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#創作BL
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可愛いが好きで何が悪い40
1話戻る→ 最初から読む→ 布越しに触れた相手の熱には、今更すぎて、躊躇いも抵抗感も特にないらしい。それ
2023/08/11 16:01
創作BL
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リーダーで読む
いつか君に咲く色へ #29
清音からメッセージが届いたのは、それから3日後の夜のことだった。まだ昼は暑いけれど、開け放った彩葉の部屋の小窓からはすずしい夜風が心地よく吹きこんでいた。 かろやかな着信の音に液晶を確認すると、清音の名が表示されている。おおきく、心臓が跳ねた。ロック解除ももどかしく、メッセージアプリをひらく。『借りていた本、そろそろ返さなくちゃな。今度の日曜日あたり、都合はどうだろう?』 ……これは、清音が僕に会...
2023/08/11 02:08
いつか君に咲く色へ #28
意図しなかった彩葉の言葉に、清音がかすかに目を見開いた。迷うような声がつづく。「……俺、連絡しても迷惑じゃなかった?会って、本の感想を話したかったんだけど、どういうふうにメッセージを送ればいいのかわからなくて、ずっと迷ってしまって。結局、夏休みがあけてしまったな」 ごめんな、対人関係スキルが低すぎるよな。そう言って困ったように笑う顔を見た。 清音もおなじだったのか。彩葉とおなじく、会いたくて、でも...
2023/08/10 00:39
可愛いが好きで何が悪い39
1話戻る→ 最初から読む→ 相手は少し気まずそうに、あれよりはもうちょっと太めだと申告してくる。もうちょ
2023/08/09 15:31
いつか君に咲く色へ #27
どうにかこうにか宿題を終えた夏休み明け初日、まだまだ暑さ厳しい朝の昇降口で清音と顔をあわせた。めずらしく、清音のほうから声をかけてくる。「菅原、おはよう。ひさしぶりだな」 彩葉も挨拶を返し、教室までの廊下で肩を並べる。夏期講習のあいだにずいぶんと清音のとなりにいるのも慣れた。 それでも「長期予報だと残暑が厳しいんだって、いやだなぁ」「でも毎年そうだから今年もテレビが言ってるなって思うだけだな」な...
2023/08/09 01:41
いつか君に咲く色へ #26
本のお礼に宿題のわからない箇所を教えてくれると言うので、ローテーブルに教科書と参考書、ノートをひろげて化学の応用問題の解きかたを教わる。化学はこてこての文系である彩葉の苦手科目だ。 彩葉の脳内でからまっている箇所を的確にほどきながらルーズリーフの上をすべるシャープペンシル。机の上から目をあげて、彩葉は清音の横顔に目をやった。そのままぼうっと眺める。伏せた目のまつげが長く、すっきりとした鼻筋やすこ...
2023/08/08 00:32
ストレリチアが蕾む頃 3
ハニーストーンと呼ばれる優しい色合いの石灰石で造られた建物が並ぶ首都バレッタの街並み。この街は島の北東に位置する岩山に築かれたもので、街そのものが世界遺産に指定されている。高低差が激しく、それ故に複雑に建物が折り重なる光景は圧巻の一言だ。古代から戦いの要塞となり、多くの民族や文明、勢力がこの場所で衝突し、時に交わっては重なり、複雑に絡み合ってきた。そうして生まれた唯一無二の存在は、その背景にある歴...
2023/08/07 22:13
可愛いが好きで何が悪い38
1話戻る→ 最初から読む→ そして確かにローションは優秀だ。指が2本に増やされても、そこから更に3本に増
2023/08/07 20:46
いつか君に咲く色へ #25
しばらくかけて、3冊の本を見つくろい振り向くと、清音は凪いだ瞳で彩葉を見ている。しずかに問われた。「どうして、こんなに読書が好きなんだ、菅原?」 彩葉は本を抱えたまま、足がすくむのを感じた。つまさきから、つめたい感覚が這い上ってくる。 ――……気持ち悪いんだよ! かつて、投げつけられた言葉が脳裏をよぎる。清音には、清音にだけはそんなふうに思われたくない。だけど、うそもつきたくない。どうしよう、どうす...
2023/08/07 00:33
いつか君に咲く色へ #24
彩葉の、背中を撫ぜる手に、凝り固まっていたなにかがほぐれていくのか、清音は静かに語りつづける。「それからなんだ。人とかかわるのが怖くなった。とてもとても、怖く。どんなに大事な相手でも、どれだけ大切にしても、あっという間にいなくなってしまうことがある。とても理不尽に奪われることがある。怖くて怖くて仕方なくて、失うくらいなら最初から手にしなければいいって言いきかせて遠ざかっているうちに、どんどん怖く...
2023/08/06 00:15
いつか君に咲く色へ #23
「……え?」 清音の声がかすかに掠れる。瞳が揺らぐ。「おじいちゃんと暮らしているって言うからさ」 それに、読みたいと言う本の内容がふだん見ている清音の雰囲気からはほど遠い、という言葉は胸の内側だけに落とした。落とした言葉が、胃に重く響く。「中学生のころだよ、1年のとき、インフルエンザに罹ったんだ」 清音はゆっくりと話し出した。ときどき、声がふるえる。 清音が高熱を出したタイミングは最悪だった。ちょう...
2023/08/05 00:14
可愛いが好きで何が悪い37
1話戻る→ 最初から読む→ ジッと見られると照れるだとか緊張するだとか言いながらも、ローションの扱いには
2023/08/04 15:32
いつか君に咲く色へ #22
「ここだよ。ご遠慮なくどうぞー」 冗談めかして言うとカーポートの日陰を通って、玄関を開ける。清音は「お邪魔します」とちいさな声で言い、屋内に足を踏み入れた。冷房の空気がふたりの身体を包む。清音がちいさく「涼しい」と言った。「部屋、二階にあがってすぐのとこだから先に行ってて。なにか飲みもの持っていく」 彩葉が階上を示すと、清音の足音がゆっくりと二階にあがっていく。彩葉はキッチンで冷やしておいたペット...
2023/08/04 01:36
いつか君に咲く色へ #21
駅の改札で待ち合わせた。先に着いたのは彩葉だった。しばらく行き交う人を眺めていると、涼しげな細いストライプのシャツとくるぶし丈の紺色のスリムなズボンで現れた清音は、彩葉を見つけると片手を挙げる。「悪い。待たせたか?」 彩葉は「ちょっとだけ」と答えて、清音に笑いかけた。控えめな笑顔が返ってくる。 じゃわじゃわと蝉がかしましく騒ぎ立てるなかを彩葉の家まで並んで歩きながら、清音に疑問を投げかけた。「卒...
2023/08/03 01:51
可愛いが好きで何が悪い36
1話戻る→ 最初から読む→ 即座にマジだよと返してきた相手は、俺の女装は基本お前だけのものだよ、などと続
2023/08/02 20:45
いつか君に咲く色へ #20
彩葉の声が沈黙をやぶる。あした、清音の都合はどうだろうか。秀才は夏休みも忙しいのだろうか。「清音、塾とか行ってる?予備校とか、そういうの」「いや、行ってない。じいちゃんに金銭面で迷惑かけらんないから」 えっ、と彩葉は首をかしげた。「おじいちゃん?」 清音はうつむくと、首筋をかりかりとかく。「俺、両親いなくて。じいちゃんの家でふたり暮らししてるんだ」「そっか、そうなんだ」 その理由に踏み込んだほう...
2023/08/02 00:04
いつか君に咲く色へ #19
夏期講習の締めくくりの模試が終わるころには、清音は2冊とも本を読み終わったようだった。読むペースははやいほうだ。 肝心の模試で、力を入れて対策をしていたはずの英語のリスニングがまったくのちんぷんかんぷんだったのですこししょげていた彩葉は、視聴覚室で席を並べた帰り道の「小説っておもしろいんだな」という清音の言葉に、ぱっと顔をあげた。夏の午後の短い影がふたりの足元にわだかまっている。自転車のグリップ...
2023/08/01 00:27
可愛いが好きで何が悪い35
1話戻る→ 最初から読む→ どうにか準備を終えてバスルームを出てきたところ、バスタオルと共に彼の部屋着が
2023/07/31 20:57
ストレリチアが蕾む頃 2
耳を澄ませば、馬の嘶きが聞こえてくるような。ふと振り返れば、回廊の奥から甲冑を身に纏った騎士たちが歩いて来るような。目を閉じれば、砲撃の煤けた匂いや炎の熱を感じるような錯覚さえ受けた。重厚な門扉を抜けた先にあった光景はそれほどに、かつての姿のままそこにあった。アルフレードのデザイナーとしての才能を見い出し、今はパトロンとしてその活動を支えているパスクァーレの招待で訪れたマルタ島。個人的に所有してい...
2023/07/31 17:51
いつか君に咲く色へ #18
清音が身じろぎひとつしないので、彩葉は行動を補足するように言った。清音といっしょにいると、ときどきこういうことがある。行動や言葉で、自分がとてつもなくややこしいルービックキューブを渡してしまったような。そのたびに彩葉は、自分の面を合わせて示さなければならない。めんどうくさいな、とおもしろいな、がはんぶんこずつの気持ちで。彩葉が「あのね」と言うと、清音がちいさく瞬いた。「いやじゃないよ、ぜんぜん。...
2023/07/31 00:41
いつか君に咲く色へ #17
自転車をからから押しながら、清音と肩を並べて駅前に最近できた本屋にむかう。 清音は彩葉より頭ひとつぶんくらい背が高い。真っ黒な影が目のまえに落ちている。 この暑さのなか、徒歩で行ける距離とはいえ本屋などに誘ってしまって申し訳なかったなぁとちらりと思った。「菅原、読書好きなのか?」 清音が訊ねる。個人的な好き嫌いに関しての質問をされたことに内心で驚きながら「うん、図書委員になれてよかったなって思う...
2023/07/30 04:06
下ネタ☆パーティー6
【隣りに住む2人のイチャラブを観察だ】 こじらせ幼馴染どうしの、日常系甘々BL小説です。
2023/07/29 13:50
いつか君に咲く色へ #16
「さっき、正直に言うと緊張した」 清音の言葉にウインナーをかじりつつ彩葉が「さっき?」と返すと、「朝、ほら、空席がどうか聞いたとき。席が決まってないから、どこに座ればいいのかわからなくて」と補足される。彩葉は「そっか」と頷くと、ちょっと考えた。「じゃあ、清音、夏期講習のあいだはずっと僕のとなりに座ればいいんじゃないかなぁ?」 彩葉の提案に、清音は目をみはる。「いいのか?」とおそるおそるというふうに...
2023/07/29 04:04
可愛いが好きで何が悪い34
1話戻る→ 最初から読む→ 尻穴拡張に同席する気かと思ったら、同席どころか彼自身の手で慣らされるという話
2023/07/28 15:57
いつか君に咲く色へ #15
「数学といえばさぁー」 ぱたぱたと下敷きで顔に風を送りながら、ふたばがなにげなく口をはさんだ。「前々から疑問だったんだけど、動く点Pって、あれなんでPなんだろうね」「ポイントの、Pなんじゃないか?」 清音が間髪入れず、ふたばの疑問に解を示す。彩葉とふたばは顔を見合わせ、目を丸くした。「清音、すごい」「さっすが、速水くん。そっかぁ、そういうことだったのか。積年の疑問が晴れたよ」 ふたばが感動したよう...
2023/07/28 02:17
いつか君に咲く色へ #14
清音に朝、声をかけるようになって2週間が過ぎた。瀬戸ふたばが「彩葉ちゃん、どうして速水くんに毎朝、挨拶するようになったの?」と心底不思議そうに訊ねてきたのは夏期講習の初日だ。この期間は自由に席についていいようになっているので、昇降口でいっしょになったふたばと視聴覚室で席を並べている。「夏のはじめごろ、図書委員の仕事を手伝ってもらったんだよね。それで、すこし話して」「手伝った?速水くんが、彩葉ちゃ...
2023/07/27 02:50
可愛いが好きで何が悪い33
1話戻る→ 最初から読む→ 気持ちの問題は大きいという部分に対して、そうだなと相槌を打てば、だから安心し
2023/07/26 15:34
いつか君に咲く色へ #13
その晩、彩葉は眠れないままに思考の海に沈んでいた。清音の言葉の意味を考えつづけていたせいだ。他者とかかわることが怖いという清音。感情の色はやはり読み取れなかったけれど、底のしれない深い苦悩の気配がした。 寝返りを打ち、堂々巡りをつづけている疑問をもう一度心に浮かべる。手を差し伸べてもいいのだろうか。あれはSOSだったのだろうか。清音の発した、彩葉にしか受け取れない救難信号。いくら考えてもわからない...
2023/07/26 01:21
いつか君に咲く色へ #12
驚きつつもなんとか「……どうして?」と問う。フルネームで呼ばれたこと、話がしたかったと言われたこと。ちいさな爆弾がつぎつぎに胸のなかで爆ぜる。清音はそんな彩葉を見て、ゆっくりまばたきした。まるで、彩葉を落ち着かせるように。「大人っぽいから」 こんどこそ、なんと返していいのかわからない。 大人っぽくなんかない。教室で低くてざらざらした声を出して彩葉にはついていけなさそうな話題で笑いあう、半分大人のよ...
2023/07/25 01:19
ストレリチアが蕾む頃 1
空と海の間にあるはずの境界線がない世界を見たことがあるだろうか。見事に溶け合ったコバルトブルーの眩しさに、ハインリヒは胸元のポケットに差していたサングラスを手に取った。執務室という閉鎖された空間で過ごすことに慣れた身体はどこまでも広がる夏の景色に圧倒され、蛍光灯とは比べ物にならない光量に瞳を細める。しかし、ふわりと頬を撫でた潮風は柔らかなもので。痛いほど強い日差しにじりじりと肌は焼かれるが、それを...
2023/07/25 00:41
鋼玉石にとける
世界に名を馳せるブランドの服、それ1つで資産になり得る腕時計、発表されたばかりの新車。つらつらと並べられる単語を前に、アルフレードはゆっくりと首を横に振った。何か与えたい、という彼の気持ちが分からないわけではない。その気持ち自体はやはり嬉しい。だが、それらは自分の身の丈に合わない、と高級ブランドの名前を指折り挙げていたハインリヒにアルフレードはきっぱりと言う。「時計も靴もスーツも全部もうハインが贈...
2023/07/24 23:58
可愛いが好きで何が悪い32
1話戻る→ 最初から読む→ 気が抜けて正座を崩せば、相手がズズッとにじり寄ってくる。「キスしていい?」「
2023/07/24 15:57
いつか君に咲く色へ #11
けれど彩葉の返事に、そうか、とそれ以上縮めようもなさそうな相槌を打つと、清音はカウンター越しに図書室を眺めている。 なんとなく拍子抜けした彩葉も見慣れた室内に視線をめぐらせる。貼られっぱなしの読書週間のポスターや去年の10月のままめくられていないカレンダー、額縁に入れられたちいさな絵。 自分のテリトリーにいるはずなのに、彩葉は急にうろたえた。落ち着かない気持ちが右往左往し、脈絡もない言葉が脳裏をめ...
2023/07/24 05:27
いつか君に咲く色へ #10
毎週木曜日の放課後、くじ引きで図書委員になった彩葉は古い貸出カウンターに立つ。 図書室はなかば自習室で、賑わいのわりに本を借りていく生徒はごく少ない。だから、彩葉ともうひとりの木曜の貸し出し係になっているおなじクラスの三枝光莉(ひかり)という女子は、小声で会話しながら時間を過ごすのが常だった。「遅くなった。すまない」 背後で男子生徒の声がしたとき、だから新着図書を読んでいた彩葉はそれが自分にむけ...
2023/07/23 03:38
下ネタ☆パーティー5
2023/07/22 13:41
いつか君に咲く色へ #9
自分以外にはどうやら感情の色が見えないようだと知ってから、しばらく彩葉はひどくふさぎこんだ。 小学校にあがったばかりのおさない頭なりに、自分は異常なのだろうかとか病気なのだろうかとか、あれこれ思い悩んだ。おさなさは、秘密を抱え込むので精いっぱいで、じょうずにしゃべることさえままならなくなった。 彩葉の口数が急に少なくなったので、父親も母親も「学校の授業がわからない?」「いじめっ子がいるの?」など...
2023/07/22 01:28
可愛いが好きで何が悪い31
1話戻る→ 最初から読む→ 「正直に言えば、今なら、そこそこ出来そうな気がしてる」「え、今!?」「言ったろ
2023/07/21 15:56
いつか君に咲く色へ #8
部活動のたぐいに青春を見出せそうにもなかった彩葉は帰宅部だ。 グラウンドへサッカー部の練習にむかう慎に手を振って、放課後の駐輪場へ向かった。ぎゅうぎゅうに並んだ自転車のなかから、高校入学とともに買ってもらった自分の愛車を引っ張りだす。 じきに暑い季節になるなぁ、などと考えながら片道20分ほど、自転車を走らせた。よく晴れた午後の日差しが背中を照らし、襟元を風が抜けていく。 自宅に着くころには陽光に照...
2023/07/21 02:26
いつか君に咲く色へ #7
速水清音。ずば抜けて成績がよく、全国模試では30位以内をキープしている模範的な生徒。 医大を目指しているだの、いやアメリカに留学するつもりらしいだのとあれやこれやと噂されているがどれもこれも憶測の域を出ず、真偽のほどは定かではない。清音がめったに口をきかないとても非社交的な性格をしているせいだ。 涼しげな一重の目や通った鼻筋のとても整った顔立ちをしているので、入学当初は女子たちからなんやかんや話し...
2023/07/20 02:40
いつか君に咲く色へ #6
弁当を飲むようにかきこみながら(以前『弁当は飲みもの』と言っていただけあってすがすがしいほどの食欲だ)、慎がさらになにやら話題を振ってきた。彩葉がちょっと顔をしかめて「食べながらしゃべらないで」と言うと、ほおばっていた唐揚げをごくんと飲む。慎は「ごめんな」と言ってから、改めて切り出した。「公務員になりたいってことは、彩葉ちゃんはこのへんの大学に行くの?」「そうだねぇ。慎みたいにとくにこれといって...
2023/07/19 00:49
いつか君に咲く色へ #5
「彩葉ちゃん、占い師になりなよ。ぜったい、将来的にいけると思う。彩葉ちゃん相手だと、なんでだか、するする話せるってみんな言ってるよ。相談するなら、みんなの彩葉ちゃんだって」 ふたばは彩葉に親指を立ててみせる。 あかるい笑顔のよく似合う女子は、ふたたび花のような香りをさせて立ちあがる。彩葉にちいさく「またね」と手を振って友人たちに呼ばれてちいさな弁当箱を片手ににぎやかな昼食グループの輪に入っていった...
2023/07/18 03:21
可愛いが好きで何が悪い30
1話戻る→ 最初から読む→ 言葉が足りないのはお互い様なのに、聞けばよかったと自分の非にして、こちらを責
2023/07/17 15:25
いつか君に咲く色へ #4
語調も荒く、ふたばがこたえた。ふてくされている。「彼氏に浮気されてたんだけど!しかも、そのことで問い詰めたら、あいつ最悪でさー、逆切れするわするわで、きのう大げんか!」 穏便な相槌を彩葉は脳内から引き出す。さして難儀なことではない。「色恋沙汰のけんかって疲れそうだよね」「そうそう、もうぼろぼろ。アイアムソータイアード。だから、みんなの彩葉ちゃんに癒してもらいにきたの」 ぜったい別れる、浮気とか無...
2023/07/17 01:37
いつか君に咲く色へ #3
現代文の授業は、濃い灰色の時間だ。淡々と読み上げられる『山月記』は子守歌でしかない。 内職をする頭やら、うつらうつらと船を漕いでいる背中、机の下でこっそりスマートフォンを操作する手やらを眺めつつ、彩葉は頬杖をついたままあくびを噛み殺す。 教壇の上に立つ初老と言って差し支えない年齢の教師は、すべてを把握したうえでいつものように諦めの色を示している。やっぱり諦めって水色なんだな、潔いくらいきれいだな...
2023/07/16 00:11
下ネタ☆パーティー4
2023/07/15 18:58
いつか君に咲く色へ #2
そして、当然、彩葉はまわりも自分と同じようにして周囲を慮っているのだろうと思っていた。他者の痛みや悲しみをあかるいほうに引っ張っていけるように、頭のまわりに巻いた色を見て判断しているのだろうと。 みんなが見ていると疑ってかからなかったその感情と色の等式は自分にしか認識できないものなのだ、と気づくのは小学校にあがって間もないころだった。 6歳にしてはおだやかな気質で人当たりのいい彩葉にしてはめずら...
2023/07/15 03:35
可愛いが好きで何が悪い29
1話戻る→ 最初から読む→ やがて口を開いた相手は、聞きにくそうにしながらも確認したいんだけど、と言うの
2023/07/14 15:49
いつか君に咲く色へ #1
世界には、数え切れないほどの色がある。実際、色の数にはほんとうに限りなどないのだろう。どこまでも広がり、果てがない。 ごく幼い時から彩葉(いろは)はつねに、さまざまな色を目の端にとらえながら生きてきた。たとえば、つまらない、は灰色。たのしい、は黄色。こわい、は赤。 幼いころはちらりちらりと視界に入る色の種類はごく少なかった。それは覚えている。まわりの友達の感情が未分化だったせいだろうか。 けれど...
2023/07/14 03:50
舞姫 《最終話》
「佳踊、こっちこっち」 ごった返す人混みを歩くのには慣れていないらしい佳踊と、はぐれそうになりながら本屋へ向かう。「すごいな、風海。こんなところに普段からくるんだ」「普段は来ないよ。テストが終わった日とか、夏休みのはじめとかだけ」 とうとう風海は佳踊の手を取った。そうしていないと本当に佳踊が迷子になってしまいそうだったから。舞台の上の堂々とした佳踊と、人混みのなかでうろたえている佳踊のギャップがお...
2023/07/13 02:07
可愛いが好きで何が悪い28
1話戻る→ 最初から読む→ 優しく慰める言葉を持っていなくても、彼が傷つく言葉を吐き出さないことくらいは
2023/07/12 15:58
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