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AI技術を用いた死後における精神転送については、霊魂の在・不在の問題と切り離すことが出来ないという難問が立ちはだかっています。霊魂が存在すれば、魂は、天国もしくは地獄に向かうか、浮遊するか、あるいは、消滅してしまいますので、首尾良くAIに自らの意思を移行させられるとは限りません。また、魂が存在しないとすれば、たとえ精密に転送を希望する当人の脳の電子回路を再現させたとしても、同AI自体が自我を持ってしまう可能性もあるからです。そして、もう一つ、魂の存在に関連する問題として挙げられるのが、精神転送に成功したとしても、それは、必ずしもAIの技術に因るものではない可能性です。古来、日本国では、死者の魂の依り代という考え方がありました。神道にあっては白木で御霊璽を、仏教にあっては漆塗りの御位牌をつくるのも、この死生...AI精神転送は降霊術に
ディープラーニングの登場により、マスメディアでは、近未来におけるAI時代の幕開けを予測するようになりました。AIが人間の知性を越えるシンギュラリティーの到来も現実味を帯びており、死後にAIに自らの意思を移行させるための精神転送の技術の開発も進んでいます。しかしながら、この試みには未解明の問題が横たわる故に、必ずしも成功するとは限らないように思えます。自らの意識をAIに移行させるというプロジェクトは、その目的を推察しますと、自己の永遠性を欲する富裕層の願望に応えたものなのでしょう。何故ならば、全ての人々が同技術を用いるとすれば、それは最早人類社会ではなく、事実上の人類の滅亡を意味するからです。地球上に、過去に生命体としての身体を有していた100億余りのAIが並んでいる光景は、あたかも荒涼とした墓場のようです...AIと魂実在論の問題-精神転送のハードル
秦の始皇帝の名を挙げるまでもなく、古来、不老不死を求める権力者は後を絶たず、今日では、グローバリストの富裕層がこの見果てぬ夢を追っているのかもしれません。古代にあっては、薬草や祈祷などに頼るしかしかなかったのですが、永遠の命を求める現代の権力者は、ITやAIというテクノロジーを手にしています。こうした身体の機能を機械化する研究につきましては、日本国政府も、2020年にムーンショット計画を打ち上げています。ムーンショット目標1には、「2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現」とあり、2050年も達成目標として、アバターとロボット技術の融合による「誰もが多様な社会活動に参画できるサイバネティック・アバター基盤」の実現を目指すそうです。同目標では、一人の人が10以上の複数のアバタ...精神転送の悲劇?-永遠の命のパラドックス