いつか君を恋と呼べたら #30
冷たく細い雨の降っていた翌日、生絹と顔を合わせるのが怖かった。もし、もしも、生絹の碧生に対する態度がなにかしら変わっていたらと思うと、胸の底で無数の羽虫が羽ばたくように不穏な、そわそわと落ち着かない気持ちがする。 たくさんの傘の花の咲く正門まえでは会えないまま、教室まで行っても生絹はいなかった。めずらしいな、と思いながらCDを手のなかでもてあそんでいた。 予鈴が鳴る。遅刻ぎりぎりで教室に滑り込んで...
2023/02/08 01:19
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