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星屑の海を駆け抜けた巨体 Dendrobium(デンドロビウム)
の中身の機体STAMEN(ステイメン) 前記事に引き続き0083 STARTUST MEMORYに出てくるGP…
Master Grade、その名の恥じる出来のMSとは? 型番MSZ-006、機体名称『Z GUNDAM』 PGのZガンダムは唯一無二の光るBeam saberが付属しているのだが、組み立て後の電気的接点が悪く点灯しない。PGという名を冠しているのだからZガンダムの象徴といえる武器の『Hyper-Mega-launcher』は付属してほしかった。 ので・・・、はやりの3D Printerで自作してみたのだが、一般人で購入できるような3DPでの出来栄えは満足できるものとはいいがたい。 MG Z Gundam Ver.Kaの完成後の見た目は作中の見た目通り、細身で格好良いが、直立姿勢で自立すること…
MG MSZ-010 ZZ GUMDAM VerKaは1999年にMGの24番目に発売されたZZから約20年もの歳月を経て再構築された製品である。重武装でありながら細見を感じるカトキハジメの手掛けたMG ZZの完成後の姿は格好いいの一言だ Beam saberの大きさに圧巻。 光る改造の明るさも鮮やか 額のHi-Mega-Cannon発光再現も試みてみた VerKaでなぜにFull Armorを出さなかったのか?他部品流用でFA化。MSVの白一色よりは作中の色のほうが好みなので資料を漁りながら塗装を行う。 このほうがやはりFull ArmorZZらしい格好良さだ VerKa Zに続いてVerK…
はじまりはこれだった ゲーム中のSS(スクリーンショット)にセリフを付けたら本当にキャラたちがそんな感じに見えて来た これで終わりのつもりだったのにクラン外…
夏季に打ち出された節電計画の影響で可動の停止が続いていた改札左脇の大画面は,夏の冷房による電気使用量の逼迫の危険が解消されたのか、いそいそとまた電力使用に踏み切った様子。それほどの急を要する情報が流れているわけではない画面、映像や画像は企業や商品の宣伝及び広告である。天気やニュースの字幕が常時縦と横に、見づらさの配慮をまるで無視。とにかく伝える、知ってもらう意識が強い。必要そうだから、という理由が画面を作り上げた大本の決断。いや、決断ではない、惰性的な継続に違いない、と店主は感じ取る。 後続が先頭を押し出しす地下道のドアが半開き、閉りきらないうちに受け取る。 風が吹き込む階段付近はやはり少々肌…
今までのブログ記事から趣味関係のものを集めてみました レイジの趣味はクルマ、旅行、読書、映画、音楽ミラーレス一眼で写真を撮ったりたまに絵や小説を書くこと そ…
旺盛な食欲は、冬を越す動物にとって欠かすことがあってはならない、秋の通過儀礼のようなもの。とにもかくにも、しかし人はよく食べる。それは秋に限った食事ではまったくなく、毎日、目の前で繰り広げられる食欲を満たす、午後への明日への、はたまた今日のご褒美としての、通年に渡る人の業の元に日々繰り返される。空腹を作ってみたい、とは思えないらしい。それが<何よりの食事>を高める効能とは知っているくせにだ。咎めたりはしない。お客への食事の提供が私の生業である。 肌寒い。秋の気配はひしひしとにじり寄る、昨夜はついに長袖を羽織った。しかし、まだ地下鉄入り口の街路樹や民家の庭木、遠方に見えるかすかな山々の彩りは、緑…
暗闇に火の玉を作る巻紙と葉っぱ。赤の近くは明るく、しかしその周辺は、側溝を越えた向こう側の闇より深い。灯台の真下が最も暗いことと類似。 かき消した明るさ。もう視界は煙草の色を捉え切れない。 明るければ私が見られ見えて、しかし近辺の闇を漆黒に染める。 片や、闇と手を組むと、それ、みたことかと明かりが無鉄砲な振る舞い。 ただ、ひっそりと暮らしたかっただけなのに……。 悲観的、感傷的な私は久しぶりの対面だ。アイドリングのエンジンが再始動。賢い機能。 環境のため?いいや、売れるため、買ってもらうため、それは生き残るための明かり。 照らさなくは、取り込まれ、明かりにかき消されてしまう。 仕方ない。しょう…
数時間ぶり、彼女は運転席に乗り込むとすぐさま煙草に火をつけた。灯り。ぱあっと、顔を照らす。マッチを引き出した灰皿に投げ込んだ。煙を吸って、ため息。行きがけに買ったペットボトルのコーヒーはすっかり汗もかき終わり、常温と仲良く手をつないでいた。 フロントガラス越しに空が見渡す限り瞬いていた。先ほどまでの曇りは嘘のよう。 この空をいつまで、あと何回みられるのか。 差し迫った残りを数える時に達してしまった。 平均的な寿命を知っていたからこそ、計れるのだ。 少ない、だから悔いを残さず使い果たす、むさぼりつくしてまだ足りないのか、貪欲で獰猛、鈍重にして動天。 しかし、私はそうは思えない。限りがある、生まれ…
「あの男は誰だ!会社の屋上で、何をしてやがるんだ?」独り言を男は呟く。 「どうされましたか?」極めておっとりとした口調を心がけて私は訊く。「あの、申し訳ありませんが、私、あなたの命と私の命をそれほど長くは維持できませんことを、理解してますか?」 「大丈夫、大丈夫。進路に障害物の高層ビルはこの先にはありません。あっ!あいつ」声を上げた男に視線を移しつつ、私は左手で操縦桿を握り直す。そして、顔を男へ向ける。 「今度は何が起こりました?」 「屋上の人間が持つのは新商品の腕時計型端末ですよぉ」悲痛な訴え、垂れ下がった両目で彼は言う。「ほら、みてください、青と紫に光っているでしょう?」 「ここからでは、…
電飾が明滅を繰り返す。はじめ、それは店が要求した催しであるかに映ったが、きらびやかな夜の街は閉鎖された工場のように活動をひっそりと控えた。目にも留まらぬ速さで、引き際が肝要であることを、互いの関係性を今後も保つ術を知りえた、巧みな人生のジャンパーであるかのように。 「余興にしては、規模が大きすぎます」男の冷静な指摘、しかし焦りが二割ほど含まれる。 生命の営みだった一面、電力の供給が途絶えた。停電だ。彼女はファインダーを覗く。 「まずい、まずい、マスコミのカメラに何も映らないぞ。新製品のお披露目が台無しに……。まったく、何を考えてっ、だぁからあれほど確認を取るようにいったんだ」 とはいうものの、…
【SS小説】丑三つの刻 (その19) いつだってアデンの空は蒼かった。〔最終話〕
「え?・・・落ちない」チビちーが不思議な顔をした。と、そのとき、ゆたゆたの横で、レイジがむっくりと立ち上がった。 「え、えぇぇぇー?!」と、みんなの驚愕にちか…
「もっと上空は星が見えるでしょうね」彼女は突き出た前面の透明な板に顔を押し付けた。 「急に動かないよう、お願いしますよ。走り回ってさっきみたいにこの高さでバランスを崩したら、安全の保障はできません」男の口調に若干ではあるが、支配欲が垣間見えた。柔和な顔とうっすらと生やした無精ひげは、彼が作り上げた仕事上、生活上、あるいは金銭授受のための態度。ほっとした安心の隙間を縫って登場する本質までは気が回らないらしい。緩めた心理を自身が観測する道理は必然性を持たない。自分ひとりでは不可能な手技。もう一人を作らなくてはならない。人は欲そうやって自分の中に数体を飼いならしているものと、思い込んでいた過去が懐か…
今までも「文章を書くのが好き」「いつか小説を書き上げたい」と、ことあるごとに述べてきました。しかし、『好き』と『得意』は哀しいかな別物なのですよ。中学2年ごろから高校生までが1番のピークで、その後は文章能力が落ちていく一方。特に40代後半からは低下が著しい
彼の言う、商品とは、世界に流行の嵐を巻き起こした腕輪であった。外見は通常私たちが身につける、時刻を確かめる機器であるのだが、内実は通話機能を体内で補完してしまう画期的な機能が盛り込まれた、次世代型の通信機器である。着信や音楽といった音は振動に変換後、体内を伝い、気道内の鼓膜付近で音が作られ、人の耳に届く。第一号機に見られた、音の伝達速度の遅滞は今回の新機種では解消されているとのことであった。S駅の構内の掲示板が情報源であり、私自身が積極果敢に取得したのではないことを、名誉のために弁解しておく。 時刻は午後九時を回る。駅前通りの一本隣にブルー・ウィステリアの日本一号店が見えた。飛行船は南に下る。…
「下界と見間違えたのね、大昔の王様は」助手席の彼女は足を組む。 「人が小さく見えたのでしょう。実際に」 「さてさて、この遊覧飛行はいつまで続くのかしら。まるで見当もつかない。そもそも、あなたが呼び出したのよ。もったいぶってないで、私と二人きりになりたかった理由とやらを教えて」彼女は片目を閉じる。けれど、操縦桿を握る機長の視線は前方と彼の右側の窓にばかりに向けられる。こちらへは一度、機内へ足を踏み入れた、牧場の平らな高台から乗り込む際に顔を合わせてから音沙汰もない。彼女にしては、好都合ではあった。なぜなら、正体を知られては支障をきたす仕事が彼女の役割、役目、押し付けられた役職と組織内での役柄。外…
その年の夏に私は大学を辞めた。曲を作り、送り出して歌う。その繰り返しに学業は不要と判断を下した。フェス?そんなものには興味が沸かない。だって見てみてよ、盛り上がっている人は、その場しのぎの興奮に踊らされているだけなんだから。 定期公演を開催する私は毎週末、歌っている。場所は週によって各地に移転はするけど、開始時間と終了時間は変わらない。収容人数も適度な人数に保つことにしている。もっと増やして欲しいとの声があったけれども、私が届かなければ意味が無い。豆粒にしか見えない私だったら威力は半減してしまう、そう考えているからとスタッフに答えておいた。 様々な歌手から活動に誘われたけれど、全て断った。だっ…
講義が迫っていたので公園を出て、交差点の信号で待っていると、サインを求められた。いつまで飾られて崇められるのかを書いている時に考えた。少女の顔は一様に嬉々に満ちて飛び跳ねそうなぐらい感情がほとばしっていた。サインはいつも答案用紙や申込用紙に書く時と同様の文字と決めている、だって殴り書きで誰が誰だか判別に難しい名前は名前とは認識できないだろうから。 午後の講義の長いこと。ただ、話は興味深く移動時間の暇つぶしには最適だった。週末、金曜。今日は夜までレコーディングだ。終電で帰るつもり。曲は精力的にというか、日々作詞作曲の毎日。それがいつだってギターを手に入れてから私の日常だ。苦にはならない。あなただ…
電車がホームに侵入、ドアが開いて買い物客が吐き出された下りの車内は空いていた。席につき窓からホーム眺める。子供が親に訴えている様子。ベルが鳴ってドアが閉まる。ホームを飛び出た電車は晒されて内側がひりりと痛むようにレールと車輪が摩擦、むき出しの表皮は敏感で同調が容易いようだ。幸いなことに目に入らない限りは平穏でいられる。 自宅までは極力、目を合わせないように隠れるよう注意して、揺らめくアスファルトの坂道を目標に家路についた。 夏休みがきっぱりと休暇に別れを告げて、機械的な日常に舞い戻った。長袖を必要とする時期に一度、そしてジャケットを必要をする時期にもう一度コンテンストに応募した。どちらもポディ…
汗を掻いた。それでも、近くのベンチに座っていると汗が体温を奪って涼しさが増した。 第一の予測は外れてはいなかった。 子供が親に手を引かれて歩きたい速度を上って忙しく足を回転。 立証には数回の実証が必要不可欠となる。 それでも笑顔で置いていかれないように速度を維持。 私は何がしたいのだろうか?何度も湧いてくる疑問である。 黄色の出っ張りで躓くが、宙に浮いて手が空に引かれると着地でまた同じ速度。親は右手の機械に夢中。 わたしそのものでいたい。 子供はアピールをはじめた。手にぶら下がり、止めようとする。しかし、親は遊んで欲しいと勘違い、片手間に上下運動で応じた。そうじゃないのに。 子供と視線が交差す…
二度も同じことを言うのは面倒であるが追いかけてきた労力に免じてこたえる。「ですから、契約はしません。聞き間違えでも頭がおかしくなったのでもありません。だったらどうしてコンテストに出場したのかとお聞きになると思うので、前もって言っておきますと、賞やレーベルとの契約にははじめから興味がなかったからです。ご納得いただけたでしょうか?」 「誰もが夢に見ている、確実にあそこで歌った人はあなたのようにグランプリを獲得し歌手として大成したいと思っているんです。なぜです?あなたなら、第一線で活躍する可能性を秘めている、いいえ絶対に売れます」整った呼吸で今度は早口で審査員の男は説得し始めた。 熱い、真っ直ぐな想…
私の名である。 時が止まった。 私の両隣が拍手をむける。選ばれなかったのに相手を讃えている。 前に出てマイクを手渡された。司会者とのやり取り、それから審査員からの称賛、盾と賞状の授与、最後に一言感想を求められた。 正直に話した。驚きも感動もない。ただ、味わったことのない状況に戸惑っている、そうスピーチ。対象物のはっきりとしない、ありがとうは語尾に付けなかった。座りがいいのかもしれないが、私にとっては邪魔で不要な装飾品だった。 控え室に戻ると初対面の笑顔が何十人も正体不明の握手を携えて代わる代わる近づいては離れていった。どうも、はじめまして、私の名前は知っているはずなので、話すことといえばそれぐ…
レイジはいま 趣味で小説を書いていて「カクヨム」とかに投稿しています 昨夜 新しいアイデアを思いついて文章作成AIを使って小説を作ってみましたそのAIは タイ…
出場者が壇上に集められると咳払いの司会者が授賞式の発表を宣言した。大仰な物言いで肩書きに乗っかる人物達の中身の無い、心の無い挨拶が三人も続き、発声者が司会に戻って審査結果の報告を述べた。受賞は、グランプリ、準グランプリ、特別賞、ライドン賞の4つである。ライドンとは音楽雑誌の誌名で、そこの編集長の好みで選ばれる賞を指している。宣伝なのだろう、こちらに見えるように最新号の表紙が机上のネームプレートの隣に立てかけてある。司会者は各賞に選ばれた者が次号の記事に載るのだと、語尾を上げて伝えた。 グランプリ以外の賞が選出、該当者はそれぞれ一言、感想を述べるシステムらしく三人とも目に涙を浮かべて家族や友人、…
「独学です」手取り足取りだと指導者のコピーにしかならない。一定のレベルまでには最短のルートでも、独り立ちには鉄壁の防御でこれまでの道のりが牙をむく。 「私は今日ここへ来て、良かったとはじめて思えました。いやあ、あなたは素晴らしい。オリジナルの曲ですか?」白髪に爽やかなスーツの紳士が子供のようにはしゃいだ表情で感想を述べた。私の前の参加者は、直接感想を言われていない。 「はい」表情をそのままで答えた。 「面白いと思います。あなたは、型にはまっていない。自由で独創性にあふれている。探していたのはあなたのような人材です。いやあ、本当に素晴らしい」称賛がもたらされるけれど、今ひとつ嬉しさはこみあげてこ…
全身の力を抜く。ゆらりと蛇のようにくねくねと捻る。肩の力は一旦力を込めて脱力させれば、本来の性能が回復。全ては中心から外部へ。前屈みの頭は根本から引き起こして茎から意識を削ぐ。ぴょんと跳ねて踵の存在を明確に。 一人が呼ばれた。次が私。 息を忘れていたので、吐きだして。 宙に浮いてる気分、視界は良好。目指すはステージ。肩を叩かれる。広げた手で案内状の到着。 幕が垂れた隙間をくぐってステージ袖へ移動。傍に合図を待つスタッフが私の出動にきっかけを与える役。 左右にステップを踏むスラっと伸びた足元が視界に入る。 音が停止、演奏が終わったようだ。歌い手が袖に下がる。泣いていた、感動かそれとも失敗か。 マ…
「予定通り、十時の開始となります。ステージ袖に次の出場者が待つ形で進行しますので、最初は一番と二番の方がステージに、順に三番、四番の方を呼びに来ます。ここまででなにかご質問は?」緊張からか誰も手も声も上げない。元気の良かった先ほどの質問者も本番を想定したのか表情は固く、顔色が悪かった。 「それでは、もうしばらくお待ちください」発言者が去ると、たいていはがやがやと談笑が始まるが、発声に余念がない人たちは、一人が声を出し始めると左右を確かめてボリュームを上げていき、ギターの音も加わって入り乱れての斬り合いみたいな構図だった。私は離れてギターをケースから取り出す。触っているだけ。声は極力出さないよう…
リモコンで消灯。 そよそよと網戸を通過する風の一団が海から到着。夜は陸から海上に向かって、昼は海上から陸に向かって風は吹くのではないのかと考えつつ、すぐに離脱。常に一定方向に吹くとは限らない。 ギターを体に一部に、ステージに上る私。 ホールは階段上の客席から見下されるステージの作り。最前列に審査員と進行役の女性。壇上に呼ばれて下手から私が登場。会場の隅にこちらを見ている私を配置。その子からステージの私に向けた視線で状況をつぶさに観察。最後列の最上段は表情を伺えない。届くのは声と音と仕草。自己紹介と曲名のアナウンス。もう一人歌い始めに右奥に私を立たせた。あそこまで届くようにとの理想の距離だ。お客…
食後、自室に戻ってベッドに横たわる。 携帯電話の感触がポケットに。財布も。男みたいだと言われる。言われ過ぎでもしかして私は本来は男なのではと勘ぐったりもしたが、そういった同性に興味を抱くことはない。そもそも持ち物が少ないのだ。入れるバッグを携帯しないのは当然の行動だろうが、あいつらには理解できないらしい。何も考えずに流されているからだ。差し迫った必要性を向き合ってはいないから、仕方ないし、こうして私が案じる意味もまったといっていいほどない。 カーテンを半分開けて室内を薄暗くする。外が見てきた。家の裏側は、未開の土地で雑草が生え放題。たまにアランを離して駆けまわる運動場の役割も担っている場所で、…
帰宅直後から倉庫に篭って新装のギターをかき鳴らす。音は許容範囲の歪みを羽織って揺らぐ。ありありとステージで歌う私を思い浮かべての演奏。 座っていたので立つことにした。マイクはさすがに用意できない。跳ね返ってくる音にどう対応したらよいのか。シミュレートで湧き出す疑問の一つ一つをつぶさに解消していく。時間はあっという間に過ぎて明るさの感覚さえも鈍くなって、暗くなればなるほどに内入って、不要な情報が削除され高まる集中力に従い続けていた。 でも、アランの吠えと私の空腹のサインで現状を取り入れ、ギターをスタンドに置いた。立てかけるように保存するスタンドは母親からもらったものである。この歳になって誕生日プ…
「いいえ、ただ馴染んでいないと、思ったのです。お代はいくらですか?」二人の店員を順に見やって会計を催促した。男がギターをケースに、女がレジを打って金額の請求、私は額面きっかりのお金を手渡し、水色のトレーは指を加えて待っていた。 立ち去ろうとして申込用紙の提出を思い出しポケットから四つ折りにたたまれた用紙を短髪に差し出す。本当にいいのかと無言で同意を求める眼差しで相手はこちらの顔を覗く。当たり前ではないかと、堂々瞬きをこらえてと言うよりかは、つまりもっと内生的に先々のビジョンを想像して送り出したら、相手は大きくゆっくりと自然に瞼がまたたいて折り返して開き、頷いた。隣の女性にも軽く会釈をして店を出…
「はい」何の迷いもなく短髪の店員は回答。そこで二人の間に空白の数秒が訪れて時をさらっていく。 「何が違う、どこがいけない。なぜだ」食いかかる男の手が今にも短髪の店員にかかろうかという時にレジの奥から返答が得られた。 「ビジョンが見えないのよ。有名になりたい、テレビに出たい、好きな事でお金を稼ぎたい。どれも抽象的で近似の出来事だわ。彼女はあなたのスケールの何倍も先に想像を巡らしているの。実力や自信があればコンテストにはそもそも出ない。そんなことよりも通過点としての位置づけで審査員の評価なんか気にしていないの彼女は。あなたは、認められたい、名声を得たい、すごいですねって持ち上げて満足気でニンマリと…
<血盟ニュルンベルグの地下の牢獄にて> 剣を通さない強靭な外皮をもつ悪豚卑(アントンヒ)の喉元に突き立てた、風華夢(フーカム)の剣は折れてしまった。 風華夢は…
「お前の一存で俺を省く権利はない」「そうでしょうか?」片目で店員は問い返す。「なに?」釣り上がる男の両目が血走る。「本当に痛い目をみるか」「あまり挑発しては逆効果ですよ」レジの奥からか細い声で女性店員がアドバイスを送る。しかし、短髪の店員は聞き流す素振りで風に揺れる稲穂のごとくゆらりゆらりといなすように相手からの暴言や他所からのアドバイスを受け流しているようだった。並走トラックに吸い込まれるように、権力を握る者には求心力を誇示して人を集める力が備わっているが、店員がコンテンストの主催者側であるのならば、彼から人を従える振る舞いがないのは不思議であった。本来ならば言うことを聞く人間の一人や二人を…
「……お客さん、怒らない、それに私に殴りかからないと約束できますか?それならば、理由を話します」 「分かった。何を怯えてる?私が人を傷つけるような人間に見えるのかい?」不敵な笑みで男がオーバーなリアクション。感情を押し殺している証拠。 「では、遠慮なく」店員は顎を引いて念を押す。「今の言葉を忘れないでくださいね」 「くどい。いいから早く教えてくれ。こっちだって色々と準備で忙しくなるのだから」 「……わたしは選考委員を兼ねていて、あなたはコンテストに出る資格が無いと判断したために応募を止めたんですよ」上げられた店員の顔は清々しく、一点の曇もなく透明であった。 「……具体的に俺の何がどういけないの…
「ぐふぅぅ!」龍神鬼の攻撃をもろに受けて、ヴィシュヌが血の泡を吹き出した。『ヴィシュヌが124のダメージを与えました!』『龍神鬼が426のダメージを与えました…
こちらも商業施設で女性に特化したテナントが多いだろうか。さらに地下に潜って落ち着いた雰囲気の喫茶店に入店した。垂直に近いシートも外の騒々しさと比べたらなんでもない。折りたたんだ用紙に必要事項を書き込む。コーヒーを店員に注文。ボールペンは楽器店で借りてきた物で、無造作にポケットに仕舞いこんでもちろん短髪になった店員の許可をもらっての行動である。黙って持ってきたのではない。 氏名や年齢は紹介に必要であるが、はたして連絡先やアドレスや趣味、特技は必要だろうか。用紙を睨んでにらめっこ、勝敗はつかない。次の空欄部分が記入事項の中で最大範囲、オーディションについての意気込みである。最も無駄。意気込んでいる…
八月の終盤、蝉の活動は控えめに、そろそろ虫の鳴き声も衣替えの時期。雨はしとしと朝方から降り始めたようで雨粒が屋根を打つサウンドで目が覚めた。めずらしく朝食をしっかりと摂取。アランの散歩にレインコートで挑んで帰宅後にギターを弾き始めたら、弦が切れてしまったので楽器店の開店時間に合わせて電車に乗り込んだ。その頃には雨は雲によって落ちるのを抑えられた。地面はまだ濡れていて気化する雨の匂いが夏を感じさせた。 私は開店とほぼ同時に来店した。片側に体重を乗せた姿勢、店員が書類から顔を上げて言う。「早いな」長髪の店員の髪はばっさりと切られていた。 「弦の太さは今回のと同じので張って下さい」カウンターにケース…
汗だくの彼女たちへの声援が鳴り止まなくて、いつの間にか明るいのにペンライトが頭上で振られていた。 集まりすぎて会場に入れないお客が危険を予見させる数を越えたので、公演はこの一曲だけで中止と彼女たちアイドルの口から説明された。 当然のように客からはブーイングの嵐。しかし、チケットは無料でしかも、公演は当日それも整理券配布まではライブの開催は公表されておらず、ただライブを行うとしか記載されていなかったのだ。これ以上何を求めるのだろう、際限のない要求に距離を取りたくなった。 特定されない観客席は暴言の宝庫と化して好きであろう応援している彼女たちに向かっても卑劣で容赦の無い言葉が投げられた。アイドルは…
整理券の配布からわずか数分で、即席の観客席が急ピッチで作られた。券を所持する観客は我先にと、開かれたゲートになだれ込み最前列の確保に余念がない。私はまだ誰が登場するのかも知らないので観客との温度差は歴然として、埋まらない最後方の席に落ち着いた。本来なら前から順々に詰めていくのだが、係員も観客の勢いは止められずに、という状況で私に注意を促したりはしなかった。 開演は十四時と地面に落ち足あとのついたピンクのチラシで知った。 私は、席につく前に出店でラムネを買っていた。からころんとビー玉が瓶を傾けるたびに存在を知らせているようだ。斜めに仰いだ顔で空を眺めてみると今度は空を独り占め、旋回するトンビもし…
拡声器が轟いた。 「これから整理券を配布します。会場への入場には安全を考慮して制限させていただきますので予めご容赦下さい。また、本券は一枚一名の入場です」発券がアナウンスされると、どこに隠れていたのか、人が溢れかえってくるではないか。 ぼんやりと会場を見ていた私は途端に避けてきた人混みに飲まれてしまう。 流れに逆らっても、動きは整理券の配布に寄せられていく。朝のラッシュにみたいに流れに任せたほうが、案外抜けられるかもと思いついてそれからはもうなすがままだ。整理券の列は、係員の呼びかけに柔軟に従い、ステージ前の空間に波を打って蛇腹のように折り返し折り返し出店の邪魔にならないように連なっていく。押…
降り立ったホームは空いていて、地下鉄を待っている人も数名、既に改札で入場を制限しているのかもしれない。目的地までは二駅だった。歩けない距離でもない。これからは乗ろうとする人がホームに増えていくだろう。好まない可能性が想起されると足は勝手に出口へと向かった。 目指す方角がわからなかったので改札を出て、売店の隣の壁面に地図を発見した。改札では流れる掲示板の表示に立ち止まる人が増えていった。 三番出口を上り、光を浴びる。笛の音が風に乗って飛来、古めかしいでも懐かしい音色が体内に無造作に入り込んでかき鳴らす。音のする方へと体が吸い寄せられた。前方の交差点、信号機の更に上の看板に目的地を指し示す駅名を避…
龍神鬼は、両手剣を片手でくるくると振り回しながら、ヴィシュヌの目前まで迫ってきた。 数直線上の攻撃が、龍神鬼にいともたやすく破られた。まさか戦闘中に、自分の唯…
作成にはたっぷりと時間が必要となる。時間を視野に入れないのは堕落を誘発し、時間に追われると紙切れみたいな薄っぺらい曲が世に出回る。 見えないアプローチ。私はどんなふうに弾けるのだろうか? 体感では二駅目に到着してないのに、車両が速度を落とし始めた。ぐらりと体が進行方向とは反対に流れる。つぶっていたまぶたを開けて周囲に様子を確認すると、乗客もきょろきょとあたりを探っている。窓の外は真っ暗でホームにはまったく見えない。 「只今、車両に不備が発生したため、現在運行を中止しております。お急ぎのところお手数ですが、今しばらくこのままでお待ちください。お急ぎのところ誠に申し訳ありませんが、今しばらくお待ち…
「完全に選択ミスね。期待には添えそうもない」 「誰がほかに空いてる奴いなかったかな」言葉だけを聞いていると男性を思い浮かべるが、女同士の会話では頻繁に起こりうることなのだ。だから、男性の前で極端に声色や言葉遣いの違いに敏感なのである。男同士ではどうなのだろうか、虚勢を張ったり、意地やプライドで口調がぶっきらぼうになったりする傾向は認められる。ただ、言葉自体の変化はほんの僅かで、どちらかと言えば異性に対しての場合は感情が豊かになる。わかりやすい態度だろう。普段の何気ない口調はベクトルの向きを読みにくい。 頬杖をついた杏に言った。「いたら私に電話をかけてこない」 杏の時間が止まり、けれどすぐに氷解…
「どこに行って誰と何をするの?」私はテーブルの側面に仁王立ち、即刻本題に入る。 「まあ、まあ座んなさいな。ほれ、お茶でも一杯いがかね」彼女の真っ黒な瞳は輪郭を強調したコンタクト、指先の爪はマーブルチョコみたいなカラフルな色合い。手首のバングルは生ドーナッツみたな黄色。 私達のほかは、二つ離れた席に一人だけであとは廊下を歩いている人。閑散とした構内は新鮮だった。人気の無さは早朝の空気に似ている。 質問に答えない杏を見つめて相手に喋らせる。主導権はこちらにあるのだと再確認が相手には必要だと感じて、黙った。 「そんな、気難しい顔しなくっても気楽に構えていればいいんだって。なんでこう、遊びに行くだけな…
(この書き出しだけで終わっていた小説?実話?) 浅い眠りから覚めると、土の匂いのする草原の上だった。目の前にグルーディオの外壁が見える。おれは軟弱なアバラをお…