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「へっ?」 キョトンとする神林くんに、「そのおかげで、あの部屋から出られたんだ」宗太郎はそう打ち明ける。「ふぅーん」なぜか神林くんは、何か秘密めいた顔を、宗太…
(一体、何のことだ?) またしても、謎めいたことを言って、煙に巻くつもりなのか?宗太郎は、神林くんの目をじぃっと見据えた。「もう少し、わかりやすく話してくれな…
一体、どうするつもりなのだろう?宗太郎は、自分のことではないけれど、頭をひねる。あの幼い頃に出会ったリョウくんだ、と今わかった。唯一の記憶である、リョウくん…
「まぁ、こんな所で、立ち話もなんだから…入れば?」 神林くんが先に立ち、今度は母屋の方にさっさと向かう。(本当に1人で、ここに住んでいるのか?)何だか、それも…
「なぁ」 思い切って、宗太郎は口に出す。「誘拐犯って、どういうことだ?」もっとうまく話そう…と思うのに、いきなりとんでもない言葉が飛び出てきた。「あっ、ソータ…
「でもまぁ、おっつけ来るだろ? 遺産の話がある…と言ってたし」 まるで、ロボットのようだ…神林くんを見て、宗太郎はそう思う。彼の表情に、感情というものが感じら…
高柳くんは言葉を失う。「えっ、あっ、そうかぁ~ それは…気の毒だったな」 こういう時、何と声をかけたらいいんだ?宗太郎は迷っていると、「そうなの… それは何…
「へっ?」 空耳か? どこから?清子もやはり、驚いた顔をしている。「まさか…神林か?」高柳くんも、その姿を探している。「みなさん、お揃いで~どうしたんですか?…
「おっ」 まさか清子が、そういう反応をするとは、思ってもいなかったのだろう…高柳くんの顏が、一瞬真顔になり、それからニヤァ~っと、何かを企んでいるような笑みを…
「あれじゃないか? 女の子に、キャーキャー言わせてみたい、とか?」ガハハ…と笑う。(なんだ?コイツら。暇なのか?)宗太郎は呆れて、清子の手を引っ張って「行こう…
「どうして、ここに?」 正直…自分が高柳くんに、つけられているだなんて、思ってもいなかった。宗太郎は目の前にいる、委員長の取り巻きたちを、信じられない思いで見…
だが、清子は浮かない顏をしている。「大丈夫なのかしら?」まだ何か、心配しているようだ。ただの幼なじみ…という割りには、ずいぶん深刻な顔をしている。どうしてそ…
「なんで?」「ほら、おじいさんの様子…おかしかったでしょ?」 清子がそう言う。相変わらず、よく見ているんだなぁ~宗太郎は感心する。宗太郎の視線には、気付かない…
昨日の今日なので…言ってもいいものかどうか、宗太郎は迷っている。だが清子は平然として、「だって、心配なんでしょ? それなら、行けばいいじゃない」至極軽い調子…
「なんだよぉ~」 よく考えると…清子だって、宗太郎に言っていないことが、まだありそうだ。あの家のことも、過去のことも、自分は全く覚えていないというのに…「清子…
「どうしたんだ?」 教室に向かう角に差し掛かった時、先生の声が追いかけてくる。「いや、ちょっと…高柳くんにつかまって」本当のことを言いたいのは、山々だけれど、…
「あのぉ~そろそろ教室に…」 何とかこの委員長たちから、逃れる方法はないものか…と、宗太郎は彼らのすきを狙っている。「どうしたの? 何か、あるのか?」高柳くん…
だが…委員長は、宗太郎の思惑など、まったくおかまいなしに、「おまえ、昨日会ったんだろう?」疑うような目付きで、宗太郎を見る。「古屋敷…しらばっくれるのは、止…
しばらく校門で待っていたけれど…10分たっても、15分たっても、姿を見せないので…宗太郎はひとまず、教室へ向かうことにする。半ば上の空で、靴箱に向かい、危う…
どうにか、あの家から離れたものの…何だか宗太郎は、すっきりしない。本当に…神林くんと別れて、よかったのだろうか?清子とあの家を離れる時…なぜだか、神林くんの…
「いつまで?」 クルリ…と彼は振り向くと、意味あり気に清子を見つめる。「それは…じいちゃん次第だな!」なぜか神林くんは…意味深なことを口にする。神林君のおじい…
清子は宗太郎の顏を見て、それから神林くんの顏を見る。神林君と目を見合わせると…「私はその時、いなかったから…」謎の言葉をつぶやく。「でも…神林くんなら、知っ…
思わず目をつむっていたのだろう。まぶたに、明るさを感じる。「おめでとう!どうやら、正解だったようだ」神林君の声が、聞こえてきた。「ソータロー、なに、寝ている…
何なんだ、一体? あの少年は、何者? あの男は…一体、だれ?考えれば考えるほど…宗太郎は、わからなくなってくる。こめかみの血管が、ドクンドクンと激しく脈打つ…
「赤、黄、緑…好きな色は、なに?」 いきなり神林くんが、宗太郎に聞く。「へっ?」突然何を言い出すんだ、と宗太郎は面食らう。「なんだよ、突然」「いいから、何色?…
何だか微妙な顔をして、宗太郎には清子の表情を読み取れない。「えっ、でも…そんなの…wからないよ」ムチャを言うなよぉ。大いに迷って、ズラリと並ぶスイッチを見つ…
(やっぱり、知っていたのか?) まさか…神林くんが、そこまでおぜん立てをしていたのか、と宗太郎は疑う。 開ける? フタは、どこ?上部を触ったり、横にしてみたり…
(何だか…取ってつけたような感じだなぁ) 宗太郎には、やはり、神林くんの狙いがわからない。言われるままに、開けたけれど…本当にそれで、いいのだろうか?ふと、…
「そんなの! また、購買部で買うさ!」そう言うと…「これでもダメなら、また考えるさ!」と言い、「よし!」声を張り上げて、わずかにあいたすき間に、指を突っ込んだ…
これ、なのか?確かに、不自然なほどに、ピシリとひび割れが起きている。「でも…どうやって、開ければいいんだ?」まるで寄木細工のようだ。もちろんこれは、木ではな…
人差し指を口にくわえると、わずかに湿らせる。そうしてピッと顔の前に立てると、わずかな空気の流れを、宗太郎は感じ取ろうとする。(これが、大人なら…タバコの煙で…
コンクリートむき出しの無機質な何もない部屋…ここのどこに、そんな仕掛けが、隠されているのだろう?何かが頭の奥で、モヤモヤとするけれど、その正体をつかむことが…
「そんなに…知りたいのか?」 なぜか重々しい口調で、神林くんは宗太郎を見る。ゴクリ…と唾を呑み込むと、「もちろん!」宗太郎は力を込めて、答えた。清子と神林くん…
おそらくその場で、宗太郎が固まっていたのだろう。「ソータロー、大丈夫?」清子の声が聞こえる。「えっ?大丈夫…」そう答えると、後ろを振り向く。どうやら自分は……
(開いたぁ) 思わず宗太郎は、ため息をもらす。中はコンクリートの壁で、ガランとしていて、特に何もない部屋だ。ひそかに想像していたような、幽霊が出るわけでもない…
清子は何か言いたそうな顔をしたけれど、何も言ってこない。だが、ふぅ~と大きく深呼吸をすると、鍵を握り締め、その扉に射し込んだ。カチリ…かすかな音がして、キィ…
「ソータロー」 清子が話しかける。「なに?」何を言うつもりなのか?宗太郎の顏が、ピリリとこわばらせる。清子は少し考えると「いいよ、こうなったら、行こう」なぜだ…
「笑っている場合じゃないだろ」 宗太郎がムッとすると、清子も…「私たち、幼なじみなんだから… そんなこと、意識したこともないわ」猛然として言い返す。 だがそん…
「ね、他にないの?」 清子は遠慮して…神林くんに聞く。「その鍵があるなら…ドアが開くんじゃないの?」そう言われれば、そうだ。清子の言うことは、もっともだ。なん…
「そんなことより…解除方法はないのか?」 宗太郎は忌々し気に、シャッターの下りた窓を見つめる。神林くんは、まっすぐに2人を見ると「悪いが、ボクは知らないんだ……
まるで植物人間のように、身動き1つしていなかった老人のその目が…いきなりかぁ~っと、大きく見開いている。「うそっ!」驚いて、清子も宗太郎も、ベッドから飛びの…
「開かずの扉?」 なんだ、それは…?だが神林くんは、まぶたをピクリともせず、平然とした顔で、うなづく。 まるでドラマのような展開じゃないか!宗太郎は思わず、神…
「おまえ…疑っているのか?」 神林くんは、宗太郎の目をのぞき込むようにして、低い声でそう聞く。「あっ、いや、そんな…」宗太郎は落ち着きなく、目をキョロキョロさ…
(一体、何を考えているんだ?) そんなに…自分たちをからかって、楽しいのだろうか?(ゆがんでいる)そう思うのだが…清子はまっすぐに手を突き出し、神林くんに催促…
「やけに突っかかってくるけど… おまえ、まさか…何か、知っているんじゃないのか?」 宗太郎はついに、神林くんの顏を真正面から見つめた。そろそろハッキリさせてく…
「だって、あの時…忘れられないくらいの出来事があったんだもの」「えっ?」 清子は、何を言おうとしているんだ?何だかイヤな予感がして…宗太郎の心臓は、早鐘のよう…
だが…宗太郎の真剣なまなざしを受けると、「うーん」と腕組みをしながら考える。「だいぶ昔のことだからねぇ~あんまり覚えていないけど… 鏡は別の場所にあったよう…
「ちょっとぉ~そんなことをしていたら、あっという間に、 時間がなくなるわよ」 清子の声が聞こえた。宗太郎が振り向くと、清子が腕組みをして、こちらを見ている。「…
「ダメかぁ~ この扉…中からは、開かないのか?」 宗太郎は、再度ダメ出しのように、神林くんに聞く。だが神林くんは、冷ややかな目付きを、宗太郎に向ける。「それが…
「残念だったな」 ボソリと神林くんが言う。(本当に、そう思っているのか?)宗太郎の中では、反発心が生まれる。「ここの見取り図とか、設計図とか…ないのか?」もち…