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ハアハアと走りながら萩野は私に訊いた。 「あっちの市場、いっちゃん行きやすいのはどの道や」 公園の前のバス停から二つ目の停留所の前に市場がある。自分たちは普段利用しない市場だが、何度かは訪れたことがある。 「どうでも行けるがな。どこ回っても似たようなもんや」 「ほな、どう回るんや」 町内を升目に仕切って道路が走っているからどこを行っても距離は同じだ。しかし道の採りようによってはママさんと入れ違えになる可能性もあった。 「乳母車を押してるんやからいきなりバス通りには出やへんやろ」 「ええ推理や、それくらい頭働かせたらお前の成績ももうちょっと上がるんや」 「よけいなお世話や」 走りながら嫌なことを…