愛と悪 第七十章
天にいるきみは、三股の麓へ。エホバ。砂漠へ向かう全てに対して、グッド・バイ。そして独りで、砂漠へ向かう。別々の太陽へ、水平の波を削りながら血迷う在りし日の綻び。彼は今日死んだが、明日は眠っていて、昨日は生まれる。君が夕べ、削ぎ落とした者たち。自由の果てで、善悪を喪う。夜が終り、何もなくなる。君は殺される為だけに、生まれた。偽善者たちよ。君は愛されないまま、死ぬ。荒野の果てに、父と母と子の交わりの悪夢のなか。今日望んだ者たちは死に、明日求む者たちに、栄光の、ファラリスの雄牛を。夜が終り、誰も彼も、夜を失う。まだらに溶け合い、肉と灰が、ひとつの絵を描く。それを観た一人の芸術家が、自分を殺す。美しい陽溜まりのなか、枯葉が彼を覆う。風は音を拒み、静かな夕闇がそっと彼を撫でる。消えかける日が、最後の言葉を拾う。際限なく、...愛と悪第七十章
2022/11/16 11:17