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月夜の猫-BL小説です 氷花7 BL小説 一時間半のフライトで、京助と千雪の二人は都会の雑踏を離れ、一転雪が舞い踊る千歳空港に降り立っていた。 迎えに現れたのは茶髪にピアスの若者だ。 「公一、お前わざわざ借り出されたのか?」 「いやあ、バイト代出るし、スキー三昧できるし、一石二鳥ってとこ?」 ベンツのス
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる7 BL小説 昼過ぎからやたら風が強くなった。 体感温度は確実に二度は下がっているだろう。 接待などで使う、工藤の馴染みの料亭『雅楽』は神楽坂にあった。 夕方から席を用意したのは、小林千雪との打ち合わせのためである。 工藤と千雪の他に良太もというのは、珍しい組み合
月夜の猫-BL小説です 月鏡40 BL小説 車はかなり下に置いていたので、京助が取りに行った。 「あ、可愛い!」 檜山は千雪の連れているシルビーを見つけて駆け寄った。 「千雪のワンコ?」 しゃがみ込んで、檜山は犬目線で撫でまくっている。 「シルビーや」 「シルビー! きれいな子だね」 「ホテル、ペットO
月夜の猫-BL小説です 氷花6 BL小説 上京以来六年、父親と一緒に見つけたこの築二十年の安アパートには、今や京助が持ち込んだ衣類だの食器や鍋類だのが増殖している。 はっきり言って千雪は自分の意思ではないもののお陰でどんどん狭くなっている気がする。 「コーヒーでいいか」 「……ん……」 さっさと食べ終え
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる6 BL小説 「そんなもん決まってるだろ? お前が入らなけりゃ話は始まらないってこと。お前のために作るチームなんだからな」 言うなり沢村は良太の肩を引き寄せる。 「な…に言ってんだよ!」 へ……と再度固まる肇の横で、「やっぱりそおなんだ?」とすっかり出来上がったかおり
月夜の猫-BL小説です 月鏡39 BL小説 「お疲れ様です~」 森村は相変わらず愛想を振りまきながら、ちゃっちゃかクルーを手伝って片付けにかかっていた。 ふと見ると、加藤と辻のコンビが、いつの間にか京助と千雪のコンビに代わっていた。 「お疲れ様です」 良太が近づいていくと、千雪と京助が振り返った。 「も
月夜の猫-BL小説です 氷花5 BL小説 佐久間に心配された千雪のイブもクリスマスも、長編とは別口で頼まれていた雑誌の短編の締め切りに追われていつの間にか過ぎていた二十六日の朝。 二十五日の締め切りに数時間遅れて書き上げたばかりの原稿をメールで送り、ボロボロの状態でベッドで丸くなっていた千雪を叩き起こした
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる5 BL小説 「誰が能天気なぼっちゃんだ、だれが! 第一、お前、オフにはアメリカに行くんじゃなかったのか? 向こうでチーム作るんじゃなかったのかよ」 一人物思いにふけっていた肇はいきなりの良太の発言にはたと目を見開いた。 「え、それ、ほんと?」 かおりが身を乗り出した。
月夜の猫-BL小説です 月鏡38 BL小説 着信鳴り分けに設定しているワルキューレだ。 「はい、お疲れ様です」 「そっちはどうだ?」 フランクフルトと京都という距離を感じさせないいつもの工藤だ。 「今のところ順調です。かなり冷え込んでますけど、晴れてますし、空気が澱みないのがいいです。もう撮影入ってるんで
月夜の猫-BL小説です 氷花4 BL小説 この得体の知れない感情が何なのかは千雪にもわかっている。 それが京助なんかのことで沸き起こるのが、自分で許せない。 だが、こんなじりじりと焼けるような焦燥感とはあまりつきあったことがない。 自分に向けられた言葉がウソだとは思いたくないが、あちこちで語る愛もウソ
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる4 BL小説 工藤は今日も一日出かけていなかった。 良太とスケジュールがなかなか合わない、ということもあろうが、良太はここのところそれだけではない空々しさを感じてしまう。 絶対、俺を避けてる。 何か、隠してるのは事実だし。 例のホットラインについては、金輪際良太に
月夜の猫-BL小説です 月鏡37 BL小説 日比野監督の弟子なのでとでもいうように、ニコニコと森村が言うので、へえ、そうなの、と聞き流しそうになった良太は、一瞬この似て非なる名前を聞き違えたのかと思った。 「え、日比野さん、だよね?」 「いえ、波多野、です~」 語尾を伸ばす今時の若者の顔を良太はまじまじと
月夜の猫-BL小説です 氷花3 BL小説 「そんな、もちょと考えてみてくださいよ。あと十日でクリスマスイブでっせ? クリスマスといえば、恋人同士で過ごすのんがお約束ですがな。はよ相手見つけな、間に合いまへんわ」 佐久間は真面目そうな顔で力説する。 「俺はあいにくクリスチャンと違うし、大体がイブを恋人同士で過
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる3 BL小説 平和なはずだった。 工藤が腕に包帯という姿でオフィスに戻ってきたのは、数日後の夕方のことである。 「工藤さん、どうしたんですか、それ!」 「何でもない」 驚いて駆け寄る良太に、工藤はにべもなく言い放った。 「何でもないってことはないだろ!」 良太は納得
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる2 BL小説 鈴木さんはいつものこと、と笑いながら自分の仕事に戻った。 「う~~~~~~~~!!」 心の中で良太は地団太を踏む。 こういう時、良太など、ただでさえ海千山千の修羅場を潜り抜けてきただろう工藤にはまだまだ太刀打ちできないヒヨッコなのだとあらためて痛感せざる
月夜の猫-BL小説です 氷花2 BL小説 「そうかて、先輩わからんかしれん思て。なんや先輩、また小食やな。せめて天ぷらうどんにしはったら?」 「俺が何食おうとお前に関係あれへんわ」 「あかんがな、ただでさえ細いのに、ほな、出血大サービスや」 ほい、と佐久間は自分が食べていた天丼のえび天をひとつ千雪のうどんの
月夜の猫-BL小説です 月鏡36 BL小説 いつの間にか、時刻は正午を過ぎ、監督から休憩の声がかかった。 良太は、俳優陣やスタッフに弁当を配り始めた。 「手伝います!」 ハキハキした声は、周りの気分をも明るくしてくれるのがいい。 新しいAD森村はにこにこ、きびきびと動いてくれる。 「あ、じゃあ、そっち
月夜の猫-BL小説です xmas2024、月鏡35など、更新しました。 BL小説 2024も大詰めということで、 xmas2024として、クリスマスシーズンのエピソード、 氷花(京助×千雪)、夢ばかりなる(工藤×良太16)など、更新しています。 月鏡35(工藤×良太42)、更新しました。
月夜の猫-BL小説です 氷花1 BL小説 「あ、先輩ぃ、メシ、行かはるやろ? 俺、先行って席取っときますわ!」 研究室のドアを開けた小林千雪を廊下の向こうから大きな声で呼んだのは、法学部三年の佐久間徹という。 推理小説研究会、宮島ゼミときて、さらに修士課程にも進むつもりらしい佐久間は、千雪を追いかけるよう
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる1 BL小説 街路樹は密やかにに葉を落とし、寒々しい冬の様相に一役かっていた。 世の中は年の終わりに近づいて、不景気ながらもやや活気づいてきたところだ。 忙しなく行き交う車を横目に見ながら、通りをトボトボ歩く広瀬良太は冷たい向かい風に肩をすくめた。 「あ~あ…」 や
月夜の猫-BL小説です 月鏡35 BL小説 その時ポケットで携帯が振動した。 良太は撮影から離れたところで電話に出た。 「はい、お疲れ様です。ええ、少しなら」 相手は宇都宮だった。 前々から内内で盛り上がっていた鍋の日取りを決めたいと言ってきたのだ。 「はあ、そうですね、十二月に入ると予定入れにくいので
月夜の猫-創作BL小説です お立ち寄りありがとうございます。
月夜の猫-オリジナルBL小説、創作BLです。オヤジ工藤と部下良太のすったもんだラブ、京助と千雪のどちらも譲らないぞラブ、業界、クリエイター、アスリート、バンド、社会人、学生、海外等。捻くれ度高、ハピエン必須、R18。小説:あきつ、イラスト:alyosha、松本悠莉。
月夜の猫-BL小説です 月鏡34 BL小説 「え、なに、なに? 良太ちゃんと匠ちゃん、合宿って何?」 主演の志村とともに、『大いなる旅人』シリーズでは、ずっと助演で入っている南澤奈々が、二人の会話を聞きつけて早速良太に問いただす。 「あ、いや、実は、千雪さんとかも来ていて、別件の仕事があるんで」 「そうな
月夜の猫-BL小説です 月鏡33 BL小説 そういえば、こんな状況、何か前にもあったな。 でもあの時は、気心知れてる藤堂さんや佐々木さんだったから、気が楽だけど、京助さんだからな。 いや、運転はきっちりしてるだろうけど。 「あの、疲れたら俺代わりますよ? 運転」 「気にするな。五時間六時間なんぞ大したこ
月夜の猫-BL小説です 月鏡32 BL小説 次に斎藤に用がある時は良太一人でもOKだな、などと、良太の嫌がりそうな顔を思い浮かべて密かに工藤はほくそ笑む。 そんな工藤の思惑が伝わったかのように、部屋で良太はくしゃみを一つした。 湯上りにぼんやりビールを飲んでいたせいかもしれない。 テレビの天気予報では
Summer Break(工藤×良太)36、月鏡31まで更新しました
月夜の猫-BL小説です Summer Break(工藤×良太)36、月鏡31まで更新しました BL小説 Summer Break(工藤×良太)36、 月鏡31、 まで更新しました 私事でいろいろあって、ぽやぽやしているうちになんともう2024年も終わりに近づいています Summer Break(工藤
月夜の猫-BL小説です Summer Break36 BL小説 「兄貴、俺ら、奥にいるんで、終わった頃ちょっと話すから」 京助はそういうと、千雪を伴って料理を手に奥へと入っていった。 間もなく会もお開きとなり、帰っていく客人たちに挨拶をしていた紫紀や小夜子だが、あらかた人の波が引いてくると、パーティ会場を
月夜の猫-BL小説です 月鏡31 BL小説 工藤は大手化粧品会社『美聖堂』の社長、斎藤と赤坂のクラブでグラスを傾けていた。 女優をしている孫を、映画に使ってほしいとゴルフ仲間に頼み込まれ、二村桃子を工藤に紹介した斎藤は、二村が今回やらかした事件だけでなく、過去にも問題を起こし、事務所がそれをもみ消した事実
月夜の猫-BL小説です 月鏡30 BL小説 「まあ、これでネットワーク繋いでも問題ない」 携帯やタブレットも問題がなく、加藤のお墨付きがでたところで、しばしのコーヒーブレイクの後、二人は帰って行った。 「なんだかんだ言っても、頼りになるよな、みんな」 何か、俺だけ、頼りないって気がする。 俺も野球以外
月夜の猫-BL小説です 月鏡29 BL小説 「朝食付きですが、昼夜の分は領収書下さい」 良太は付け加えた。 「良太はどこ泊まるん?」 千雪は小首を傾げて聞く。 「俺はクルーたちと一緒のホテルです、あ、檜山さんとか、俳優陣はプリンスとか」 「良太も俺らと一緒に泊まったらええやろ」 「え、いや、俺は監督と打ち
月夜の猫-BL小説です 月鏡28 BL小説 「そや、辻とかも秋に京都一度帰るとか言うてたし、どうにも進まん原稿、地元やったらなんぞインスピレーション降りてくるかもな。加藤はどや? たまには京都旅行とかもええで?」 「ちょっと千雪さん!」 明らかに工藤が仕向けたのだが、千雪がそれに乗っかって、「休みなら取れる
月夜の猫-BL小説です 月鏡27 BL小説 何かの時にはまた、お願いしてみよう。 良太は頭の中にメモる。 「あと一応、警備員室とかもお願いしますけど、とりあえず腹ごしらえしてください」 「そういえば腹が減ったな」 加藤が顔を上げた。 いつの間にか八時を過ぎていた。 オフィスに戻ると、千雪が手持無沙
―――――――――はぁーーーーー、 外に出て、思いっきり息を吐き出した。 見えていない筈なのにその息に、 たくさんのことばが色んな大きさを持って、 含まれているみたいに思えて、 舌打ちをして地面に落ちたそのことば達を脚で踏みつけた。 そして上を向いて、空気を吸い込む。 何度も、 何度も、 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺、演技下手糞すぎるな、」 なのにアイツは気づかない。違和感は薄らとあるんだろう。そりゃあそうだよな。 ふと、 この中庭に面した、アイツの居る、2階のベランダ窓に眼を向けた。 ちらりと過った影。―――影。影か・・・・・・、 俺は息を吐き出す。云えない言葉を、 アイツ―――…
月夜の猫-BL小説です 月鏡26 BL小説 忍び込むってのはまず難しいよな。 プロじゃないと。 俺のデスクまでくらいなら、沢村と小田先生の話は聞かれなかったと思うけど。 良太の頭に不安材料が一つ増える。 『千雪さんが戻ったら、他の階へ』 良太もメモに書いて加藤に見せる。 加藤はその間に、盗聴器の
月夜の猫-BL小説です 月鏡25 BL小説 「ああ、髭? 何や、今度のクライアントがきっちりしたとこやからて。あいつ、フリーのプログラマーやねん、一応」 鈴木さんも帰っていたので、自由にどこでもどうぞと良太が言うと、加藤は早速探知機で隅から調べ始めた。 「一応って何ですか」 「まあ、その手の業界では名の知れ
月夜の猫-BL小説です 月鏡24 BL小説 波多野はふうっと大きく息を吐いた。 「あなたとの打ち合わせには、一応音楽も聴けるように防音になっている部屋を選んで正解ですね」 「ふざけるな!」 工藤はまた激昂する。 「ふざけてませんよ、本当のことです」 「あのババアに一言言ってやらないと気が済まない!」
月夜の猫-BL小説です 月鏡23 BL小説 「一段落ついたから、お弁当買いに出るけど、良太ちゃんどうする?」 鈴木さんが立ち上がりながら良太に聞いた。 「あ、お願いしていいですか? 鈴木さんにお任せしますから」 「わかった。行ってきます」 鈴木さんがオフィスを出ると、良太はまたキーボードを叩き始めたが、そ
月夜の猫-BL小説です 月鏡22 BL小説 案の定、NTVのプロデューサーとの打ち合わせは短時間で終わり、十時半過ぎにはオフィスに戻ると、良太は昨日のパーティのお陰でできなかったデスクワークにしばし没頭していた。 新たな問題が勃発したのはそれから間もなくのことだった。 「何だ、一体これは!」 平和そうな
月夜の猫-BL小説です 月鏡21 BL小説 「携帯、電源切ってないよな……」 時々、電話に出たくない時、千雪はよく電源を切っているのだ。 「……なんや……はようから………」 ややあって、起き抜けという声が携帯の向こうから聞こえてきた。 「おはようございます。実は折り入ってご相談が」 するとあくびをする様
月夜の猫-BL小説です 月鏡20 BL小説 伯父も工藤の母親のさぎりも生まれた家の犠牲になったようなものだ。 自分がやらなければ関わり合っているものの均衡が危うくなると、その地位を何とか維持しているというところらしい。 波多野によれば。 先代は豪放磊落な男で、対立する者を殺めたこともいくらもあるという