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ボーイズラブは不健全図書か?「進撃の巨人」の諫山創さん、「はじめの一歩」の森川ジョージさんら漫画家100名が用語変更訴え 小池百合子知事「これまでもいろいろな流れがあって、こういう名称になった」
ボーイズラブは不健全図書か?「進撃の巨人」の諫山創ら漫画家を中心に100名が用語変更訴え 小池百合子知事「これまでもいろいろな流れがあって、こういう名称になった」 都議時代から表現規制問題に取り組んでいる栗下善行さん(40)らは昨年12月、
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ19 BL小説 映画同様全面的に工藤に任せてあるので、千雪は脚本やキャスティングにも一切口を挟むことはしていない。 まあ、顔合わせに行くからには、脚本家の西村や監督の大秦らにも挨拶くらいはするつもりだが。 それにしても、工藤に押し切られて映画化された『花のふる日は』は千雪の
目的地には快適に到着した。スマートフォンを改札にかざして駅前のロータリーに出る。かなりの人出ですくなからず驚いた。温泉宿へのバスに乗り込む。いきなりのジェットコースターみたいな急坂にやや気圧されつつも、隣に座った智伸に話しかける。「きょうは冷え込んでいるから、温泉が楽しみだな。想像するだけでぽかぽかになりそう」 智伸はバスのフロントガラス越しに坂を眺めていたけれど、優羽のほうを向いて楽しそうに笑...
月夜の猫-BL小説です 春雷6 BL小説 「そりゃ、仕事で世話になっているからな。今のロケも宇都宮さんとうちの小笠原だし」 「え、そうなの?」 亜弓の声のトーンが上がる。 「あのさ、今は木村さんとお付き合いしますって話だろ? 木村さんに対して失礼だろ」 すると亜弓もちょっと肩を竦める。 ここで木村も仕切り直した
月夜の猫-BL小説です 春雷4 BL小説 「うわ、ここ知ってる! 五つ星レストランじゃない?」 Blancという名前の通り、外装も内装も白を基調としたシンプルな造りで、テーブルや椅子も非常にシンプルなデザインだ。 「お兄ちゃん、大丈夫なの? ここ高いでしょ?」 店に入る前に亜弓が良太にこそっと耳打ちした。
気持ちを切り替えるためだけに、話題を振った。この先のこと、みじかい未来の話を。「智伸、お前、着いたらどうする?とりあえず、宿に行くか?」「そうだなぁ、時間はいっぱいあるから、まずは温泉でゆるっとしたいな」「わかった」 話しているあいだにも、新幹線がやってきてふたりして乗り込む。なんとなく窓際の席に智伸を座らせると、かすかに笑った。「なんだよー」と言うと「なんでもない」と笑ったままの答えが返ってく...
月夜の猫-BL小説です 春雷3 BL 自分に紹介するということは、今までの経験から亜弓はおそらくこの男と付き合っているのだろうと良太は理解した。 ただ、ここ数年そういうことはなかったのは、やはり家のことで色々があったからだろう。 両親はまさしく能天気なだけあって、どんな環境にあっても二人で楽しく生きて行ける人達
翌日の朝、新幹線の出発時刻15分前に在来線と新幹線が相互乗り入れをしている駅に到着した智伸と優羽は、並んで新幹線ホームにむかいながらキャリーケースを転がしていた。先だって、優羽の荷物が大きすぎると智伸は会うなり声をあげて笑った。そう言う智伸の荷物はコンパクトすぎて、優羽は心配になるのだけれど。「俺、旅行に行くのなんて何年ぶりだろう」 優羽が感慨深げに言うと、智伸が「俺は修学旅行の引率以外の旅行に...
月夜の猫-BL小説です 春雷1 BL小説 金曜日は雨になった。 工藤は朝イチの新幹線で大阪へ向かったはずだ。 大阪に本社を置く製菓会社の会長と藤田を介して近年親しくなり、工藤はちょくちょく呼ばれて出向いている。 青山プロダクションに在籍する若手人気俳優南澤奈々を起用する予定でCMプロジェクトが動き始め、京都
月夜の猫-BL小説です 花さそう78(ラスト) BL小説 それに、亜弓はどうやら良太と工藤との関係に気づいているようだ。 良太ももうごまかすつもりはないのだが。 けれどやはり、相手が工藤だということより、沢村と佐々木のような明確な恋人同士ではなく、微妙な関係だということが良太にとってはネックだった。 それを言葉に
「いいな、熱海。海にも山にも近いし。っていうか、海で、山だし。なんで今まで行かなかったんだろう」「俺はともかく、智伸は学校の仕事でそれどころじゃなかっただろ」 優羽はじっと智伸の目を見た。あきらめるために。ここからはじまる、なんて思っちゃいけない。ここから終わらせていくための旅なのだ。目を見つめたままで言う。「旅じまいに、温泉満喫しような」 智伸の目がかすかに揺らいだ。こくりとうなずく仕草がやけに...
ゆうべの肌寒さは放射冷却によるものだったらしく、翌日は秋晴れのよい日和になった。すこん、と抜けたような青空のもとを部屋から最寄りのバス停まで歩いた。 やってきたバスで駅前まで出て、約束したドトールに優羽が到着すると、智伸はもう席についていて「優羽!」と軽く片手を挙げた。病気だなんてうそみたいな自然な笑顔だった。 いつもそうだった、と優羽は思う。きっちり約束通りの時間に赴くと、智伸がいつも自分を待...
『優羽』 優羽の提案にしばし黙り込んだ智伸が、しずかな声で言う。『思い出作りのためだったらやめたほうがいい。あとから余計に苦しくなるから』「なにもできないほうがいやなんだ。こんなことになったのに、離ればなれで日常を送るほうがいやなんだ。俺の気持ちに気づいているんだろ?だったらわかるだろ?」『ほんとうに俺のこと、好きでいてくれているの?』 こんなときなのに、とても甘い問いかけに聞こえた。「ああ」と短...
つぎつぎにあふれだしてくるものを思いを、考えてもしかたない、と首を打ち振った。考えたところで、智伸を蝕む病気の進行が遅くなるわけじゃないのだ。病気が、消えるわけじゃないのだ。深い悲しみに、両足をとられる。 ふと、別れ際の智伸の声がよみがえる。やわらかい、すこしかすれた声。「あしたがいい日でありますように」。 ふざけんなよ、と唐突な怒りがわいてきた。勝手に病気を打ち明けて、優羽の気持ちを知っていた...
どうやってアパートの部屋に帰りついたのか覚えていない。ほんとうにそんなことがあるんだ、と思った。 気がつけば優羽は自分の部屋のベッドに仰向けに横になり、なにをするでもなくスマートフォンのニュースサイトを眺めていた。現実からはじき出された心が、いつも通りの行動をとることで、現実に戻ろうとしているみたいだった。 我に返って、目を閉じる。「泣くなんてずるい」と言っただれかの声がよみがえる。そうだ、あれ...
最悪の、最悪の、最悪の一日。店に入るまでのふわふわと高揚した気持ちはいったいどこへ消し飛んでしまったのだろう。 男性店員の「ありがとうございました!」を無防備に背中に受けて、優羽はぼんやりと空を仰ぐ。晩秋の、透き通った夜空に星がまばらに散っている。「優羽」 智伸の気づかわしげな声が聞こえた。声にむきなおり、小刻みに震える声で優羽は智伸に言う。「悪い夢だって言って。お願いだから、ぜんぶ冗談だって言...
いくら考えても、どんな思いかたをしても、理不尽だとしか思えなかった。こんなのってない。こんなのってないよ。 どれだけ優羽が智伸を好きでも、智伸とはいずれどうしようもなく枝分かれした道を行くはずで。でも、それはこんなにはやくないはずで。こんなに突然のことでもないはずで。 つらいのは俺じゃないだろうが、と優羽は自分の心を抑えつけようとした。けれど、ひび割れのすきまから水が漏れてくるように、ひんやりと...
入院先は?という問いに、近くの基幹病院の名を挙げる智伸の目を覗きこんで優羽は問うた。「どのくらいのあいだ?」 智伸がこんどこそ言い淀んだ。優羽の背中にぞわっと鳥肌が立つ。知らないだれかのつめたい手が、ひたりと張り付いたみたいだった。よくない返答がある、そう確信する。海老を口に運びながら、智伸は「すこし良くない病気が見つかってな」と返答になっていない言葉をごく軽い口調で並べてみせた。「……がん、とか...
麻婆茄子とエビチリが運ばれてくると、急に空腹を覚えた。おなかすいた、とこんなふうに思うのは何か月ぶりだろう。智伸が取り分けてくれた皿を受け取り、「いただきます」と手を合わせて笑いあう。とても和やかな気持ちだった。 優羽は智伸の好みの食べものも、きれいな箸の持ちかたもよく知っている。それとおなじくらい、智伸が自分のことを知っていればいいと思う。ちょうど、ぴったり真ん中でつりあった天秤みたいに。 け...
「優羽、なに食いたい?」 スマートフォンで周辺の飲食店を検索しているのであろう智伸の横顔が、人工のあかりに仄青くぼんやり浮かんで見えた。肉?魚?というせわしない問いかけに、智伸とだったらなんでもいいよ、と答えたいのを飲み込む。「中華料理って選択肢はあり?」「ありありのあり!」 優羽にむけて屈託なく笑う優しげな顔を留めておきたいと思う。心のなかにしか、この恋は留めておくことができないから。想う気持ち...
「優羽、どうしたの?背中が疲れてる」 あかるい声がすこし曇って、怪訝そうな色合いを帯びる。振り返って見遣ると、ブレーキ音の主はやはり、高校時代からの友人、仙田智伸(せんだしのぶ)だった。お互い25歳になるから、もう10年来のつきあいになる。 スーツ姿でかばんを前かごに突っ込み、自転車に乗っているところを見ると、どうやら勤務している中学校からの帰路だろう。優羽の頬が軽く緩む。ほんのわずかに。決して悟...
最悪の、最悪の一日だった。 残された最後の気力をぞうきんみたいにぎゅうぎゅうに振り絞って「お疲れさまです。お先に失礼します」と全方位的に退勤のあいさつをし、バックヤードと外気とを隔てる扉を閉めた。とたん、優羽(ゆうは)は重く、長いため息をつく。反動で身体がぺちゃんこになりそうだ。 ほんとうに心底ついていない一日だった。勤務中、優羽が接客したテーブルに最低値でも三組、こまごまとしたクレームをつけて...
そろりと生絹の背中に腕をまわして抱きしめかえした。黒いコートの背中をぎゅっと握る。生地が碧生の手のなかでやわらかにたわむ。生絹の心を丸ごと手で握ってしまったような気がした。「愛してるよ、碧生。愛してる。俺のそばにいてくれてありがとう。あのころも、いまも」 ほろほろと生絹にかけられた傷の呪いが解けていくのを手のなかで感じながら、碧生は何度もうなずいた。碧生がほしいという熱を帯びた生絹に抱きしめられ...
夕方まで箱根をぶらぶら散策して、さて帰ろうかとコインパーキングで車に乗り込もうとしていたときだった。 碧生、ととてもやわらかに名前を呼ばれてドアから手を離した。どこかほかに行きたいところでもあったのかな、と振り返って生絹を見あげるとなんの前触れもなく抱きしめられた。 背中にまわる生絹の腕。生絹のにおい。五感のぜんぶで驚いて思わず身じろぐと、ますます腕に力がこもる。夕暮れの光のなかできつく抱きすく...
箱根旅行に出かける当日は、よく晴れた朝を迎えた。生絹と出かけるときはたいてい晴れている。ひょっとして晴れ男なのかな、などとつらつら思いながら早朝の駅前で生絹の車を待っていた。首に巻いた濃い灰色のマフラーは生絹が以前くれたものだ。 なめらかに駅前ロータリーに滑り込んできた車の助手席に乗ると、車内はいつものように清潔に整えられている。そう、こういう几帳面なところも知った。 いろいろなことがあったよね...
月に一度か二度、生絹と予定をすり合わせて外出するようになった。 生絹は碧生を車で迎えに来る過程がよほどうれしいらしく、たいてい碧生の部屋の最寄りの駅まで黒いヴィッツを走らせてやってくる。いろいろなところに出かけた。夏の緑あふれる自然公園や、マイナスイオンが目に見えそうなほど涼しい谷底の渓流、色鮮やかに燃え立つような木々を眺めた紅葉狩り。 生絹はどこへ行っても楽しそうにしている。それは碧生もおなじ...
「うちに……うちに泊まればいい」 ゆっくりと、しごくゆっくりとそう言う声が、それでも振り払えないかすかな迷いを帯びていて、申し出を断ればひどく生絹を傷つけてしまうだろうことがわかった。碧生自身もきっと傷つくことも。だから碧生はスマートフォンをかばんにしまい、生絹に微笑んでみせた。「じゃあ、お言葉に甘えようかな」 生絹の頬のこわばりがかすかに緩んだ。 俺がソファーで寝るから碧生はちゃんとベッドで寝て、...
「ごめんな」という生絹のその言葉を潮に、碧生の目から涙があふれた。感情の波に揺られたというよりは、謝らせたことが情けなかった。 滲んだ視界のなかで、涙がほとほととソファーに落ちていく。迷うように握ったり開いたりしていた生絹の手のふるえる指が碧生の頬に触れる。すっと涙をぬぐわれると、悲しいのにうれしかった。 ごちゃ混ぜになった気持ちのまま、生絹の肩に顔をうずめた。碧生の涙が生絹のシャツをすこしずつ...
「……これ、なんで『E.T.』?」「俺、この映画好きなんだよ。小5のとき、父親と最後に観た映画だからかな」 言いながら、生絹は画面から碧生のほうに視線を移した。「碧生とは、はじめて一緒に観る映画だな。いつか、俺んちで碧生と映画を観てみたかった、ずっと。夢がかなったよ。わがままにつきあってくれてありがとう」 ひと言ひと言刻むような言いかたに、碧生ははっと身じろぎした。 夢をかなえること。わがままを言うこと...
生絹に告げるべき言葉を探して碧生が考え込んでいると、ふいに生絹が口を開いた。「なぁ、碧生。いまから俺んち来るか?」「えっ!?」 素っ頓狂な碧生の声に、生絹が肩をふるわせて笑った。ひどい、と碧生は冗談半分、もう残りの半分は本気で抗議する。生絹はしばらく笑ったあと、一転してひどくまじめな顔で碧生を見て、口をひらいた。ふたりのあいだを、すこし強い春の夜風が抜けていった。「俺は、がんばって碧生に触れられ...
東京で5度目に生絹と会ったのは、桜のつぼみがやわらかくほころびだすころの土曜日のことだった。 夕方から少し早い花見をふたりで楽しんだあと、碧生が予約した桜並木を望む居酒屋でのんびり飲んだ。 居酒屋を出て生絹がちいさく歌う鼻歌が、ご機嫌に酔ったときの癖なのだと碧生はもう知っている。なんという歌なのかは教えてもらえなかったけれど、碧生ももうおなじメロディーをなぞることができる。 あてどなく並んで歩き...
それからも生絹は碧生にちょこちょこと連絡をよこした。他愛もないやりとりがうれしくて仕事の合間にスマートフォンを確認するのが癖になった。 きょう昼ご飯を食べた蕎麦屋がめちゃくちゃおいしかったから今度いっしょに行こうな。あしたは雪が降るんだって、楽しみなような、嫌なような複雑な気持ちだな。けさ、ひさしぶりに野良猫を見たんだけど、猫さま効果かな、仕事を定時であがれたんだ。 日々のなんということもない文...