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「ダメだなぁ~ 女の子には、優しくしないと」 大げさに口に手をあてて言う仕草に、宗太郎の気持ちが逆なでされる。(やっぱり 女の気持ちはわからん!)イライラした…
「なんだよ、それ」 あんな委員長と、一緒にするなよなぁ~宗太郎は、ムッとした顔になる。せっかく心配した…というのに…(なんだよ、コイツ)心配して、ソンした…と…
驚くのは、こっちの方だよ…宗太郎は、声を上げるタイミングを失った。「へぇ~」案の定、神林くんは清子に目を向け「キミ…覚えていたの?」と声をかける。それは彼に…
「えっ、神林君、知っているの?」 やっぱりと思い、思い切って一歩踏み出すと、いきなりこの転校生はははは…と笑い出す。「知ってるよ」今度ははっきりとそう言うと、…
取り残された3人は…何となく気まずい空気に包まれる。「さっき…何をしていたの?」にぃっと笑って、こちらを見るので、やはり気付いていたのか…と、宗太郎はヒヤリ…
「えっ」 一瞬、からかわれているのか、と宗太郎は思う。先生の後ろから…当の神林君が、姿を見せたのだ。(やばい)宗太郎はあわてて、口をつぐむ。「すごい洞察力だね…
「えっ」 どうして、先生が?宗太郎は、足を止める。(先生…帰ったんじゃなかったのか?)確か…すれ違った人影を見掛けた、と思ったのだが。「こんなトコまで来て…何…
「そりゃあ、決まっているだろう?」 清子の問いに、宗太郎はニヤリと笑う。「あそこさ!」そう言うと、まっすぐに先ほど彼を見掛けた、あの窓を見上げた。 「えっ、ソ…
どうやら清子は…あの当時のことを覚えているようだ。「なに?何のこと?」 そういえば…と思い当たることがある。なぜだかこの町に越して来た時…近所の人たちの反応…
「えっ?」 思わず宗太郎は、言葉を失う。そう言われれば、確かにそうだ。ここはもともと…誰も住んではいない古い家のはず…「あっ、おじいさんか誰か、住んでたとか?…
「へっ?」 清子もかなり驚いて、素っ頓狂な声を上げた。「なになに~ まるで、ユウレイを見たいに…」はっはっはっと、彼は笑う。(おかしい…ボクたちが、ここに入る…
「はっ?」 助けないのか?急に、清子のことが、わからなくなる。宗太郎の顏が、変化するのを見ると…「だって、どうしようもないんだもん。 鍵がかかっているし、確か…
本当に、大丈夫なのだろうか?宗太郎は、清子の後ろ姿を見送る。自分も…ついて行った方が、いいのだろうか?そう迷っていると…ガタガタと何か物音が聞こえる。「おい…
「ほら!」 なぜか見せびらかすように、清子が嬉しそうに「あった、あった」と声を上げる。「ね、あったでしょ」そう言いかけた時、再びガタッと物音がした。 「しっ」…
そうは言ってはみるものの…ウソだろ?そんなことがあるのか、とまだ疑う気持ちが強い。「じゃあ…どこなんだ?」さり気なく、うながしてみると「確か、ここに…床下収…
いくら清子の記憶力がすごいとはいえ、さすがに覚え違いはあるだろう…宗太郎は、そう思うのだが…「私たちの秘密基地… 地下の貯蔵庫みたいなところだった」いきなり…
「何か、あったのか?」 自分自身は覚えていないので、頼みの綱は清子だ。「えっ?さぁ~」清子は目を泳がせる。(やはり、そうかぁ~)となると…「床下?」まさかな!…
「やっぱり…誰か、いる」 清子をかばうように、自分の背後に隠すと、宗太郎は耳を澄ました。ミシッミシッと、床板が鳴る音がする。歩き回っているのか?「猫でも、いる…
よく見ると…ガラスがわずかにひび割れをしていて、ここからホームレスの人が入り込んだとしても、おかしくはない。(何しろ、鍵がかかっていないからなぁ)だが…水も…
「ソータロー、名探偵になれるわよ」「ほめ過ぎだよ」「いや、そうだって!」 興奮したように、清子は両手をぐっと組んで、宗太郎を見る。宗太郎が、つかまれた手を、ズ…
「不自然?なんで、そう思うのよ」 清子は眉間に、しわをギュッと寄せる。「まさか…何か気に入らないとか?」「バカを言うなよぉ」なんで、そうなるんだ?何でも、そう…
一方…清子に強引に押し込まれた宗太郎は、何だかとんでもないことになったぞ…と、内心ヒヤヒヤしている。もしも…龍友に見つかったら、何と言われるのだろう…とか、…
「なんで?」 思わず声がついて出る。だがこれは、ニヤッと笑うだけで、何も言わない。「それは…生徒の事情は、基本誰にも言ってはいけないんだ。 でも…せめて先生に…
「ここ…なのか?」 どう見ても…ただの荒れ果てた、物置小屋にしか見えない。清子はフフッと笑うと、「まぁ~見てたら、わかるわよ」ぐっと入り口に、手をかける。(き…
「で、どこに行くつもりなんだ」 腹を決めて聞く。「わかってるじゃない」ニヤッと清子は笑う。「あそこよ!」 さっき入った玄関とは別に、草に埋もれた物置きのような…
「ちょっと待ってよ! ダメだろ?」 宗太郎はあわてて、立ち上がる。「どうして? どうして、ダメなの?」だが清子はまだ、納得していないようだ。「だって、帰ってく…
「でも…清子は女子部にいるんだろ?」 御手洗…ということは、両親が離婚したわけではなさそうだ。「じいちゃんたちがね…年を取ったから、母さんがシブシブ こっちへ…
「新聞記事は?」 ポンと清子は言う。「どのくらいあると思っているんだよぉ」探す前から、すでに宗太郎は、少し気分が萎えている。こんなことをするのに、意味があるの…
そんなバカな! 絶対に…ちがう!そう思うのに…清子に言われるうちに、その可能性がかなり高い、ということに、宗太郎は気付く。「でも!」宗太郎は、それでも言い返…
清子がもしかして、何か知っているのでは、と宗太郎は期待する。すると清子は「リョウ? そんな名前の男の子…1人、知っているかも…」いきなり言い出す。「えっ」さ…
「リョウくん…なんだ」 宗太郎がいきなり、ボソッと言う。「リョウくん?」誰よ、それ…と、清子はさらに、けげんそうな顔をする。「よく、わからないけど… リョウく…
それは本当なのだろうか? 夢なのではないのだろうか?《本当に…あの男の子は、存在したのだろうか?》 急に黙り込む宗太郎を見て、「ねぇ~大丈夫?」清子が心配…
うん…清子はどうも、何かを隠しているようだ。「ホントに、何にも…覚えていないの?」と聞いて来る。「だから…何が?」ついに我慢が出来なくなり、イラっとした口調…
「ずっと、あそこにあるんでしょ? ということは、市役所とか、郵便とか、電話とか… 何か手がかりが、あるはずよ」 見たところ…電気、電話も、ガスも、水道も…通っ…
「ねぇ~あの子、なんで、あの家にいるの?」 突然、清子が切り出す。なんで、ボクに聞く?「知らないよ、そんなこと」本人に聞けば、いいじゃないか。宗太郎は、清子を…
ずいぶん細かいなぁ~宗太郎は感心する。「だって!」清子はいきなり、身体の向きを変える。すると、彼女の顏が すぐ近くになり、宗太郎は一瞬 戸惑う。「あの時…確…
もともとは、どこにいたのだろう?これだけ目立つ容姿をしているのだから、隠れるというのは、難しいのではないか、と思う。「うーん、それはどうなんだろう?」もちろ…
「たぶん、先生が来てたわよ」 清子が、宗太郎に向かって言う。「えっ、どの先生?」思わず清子に聞くけれど…「私に聞かないでよ。 男子部の先生の名前、知っているわ…
あっけなく、「どうぞ」と龍友はあの古家の鍵を開けた。門の中(雑草に埋もれていたが、存在した)の中に入ると、かなり荒れていて、植木もあるけれど、枯れているか、…
雑木林の中から…ポッカリと廃屋が姿を見せる。どうみても…人が住んでいるような家には見えない。 「だから、いいんですよぉ」龍友は、またも先生の心を読み取るよう…
ん? 何か、マズイことでも言ったか?せっかく話を聞き出せそうだと思ったのに…と、高梨先生は少し残念そうな顔をする。 急にフッと龍友は、再び能面のような無表情…
内心、冷や汗をジワリとかいているのだが…先生は平然とした顔を取り繕うと、「このままだと、私も不本意だが、キミのことを調べさせて もらうことになる。 それより…
だが…龍友は、この質問には答えない。ただ、薄ら笑いを浮かべて、こちらをうかがっている。「そんなわけ…ないじゃないですかぁ。 ボクはまだ…未成年なんですよ!」…
「そりゃあ…身内の人からじゃないか? 私は直接、聞いたわけじゃあないけどな」 何だか、立場が逆転しているみたいだ…と先生は思わず苦笑いをする。「大抵学校側に、…
「先生こそ、何でここにいるのですか?」 彼の目の前に近付くと「いや、古屋敷が妙なことを言うから、気になってね」おかしなことを、言っていないだろうか…と、半ば冷…
(なんだ?あの子たちは…) 学生服を着た男の子が、こちらに向かって来るのに気が付いて、あわてて茂みの中に隠れる。 2人組の男女が、彼に気付くことなく、ブツブツ…
「変わった…も何も、アイツ、二重人格だろう?」 テレビでしか、見たことがないが…そうに違いない、と思う。「だって…あの手の平返しはなんだ? いや、最初は最初で…
いきなりの手の平返し…一体、どうしたんだ、と思うけれど…「神林君、ごめん! 私は、そんなつもりはなかったんだけど…」あわてて清子が、取り繕うように言う。「い…
だが清子は、全く大真面目な顔をして、彼を見ているので…どうやら、本気らしい…と気付く。「へぇ~」クルリと再び、こちらを見ると「キミ、すごいねぇ。 これだけの…
まるでアンドロイドのように、転校生は表情を変えずに、じぃっとこちらを試すように見ている。(コイツ…本当に、人間なのか?)一瞬、宗太郎はたじろぐ。「そんなこと…