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日本国政府は、事あるごとに国際社会における法の支配の確立を訴えてきました。中国、ロシア、北朝鮮さらには韓国など、お世辞にも高い遵法精神を誇る国とは言えない諸国に四方を囲まれているのですから、法の支配の確立が日本国の悲願であるのも当然のことです。日本国政府のみならず、アメリカやヨーロッパ諸国なども法の支配の重要性をアピールしており、先日、訪問先のアメリカで発表された日米首脳よる共同声明でも、日米同盟強化の文脈にあって法の支配の確立が共通の目的として謳われていました。平和的解決という人類普遍の価値を実現するためには、不安定で時にして気まぐれな任意の政府間合意に頼るよりも、法の支配の確立が最も望ましい形態です。全世界において法の支配が行き渡りますと、各国による国際法の誠実な遵守が戦争リスクを著しく低下させるから...‘法の支配の確立’のための戦争の問題
先日、2月23日、ニューヨークで開催されていた国連総会の緊急特別会合では、加盟141カ国の賛成票を得て、ロシアに対する戦争犯罪の訴追の必要性等を明記した決議案が採択されました。同決議案の背景には、アメリカのバイデン政権を後ろ盾とするウクライナのゼレンスキー大統領の強い働きかけがあったとされ、司法を手段としてロシアを追い詰めようとする同国の意向が伺えます。戦争犯罪訴追の司法手段として、国連総会での決議案の採択が試みられた理由としては、(1)ロシアの拒否権行使により、国連安保理における「特別法廷の設置」に関する決議案の成立は見込めないこと(過去のユーゴスラビア紛争やルワンダ虐殺では決議が成立)、並びに、(2)現在、捜査を行なっている国際刑事裁判所(ICC)についても、ロシアのみならずウクライナも国際刑事裁判所...戦争犯罪の訴追はロシア・ウクライナ両国に対して公平に