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月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人47 BL小説 「アイドルまがいによその学校の女にまで追い掛け回されよったりして、懲りたんやないですか? 弁慶が離れてしもたこともあるしな」 三田村は軽く説明した。 「弁慶?」 速水は眉を寄せて聞き返す。 「ああ、ガキの頃からずっと千雪のガードしてたみたいなやつがいて、大学進
月夜の猫-BL小説です 夏休み4 BL小説 「おお、やっと現れたね、良太ちゃん」 オフィスのドアを開けるなり、能天気な声が良太を出迎えた。 「藤堂さん、いらっしゃい」 「さきにいただいてるわよぉ」 窓際の大テーブルでは、アスカが大きな口を開けてスプーン一杯のメロンをほおばっている。 人気女優があんな大きな口を開
「七未ねえちゃん、美佑ちゃん」 佳踊が練習に出た舞台の袖ですらりとした背中とちいさな姿に声をかけると、美佑が先にくるりと振り返った。「だれ?」という顔で風海をしげしげと見る。まるい顔の大きな瞳が、遠慮のないまっすぐさで風海にむけられていて、そのやわらかな圧にちょっと戸惑った。七未がすこし笑って、美佑を抱き上げて風海の視線まで持ってきた。「風海お兄ちゃんだよ。佳踊の仲のいい友達。美佑、去年も会ったの...
春雷(工藤×良太)90まで、Midsummer Dreamアップしました
春雷(工藤×良太)90まで、 真夜中の恋人(京助×千雪)46まで、 Midsummer Dream エピソード
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人46 BL小説 ………千雪くん? 速水は聞き流せない名前に訝し気な顔になる。 「携帯は切ってるし、家にもいないし、ひょっとしてこっちにいるかと電話したらいるっていわれたから。工藤さん、すみません、ちょっと千雪くんを借りたいんです。緊急で!」 ガタイの大きさに似合わない、甘めの
月夜の猫-BL小説です 夏休み3 BL小説 良太も親の背負った大きな借金という枷がなかったら、この会社に入ることはおそらくなかっただろう。 しかし子供を谷に突き落とす獅子がごときやり方でもって工藤に鍛えられてきたお陰で、世の中どんな災難が待ち受けていようと良太は軽く乗り越えられそうな自信が今はある。 「関西タイ
「風海、受験勉強はどうなの?」「うん、だいじょうぶ。このまま成績をキープしていれば受かるって担任にも塾の講師にも言われてる」「すごいなぁ」 ふっと疑問に思う。義務教育はともかく、佳踊は高校をどうするつもりなんだろう。「佳踊は?高校、行くの?」 のぞきこむようにして聞くと、あっさりと首を横に振る。「いまはバレエに集中したい。いつか大学に行きたくなったら高卒認定試験を受ければいいだけの話だし、いまはい...
「わざわざすいません」 灰谷が席をたち、教室の入口に立つと友樹はニコリと微笑み、小さく頭をさげた。佐藤はといえば灰谷の隣りに立ち、腕組みをし、友樹を上から下まで眺め回していた。 「あの~マコ先輩は?」「真島、いま席外してる」 佐藤は眉間にシワを寄せ、「マコ…」と口の中で小さくつぶやいた。 不機嫌な佐藤のぶしつけな視線に気がついているだろうに友樹は笑顔だった。 「そうですか。屋上ですかね」「ああ。どうだろうな」「屋上って何?」 佐藤が灰谷と友樹の会話に割りこんできた。 「真島が一人になりたいと行くんだよ屋上」「は?知らねえぞオレ」「知られたくねえから一人で行くんだろ」「……」 灰谷の返しにムッツ…
月夜の猫-BL小説です 夏休み2 BL小説 青山プロダクションの主な業務内容は、タレントの育成、プロモーション及びテレビ番組、映画の企画制作である。 弱小とはいえ数人のタレントを抱えたこの会社の社長工藤高広は、自身は敏腕プロデューサーとして業界に名を馳せている。 所属俳優も志村嘉人、中川アスカ、小笠原裕二、そし
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人45 BL小説 「なるほど、それは知らなかったとはいえ、すまなかった。桐島さんのことはそもそも俺の一方的な話だから仕方ないとしよう。だが、そこの彼に、彼女の前で俺を侮辱するような発言をしたことに対する弁明をしてもらうのとは別の話だ」 この男が皮肉屋で性格は曲がりくねっていそう
月夜の猫-BL小説です 春雷89 BL小説 タクシーを降りると、また小雪がちらついていた。 工藤は警備員に挨拶するとエレベーターに良太を乗せて部屋に向った。 「猫にはエサやっとくから、お前はもう寝ろ」 良太と一緒に部屋に入った工藤はすぐにエアコンを入れ、コートを脱いでポールハンガーに引っ掛けると、良太のコートや
《中学校三年生》 中学三年の夏は受験勉強と佳踊に会うことで費やされていった。 風海は成績を維持し、志望校に受かるだろうと担任からも太鼓判を押されていた。けれど、油断は禁物だ。手を抜くことなく受験勉強をしながらも、佳踊に会いに劇場へ足を運んだ。 ひざの故障は治ったらしく、ことしの佳踊は無事に役をもらっていた。しかも、第一幕の最初の場面だ。「風海ー、どうしよう。緊張で毎日、胃を吐きそうなんだけど」と言...
月夜の猫-BL小説です 夏休み1 BL小説 八月の太陽は惜しげもなく力強い陽射しを世の中に降り注いでいる。 夏、summer、夏休みとくれば、海、山、避暑、旅行! 誰の心の内にも俄かに遊びのムシが騒ぎ出す季節である。 いつもはああしろこうしろと席を動こうともしない額が薄くなりつつあるオヤジであろうが、キーボード
練習部屋を七未に教えてもらって覗きに行くと、佳踊がひとりで鏡に向かっていた。フォームの確認でもしているのか、鏡から目を離さないまま跳んで、滑らかに着地する。両腕をひろげた跳躍はほんとうに重力を感じさせない。「……佳踊」 そっと声をかけると、振り返った佳踊が破顔した。「風海!こんなところまで来てくれたんだ」 ちょいちょいと手招きされて気後れしながら練習部屋に入る。鏡に背中を預けて座り込んだ佳踊のとな...
「あれ、マジナカいねえな。連れションか?」 結局オゴらされてしまった灰谷とご機嫌の佐藤が教室に戻って来ると、真島と中田の姿はなかった。 佐藤は席につくなり袋をやぶり、メロンパンにムシャムシャとかぶりつく。灰谷は焼きそばパンの袋を慎重に開け、パンをスライドさせ袋から出すと真ん中にのっていた紅ショウガをつまみ、全体にまんべんなく行き渡らせた。 「ヘンなの。なんか妙なこだわりあるよな灰谷は」「うっせ」灰谷は大きく口を開けてかぶりついた。 二人もぐもぐとそれぞれのパンに集中していたが、しばらくして佐藤が言った。 「なあなあ灰谷、あれ、すごくなかった?」「あれ?」「真島だよ。真島のあの発言」 __いや、…
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人43 BL小説 速水はホテルNのラウンジから自分の滞在しているホテルへと戻る道すがら、京助を呼び出して文句を言わないではいられなかった。 ひどくイラついていた。 あんなガキにしてやられるとは。 あんなガキに。 あの類のガキは躾けなおしてやる必要がある。 世の中そうそう甘い人間
月夜の猫-BL小説です Vacances27(ラスト) BL小説 後を追いかけて、ジェノバで捕まえるしかない、と、工藤はともかくエレベーターホールに向かう。 あの野郎!! 人の気も知らないで! 工藤が荷物を持って再びフロントに現れると、そこには加絵と鴻池が待っていた。 「どうした、慌ててどこへ?」 「いや、急用
月夜の猫-BL小説です 春雷(工藤×良太)87までアップしました BL小説 春雷(工藤×良太)87、Vacances(工藤×入社2年目良太)26、真夜中の恋人(京助×千雪)42、までアップしました。BL小説です。 真夜中の恋人、は、メリーゴーランドより以前の話になります。
「でも、ことしはリラックスして公演のあいだ過ごせるから、いいや。悔しいけどさ」 えっ、と思わず訊きかえしてしまう。まったく、そんな様子は見せなかったのに。「緊張してたの、佳踊」 佳踊がふっと笑った。「あたりまえだろー、自分が失敗したら舞台が台無しになるんだ。一部でも欠けたら完全じゃない。公演のあいだずっと緊張しないなんて、どんな鋼のメンタルでも無理だよ」 佳踊の軽やかな笑顔や、風海とキスするときの...
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人42 BL小説 寿々屋通いが最近日課になりつつあった。 「女将、もう一本」 「はいはい、どうぞ」 女将から酌をしてもらい、京助は厚揚げを追加で頼む。 「この里芋、美味いな」 里芋の煮物は女将のおすすめだったが、この店の煮物はどれも美味い。 味付けや食材など、女将は惜しげもなく
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人41 BL小説 空を見上げると、明るい月がぽっかりと浮かんでいる。 そのまま視線を下げると、青山プロダクションのビルが見え、二階のオフィスにはまだ煌々と灯りがついているのに千雪は気づいた。 「まだ、誰かいてるみたいやな」 千雪がそう呟いた時、ちょうど傍らを滑るように走り込んで
月夜の猫-BL小説です Vacances26 BL小説 「そんなにタレントになりてーのか? だったらいくらでもお膳立てしてやるぞ。俺を甘く見るなよ? てめーの一人や二人スターにしてやるくらい朝飯前だ」 語気も荒く、工藤は言い放つ。 「誰がいつ、あんたを甘く見たよ! 俺にだって可能性があるんならって言ってるだけだ
佳踊が椅子に腰かける。当然のことながら、あのころ床につかずに振り子のように振られていた足はしっかり床を踏んでいる。「まだ、ちびだったくせに風海のことが大好きだったな」 風海もとなりの椅子に腰かける。佳踊にむかって微笑んでみせた。「僕は佳踊みたいな友だちがはじめてだったから、うれしかった」 かすかに佳踊が目を細めた。「俺みたいなって?」と訊かれたので正直に答えた。「内側から発光しているみたいな、舞...
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人40 BL小説 「授業中は当てられてもわかりません、言うといてお前、試験は満点取るし、あいつが何言うても無視やったし、お前がそういう態度取るからみんなも真似しよって」 三田村に言われて、千雪も当時のことを思い出した。 「逆パワハラか? イジメてもたんかな、やっぱ、俺」 「白々し
月夜の猫-BL小説です Vacances25 BL小説 シャンパンに負けないスプマンテの味わい。 最高級のエクストラバージンオリーブオイルを使ったトロビエッテのバジルソースやとれたてのシーフードをふんだんに使った料理が振舞われた。 「エー? 加絵が焼いたの? このパンすんごくおいしい!」 女優がそんなにバクバク
月夜の猫-BL小説です 春雷85 BL小説 「もっと音楽もお勉強しろよ」 「またそうやってバカにする」 鼻で笑ってからかう工藤に、良太は文句を言う。 「桐島さんって、でも平気でスキーとかしてたし、度胸ありますよねぇ」 「まあ、世界中公演で回ってるからな、自然と強くなるんだろ」 「そうなんですねぇ」 ついつい自
《中学校二年生》 佳踊はしょっちゅうLINEで連絡をよこした。道端で見かけた猫の写真とか、美佑のいたずらの顛末の一部始終を収めた動画も送ってくるので、離ればなれのあいだも佳踊をいつもより近くに感じていた。『猫成分ありがとう』『美佑ちゃんもいたずらっ子だなぁ』 自分のぱっとしない返信と佳踊のユーモアと怜悧さを備えたひと言が並ぶトークルームを眺めながら、佳踊のこの返信の切れのよさはどこから来るんだろうと何...
「ガーッ。ざけんなチクショウ」 あ、大きな声で叫んでる。 「チクショウ。ざけんなあの女。ざけんなチクショウ。ざけんなざけんなざけんな~っ!!!!」 たいそうご立腹のご様子。ん? あれ? この声どっかで……。カラダを低く起こしてそっと下をのぞきこめば……そこにいたのは……。 中田だった! 仁王立ちでスマホをにぎりしめ、緑のフェンスに向かって叫んでいる。 「あんのバカ女!!」 そう言うと中田はスマホを地面に思いっきり叩きつけた。肩が激しく上下している。 なんだなんだ? あの中田が。パッとみ強面のヤンキー風だけどその実、面倒見が良くていつも大人で落ち着いている中田が……。 ――――よっぽどの事があっ…
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人39 BL小説 第一、どこをどうしたらそういうことになるのか、小、中、高と三田村にはイジメに近いいじられ方をしてきた千雪にはさっぱり理解できない。 「小林くん、三田村くん、お待たせ」 何だか妙な話になりかけたところへ、桐島が現れた。 「おう、早かったな」 隣に座る桐島に、三田村が言
月夜の猫-BL小説です Vacances24 BL小説 「いいところでしょ? 私もここに初めてきた瞬間、気に入ったの。ここにいると太陽と海、それだけで何もいらなくなる」 カクテルグラスを良太にひとつ渡すと、加絵は風になびく長い黒髪をかきあげる。 「あ、ありがとうございます」 海の色をしたカクテルに口をつける
『高橋が言ってたんだよ。やらしいことできるって』 やらしいこと……高校生男子にとってはパワーワードだぞ。オレはこみ上げるあくびを手で押さえて耳を澄ました。 『だよな。昼休みに屋上に行けばこの子とやらしいことできるって』 ここは下からは見えないから寝てても問題ないと思うけど。みつかったらめんどくさそうな感じがする。それにしてもこの穴場を知ってるヤツが他にもいるとは…ムムム……。 「つうか相手男だろ。キモっ」「カワイイんだって。ミルハニにそっくりなんだって」「ミルハニ? 格ゲーの? 無理だろ。二次元じゃん」「マジそっくりなんだって。動画見てみろよ」 下の会話もなんか気になる……。オレは耳を澄ます。…
「あ、佳踊の出番だよ」 舞台上に視線を投げて、七未が言う。慌てて振り返ると、反対側の舞台袖から佳踊がゆっくりと歩み出てくるところだった。なんの前触れもなくいきなり高く跳んだので、風海はびっくりして言葉を失う。「風海、この一年でじょうずになったんだよ」 風海の驚きを拾った七未がささやくような声で言う。「トレーニングもがんばってるし、自分なりの表現を考えてもいるみたい。まあ、行き詰まってわたしに相談し...
月夜の猫-BL小説です Vacances23 BL小説 クルーやスタッフ共々、河崎と藤堂は翌日、ミラノから日本に発ったが、一日オフを予定していた青山プロダクションの面々をイッポーリトがちょっとしたクルーズに誘った。 良太はやっとスーツから開放され、Tシャツに短パンでクルーザーに乗り込んだ。 ラフなシャツにパン
長い間、ブログ放置してしまいすみません。 いろいろあって書ける状態ではなかったのと、パスワード忘れてログイン出来なくなっていました(;_;) 携帯機種変と…
長い間、ブログ放置してしまいすみません。いろいろあって書ける状態ではなかったのと、パスワード忘れてログイン出来なくなっていました(;_;)携帯機種変とかもしたし、長らく使わなかったメアドで登録していてそっちも忘れてたり……パスワードなんとか自力で思い出してログインするまで戻ってこれませんでした。久しぶりにブログのプラグインやテンプレートいじったり、リンクの確認してみたりしていたら、なんかポケクリ閉鎖して...
月夜の猫-BL小説です 春雷(工藤×良太)83まで連載中です BL小説 春雷(工藤×良太)83、Vacances(工藤×入社2年目良太)22、真夜中の恋人(京助×千雪)37まで、BL小説連載中です。