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途方もないことに、巻き込まれてしまった…宗太郎は、そう思う。そんな中、張り切っているのが清子だ。「迷っている時間が、もったいないわ。 さっさと探しましょ」清…
「はぁ?」 何を言っているんだ? 宗太郎は、神林君に聞き返す。「だから、酸素の残り時間のことだよ」一体、何を聞いているんだ、と冷ややかな目で、宗太郎に向き直る…
「あのボタンを押さえても…ロックはかかるんだ。 ここをしっかりと、ふさがないとね!」 と言うと…扉のてっぺんをさわってみせる。「なんだって?」だってさっきは……
だが…その様子を、神林君は冷ややかな目で見守る。「そんなことをいても、ムダだと思うなぁ」妙に悠々とした態度で言うので…「やってみないと、わからないじゃないか…
得意気に、宗太郎が清子に言うのを、「だから、それはたぶん、出来ていないんだ」見てもいないのに…神林くんは、強い口調でそう言う。「だから、なんで!」何でケチを…
「えっ…」 からかっているんじゃあないのか?戸惑う宗太郎に、視線を向けると、あーあとため息をつき、「やっぱり刺激がないと、ダメかぁ」神林君がつぶやく。「なんだ…
「自分にも、危険が及ぶ可能性がある場合… 例外なく、必ず、保険をかけるタイプのはずだ」 絶対に、見逃さないぞ…と、宗太郎はまなざしに力をこめる。「ふぅーん」口…
「あなたねぇ~さっきから、考えがないのよ。 大体、おじいさんはどうするのよ。 もしも、何かあったら? あなた…責任は取れるの?」 いつもは、寡黙な清子が、さっ…
「えっ?」「なんだって?」 清子と宗太郎は、思わず声をもらす。「この仕掛け、全部おじいさんが?」「何のために?」にわかには、信じられない。何しろ…元気な姿を目…
「あっ、ソータロー。 お前、何か思い出したか?」 神林君はすぐに気付いたようで、淡々とそう聞く。(まさか…ヤツの狙いは、これなのか?) 何のために?そう思うけ…
「おっとぉ~清子…君って、中々強いんだなぁ」 宗太郎と同じようなことを、神林くんも思っているらしい。宗太郎としては、それもなんだかなぁ~と思うけれども。「そん…
こうなったら、一蓮托生だぁ~その割りに、落ち着き払う神林くんに、「おまえ…何を考えているんだ?」呆れたように、宗太郎は彼につかみかかる。馬鹿じゃないのか?自…
ピーピーピーピーピーピーいきなりアラーム音が鳴り響く。宗太郎と清子は、ビクッと虚空を見上げる。「おい!一体、何をした?」宗太郎が神林君に、飛び付くようにして…
「いや、もっとおっかないことを、言ったのかと思った」 宗太郎が言うと、「たとえば、なに?」急に神林君が、食いついて来る。「それは…」言いかけて、口ごもる。「殺…
「あっ」 ふいに、宗太郎は思い出す。「ねぇ、さっき、おじいさんに何と言ったの?」その言葉に、清子も振り向き、「あっ、それ私も…気になってた」大きくうなづく。「…
「まぁ、いいや」 しばらく2人を見た後…急に興味をなくしたように、チラリと老人を見ると、2人の方を振り向いた。「ここ…実は、仕掛けがあるんだ」ふいに、ポンと言…
「赤ちゃんだって、そうだろ? 指を手のひらに置くと、ギュッと握るヤツ! あれだ、条件反射みたいな?」 神林君の言葉に、あからさまに清子は、胡散臭いものを見るよ…
「えっ」 あまりの素早さに、清子は驚いてその場に固まる。「ほら!早く離さないと…指をへし折られるぞ」おどかすように、神林くんが言う。「まさか!」そう言いながら…
先生も知っているよ、と付け加える。「えっ、高梨先生も?」思わず宗太郎が、口をはさむ。「あの先生、そんな名前だったっけ?」ニヤッと笑うと、神林君はパッとベッド…
「もしも本当のことを知ったら… キミはそんな風に、言えるかなぁ~」 妙に気になる言い方だ。「例えば…このスイッチを切っても、仕方がないようなことを、 この人が…
「いくら、おじいさんの遺言でも…(遺言って言ってもいいのか?) それはないだろ?」 宗太郎は横目で、ベッドを横目で見ながら、一応清子に確認する。「いいんじゃな…
清子の思考回路は、一体どうなっているのだろう?頭の中をのぞいてみたいものだ…と宗太郎は思う。いきなり神林君は、ニヤリと笑うと、2人の顏を見比べる。「ここで、…
老人の枯れ枝のように、細い腕には点滴のチューブが、幾つも刺さり、見ているだけでも痛々しい。「どうして病院に入れないんだ?」それでも神林くんに問い詰める。だが…
清子に対して、神林くんがとても低姿勢なのを見ると…宗太郎は何だか、不公平だなぁと思う。(なんだ?フェミニストなのか? こんな時にも…女の子には、甘いんだなぁ…
「人目のつかない所。 誰もいない、静かな所。 自分の家で…最後を迎えたい、と言うからさぁ」 神林くんは、そう静かな声で言う。「そんなこと、誰が信じると思うか?…
「えっ?」 なんだって? 一体、どういうこと?いきなり『祖父』というワードを聞いて、清子と宗太郎は、顔を見合わせる。「だって…遺産相続がどうとか、言ってたじゃ…
ジィっと見つめるその瞳の奥で、何かが煙るように揺らめいている。「だから…言ってるだろ? ボクは、キミたちのことを、知ってるんだ」記憶がない…というのに、相手…
「おい、清子に何をした?」 傍らに立っていた、神林くんの肩をつかんだ。「ボクは…何もしていないよ」サラッとそう言うと、両手をパッと肩まで上げる。「はぁ?何を言…
「へ~え、そうなんだ」 まったく素知らぬふりをして、思い切って、中へくぐり抜ける。すると…ヒンヤリとした空気と、わずかにカビ臭いにおいがして、思いの外 広い空…
だが、宗太郎はあくまでも余裕の表情を浮かべ、「いや、ボクは後でもいいよ」ニッコリと微笑むと、「お先に、どうぞ」と右手を差し出した。「えっ、あっ、そうか?」神…
だが決して、せかすような空気は感じない。「いや、もしも誰かが、鍵をかけてしまったら、大変だなぁと思って」下手な言い訳だなぁと、宗太郎は思うけれども。まさかそ…
「いや、あの、もうちょっとよく調べた方が…」 その転校生が、少しでもおかしなそぶりを見せたら…すぐに止めよう、と目で追いながら、言葉を探す。「なによ、ソータロ…
するとカチリ…と音が聞こえて「ほら、開いたよ」 見ると鏡が斜めになっていて、その傍らに神林くんが立っていた。「え~っ!」清子が声を上げる。「え~っ、これ? …
「ここはねぇ~」 ポンと神林くんが壁を叩くと、「確かに…そうだよな」目のツケどころは、悪くない…と、清子を振り返る。「でしょ?」ニヤッと笑って、宗太郎を振り返…
「うん!」 疑うことなく、素直に返事をすると、清子は神林くんの後を追いかける。「おい!」ちょっと、本当に大丈夫か?宗太郎はまるで、清子の付き人のような気分にな…
「じいさんが…自分の世話をみてくれた人に…この家の権利を ゆずるって言ったんだ」「ここ?」「ここって…そんな価値があるのか?」 宗太郎にも、清子にも、この廃屋…
「親の側にいたくない…というのもあるけど… じいちゃんに、頼まれたんだ」初めて彼の心に触れたような気がした。「へぇ~そうなんだ」清子は嬉しそうに、ポンポンと彼…
それとももっとすごい『何か』が、隠されているのか?宗太郎はグルリと、辺りを見回す。「ここは…何だと思う?」 あらたまった口調で、神林くんは宗太郎と清子に向か…
階段を下りると、ワイン蔵のようになっていて、おそらくここが食料の貯蔵庫も兼ねていたのだろう。少しヒンヤリとしている。「何にもないねぇ」さすがにガランとした棚…
こんな奇妙な家だけれど、何だか不思議と怖くない。案外清子が言うように、ここが秘密基地だったからだろう。珍しそうに、回りを見ていると…「あ、天井がちょっと低い…
「えっ」 スマホをおもむろに開くと、神林君はアプリを起動させる。「あら」それで、何をするのか?見た目は、ただのお化け屋敷だ。一体、どんな仕掛けになっている?思…
(そんなことをして、平気なのか?大丈夫か?) そう思うけれど…宗太郎は何も、言葉にすることは出来ない。「ここ…地下室があるのを、見ただろ?」バタンと扉を閉める…
「それは、先生に聞いてみるんだな」 今度は宗太郎に向かって、そう言う。「なんだよ、それ」思わずブスリと、宗太郎はつぶやく。「だってキミたち…ボクのことを、信用…
まだ…清子の質問に、答えてはいないじゃないかぁ~と、宗太郎は思うけれど、「そうみたいだ」清子の顏を見て、自信なさそうに答える。「ふぅーん」宗太郎の微妙な表情…
「ちょっと、脅かさないでよぉ」清子は大げさなくらい、ケラケラと笑う。「なんだ、安心したぁ」明るい声でそう言うと、ポンポンと宗太郎と神林くんの背中を押して、中に…
そんな2人の様子を見ると…なぜか神林くんが、気の抜けた様子で、「相変わらず、仲がいいんだなぁ~キミたちは」なぜか、懐かしそうな顔をする。 なんだ? 羨ましい…
宗太郎にとって、それも謎だった。この家のことも、この転校生のことも。きっと、何かかかわりがある…と思うけれども、今のところ糸口は何ひとつ、見つからないのだ……
「あっ」 今…何と言ったか?宗太郎の頭の中で、何かがひらめいたような気がした。「ここに…住んでいるんじゃあないのか?」なんだ…となぜだか、宗太郎はホッとする。…
何とか自分の立ち位置を、立て直そう…とする宗太郎の顏を「ふぅーん」意味あり気な瞳で、神林くんは見つめてニヤリと笑う。(何なんだ?何があるっていうんだ?)宗太…