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そのころ薫が何をしていたかというと―――。 母の入道の宮が体調を崩したので、石山寺に籠り誦経や祈祷の最中であった。浮舟の事は常に気にしてはいたものの、誰も知らせるものはいない。 宇治の山荘を警備していた内舎人とその一党は、 「さすがにこの一大事に、京から使者の一人も来ないと...
ColBase:伊勢物語 鳥の子図 新しい年が明けた。 まだ春のきざしは見えず、川はすっかり凍って水の音すらしない。あまりの心細さに、 「貴女に心惑わされたが、道には迷わなかった」 という匂宮の言葉を思い出す浮舟。恋心は枯れ果てたが、その時の場面だけは心に焼きついている。...
右近です。 匂宮さまの使者に引き続き、薫さまも直々に宇治にいらっしゃいました。やはり同じように詳細を知りたいとの思いです。道中で過去の記憶を一つ一つ拾われて、 (いったいどういった宿縁で、あの八の宮親王のもとに来ることになったんだろう。こんな……あの頃は存在すら知らなかった人...
「ねえねえ右近ちゃん」 「なあに侍従ちゃん。って、久しぶりねこの冒頭」 「ほんとそれー、怒涛の展開だったもんね。メッチャ若い設定の『侍従』役もいい加減つかれたよーん(ゴローン)」 「大して変わりないじゃん。で、何?何か言おうとしてなかった?」 「あ、そうそう。この間、式部卿宮がお...
浮舟が髪を下ろしたその時。 少将の尼は自室に下がり兄の阿闍梨と談笑、左衛門も知人の応対中であった。久しぶりの僧都一行の訪問につけ、旧交を温めるのに忙しかったのだ。 ただ一人、浮舟の傍で成り行きを見守っていた女童のこもきが、 「こんなことが!」 と告げに走った。慌てて尼たち...
引き続き、三条宮邸より少納言です。よろしくどうぞ。 あれからまもなく、女一の宮さまから二の宮さまへと文が届きました。その手蹟は実に見事なものでしたので、 (期待通りだ。もっと早くにこうしていればよかった) 薫さまは密かに胸を熱くされたようです。 后の宮(明石中宮)さまも美...
琵琶湖から見る比叡山:比叡山延暦寺HPより 小野の尼君の亡き娘の婿はこの時、近衛中将となっていた。その弟・禅師の君は横川の兄僧都の弟子として山籠りしている。中将は他の兄弟とともにたびたび比叡山を登ったが、その前後に小野の庵にも立ち寄ることがあった。 この日、久しぶりに中将一行...
九月に入ると、小野の尼君はまたもや初瀬詣でを思い立った。 亡き娘を諦めきれないまま寂しく心細い山里暮らしを長年続けていたところに、降ってわいたような浮舟という存在―――尼君にはとても赤の他人とは思えなかった。兄僧都には否定されたが、やはりあの時詣でた観音の効験にちがいない、な...
月が変わり、四月十日になった。 (本当なら今日、宇治から浮舟を迎えるはずだったのに) 薫は尽きせぬ悲しみを噛みしめる。 実に物悲しい夕暮れ、庭先の橘がやさしく香る中、ほととぎすが二声ばかり鳴いて渡っていく。「宿に通はば」―――亡き人のところに行くのかと独りごちても物足りない...
こうしてお世話するうち四月、五月と飛ぶように過ぎ去りました。が、一向に良くなりません。わたくしは心配のあまり兄僧都に文を送りました。 「やはり一度山を下りて来ていただけませんか?この人を助けて下さいませ。何にせよ今日まで命がありますのは、死ぬべき運命ではないんですわ……きっと何...
「ねえねえ右近ちゃん」 「なあに侍従ちゃん」 「自分で語っておいてなんだけど、『遊仙窟』ってなんなんコレ。何で皆知ってる前提なの?!」 「七~八世紀ごろの唐の詩人さんが作った短編らしいよ。遣唐使が持ち帰ったんじゃないかと言われてて、万葉集にもよく取り上げられてるから、古典の嗜み的...
相も変わらずの薫と匂宮周辺はさておき、物語は時を少し遡る。 浮舟が姿を消した三月下旬―――。 いったいどういったお導きであったことか。今思い出してみましても、まるで春の夜の夢か幻―――齢五十も過ぎてまいりますと、不思議な巡り合わせのひとつやふたつ経験するものでございますが、...
お香で“雨夜の品定め” 松栄堂の『源氏かおり抄 帚木 品定め』
おつかれさまです。 ぐずつく天気が続きますねえ。 今年の梅雨は、ダラダラと長そう…。 ということで、 今日は、雨の日のお家時間が、少しだけ楽しくなるお香を紹介します。 「源氏物語」で、光源氏が十七歳の夏。 五月雨がつづくある夜に行なわれた“雨夜の品定め”。 その“雨夜の品定め”をモチーフに、理想の女性像を香りに見立てたお香。 『源氏かおり抄 帚木 品定め』 約300年前、京都に創業した香の老舗「松栄堂」で購入しました。 五月雨の夜、光源氏、頭中将、左馬頭、藤式部丞が、理想の女性や恋愛観などを語りあった“雨夜の品定め”。 なんだか、楽しげ。 男だったら、お仲間に入れていただきたい!理想の女性像を…
※2019年の旅行でござる ー 清凉寺(嵯峨釈迦堂)本堂 ー さて、 「源氏物語 ゆかりの地 棲霞観跡(清凉寺)」とな。 特別公開もあるにゃ。 ほんじゃま、せっかくなので、
連チャンでバンバンアップしてすいませんm( _ _ )mこういう日だと思って諦めてください╮(´-ω-`)╭天龍寺さんの庭園満開の枝垂れ桜ほんと素敵ですよね竹…