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『續姿三四郎』(45)(1991.11.8.)自分にとっての黒澤明作品で、『一番美しく』(44)とともに未見だったこの映画を、やっとビデオで見ることができたのだが、残念ながら、随分と我慢しながら見たという印象が残った。つまり、ほかのどの黒澤映画と比べても、全く不出来であったというのが偽らざる心境だった。まあ、黒澤にとっては、もともと気乗りがしない企画だったらしいし、先日見た稲垣浩監督の『江戸最後の日』(41)同様の、フィルムの悪さ、録音のひどさ、という戦時下故のマイナスを背負った不幸な映画という言い方もできるだろう。また、今や完璧主義の巨匠監督としてのイメージしか浮かばない黒澤の、若き日の模索の姿が浮かんできて、どこかほほ笑ましく感じるところもある。と、ここまで書いてきて、ではこの映画には全く見るべきとこ...『續姿三四郎』
『虎の尾を踏む男達』(45)(1982.11.23.)この映画は、歌舞伎の「勧進帳」と能の「安宅」が基になっているという。それ故か、古色蒼然とした印象を受けるのは否めないし、弁慶役の大河内傳次郎のセリフなどは、録音状態の悪さやフィルムの古さを差し引いたとしても、かなり分かりづらい(まあ、彼独特のセリフ回しの難解さは毎度のことであり、それが彼の個性にもなっているのだが…)。それに、歌舞伎や能についての知識があるかないかで、この映画についての感慨は全く違うものになるだろうという気もする。というわけで、終戦間際に、限られたセットで、よくこれだけのものを撮ったなあと思う半面、やはり古い映画だと思わずにはいられなかった。ところが、たった一人の俳優の存在が、この映画を忘れ難いものにした。その名はエノケンこと榎本健一。...『虎の尾を踏む男達』
京橋の国立映画アーカイブで開催中の「脚本家黒澤明」を見た。黒澤が影響を受け、映画化もした作家には、ドストエフスキー(『白痴』51)、シェークスピア(『蜘蛛巣城』57)、山本周五郎(『椿三十郎』62・『赤ひげ』65・『どですかでん』70)らがいるが、彼らに加えて、映画化はしていないがバルザックの影響が大きいことに触れていた。『隠し砦の三悪人』(58)や『七人の侍』(54)を例にして、菊島隆三、小国英雄、橋本忍、そして『デルス・ウザーラ』(75)や『乱』(85)の井手雅人との“共同脚本”の執筆の様子を生原稿などで再現しているコーナーには興味深いものがあった。谷口千吉監督の『銀嶺の果て』(47)など、他の監督たちに脚本を提供した作品を見ると、改めて監督としての黒澤明のすごさを知らされる思いがした。また、エドガー...「脚本家黒澤明」(国立映画アーカイブ)
前回は『血槍富士』でしたので、加東大介の出演作繋がりで参りましょう。もちろん大枠は月形龍之介特集月間! 『ごろつき船』 ↑コスモ・コンテンツ社のパブリックドメインDVD(Amazonページ行) アマプラもあるでヨ 概要 チャンバラ盛りだくさんで、大河内傳次郎VS月形龍之介の対決が充実。 加東大介は、義理に厚い盗っ人。 ストーリー 蝦夷地の南端を領有する松前藩内に、抜け荷(...
リレー式に映画を繋げてご紹介するブログ、ただいま生誕120周年・月形龍之介祭りでございます。 今回は『任俠清水港』『任俠東海道』ときてシリーズ3本目 ! 『任俠中仙道』 ↑ゾンアマ行あふぃりえいと(DVD通販) アマプラはこちら 概要 東映オールスターキャストの次郎長映画、第3弾。 1957年『清水港』、1958年『東海道』とお正月映画でしたが59年1月のオールスター映画は『忠臣蔵 桜花の...
本日2月5日は大河内伝次郎の、山田五十鈴の、内田良平の、H・R・ギーガーのお誕生日。 ってことで各人にまつわる映画をあれこれ取り上げたいところですが、ポンコツなアタクシの処理速度が追い付きませんので泣く泣く一本に絞り大河内伝次郎マイベストをご紹介したいと思います。 『水戸黄門 天下の副将軍』 ↑アマゾン(DVD通販)行きあふぃりえーいと アマプラはこちら 概要 ご存じ月形黄門様の漫遊...