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それは…なに?清子は問い正したい…と思う反面、これ以上、聞いてはいけない…とも思う。「つまり…犯罪の片棒をかついだことがあるって、ことですね」ピシリと神林君…
「確かに私は、斎藤に頼まれたのは、事実だ」 初めて先生は、肯定の顏をしてみせる。「じゃあ…やっぱり、オジサンの味方なんでしょ」清子がさらに、そう聞くと「味方と…
「おっ」 自分に逆らうのか、とオジサンが身がまえる。「何を話したって…この子たちはどうせ、納得しないだろ」ボソッとそう言う。先生は「いや」と頭を振ると「どっち…
「え~っ?」 どういうこと?情報過多で、清子の頭には整理しきれてはいない。だがオジサンは、ニヤニヤしながら、「こいつは…オレの言いなりだ」清子の反応を楽しむよ…
「えっ…」 聞いてはいけない、と本能的に清子はそう思う。(この人…私たちを、混乱させようとしているだけなのよ)だから、落ち着いて…と思うのに、無意識のうちに耳…
「あぁ」 神林くんは、上の空で、棒読みで答える。「じゃあ…先生も、そこにいたのですか?」思わず清子が聞いてみる。そうじゃないと…つじつまが合わないのだ。ここま…
「あの女の子は…もしかして、依り代(よりしろ)ってこと?」 青ざめた顔のまま、神林君が先生に聞く。「ん~まぁ~私にも、その辺はよく、わからないんだよね。 あの…
「へぇ~ずいぶんスゴイこと、言うんだなぁ」 神林くんに向かって、先生は初めて、うっすらと笑みを浮かべる。「私は…じいさんを止めようとしたんだ。 いくら好きでも…
「あの人形は…あの人にソックリなんだ。 そして、あの女の子も…」 先生はチラリと、ベッドの上を見つめる。「あの」清子は先ほどから、気になっていることを口にする…
それにしても、不思議な隠し部屋だ。六畳くらいの大きさの部屋に、ベッドと肘掛椅子と、丸椅子が一つ。大きな人形と、飾り棚があるだけの部屋だ。人形の部屋か、という…
「おや、おやぁ~ 口で勝てなかったら、暴力ですかぁ? さすが…じいさんの可愛がる孫だけ、あるなぁ」 神林くんにつかまれたまま、オジサンはゲラゲラと笑う。「何だ…
その時、清子は気が付く。「あの椅子に座っているのは、だれ?」清子の声にビクリとして、宗太郎がガクンとつまづく。すると…椅子がゆっくりと、こちらの方を向いた。…
「SFかよ」 いつの間にか、オジサンものぞき込んで、そうつぶやく。「まさか…死体?」カプセルに入っている女の人を見ると…みるみる清子が、顔色を失う。宗太郎が、…
「あっ」 宗太郎が魅入られたように、まっすぐにベッドに近付いて行く。「まさか…オジイサン?」宗太郎の後ろ姿を見ながら、清子がつぶやく。「いや、それはない」清子…
「あっ」 一瞬の出来事に、一同は唖然としている。「そうだ! 中に、何があるんだ?」あわててオジサンが、のぞき込む。窓際に、天蓋のついたベッドがあり、その側にド…
「何で、ここにいるの?」 オジサンに向かって、清子は聞くけれども。「それは、お前たちと一緒だろ?」ニヤニヤするばかりで、教えてはくれない。開かずの扉は、やはり…
宗太郎は、そんな雑音など、まったく耳に入らないようで、ゴソゴソと、扉を触っている。「おい!そんなトコを探しても… 何にも出て来ないぞぉ~」わざと大きな声で、…
清子は一気に、スーッと血の気が引く思いがする。(まさか、聞かれてた?)「いつから?」オジサンの方を向く。「何だよぉ~ご挨拶だなぁ」へへへと、オジサンが笑う。…
「開かずの扉?」 さっきは気が付かなかったのに、なぜ?(まさか…ソータローは、記憶は戻ったの?)言葉を失う清子なのだが…その表情を読んだのか、「これは、催眠術…
今、宗太郎が見ている場所は、どこなんだ?清子も宗太郎に注目する。「どこにって?」再び子供のような仕草で、宗太郎は頭をかしげる。「そう、キミの大好きなお姉さん…
「えっ?」 身内でもないような女の子に? どういうこと?清子は神林くんを、伺うようにして見る。彼は薄笑いを浮かべ、「へぇ~そうなんだ」じぃっと底なしの闇のよう…
「おじいさんの娘さんなのかなぁ」 先生が、さらに宗太郎に聞く。「さぁ?」案外宗太郎も、その辺りのことは、わからないようだ。「でも、お姉さんを守ってくれって言っ…
「キミは…何を頼まれたの?」 宗太郎が落ち着くのを見計らうと、先生は質問を再開する。宗太郎はしばらく、口をポカンと開けていたが…「預かってくれ、って言われた」…
宗太郎は、悔しそうに顔をゆがめる。「ソータロー?どうしたの?大丈夫?」思わず清子が、宗太郎の顏をのぞき込む。 そうして、先生の前に立つと、「もうこれ以上、や…
(まただ…) 清子はそう思う。さっきから、肝心なことになると、宗太郎の口が重くなり、固く閉ざされる。(これって、わざと?)だけども、彼からは、そんな意図は透け…
「役割?どういうこと?」 ボクはまだ子供なんだから、何の役にも立たないよ、と宗太郎は老人を見返す。すると老人は、厳しい顔付きになる。「バカを言うんじゃない」い…
「そう、何で、あんな所で寝ているんだろう」 まるで今まさに、自分の目の前で、その人が寝ているというような目をして、そぅっと触れようとする。「で、おじいさんは、…
「いいか?」 先生は再び、ろうそくを目の高さにまで掲げる。「さぁ、もう一度、しっかりとこれを見てくれ」悪いなぁ~と、サッとろうそくを宗太郎の顏の前まで持ってい…
(うわっ) 宗太郎はあわてて、目を閉じる。まさか、ゾンビが出て来ないか…と、やはり疑っていたのだ。キィ~かすかにきしむ音を立てて、扉が開く。彼はその場で固まっ…
「何があるの?」 この時初めて…宗太郎はこわごわと、その扉を見詰めた。ここは、開かずの扉だ…と言われ、今まで一度として、開いているところを見たことがない。(ま…
何でおじいさんは、ボクに話しかけるのだろう?普段は…幼なじみのキヨコちゃんや、リョウくんと一緒の時にしか、話をしない、というのに。(何か、あるのかなぁ) だ…
不思議なことに…宗太郎は少しも怖くはなかった。自分の頭のどこかで…これは、夢なんだ、と思っている節があった。 先生の声に誘導されるまま、目の前の扉に手を伸ば…
それから凄まじい勢いで、コマ落としのように、様々なシーンが宗太郎の頭の中で、パパパパパパ…と、浮かんでは消える。「あっ…あっ…あっ…」 今のは、何だ? どう…
(自分を縛っているもの?) なんだ、それは?宗太郎には、先生の言っていることが、理解出来ない。(何でそんなことを言うのか?)まるで先生は…宗太郎が何かを隠して…
「えっ?」 驚いたのは、宗太郎だけではない。清子もだ。「その時って…なんですか?」思わず聞き返すけれど…先生はもう、清子のことは見ていなかった。ピタッと宗太郎…
「忘れる?何を?」 なぜだか知らないけれど…宗太郎は猛烈に、腹が立ってきた。何だか自分のことを、みんなして腫れ物扱いをしている。「ちょっと、先生!」清子があわ…
宗太郎は、神林くんの言っていることを、ボーッとして聞いている。(みんな、何でそんなことを知っているのだろう?)何だか自分のことを、置き去りにして、ドンドン話…
「ソータロー、じゃあ…あの噂は、本当なの?」 ただ、神林くんだけは、話についていけない。「何だよぉ、噂って」まだ、他に何かあるのか?宗太郎は、清子の方を振り向…
(先生が、そんなことを言ってもいいのか?) 宗太郎は思わず、突っ込みたくなるけれども。「そりゃあ…自由でいいかもしれないけど…不便なことも、多いん じゃあない…
まさか…先生は、口から出まかせを言っているのではなかろうか?宗太郎は一瞬、先生のことを疑った。だがすぐに…そんなことは、ないだろう、と思い直す。なぜなら…そ…
「ボクに?」 高梨先生は、キョトンとしている。それは、演技のようには見えなかった。「そう、先生は何か…知っていませんか?」 こんなことを聞いても、答えてはくれ…
ははは…先生は、声をたてて笑う。「おまえたち…ずいぶん、見せつけてくれるなぁ~」学校では見せないような、ハツラツとした笑顔だ。「いいなぁ~青春かぁ~」若いっ…
オジサンのことを、信じているのだろうか?先生が実は…あの人たちと知り合いだ、というのだろうか?清子も黙ったまま、二人を見比べている。しばらく、黙り込んだ後……
(どうする?) 宗太郎は、清子と目を見合わせる。(例の件…聞く?)目で合図を送っているけれど…互いに、中々言い出せない。まさか…『先生、おじいさんから、何か聞…
「えっ?」 だれ?一瞬、宗太郎たちはギクリとして、口をつぐむ。「あっ、どうぞ。ボクのことは気にせず、続けて」声の主は、愉快そうに笑いながら、近付いて来る。(こ…
「いや、それはまだ…考えていない」 神林くんが、キッパリそう言うと、「なぁ~んだ」なぜだか、清子はガッカリした顔をした。 いつまでも、こうしていても仕方がな…
「おい、大丈夫か?」 あわてて、宗太郎が聞く。神林くんは、なぜかこめかみに手を当てて、何かを思い出そうとしているようだ。「大丈夫だ」宗太郎の視線に気が付いて、…
「そうだなぁ」 神林くんは、考え込む。「最後に会いに来たヤツに、気をつけろって言ってたけど…」「それは、聞いた。他には?」やけに清子が、突っ込んで聞いてくる。…
「そういえば、先生…妙なことを言っていたなぁ」 ふいに神林くんが、思い出したように言う。「なに?」清子が聞くと「いや、大したことじゃないけど… じいちゃんが、…
「先生かぁ~」 さすがの神林君、先生のことは苦手なようだ。「どうやって、聞くんだよ」宗太郎も、神林君に向かって聞く。 まさか…オジサンが何を探しているのか、教…