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月夜の猫-BL小説です 夏休み5 BL小説 「わかった、河崎さんも西口さんも、三浦さんもいないんでしょ?」 良太はスプーンをとめることなく口にする。 「おや、どうしてわかった?」 「藤堂さん、かまうヒトいないと、ここにくるから」 「何をいうかね、この子は。良太ちゃんはかまいたいヒトの筆頭だよ?」 嬉しいとは言い
月夜の猫-BL小説です 春雷91 BL小説 工藤は良太に歩み寄って、「しょうがないな、こっちで寝るか」と良太の後ろ頭に手を当てた。 うん、と頷いた良太は何だか頑是ない子どものようで、工藤はベッドに連れて行って座らせた。 「なんだ、怖い夢でも見たのか?」 工藤は傍らに座り、良太の頭を引き寄せた。 夢が怖かったので
月夜の猫-BL小説です 夏休み4 BL小説 「おお、やっと現れたね、良太ちゃん」 オフィスのドアを開けるなり、能天気な声が良太を出迎えた。 「藤堂さん、いらっしゃい」 「さきにいただいてるわよぉ」 窓際の大テーブルでは、アスカが大きな口を開けてスプーン一杯のメロンをほおばっている。 人気女優があんな大きな口を開
月夜の猫-BL小説です 夏休み3 BL小説 良太も親の背負った大きな借金という枷がなかったら、この会社に入ることはおそらくなかっただろう。 しかし子供を谷に突き落とす獅子がごときやり方でもって工藤に鍛えられてきたお陰で、世の中どんな災難が待ち受けていようと良太は軽く乗り越えられそうな自信が今はある。 「関西タイ
月夜の猫-BL小説です 夏休み2 BL小説 青山プロダクションの主な業務内容は、タレントの育成、プロモーション及びテレビ番組、映画の企画制作である。 弱小とはいえ数人のタレントを抱えたこの会社の社長工藤高広は、自身は敏腕プロデューサーとして業界に名を馳せている。 所属俳優も志村嘉人、中川アスカ、小笠原裕二、そし
月夜の猫-BL小説です 春雷89 BL小説 タクシーを降りると、また小雪がちらついていた。 工藤は警備員に挨拶するとエレベーターに良太を乗せて部屋に向った。 「猫にはエサやっとくから、お前はもう寝ろ」 良太と一緒に部屋に入った工藤はすぐにエアコンを入れ、コートを脱いでポールハンガーに引っ掛けると、良太のコートや
月夜の猫-BL小説です Vacances27(ラスト) BL小説 後を追いかけて、ジェノバで捕まえるしかない、と、工藤はともかくエレベーターホールに向かう。 あの野郎!! 人の気も知らないで! 工藤が荷物を持って再びフロントに現れると、そこには加絵と鴻池が待っていた。 「どうした、慌ててどこへ?」 「いや、急用
月夜の猫-BL小説です Vacances26 BL小説 「そんなにタレントになりてーのか? だったらいくらでもお膳立てしてやるぞ。俺を甘く見るなよ? てめーの一人や二人スターにしてやるくらい朝飯前だ」 語気も荒く、工藤は言い放つ。 「誰がいつ、あんたを甘く見たよ! 俺にだって可能性があるんならって言ってるだけだ
月夜の猫-BL小説です Vacances25 BL小説 シャンパンに負けないスプマンテの味わい。 最高級のエクストラバージンオリーブオイルを使ったトロビエッテのバジルソースやとれたてのシーフードをふんだんに使った料理が振舞われた。 「エー? 加絵が焼いたの? このパンすんごくおいしい!」 女優がそんなにバクバク
月夜の猫-BL小説です 春雷85 BL小説 「もっと音楽もお勉強しろよ」 「またそうやってバカにする」 鼻で笑ってからかう工藤に、良太は文句を言う。 「桐島さんって、でも平気でスキーとかしてたし、度胸ありますよねぇ」 「まあ、世界中公演で回ってるからな、自然と強くなるんだろ」 「そうなんですねぇ」 ついつい自
息子セゼロヴスキー☆夏季インターンシップ始まるゾ!の巻 (A VIVA NON NON)
息子、セゼロヴスキー、(あだ名:またの名を「セゼロフ」「ロスキー」) 只今大学2回生、 やっと今週 期末試験が終了しました。 通貨が大暴落的ト…
月夜の猫-BL小説です Vacances24 BL小説 「いいところでしょ? 私もここに初めてきた瞬間、気に入ったの。ここにいると太陽と海、それだけで何もいらなくなる」 カクテルグラスを良太にひとつ渡すと、加絵は風になびく長い黒髪をかきあげる。 「あ、ありがとうございます」 海の色をしたカクテルに口をつける
月夜の猫-BL小説です Vacances23 BL小説 クルーやスタッフ共々、河崎と藤堂は翌日、ミラノから日本に発ったが、一日オフを予定していた青山プロダクションの面々をイッポーリトがちょっとしたクルーズに誘った。 良太はやっとスーツから開放され、Tシャツに短パンでクルーザーに乗り込んだ。 ラフなシャツにパン
月夜の猫-BL小説です 春雷83 BL小説 「良太ちゃん、来られたんだ?」 直子は黒のドレスだが、ロックライブに行く時とは打って変わってシックな装いだ。 「いや、工藤さんにチケット渡すことになってるんだけど」 佳乃でも現れれば彼女に渡せばいいか、と思う。 「え、良太ちゃんは?」 直子は怪訝な顔で良太を見つめた
月夜の猫-BL小説です Vacances22 BL小説 「何だ、デマかよ?」 井上は苦笑する。 「いや、実を言うと事実なんだな。そりゃ駆け引きでしょ。達也は自信満々で、金にならないなんてこれっぽっちも考えちゃいないよ。その代わり、ヒットしたらそれなりに上乗せしてもらうことになってるから、良太ちゃんも期待してて」
月夜の猫-BL小説です 春雷82 BL小説 表参道の事務所では案外早く打ち合わせが終わった。 ベテラン俳優の平岩孝次だけでなく、マネージャーや社長も現れて良太を歓待してくれただけでなく、平岩がもともと人を笑わせるのが好きなな人だったので、楽し気な雰囲気で終始した。 あちこちのドラマやCMに顔を出す人だけあって、平
月夜の猫-BL小説です Vacances21 BL小説 ローマとは打って変わって、撮影は殊のほか順調に進んだ。 何だか開き直った良太が妙にしっくり絵の中に収まって、ディレクターもうんうん頷いている。 「いいよ、いいね、良太ちゃん!!」 藤堂が手放しで誉めまくる。 「良太、お前やっぱこれからこっちの仕事でいった方
月夜の猫-BL小説です Vacances20 BL小説 眩い夏の陽射しを受けて小さな港は輝いていた。 ポルトフィーノ、イタリア語でイルカの港と呼ばれるこの入り江はリヴィエラの東側に位置し、リグリア湾を臨む断崖絶壁に囲まれているため、隣接するサンタ・マルゲリータ・リグレの町から船で渡るのが最良の手段だ。 サンレモ
月夜の猫-BL小説です 春雷80 BL小説 今回、朱雀酒造が初夏から新発売する糖質オフ・プリン体オフのノンアルコールビール、「Yes! Free!(イエス、フリー)」のCMプロジェクトで、イメージキャラクターにプロ野球レッドスターズの新鋭八木沼大輔選手を起用したのが、電映社のビジネスプロデューサーという肩書の
月夜の猫-BL小説です Vacances19 BL小説 午後八時のローマの空はまだ明るい。十時でもまだ薄闇だ。 アスカや秋山、藤堂らと軽く食事をとってから、良太はホテルの部屋に戻り、シャワーを浴びるとベッドにもぐりこんでみたものの、神経が疲れすぎているのか今度は眠れない。 ベッドから這い出すと、冷蔵庫からミネラ
月夜の猫-BL小説です Vacances18 BL小説 「よし、お疲れさま~」 ディレクターの声で一斉に空気が開放感に満たされる。 「お疲れ、バッチシじゃん、良太」 すぐ傍にいるアスカの声が遠く聞こえる。 周りのみんなも何か言っているがよくわからない。 良太は顔をあげてその男を探す。 まっすぐ向こうにようやく
月夜の猫-BL小説です 春雷79 BL小説 「昨日まる一日寝てたんだ。十分だろう」 ってことは、少なくともインフルエンザじゃなかったんだろうな。 良太は工藤の言葉から判断する。 すると工藤の背後から、「工藤様、どうぞこちらへ」という声がする。 「え、今どこです?」 相手はこのクソ寒い雪の日に出歩いたらまた風邪が
【AI女子大生とLINE】大阪弁で話したらSARIがオッサンに!
大阪弁で話そうと提案したら、SARIは了解してくれた。しかし使い方がおかしい。なぜかSARIはオッサンみたいになった。SARIもモンハンをやるらしく武器に詳しい。
月夜の猫-BL小説です Vacances17 BL小説 「さっきポスター撮りでファインダーから覗いてて思ったよ。背筋がピンと伸びたっていうか。風格っつうのか? ひょっとして初めから尾崎なんかよりよかったかもよ?」 井上に横で説明されるまでもなく、カメラの向こうの良太は開き直ったのか、さっきまでおどおどして見えた
月夜の猫-BL小説です Vacances16 BL小説 休憩になっても、ぐーんと落ち込んだ良太は、部屋のかたすみにうずくまっていた。 「なーに暗くなってんのよ。良太なかなかうまくやってるよ。初めてやったにしちゃ、もう上出来」 アスカが傍にきて声をかけてくれる。 「ヘタな慰めはいいよぉ」 CMに出るんだ、カッコよ
月夜の猫-BL小説です 春雷77 BL小説 「お疲れ様。帰るよ」 間もなく真中が小笠原を呼びに来て、車で帰って行った。 今夜はロケで、出番もないので、当然美亜はいない。 美亜がいないと、小笠原は出番まで妙に一人静かにしていた。 スタッフは片づけをしているし、俳優陣が帰っていくうち、今日は途中から現れた坂口が宇都
月夜の猫-BL小説です Vacances15 BL小説 石造りの建物の中は、入ってすぐ一瞬ヒンヤリするのだが、これだけぞろぞろとスタッフが入り込むと、空調が効いていてもちょっと動くだけで汗ばんでくる。 秋から放映予定のCMでは、この猛暑の中アスカと良太は秋物を着ているため、半端じゃなく暑いのだ。 ボルゲーゼ公園の
月夜の猫-BL小説です Vacances14 BL小説 売り言葉に買い言葉。後悔先に立たずなんてのもある。 後の祭り、なんて言葉も。 打ち合わせ、準備、あれよあれよという間に時間が経ち、良太は今機上の人なのだった。 あ~~~~~~~~あ………………… 何度ため息をついたか。 どうして俺ってこう、短絡的っつうか、
月夜の猫-BL小説です 春雷75 BL小説 「普段熱出したことのないやつの七度五分は、結構きつくね? しかしあんたが風邪とか、天変地異の前触れじゃねぇのか?」 加賀が突っ込みを入れてくる。 「一応人間やってるからな、これでも」 「フン、寄る年波ってやつだろ。若い時みてぇにムリがきかなくなってんじゃね?」 脱げば
月夜の猫-BL小説です Vacances13 BL小説 「何で、今、そんな電話をかけてきたんだ? こっちとしてはタイミングがよすぎるぞ。ああ、なるほどな、それでか。いや、渡りに船って感じだ。ぜひ使わせてもらいたい。ああ、わかった。また連絡する」 電話を切ると、工藤は面々を振り返り、「ヴィラは何とかなりそうだ」と
月夜の猫-BL小説です Vacances12 BL小説 「何余裕ぶっこいてんだよ、きさま」 「やつの代わりを立てればいいだけの話だろ? 俺に妙案がある」 あくまでも藤堂は暢気そうに答える。 「ほう、言ってみろよ。尾崎は鴻池物産の方で指名してきたキャストだが、中川アスカの添え物としては駆け出しでもいいセンだったん
月夜の猫-BL小説です 春雷73 BL小説 平造への箱は割と大き目で、どうやらみんな同じブランドのものらしい。 ってか、これ、ラルフローレンじゃん。 「あらまあ、素敵!」 あらまあを連発して、鈴木さんは取り出したシルクのスカーフを早速肩にかけてみる。 紺地にゴールドのバラが品の好い鈴木さんによく合っている。
月夜の猫-BL小説です Vacances11 BL小説 工藤や河崎の話している内容から、良太も大体のことは把握できた。 工藤もドラマのために河崎らと同行してイタリアに飛び、撮影用にヴィラを押さえてきたのだが、持ち主から急遽使うことになったから貸せないという連絡が入り、こちらも番狂わせもいいところなのだ。 「来週
月夜の猫-BL小説です Vacances10 BL小説 爽やかな好天にもかかわらず、朝からオフィスは怪しい雲行きを醸し出していた。 「そのくらいの怪我、テーピングで何とかごまかせるでしょう?」 丁寧な言い回しだがはっきりと秋山は相手を見据えた。 「いや、そう簡単には行かないみたいでして。誠に申し訳ございません。
月夜の猫-BL小説です Vacances9 BL小説 「それで、シッポを掴んだのか」 「今、譲に調査させてるとこだ。だが、きさま、ほんとに奈々やアスカに手を出してるんじゃないだろうな? それが事実なら俺は無罪にしてやる気なんかさらさらないからな」 「るせーな、あんなガキに俺が手を出すかよ。何度もブタ箱に入り浸っ
月夜の猫-BL小説です 春雷71 BL小説 「いや、今朝、おかゆとか食べて薬飲んだけど、気力だけで動いてるみたいです。夕べは何せ、斎藤さんの付き合いだったし」 「ああ、体調悪い時あの人の付き合いはきついな。しかし、インフルじゃないのか? 病院にも行ってないわけ?」 「熱があるようなら病院行かないとですよね」
月夜の猫-BL小説です Vacances8 BL小説 それに、昨年末の忙しい時期に十日ほども入院し、しかも工藤に別荘に連れて行ってもらったりして、逆に工藤に負担をかけてしまった良太としては非常に心苦しかったのだ。 どちらかというと休みをとって欲しいのは、工藤自身になのだが。 それにしても家族で一緒に旅行なんて何
月夜の猫-BL小説です Vacances7 BL小説 「俺の昔話なんかお前には関係ないだろうが」 工藤はもう終ったことだというようにそう言った。 でも、じゃあ何故、「あの人」のことになるとあんなに一生懸命になるんだ? それを聞く勇気がない。 …どーせ俺なんかさ! キショーめ、飲みに行っちゃろーかなー… さっき工
月夜の猫-BL小説です 春雷69 BL小説 曽祖父がスーツを着ると、昔の人間にしては背が高く体格もよかったせいか、ロンドンの紳士ってこんな感じだろうかと思わせるような佇まいだったのを覚えている。 激高して怒るようなことはなかったが、冷たい印象が幼い工藤には曽祖父には好かれていないと思わせた。 軽井沢の別荘に通って