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「言っている意味が、わかりませんねぇ」 真面目な顔つきで、神林くんはハッキリとした口調で、そう言ってのける。しばらく神林くんと、顔を見合わせていた男だったが……
オジサンは不意打ちを食らったように、驚いて清子の方を向く。「何をって…別に何でもいいだろ」さっきとは、打って変わって素っ気なく答えるので、やはりこの男の目的…
(なんだ?疑っているのか?) 神林くんが、オジサンのことを嫌う理由がわかるうような気がする。神林くんはにぃっと笑うと「じいちゃんのことがあって… しばらく、学…
何で先生を…こんなことに、巻き込むんだ?宗太郎が、オジサンに詰め寄る。「あ~っ、こわっ!」またふざけた口調で、肩をすくめる。「ちょっとぉ」清子もムッとした顔…
「高梨先生?」「えっ?」 先生に、どんな関係が?宗太郎も清子も、キョトンとしている。(今度は、何だ?)宗太郎には、神林くんの考えていることが、まったく見えては…
ははっ!オジサンはヤケクソのように、ヒステリックな声で笑う。まるで、そんなバカなことを聞く耳を持たない…と言わんばかりに、「すごい想像力だなぁ~感心するよ…
「えっ?」 そんなこと…聞いたことがないぞ…宗太郎は面食らう。まさか神林くんが、でっち上げて言っているのか?思わず宗太郎は振り返るけれど…神林くんは、とても涼…
「なに?」 神林くんの様子が、少し変なので…一体、何に気付いたのだ、と宗太郎は気になる。だが、オジサンはますますニヤニヤとして、「どうした?さっきまで、威勢が…
(シナリオ通りって?)「えっ?」(今…何を言ったんだ?) 思わず宗太郎と清子は、顏を見比べる。「それって、どういうこと?」まさか、じいちゃんが亡くなる前に…そ…
「お嬢ちゃん、あんた、強いねぇ~」 ニヤニヤしながら、オジサンが言うと…清子ははっ?という顔になる。「私は、単に…家族の問題に、他人が首を突っ込むのはよくない…
その場の空気が、一瞬にして、ピリリ…とした緊張感に包まれた。「オジサン…何か隠しているよねぇ。 ここに、何しに来たの?」神林君は、再度繰り返す。リンとした口…
「子供の頃?」 子供の頃って…まさか、あの夏のこと?あれも…ゲームだった、とでもいうのか?わずかに、宗太郎の頭の中の歯車が…大きく軋んで、動き始めたような気が…
(やはりな!)じゃあ…まだ、勝ち目があるってことか?)そう受け取ると…宗太郎は「わかった」と大きくうなづく。清子は「何を言っているの?」とキョトンとしている。…
「えっ、まさか!ウソだろ?」 うろたえる宗太郎を見て、「嘘じゃないわよ、ホントーだわ」その時、清子が口を開いた。「ほぉ~認めるんだな」オジサンは感心したように…
「えっ」「まさか…」それは、脅しただろ?そんなこと、あるわけがないだろ、と男をにらみつける。「あれ?キミたち…あの部屋に入っただろ?」そうだよな、といきなり聞…
ヒリヒリとした空気に、清子は心配そうに見守っている。一歩前に出たそうにしているけれど…身体は半分、宗太郎の背中に隠れたままだ。「おまえのオヤジさんも、目上の…
「キミたちは…なんで、そんなことを聞くんだ?」 やや面倒になってきたのか…急にさっきまでの、ニヤニヤ笑いをやめて、どす黒い表情を浮かべる。そういう顔をすると……
(やはり…昔、何かがあったんだ…) 結局このことに、行き当たってしまう。(じゃあ、どういうことなのだろう?)宗太郎は考えを巡らせながら…部屋の中を、コツコツと…
まさか…こんなオジサンまで…遺産を狙っているというのか?何だか世も末だなぁ~と、宗太郎は思うけれども。(いや、むしろ…こういう人の方が、厄介だったりするんじ…
(オジサンの事情なんて…ボクたちには、関係がないのに…) 宗太郎はそう覆うけれども、黙って聞いている。だが…清子は急に、ムッとした顔をして、「だからって…八つ…
何だか…妙な話になってきたぞ…宗太郎は、リョウとオジサンの顏を見比べている。リョウはすっかりブスッとして、黙り込んでいるし、反対にオジサンは、宗太郎たちの反…
彼は同じ歳のはずなのに…ずいぶん宗太郎よりも、大人びて見える。「どうかした?」宗太郎の視線に気付くと、リョウはにぃっと笑う。「いや…別に」きっと宗太郎よりも…
「この人の言うことは…あまり信用しない方がいい」 だが神林くんは、オジサンのことをにらみつける。ヒリヒリとした空気に、宗太郎は少し後ずさりをする。何でそんなに…
「ねぇ、どういうこと?説明してよ」 こうなったら、黙っているわけにはいかない。さすがの宗太郎も、ガマン出来なくなり、リョウに詰め寄る。すると男は、形勢逆転とば…
一体何が、あったんだ?思いも寄らぬ、神林君の激しい口調に、清子も黙ったままだ。何となく、口を挟むのもはばかられて…ただ、聞いているだけだ。「あれは、別に…わ…
わざわざ孫の龍友に頼らないといけないくらいに、1人だったはずだ。どうして?宗太郎はリョウの顏を見る。リョウは、引きつった顔で、オジサンを見ている。(おい、何…
「おや、キミたち…ここで、何をしているんだ?」 思いのほか、強い口調で、その男に声をかけられた。男の放つ声に…清子の手に、力がこもる。「ソータロー、清子! 上…
「じいさんは、どこだ?」 声が聞こえる。しゃがれた、年配の男性の声だ。「亡くなりました」ひるむことなく、リョウが冷静に答えるのが聞こえる。(知っている人なのか…
「うん、そう」 清子とリョウが目を見合わせて、うなづく。「何なんだよ、一体!」ついにたまりかねて、宗太郎が口をはさむ。ガタガタガタ…階下で、物音がしてきた。「…
後で教えてもらえるのだろうか…わずかに、宗太郎は期待して、曖昧な顔で、清子に向かって微笑む。「清子って…ずっとここに、住んでいるの?」何とか話をそらそう…と…
「いや、いい…」 見たいなんて言ったら…本当に出て来そうな気がする。リョウは椅子から立ち上がると、カーテンをそっと引いて、隠れるようにして、外を見下ろす。丁度…
「えっ…」 初めて聞く話に、宗太郎は言葉を失う。「リョウ、それって…」もしかして、リョウのおじいさんが犯人か…と思っていたので、宗太郎の中で、頭がこんがらがっ…
あの日のことは、忘れられないのだろう…やけに、事細かにリョウは語る。「学校で…不審者が出た…と先生に注意していたというのに… 私達、少しも気にしていなかった…
「キミたちは、ここにちょくちょく遊びに来ていたのは…10歳の夏 のことだった。 ここは古いから…幽霊屋敷って、みんなで言ってたんだろ? じいちゃんがよく、楽し…
神林くんと清子が、宗太郎に何かを隠している、というのは明らかに明白だった。神林くんが静かに話し出すのを…清子は黙って聞いている。一体どんな気持ちで、清子は聞…
自分の頭越しに、神林くんと清子の会話が聞こえる。何がどうなって、こうなったのか?黙り込む宗太郎の背を、そっと触れる者がいる。「大丈夫?」いつもの清子の声だ。…
神林くんは「うん」とうなづくと、「古屋敷くんの記憶は…もしかしたら…操作された可能性があるなぁ」いきなり、とんでもない言葉が飛び出す。「えっ?」なんだよ、そ…
すると…清子と神林くんの反応は、やはり妙なもので…「ね、どうする?」「話す?」「うーん、早くない?」「それも、そうだけど…」 なぜか、困ったちゃんの対処をど…
「まぁ、まぁ、仕方がないじゃないかぁ」 神林くんも、清子に向かってうなづく。「ホント…私たちの苦労が、伝わっていないみたいねぇ」「まぁ、まぁ~」間に宗太郎を挟…
「これ…まさか、神林くんのこと? ねぇ~ボクって…」 うわごとのように、繰り返す宗太郎を見て、清子はすぐさま、宗太郎に取り付く。「ダメ!それは、ちがう! 見て…
何の記事なんだろう?宗太郎はもっとよく見よう…と、そのスクラップに近付く。どうやら、同じ事件を追っている記事のようだ。 何年前? ボクの小さな頃?ズラリと並…
「清子には、余計なことを言うなよ。 あの子は、あの子で… 心に傷を負ったんだ」 低い声で、ボソリとそう言う。「えっ」その後ろ姿からも…これ以上は、何も聞くな……
「ソータロー、どうしたの?」 清子はすでに、下に下りよう…と、階段の側まで近づいている。「いや、何でもない」余計な心配をかけまいとして、宗太郎はあえて、何も言…
「この部屋…初めて来たわ」 素直に清子が言うと…「そうだろ? もともとここは、じいちゃんの隠れ家みたいなものだ…」サラリとそう言う。「え~っ、ここに住んでいた…
「私?」 ためらいがちに、きよこは上を見上げる。「ちょっと!のぞかないでよね」キュッと眉をゆがめた。ハハハハハ…神林くんが笑うと「ボクにだって、選ぶ権利がある…
「ソータロー」 清子は小声で、宗太郎を突っつく。「どういうつもり?」清子はまだ…神林くんのことを、微塵も疑ってはいない。彼女にとっても幼なじみだからだ。「別に…
「どこが、違うの?」 まるで試すような目付きで、清子のことを見詰める。何だか、学校にいる時と、雰囲気が違う…宗太郎はそう思う。学校ではひたすら寡黙で…ほぼ人と…
「あっ、ごめん…」 あわてて頭を下げる。「なんて言うか… リョウくんが、本当にお化け屋敷に住んでいるのかどうか、 知りたかったんじゃあないの?」まるで、他人事…
何となく…何かを隠しているような気がする。どうも、あまり詮索して欲しくなさそうな…そんな空気を宗太郎は感じる。(何とかうまく、聞き出せないものだろうか?)宗…
「喜ぶ?」 それって、どういうことだ?予想外のことを耳にして、宗太郎は神林くんのことが、理解できない…と思う。「じいちゃん…宗太郎のことを、気にしていたから……