で通りかかった
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ27 BL小説 「いやいや、絶対、京助さん来はる」 「せやな、またふらっと行先も言わんとどこぞへ旅に出よったりされるとかなんし」 辻と三田村が妙に意見が合っている。 「いくら何でも、飲み会のあといきなりどこぞへ行ったりするか」 フンっとばかりに千雪はビールを飲む。 「せえけ
月夜の猫-BL小説です 春雷(工藤×良太)26までアップしました BL小説 春雷(工藤×良太)26までアップしました。かぜをいたみ(京助×千雪)26までアップしました。
「ごめんな、お前、いったばっかりでちょっとしんどいかもしれないけど」 しばらく堪えていた智伸のものが一気に奥まで届いたとき、優羽はすがっていた背中にぎゅっと力を込めた。すこし乱暴なほどの快感が走る。荒い呼吸をそのままに優羽にキスをして、深い場所でつながったまま、智伸がもどかしげに言う。「俺とこうしたこと、ずっと覚えていて……気持ちよかったなって、ときどき思い出して」 優羽の目じりからぽろぽろと涙がこ...
月夜の猫-BL小説です 春雷26 BL小説 「ほかでもない、実は遠野に聞いて、君の知り合いで警護やなんかもやってくれる人たちがいると」 「はあ」 良太は驚いた。 「ただ、表立ってそういう仕事をしているわけではないと聞いたので、できれば君から打診してもらえればありがたいんだが」 「あ、はい、連絡は取れますが、実