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あれっ? キヨコって、こんなヤツだったっけ?キッパリと言い切る姿を見ると、まるで初めて見るような気がする。「へぇ~」神林くんは、まっすぐに清子に視線を向ける…
「さっ、行きましょ! もう約束の5時になる」 清子に言われて初めて、宗太郎はあわてて腕時計を見る。高校入学の時に買ってもらった、Gショック。確かに5時2分前を…
「じゃあ…やっぱり5時に、あの家に来いって?」 一応確かめるように、宗太郎が言うと「そうよ!」まだ強い口調で、清子が返す。はぁ~と宗太郎がため息をつくと「そう…
どうして?何のために、そんなことを?宗太郎と清子は、一瞬言葉を失う。「それって、ホントにアイツか?」「アイツって、だれ?」清子は思わず、トゲトゲとした声を出…
「どうして、わかったの?」 清子を後ろに乗せると、宗太郎はガシガシとペダルを漕ぎ始める。「こんなところ…誰かに見つかったら、マズイよね」楽しそうに清子が言う。…
ちなみに宗太郎は、徒歩通学だ。清子と待ち合わせるのに、その方が都合がいいからだ。だが今度からは、自転車もいいなぁと、そう思う。歩いて行くと、あのお化け屋敷に…
(ところで、清子はどうしようか?) 一人で、とは指定していなかったけれど、一緒に行ってもいいものだろうか?宗太郎は、まだ決めかねている。わかっているのは…先生…
宗太郎は、この日はほとんど上の空だった。とにかく終業ベルが、待ち遠しかった。(清子になんと、伝えよう)さすがに、学校で携帯をつつくのは、はばかられて…どうに…
「えっ?」「おい、何をしているんだ?」 隣の席の小林君が、宗太郎に声をかける。「えっ、なに?」「ほら、問2だよ」「何ページ?」「古屋敷、何をしているんだ?」先…
やはり、何かある…高梨先生は、そう確信する。もちろん、学年主任の言わんとすることは、わかるけれど…なぜ、生活指導である自分に、秘密にするのか…が、どうにも、…
「先生!あの…さっき、何を話されていたんですか?」 学年主任は疑うような目付きで、高梨先生を見るけれど…先生はそんなことは気にせず、まっすぐに学年主任の方をう…
「あっ」 神林君の顔が、あまりに意外だったので、宗太郎は驚く。驚く宗太郎の後ろに回り込むと、「あまり、気にするな。 アイツらは、何も知らないんだから」まるで別…
貴重な休憩時間が、あっという間に終わってしまった!(うーん、特に収穫がなかったなぁ)あの転校生…中々手ごわいかも、しれないぞ。宗太郎は少しばかり、行き詰って…
(そう簡単には、シッポをつかませないゾ、ということか?) 宗太郎は、心の中で、そうつぶやく。「後は、まぁ~うまいタイミング見つけるしか、ないかもなぁ」のんび…
(あぁ~何という間抜けなんだ! こんなことを言っては、先生は困るだけだ) そう思い、宗太郎はいったん言葉を切り、先生の顔を見つめる。もう、どう取られても、仕方…
「そうなのか?」 不自然だ…と感じた自分のカンは、あながち間違ってはいない…と、先生は思っている。「本当にそうなのか? 困ったことは、ないのか?」 さて、この…
やはり目の前に、先生が立つと、緊張してしまう…鬼のタカナシという名称も、あながちウソではなさそうだ。「悪かったな、呼び出して」開口一番そう言うと、「時間もな…
「どうせ、ろくなことじゃないだろ? 校内の清掃とか、遅刻をなくすように…とか、そんなことだろ?」 それがおまえには、お似合いだ…すでに興味をなくしたのか、面倒…
(神林…一体、どういう事情があるんだ?) 1人の生徒のことで、ここまで気を遣う…ということは、普段はあまりない。多少の事情がある生徒も、もちろんいることはいる…
「どうしたらいいでしょう?」 一応高梨先生は、学年主任を見つめると…やや神経質に、髪をさわると「そうですねぇ~一度、保護者の方と話をされた方が、 いいかもです…
「ほぅ?」 学年主任は、それは初耳だ、とばかりに、身を乗り出す。「そうですか? ちょっとおとなし過ぎるくらいの、目立たない生徒だ… と、思っていたんですけどね…
『アイツ…お化け屋敷で見たぞ』 白いメモを開くと、それだけ書いてある。 やっぱり、そうかぁ~宗太郎は、納得する。もしかしたら、アイツはわざと、その姿を見せて…
一瞬、一同はギョッとして、口を閉ざす。「なんだ、おまえ…脅かすなよぉ」高柳君が、焦った口調でそう言う。転校生が現れたのが、まるで図ったようなタイミングだった…
「そういえば…アイツを見たぞ」 ようやく委員長一味に解放され、自分の席に落ち着くと、隣の席の小林君が、宗太郎に声をかけてきた。「えっ、ホント?」 やっぱり、見…
目ざとく、宗太郎の様子に気付いたのか、いきなり声をかけてくる生徒が1人。「なぁ~アイツと、何かあったのか? さっきから、やたらとアイツの方を、見ていたよな?…
「いや、別に…」 そう言いながらも、宗太郎は転校生を目で探す。斜め後ろの席で、無表情に座っている。宗太郎の視線にも、全く表情を変えず…気づいていないのか、と思…
「えっ?なに?」 神林くんは、じぃっと陰りのある瞳を、宗太郎に向ける。「どこって…知ってるだろ?」ニヤリと笑う。「えっ」まさか…昨日のオバケヤシキのことなのか…
「いや、あの、神林くん…だっけ」 不意打ちされて、言葉を失い、うまい言い訳を思いつかない。「なんだよ、古屋敷…なら、もっと後ろだろ?」しまった、不自然だ。その…
残念ながら…先生に聞きそびれたなぁ~と、宗太郎は思う。(アイツはもう、登校したのか?) まさか、やはりあの家から、学校に来ているのか?その辺りも、気になると…
「先生!あのぉ」 何だか、言いにくいなぁ~と思いながらも、宗太郎は高梨先生を見る。「うん?なんだ?」言いにくそうにしている宗太郎に気が付くと、「どうした? や…
「なんだ?そんなに驚いて… やっぱり高柳から、何か言われているのか?」 その目付きの鋭い生活指導の先生は、目元をわずかに緩めるけれど…さらに口元が、怒ったよう…
「何をしているんだ。 さっさと教室に、入りなさい」 まさか…恐喝とか、イジメとかしてはいないだろうな。一応気になったので、1人の教師が近付いて来たのだ。(助か…
「古屋敷くん、何かわかったか?」 なれなれしく、委員長が校門で声をかけてきた。(まずい人に、見つかったなぁ) 朝一で、しかもいきなり捕まるとは…と、宗太郎はガ…
「いや、やっぱり、いい。 それは…まずいだろ」 宗太郎は急に、オドオドとした口調になる。そんな宗太郎を、じぃっと見つめると…「いいの?」清子は、彼の目をのぞき…
さすがに…神林くんのお母さんの旧姓なんて、わからない。何と書いてあるのか?「え~とぉ、これって館林?」かろうじて、清子が読み取った。「館林かぁ~地名みたいな…
ちょっと気になるところなのだけれど…「考えすぎなんじゃない?」 清子がそう言うので、信じることにした。その新品な自転車は、まだ名前が書いていない。(おい、学…
普通なら…玄関一杯に、チラシが散らばっていたり、何かありそうなものだが…「何もない…」 あまりにもきれい過ぎるほど、ゴミ1つ落ちてはいない。「不自然だ…やっ…
「あっ、入った!」 清子が目ざとく、気が付く。「うん」清子と宗太郎は、近くの茂みに移動して、しばらくその場で待機している。「ねぇ、『じいちゃん、ただいま』って…
龍友は…自分の背後を、同級生がついて来ているのに、気付いていた。だがあえて…知らんぷりをして、泳がせることにしたのだ。 それは、ほんの気まぐれだった…もしも…
「ごめんね、嫌なら、いいわ。 私も…焦り過ぎたみたいね」 帰りましょ、と清子が宗太郎の腕を引くと…宗太郎の足が、ピタリと止まる。「どうしたの?」じぃっと宗太郎…
引っ越しの日…「キヨちゃーん!」ちぎれるほど、手を振ったあの日のことも…いきなり父さんが、帰って来なくなったのも、この頃のことだった。すると…ふいに、カタカ…
だが…清子はひどくガッカリした顔をして、「なんだ、ソータロー。覚えていないんだ」ポツンと言う。 ということは…清子は覚えているのか?だが清子は、じぃっと宗太…
あの人影が消えた場所に、もう1度立ってみる。ホコラの裏手には、うっそうとした木の茂みが見える。「もしかしたら、この中に隠れたとしても、おかしくはないなぁ~」…
(あの時と同じだ…) 休憩時間の屋上で、確かに誰かいるような気配がしたのに、姿が消えた。(アイツ…やはりユウレイ?)そんなことが、頭に浮かぶ。あわてて、木の陰…
サクサクサク…砂利を踏みしめて、歩く音がする。『来た!』宗太郎にささやく清子の髪から、ふんわりと柑橘系の、爽やかな香りがする。 こんなこと…宗太郎の今までの…
なんだよ、それ…宗太郎は、憮然として、言葉を失う。あれほど苦労して、探し回った、というのに?「でも、ここって…昨日、来た…」呆然として言うと、「そうみたいね…
「ね、調査の方は、進んでる?」 目をキラキラとさせて、清子が聞くので…「調査?」それって、まるで探偵のようじゃないか…まさか清子がのり気なんだ…と思わず宗太郎…
「あっ、来た来た!」 神社の階段を上っていると、上から声が降って来た。(それにしても…なんで、こんなところに?)そう思うけれど、宗太郎はせっせと足を動かしてい…
「えっ」 あれは…何だ?宗太郎は、足を止める。今まで気づかなかったのだが…反対側に、同じ大きさの建物が見える。おそらくは…女子部の校舎なのだろう。(たしか…来…
この屋上は、普段は人は来ない。だがたまに、授業をサボる生徒がここに来たり、一息入れようとして来るのか、タバコの吸い殻が落ちているのを…用務員さんが時折、掃除…