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『ブギの女王・笠置シヅ子 心ズキズキワクワクああしんど』(砂古口早苗)
朝ドラ「ブギウギ」の原案本で、著者は笠置シヅ子と同郷のライター砂古口早苗氏。笠置について初めて書かれた評伝だという。笠置への強い思い入れをにじませながら、いろいろな参考文献に当たって、実によく調べて書かれている。特に服部良一やエノケン、美空ひばりとのくだりは、教えられることも多く、興味深く読むことができた。それだけに時折人名に誤植があったのが残念。自分も気を付けなければと自戒させられた。歴史ドラマもそうだが、こうした評伝も、誰の側や立場から見るかで全く違うものになる。そこに筆者の主観が入るからだ。例えば、著者は竹中労の『美空ひばり』での笠置に関する記述を批判しているが、それはあくまでも笠置の側から見れば…ということになる。もとより、さまざまな登場人物に対して八方美人では評伝は書けないから、人物の描写の仕方...『ブギの女王・笠置シヅ子心ズキズキワクワクああしんど』(砂古口早苗)
小夜の恋話後編。 ハッピーエンド! それは良かったんだけど ウルッと来たりなんかもしちゃったんだけど スズ子の舞台デビューと重ねられていて 何だかそれが、何ちゅーか… いや、間違ってはいない
朝ドラの「ブギウギ」に、生瀬勝久演じる喜劇王の“タナケン”こと棚橋健二が登場した。タナケンは言わずもがなのエノケン(榎本健一)がモデル。生瀬とエノケンはちょっとイメージが違う気がするが、今後どんなふうにスズ子(趣里)と絡むのだろう。実際の笠置シヅ子とエノケンは数多くの舞台や映画で共演している。「ラッパと娘」『舞台は廻る』https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/77f0efbdac231901f36f91122f6f3b9d「ブギウギ」笠置シヅ子の出演映画https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/d03f3d1b24e3c1847ba6cda1a2ec786e『エノケンのびっくりしゃっくり時代』https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e...「ブギウギ」笠置シヅ子とエノケン
『エノケンの天国と地獄』(54)(1990.8.19.)かつてサーカスの人気者だった圭太(エノケン)は、天国の裁判所で生前の行いを見せられる。そこではユキ(若山セツ子)という少女との出会いと別れが映し出されていた…。監督・佐藤武。エノケンといっても、自分はその晩年をかすかに知っている程度で、ほとんど伝説上の人物になってしまう。それでも、最近はビデオの普及も手伝って、こうして彼の古い映画も見ることができるのだが、本来は舞台の人であり、映画ではその本領は発揮されていないという。また、彼の戦後の不幸な人生をまた聞きすると、彼の映画を見ても何だか純粋に笑えなくなってしまう。特にこの映画などはもはや喜劇ではなく悲劇であった。ドタバタをやっていた人がそこから脱皮できずに苦労する姿や、時代と合わなくなる姿は見ていてつら...『エノケンの天国と地獄』
『エノケンのびっくりしゃっくり時代』(48)(1993.12.18.)浮浪者の健太(エノケン)は、紳士の黒川(山口勇)に、スリのサブ公(如月寛多)に財布をすられそうだと知らせるが、逆にスリに間違われる。そこを、楽団と花形歌手の歌ちゃん(笠置シヅ子)に救われる。健太は歌ちゃんと共に黒川の財布を探すが…。監督・島耕二、脚本・山本嘉次郎、音楽・服部良一。笠置が「びっくりしゃっくりブギ」を歌う。先日、NHK衛星で放送された「日本の爆笑王ベスト50」で、見事に1位に輝いたエノケン。その時、司会の伊東四朗が「今の人には何がおかしいのか分からないかもしれない」と語っていたが、この映画を見て、そんな、笑いが持つ即時性や、時代差によって生じる空しさについて考えさせられてしまった。終戦直後に作られたこの映画で描かれた政治家へ...『エノケンのびっくりしゃっくり時代』
『エノケンの拳闘狂一代記』(49)ボクサーの江之吉(エノケン)は八百長の名手。今日も敗戦の祝杯を挙げているところへ女房が死んだという報せが入る。自分が父親では将来肩身が狭かろうと息子の道夫を幼友達のおぎん(清川虹子)に預ける。時は過ぎ、学校を卒業する道夫(堀口宏)から、ボクサーになりたいと聞いて江之吉もおぎんも驚く。監督・渡辺邦男、音楽・栗原重一。前に見た『エノケンのホームラン王』(48)のボクシング版といったところ。準主役の堀口宏(ピストンの弟)をはじめ、当時の名ボクサーたちの動く姿が見られ、今となっては貴重な映像記録になっている。映画全体としては、いかにも即席で作られた感じで、今の目から見るとエノケン(東京)対田中春男(大阪)の対比のおかしさが印象に残る程度だが、まだテレビがなかった当時の人々にとって...『エノケンの拳闘狂一代記』
『エノケンのホームラン王』(48)(1991.1.25.)ジャイアンツファンの肉屋の健吉(エノケン)は、長年の夢をかなえてジャイアンツにマスコットボーイとして入団。憧れの選手と全国を回るが…。三原脩監督、川上哲治、青田昇ほか、当時の巨人軍の選手が総出演。監督・渡辺邦男、音楽・栗原重一。戦後間もない昭和23年の映画。復興に向かう世相と当時の野球熱の高さがうかがえ、なかなか興味深かった。しかも、当時のジャイアンツの選手たちの動く姿がたっぷりと見られるというおまけ付き。実際、エノケン云々よりも、伝説として聞いただけだった彼らのプレーぶりの方に目が行ってしまった。登場する主なメンバーは総監督・三原脩。この年は2位。50年に辞任し、西鉄、大洋、近鉄、ヤクルトの監督を歴任。独特の采配から“三原魔術”と呼ばれる。監督・...『エノケンのホームラン王』
『エノケンの豪傑一代男』(50)(1981.3.20.)徳川家康から功績を讃えられた弥九郎(エノケン)が、松平家姉妹の争いから、徳川と織田の対立という一大事まで豪快に解決してしまう。監督・荒井良平。前から一度見たいと思っていた幻のエノケン映画。彼の晩年しか知らない自分にとっては、フィルムの古さを飛び越えて新鮮さを感じさせてくれた。背は小さく、決して美男子とはいえないが(この映画ではガマガエルと称されていた)、その身のこなしのよさとアクションは、チャールズ・チャップリン、バスター・キートン、ハロルド・ロイドにも決して引けを取らない。体技という点では今のスタントマンたちの方がすごいのかもしれないが、その動きの中におかしさまで感じさせるところがエノケンの真骨頂だ。『エノケンの豪傑一代男』
『孫悟空』(40)(1986.1.2.NHK)皇紀二千六百年に沸く昭和15年に作られたレビューミュージカルコメディ。三蔵法師のお伴をして孫悟空が天竺に旅するおなじみの話。監督・山本嘉次郎監督特殊撮影・円谷英二音楽・栗原重一と鈴木静一。主なキャストは、孫悟空(榎本健一)、猪八戒(岸井明)、沙悟浄(金井俊夫)、三蔵法師(柳田貞一)、奇怪団珍妙大王(高勢実乗)、金角大王(中村是好)、銀角大王(如月寛多)、狆々姫(高峰秀子)、百科辞典の精袖珍(中村メイ子)、天文博士鰐々居士(徳川夢声)、ナイチンゲール金鈴(渡辺はま子)、煩悩国香蘭(李香蘭)玄宗王(藤山一郎)オリジナルの「孫悟空の歌」のほか、「世紀の楽団」(アレキサンダース・ラグタイム・バンド)「アラビヤの歌」、そしてディズニーの「星に願いを」や「ハイ・ホー」も流...『孫悟空』『エノケンのちゃっきり金太』
『舶来音楽芸能史―ジャズで踊って』(瀬川昌久・草思社文庫)を読み始めたら、エノケン=榎本健一のことが出てきたので、久しぶりにエノケンの映画を見直してみた。『エノケンの近藤勇』(35)ジャズソングを盛り込みながら、エノケンが近藤勇と坂本龍馬の二役を演じた幕末コメディ。見どころは、高下駄を履いた近藤=エノケンの立ち回り。龍馬(なぜか“りゅうま”と呼ばれている)と桂小五郎(二村定一)が歌う「ララバイ・イン・ブルー」。池田屋騒動では「ボレロ」と「ピーナッツ・ベンダー=南京豆売り」が効果的に使われ、『蒲田行進曲』(82)で有名になった“階段落ち”のシーンもちゃんとある。笑いは生ものだから、今の目から見るとギャグの数々に古色蒼然とした印象を受けるのは仕方ないが、音楽の使い方は今見ても十分に面白い。『エノケンの近藤勇』
『オットーという男』(2023.1.30.ソニー・ピクチャーズ試写室)いつもご機嫌斜めなオットー(トム・ハンクス)という男。曲がったことが許せない彼は、家の近所を毎日パトロールしてはルールを守らない人に説教をし、挨拶をされても仏頂面で返す始末。隣人たちから見れば面倒くさくて近寄り難い存在だった。だが、そんなオットーも、実は人知れず孤独を抱えていた。最愛の妻に先立たれ、仕事も失った彼は、自ら命を絶つことを考えていたのだ。ところが、向かいの家に越してきた陽気なマリソル(マリアナ・トレビーニョ)とその家族が、なにかと邪魔をして、なかなか死ぬことができない。だが、そのマリソル一家が、オットーの人生を変えてくことになる。スウェーデン映画『幸せなひとりぼっち』(15)をリメーク。孤独で偏屈な男が、隣人一家との触れ合い...『オットーという男』